Fazil Sayのコンサート@紀尾井ホール

叔母から誘われFazil Say(ファジル・サイ)というピアニストのコンサートに行ってきた。

ファジル・サイ fazil say
「シャコンヌ」~サイ・プレイズ・クラシック~
7月9日(月)19時開演 紀尾井ホール
J.S. バッハ・ブゾーニ編曲:シャコンヌ BWV1004
ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.XVI-35
モーツァルト:「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲ハ長調 K.265(きらきら星変奏曲)
ベートーヴェン:
・ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2 テンペスト
・ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57 熱情
アンコール:
ファジル・サイ:Black Earth
他・・・

http://www.avexnet.or.jp/classics/artist/fazil/

私の好きなバッハ作曲・ブゾーニ編曲のシャコンヌを演奏するということで、とても楽しみにしていた。ファジル・サイというピアニストは、トルコ出身で、いわゆるクラシックピアノだけでなく、Jazz風に弾いてみたり、自身の曲を演奏するなり、いってみれば現代風(?)の演奏家のようである。Avexがエージェントになっているらしく、MAX松浦氏の花束が置いてあり、マークパンサー氏を始め芸能人も何人か聴いていたようだ。

さて、演奏の感想であるが、このブログでも紹介しているようにアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリのシャコンヌを聴きまくっているため、どうしてもシャコンヌに関しては比較して聴いてしまう傾向が自分の中にある。しかし今回の演奏は何とも比較が難しかった。1曲目のためかミスタッチがかなり目立ち、それが解釈なのかミスタッチなのかどうにも判断が難しくなんとも言えない感想というのが本音のところである。アルフレッド・コルトーディヌ・リパッティなどをこよなく愛しているため、ミスタッチはあまり気にしない性格なのだが、今回のシャコンヌばかりはどうしても気になってしまった。2曲目以降、特に公演後半では極めてテクニックフルな演奏だったので、最後の方でシャコンヌを是非聴きたかった。

さてアンコールに、ファジル・サイ自身の作曲した[Black Earth]という曲が演奏された。ピアノの弦を手で押さえて打鍵することで、トルコ音楽風?の楽器のような音を出したり、いろいろ独創的な曲であった。

Black Earth @ Youtube.

本当に久しぶりの紀尾井ホールでのコンサートだった。昔はすばらしいホールだなぁ・・・と思った記憶があるが、昨日はあまり良いホールだと感じなかった。ピアノの正面に座っているにも関わらずあまり響きが良くない。海外の歴史のあるコンサートホールなどと比べると何とも現代建築技術を使って作ったという感じでエレガントさを感じない。休憩中のカフェも2Fで足の悪い叔母には結構つらい構造で、その辺もイマイチという感じであった。

平日2時間くらいこうやってクラシックを聴きに行くのはとても気分が良いもので、リラックスした良い時間を過ごせた。

Robert Casadesus’ Mozart Piano Concertos

少し前のエントリー(Michelangeli’s Mozart Piano Concertos Nos.20 & 25)を書いて以来、クラシック熱が数年ぶりに再燃している。このGWもプログラム三昧であったが、プログラミングという退屈な時間もクラシックにより随分満たされた。何せこの5,6年クラシックのCDを追っかけていなかったものだから、Amazon, HMVのウェブサイトを見ているだけでもワクワクする(残念ながら大きなCDショップには行っていない)。その中から見つけたCDを紹介。クラシックに興味がなければ、極めて退屈なエントリーである。

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ピアノ協奏曲選集 カサドシュ、セル&クリーヴランド管、コロンビア響(3CD)@HMV

なんというのか、こんな名盤がCD化されているとは・・・といった感じである。モーツァルトのピアノ協奏曲は個人的にかなり好きな曲集で、ベタではあるが特に20番台は特に好んで聞いている。クララ・ハスキル、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリなどのマエストロも大好きであるが、何せ高校の時にもっとも聞き込んだのは、ロベール・カザドシュ(Robert Casaadesus)である。高校の担任から借りたLP盤をカセットテープにダビングしてエンドレスに聞きまくった。大学のために上京後、このLP盤がCD化されないかいつもお店を見回っていた。そして、どうやら昨年2006年9月20日にCD化されたようである。いやはや、この50年前の名演を2006年という最近になってCD化されたことは何とも嬉しい限りである。

カザドシュに関しては、極めて詳しい方がウェブなどで公開されているのでそちらに譲りたい(下手な事を書いて恥をかきたくない(笑))

Robert Casadesus

ロベール・カサドシュ – Wikipedia

上記の3枚組CDには、モーツァルトのピアノ協奏曲として、21,22,23,24番が入っている。私の記憶では25番は録音されておらず(あるかもしれない・・)。26番(戴冠式)、27番は、

Piano Concerto.24, 27: Casadesus(P), Sezll, Barbirolli / Nyp

ピアノ協奏曲第21番、第26番 カサドシュ(p)セル&クリーヴランド管、コロンビア響

この2枚を別に買えばCDで聞くことができる。それにしても1枚800円とかいう値段は、消費者にとっては喜ばしいものだが、あの名演が安すぎる!という悲しい気持ちも湧いてくる。ハスキルのような優しい、女性らしいピアノではなく、ミケランジェリのような鋭く繊細なピアノではなく、堅実、実直なしっかりとしたカサドシュのピアノも是非聴いて欲しい。

また、オーマンディ指揮による協奏曲選集もあるようだ

モーツァルト:ピアノ協奏曲選集
ジョージ・セル指揮のものしか聴いたことがなかったので、近々聴いてみようと思っている。

Michelangeli’s Mozart Piano Concertos Nos.20 & 25

久しぶりにクラシックのCDを買った。考えてみればいつの間にか自分の中でクラシックのCDを買うという文化が随分薄れている気がする。クラシックの分野は、レンタルCD,iTunes Music Store、着うたなどを見てもまだまだレパートリーが少なく、新しい曲を求めるなら未だにCDを購入するしかない。単純に高校~大学の頃のクラシック熱が落ちてきてしまっているからだと思う。当時は渋谷、新宿など大きなCDショップがある場所に行っては新しいCDを隈無く探していたが、最近そんなパワーはなくなった。おそらく聴く曲がなくなったのが問題だと思っている。私はクラシックに関して完全に食わず嫌いな聴き方をしており、ホロヴィッツ、コルトー、ルービンシュタイン、ミケランジェリなどの巨匠を超える演奏家が現代のピアニストには居るはずがないという偏見とも言える先入観から最近の演奏家を全く知らない。つまり、高校~大学からに掛け、録音数も有限と言える過去のマエストロの演奏をほとんど聴いてしまった時点で、新しいCDはもういいやと思ってしまったのだと思う。

そんな折、久しぶりにツタヤの狭いクラシックコーナー(たった2棚しかなかった)を覗いてみた。クラシックコーナーと書いてありながら、現代のイージーリスニング系のCDが大幅に浸食しており、クラシックの曲も”気軽に聞けるモーツァルト”など演奏家も書いてないような格安CDしか置いてない。こりゃだめかなと思った瞬間1つのCDに目が止まった。

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ミケランジェリのモーツァルトピアノ協奏曲20,25番であった。パッケージを見ても今まで見たことがない。裏面を見てみるとなんと演奏が1989年6月と書いてあった。ミケランジェリが亡くなる6年前の演奏である。亡くなった年は、高円寺の学生寮に入寮しており、その新聞閲覧スペースで片隅に小さい記事を見つけた”完全主義の巨匠ミケランジェリ氏逝く”。全盛であった60~70年代の演奏はほとんど聞いていたのだが、89年の演奏が存在しているとは知らず、思わぬ発見である。しかも録音はディジタルレコーディング(DDD)で音も悪くない。この瞬間、クラシック熱を持っていた頃の感覚を思い出した。好みのマエストロの聞いたことがないレアな録音を探し出した感覚である。(最近追いかけていなかったので、今回見つけた録音がレアか分からないが・・)

さて、演奏に関して。やはりミケランジェリらしい綺麗な音は健在であった。完全主義者であったミケランジェリが、晩年崩れた演奏を世に残すわけはないと思っていたが、ミケランジェリの音がちゃんと残されていた。カデンツァの部分をもしかしたらオリジナルで弾いているのでは?と期待したが、60年代の演奏と同じくベートーヴェン作のものらしい(解説より)。とにかくLP版やそのCDリマスターしか聞いたことがなかったミケランジェリをディジタルレコーディングで聞けたことがとても嬉しかった。今回の機をきっかけに、今度大きなCDショップで全棚をざっと見てこようと思った。

たぶん聞いたことがあるベタなピアノ曲

クラシック好きの私からすると美しいクラシックのピアノ曲というのは数えられないほど多い。しかし、一般の方が気軽に聞ける現代のピアノ曲にも素敵なのはたくさんある。今回は、その中でも”ベタ”な曲を紹介したい。みなさん一度は聞いたことがある曲ばかりではないだろうか?

1.坂本龍一 Merry Christmas Mr.Lawrence (映画「戦場のメリークリスマス」テーマ」

さすがに誰もが聞いたことがあるかと思いますが、世界的に愛されている曲です。もともと映画のテーマソングでしたが、坂本さんのコンサートなどに行くと、すごく盛り上がり坂本さんの代表曲の一曲といった感じですね。いろいろなヴァージョンがあり、ピアノソロと、このムービーのようなチェロ・ヴァイオリンが絡むのもあります。

ピアノソロヴァージョンなら:アルバム[Coda]
チェロ・ヴァイオリンなら:アルバム[1996]
あたりがお勧めでしょうか。楽譜は簡単に手に入ります。簡単な曲なのでピアノがはじめての方でもがんばれば習得できるのではないでしょうか?

iTunesストアーでは、多くの方がカヴァーして演奏しているようです。坂本さんご本人のものは公開されていないようです。

Merry Christmas Mr.Lawrence 近藤嘉宏

2.George Winston (ジョージ・ウィンストン) Longing / Love (あこがれ・愛)

素人さんの演奏@youtubeです。iTunesにはありませんでしたので曲を伝えるという意味で、この演奏を紹介しました。この曲は、日テレ系のプラス1で10年くらい前に使われていたのではないかと思います。ジョージ・ウィンストンさんという方の曲で、他にも綺麗な曲を書かれていますね。彼の所属するウィンダムヒルレコードはこういうイージーリスニングの作曲家が揃っているレーベルで素敵な曲が多いです。
さらに調べてみたらご本人のホームページがありました。そこでLonging / Loveも視聴できるようですが、何せ時代遅れのReal playerのため、再生できない方も多いかもしれません。 : George Winston AUTUMN 20th Anniversary Edition

日本では、普通にアマゾンで購入できます。AUTUMN: WINDHAM HILL 20TH ANNIVERSARY EDITION [Enhanced] [from US]
楽譜はかなり入手が困難かと思います。と思ったら、この20周年記念CDには、どうやら楽譜が付いているようです。昔はヤフオクで2万くらいで転売されていたのを見たことがありますが・・・。このLonging / Loveが入っているアルバムでは、1番のColors Danceという曲もお勧めです。これは日曜日のニュースプラスワンの今週の動きで使われていた気がします(10年くらい前)

3.(超ベタ)ドラマ「ロングバケーション」でキムタクが弾いた曲 Minami, セナのピアノなど

Youtubeでも公開されていましたが、あまりにプライベートなピアノ発表会映像といった感じなので避けました。一方でItunes Music Storeに作曲家CAGNETご本人が登録されていますので、視聴などはそちらを参照ください。

Minami @ iTunes Music Store “CAGNET – Best of Cagnet World –
セナのピアノ@ iTunes Music Store “CAGNET – Best of Cagnet World –

あまりにベタで紹介するのも気が引けますが・・。楽譜もそこら中で売っています。セナのピアノの方は弾くのも簡単です。

4.久石譲さん

もう紹介する必要もないですが、宮崎駿監督の映画、北野武監督、伊右衛門、イチカミ、NHKの人体、長野パラリンピックなど有名な曲は多いですね。映画とともにお好きな方も多いのではないでしょうか?youtubeにもピアノ発表会と思われる映像がたくさん公開されています。ほとんどが耳にした曲が多いかと思うので、(たぶん)テーマソングなどには使われていないお勧め曲を紹介しますと、”The Wind of Life”とか、”Resphoina”とか綺麗な曲です。

ホームページが素敵なので、是非ごらんください。(音が出ます)

久石譲オフィシャルサイト

5.その他

クラシックではない現代ピアノ曲といっても死ぬほどあるので紹介しきれませんが、ベタな曲ですぐ思い浮かぶ名前だけ紹介しておきます。

・マイケル・ナイマン ピアノレッスン
・アンドレ・ギャニオン めぐり逢い
・日本のドラマ(『東京ラヴストーリー』、、『ひとつ屋根の下』、『愛という名のもとに』)などで使われている日向敏文さん(曲が公式サイトで試聴できます)

かなり主観が入っていますが、このあたりがイージーリスニングと呼ばれ、良く耳にする曲ではないでしょうか。聞いたことあったけど曲名知らなかったなど少しでお役に立てば幸いです。ピアノの曲が好きになったら、是非ショパンをはじめとするクラシックの世界にどっぷり入ってきてください。

Brahms Symphonie Nr.1 – Karl Münch, Orchester Paris

6月にテレビを買って以来、割とテレビっ子(完全に死語であるが・・)である。基本的に、BS-iの世界遺産と、BS日テレのトラベリクスを主に見ているが、最近は”のだめカンタービレ”というドラマを見ている。クラシックが死ぬほど好きな私にとって、このドラマによってクラシック人口が増えるのはとても嬉しい。”のだめカンタービレ”では、クラシック沼にハマる代表格とも言える、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番や、ブラームスの交響曲第1番を使い何とも上手い戦略である。初めて聞いた方はどういう印象を持たれるかわからないが、クラシック好きからすれば、この2曲はまず外せない”初歩”の曲であり、もちろん今聞いても全身ビリビリ金縛りである。特にブラームス1番の4楽章は、ホルンによる美しい旋律の部分があり聞いた者を必ず酔わせる。この部分は、ロベルトシューマンの奥さん(クララ・シューマン)への愛を表しているとされて、クララへの誕生日の手紙に、”Hoch auf’m Berg, tief im Tal, grüß ich dich viel tausendmal”(「高い山や、深い谷から、あなたに何千回も挨拶しよう」)という歌詞がついているそうである(参考:交響曲第1番 (ブラームス) – Wikipedia)

ただ、残念なのはやはり学生が演奏(?)しているという設定からか、ブラームスの交響曲第1番は弦の厚みなどちょっとモノ足りず、身構えて聞いている私としては何とも内なる感情を放出できないまま演奏が終わってしまった。しかも第一ヴァイオリン役の師匠であり世界的なヴァイオリニストという役者(外人)は、そのイマイチな演奏後ブラボーとかいっていたからやはりドラマである。もしブラームスの第1番に全身ビリビリきていしまった方がいたらオススメの演奏があるので紹介する。ただ、クラシック好きの連中の”オススメ”ほどうざいものはない。かなり主観的、偏見的、独断的が多く(笑)、ブラ1を聞きたいけど、何でもいいやという位のセンスであればいかがですか?的な弱気なオススメとしておく(内心は100%絶対オススメだが)

オススメする演奏は、ドイツに生まれフランスで育った指揮者シャルル・ミュンシュ – Charles Munch, Karl Münch)が、1968年にパリ管弦楽団で演奏したブラームス第1番である。

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ブラームス:交響曲第1番  ミュンシュ(シャルル) (指揮, アーティスト), パリ管弦楽団 (演奏)

最強である。最高である。仕事をしながら聞き始めてみても第4楽章のころには、明らかに手元はストップしており、その最高・最上の演奏に全ての神経が奪われる。私は高校の時にこの演奏に出会い、最初に思った感想が、”この曲・この演奏を聴かずに死んでいく人は不幸だ”と(笑)。完全に主観的な表現ではあるが、実はこのミュンシュ、パリ管の演奏は評論家の中でも評価は極めて高く、宮下の戯言だけではおさまらない素晴らしい演奏である。逆にいうとクラシックマニアに言わせると”ベタ”だねとさくっと言われる演奏である(笑

のだめをきっかけにブラームスに目覚めてしまった人は、ミュンシュ、パリ管の演奏を聴いてどっぷりハマッてくだされ。

P.S. 他にオススメのブラ1ありましたら是非教えてください。かなりの演奏を聴いていますが、まだまだ素晴らしい演奏はあるはずです!

極めて綺麗な歌声 Libera

先日、NHK BSで「氷壁 | NHK 土曜ドラマ」というドラマの再放送があった。そこの主題歌として使われていた曲があまりに美しく、ドラマを極めて綺麗に盛り上げていた。今日のエントリーは、その曲を歌っているLiberaの紹介。

Liberaの紹介の前に、「氷壁」というドラマについてであるが、これは井上靖氏が1963年に書いた同名小説「氷壁 @ amazon.co.jp」の現代時勢に合わせたドラマである。この「氷壁」は、1955年に実際に起きた「ナイロンザイル切断事件」を元に作られた話であり、雪山の恐ろしさと、クライマーの熱さ、命についてとても考えさせられる。雪山に登るときに、2人のクライマーはザイルと呼ばれるヒモでお互いの体を結ぶそうである。どちらかが崖・クレバスなどに落ちたときに両方とも死ぬのを避けるために、上の者はザイルを切って下の者を見殺しにしなければならないという。しかし過去実際に起きた事実として、切った人もいれば、切れずに2人とも亡くなった事故も沢山あるそうだ。そういう話を聞くと雪山に魅せられた人は本当にすごいと思う。そこまでするものが雪山にあるんだろうなぁといろいろ考えてしまう。

さて、そんなとても引き込まれる「氷壁」を極めて綺麗な歌声で盛り上げていたのが、Liberaというイギリスの20人からなる少年合唱団が歌う”Faraway”である。最初女性の声かなと思っていたが、極めて綺麗な声を持つ少年によるものだった。あまりに綺麗な声すぎて心が洗われるような気分になる(笑)。ウィーン少年合唱団に近いものがあるが、Liberaは基本的にオリジナル曲であり、こういったドラマやCMなどの曲をいろいろ歌っているようだ。是非生で聞いてみたい。

視聴: Faraway (WMV) @ 東芝EMI公式サイト

視聴2: Faraway @ iTunes Store(30秒視聴可能)

真空管オーディオシステムのススメ

今回のエントリーでは、とてもコストパフォーマンスの高い真空管オーディオシステムを紹介したい。上を見ればキリがないオーディオの世界に没頭するのは、金銭的に得策ではない。一方で、自分の部屋に素晴らしいサウンドを提供してくれるオーディオシステムは誰もが欲しいと考えると思う。ここで紹介するのは、安くて(宮下的に)十分満足が得られるサウンドを提供してくれるオーディオシステムである。

Jazzの生ライヴを部屋で再現することを考える。媒体は音楽CD。

1)ライブ音をアナログ信号に変換する:マイクなど
2)アナログ信号をディジタル信号に変換する:A/D変換機(Analog / Digital変換機)
3)ディジタルデータをCDにプレスする→店頭に並ぶ→買ってくる
4)CDに記録されているディジタルデータをアナログ信号に変換する:CDプレーヤー内部のD/A変換機(Digital / Analog変換機)
5)アナログ信号を耳で聞こえるようにアンプ増幅する:アンプ
6)増幅した音声がスピーカーを通して部屋に再現される:スピーカー

以上が、生ライブの音を部屋で再現されるまでの過程で、”:”で区切ったものが、その過程を実現する機器である。

現代の録音技術、システムは極めて発達しており、ライブ音をCD化するための機器は最高級のものを利用するであろうから、1)、2)の過程はほぼ最高の水準で行われる。全く当たり前のことだが、我々が追求するところは、4)CDに記録されているデータを精度良くアナログ信号に変換して、5)アナログ信号を極めて豊かに増幅して、6)その音を素晴らしく空間に広げるかである。

つまり

4:CDプレーヤー(高精度D/A変換機)
5:アンプ
6:スピーカー

この3つを如何に素敵に構成するかがオーディオマニアが目指す道である。このエントリーでは最上の構成を目指すのではなく、”安く””満足”できる音を実現できる構成を紹介する。

■CDプレーヤー

 約20年近い歴史を持つCDプレーヤーは、D/A変換の精度を上げることを中心に改良が重ねられてきた。あくまで主観ではあるが、このD/A変換は十分に技術的にこなれており、それほど高価なものを買わなくても十分な変換精度が得られると思っている。パソコンのCDで再生する場合は、パソコンのマザーボードのようにあらゆるノイズが載っているため論外ではあるが、いわゆるCDプレーヤーという専用機能である限り、2万円前後のものでかなり精度よくD/A変換が行える(と思う)

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DENON DCD-755AE
kakaku.com DENON DCD-755AE : 32,707円

おそらく、今回紹介する構成の中でCDプレーヤーはDENON, ONKYO, SONY, MARANTZ, PIONEERなど有名メーカーであればどれでも良いのかなと思っている。私としては、DENONがオススメ。もし選ぶのに迷ったら、外部から光信号で入力できるインターフェイスを持ったものがよいと思う。理由は、数あるD/A変換機の中で、上述のようにCDプレーヤー用のD/Aは一番歴史があり安定している。そのため、パソコンやMD、iPodなどのディジタル機器からアナログ信号に変換するのであれば、CDプレーヤーに搭載されているD/A変換機を使うのが最も安くて最も精度が高い。パソコンで多くの音楽データを所有している人は、パソコンのノイジーな変換機能などに任せず、ディジタル信号のままCDプレーヤーに入力して、CDプレーヤーのD/A変換を掛けるのが最も良い選択だと思う。(今調べてみたら光入力が付いている安い機種はないようですね・・・)
SACD(Super Audio CD)を安く聞くなら、SONYのSCD-XE600になるようである。しかしSACDは一枚も持っていないので評価できず・・・。

■アンプ

 下手なことを書くと徹底的にオーディオマニアに叩かれるアンプであるが、今回の構成で紹介するのは真空管のアンプである。世の中のあらゆる電子機器は半導体(トランジスタ)に置き換わっている。今更電気も多量に消費し、タマが切れたら交換しないといけない真空管なぞ時代遅れも良いところだが、オーディオマニアの世界では、いつかは”真空管アンプ”という憧れがある。とにかく電気回路において、”増幅する”というものはとても重要な機能で、半導体がなかった時代に、その”増幅”などを担っていたのが真空管である。今でこそ半導体(トランジスタなど)によって”増幅”するのが一般的ではあるが、たんぱく質を使った増幅なども研究されており、実現すればスプーン一杯のたんぱく質で世界の最高のスパコンの何千倍ものパフォーマンスが出るらしく、未来も半導体を用いているかはわからない。話は逸れたが今回紹介するアンプは、その歴史的に古い真空管を使ったものである。

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TU-870 真空管アンプキット 若松通商 20475円

 今回紹介する真空管アンプは、自分で半田付けをして完成させる電気回路キットのアンプである。アキバにある有名な電気パーツ屋である若松通商が企画した真空管アンプキットであり、私は、人工衛星を作るのと同じように”宇宙用半田付け”で開発した。何せ全てパーツもそろっており回路図ももちろん含まれているから作るのはとても簡単である。

さて、アンプについての本題である”トランジスタアンプに対して真空管アンプはいい音なのか?”という点について述べなければならない。はっきりいって、アンプの特性などを計測した場合、ほとんどのケースでトランジスタアンプの方が数値的に良い結果である。とういうことで、宮下的には数値で表れていない柔らかい音がする(気がする)としか言いようがない。しかし、上のキットは2万円である。2万円のトランジスタアンプを買っても、この音は出ないことだけは付け加えておく。つまりコストパフォーマンスが最高のアンプなのだ。

■スピーカー

 アンプでかなり素敵な音まで引っ張り上げてくれているので、空間に響かせるという意味でスピーカーの役目はきわめて重要である。母方のおじさん、雑誌の特集、各種記事などの客観的な評価もふまえた上で、次のスピーカーを紹介する。

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Ortofon Concorde 105

通販などでは、TRISTAR JAPAN (Ortofon Concorde 105)などで購入できる。31800円

レコード針で有名なオルトフォンがなんとスピーカーを作った。しかも140x218x207mm(WxHxD)という超小型スピーカーであり、価格もお得である。スピーカーは一般的に大型であれば良いと言われている。しかしこのスピーカーはこの値段、この大きさからは信じられないすばらしい音がする。残念ながら発見できなかったのだが、スピーカーケーブルに何十万も掛ける有名なJazzオーディオ評論家が、”こんな小さなスピーカーなんて聞く気も起きなかったが、聞いたら腰が抜けた”みたいな記事が昔掲載されていた。評論家の言葉を鵜呑みにはできないが、私もこのスピーカーはサイズ、値段を考えるとかなりすごいと思う。

というわけで、
・CDプレーヤー:2万
・真空管アンプ:2万
・スピーカー:3万

以上の7万円という確かに安くはないけど,値段の割にはすばらしい音が家庭の部屋で再現できる。これ以上の音を求めると何十万も簡単に飛んでいくため、一般人のオーディオシステムとしてはほぼ最強のコストパフォーマンスを実現しているシステムだと思っている。

100読は1聴にしかずということで、興味があるかたは宮下家に足を運んでいただければ、その素晴らしい音を聞くことが可能である。過去に聞いた人はほとんどの方がビックリしていた。ただ、アンプ、スピーカーの特性から、Jazz、Classical向きで、JPopなど元々音域が少ない音楽にはそれほど差が出ないかもしれない。

P.S. iPod + 上記の真空管で遊んでいる本が発売されていた。iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ

ショパンバラード

ピアノを弾いたことがある人なら誰もが一度は憧れるショパン(フレデリック・フランソワ・ショパン (Frédéric François Chopin)).ショパンの詳しい解説はいつも通りWikipediaに譲ろう(フレデリック・ショパン – Wikipedia).今日はショパンの名曲として知られているバラード(Ballade)のお話.

私も例外ではなく多くのショパン好きは,大好きな曲としてバラードを挙げることが多い.バラードとは,元々中世(14~15世紀)フランスにある詩の形式であった.日本でいう俳句・和歌みたいなものだろうか.そのバラードを器楽曲に転用してしまったのが,ピアノの詩人ショパンである.ショパンは,バラード曲を4曲書いており,そのどれもが胸キュンもの(最低な表現だが・・)の素晴らしい作品である.その後バラードは,怪獣のバラードやら,日本のJPOPアーチストが”今回の曲はバラードを書きました”みたいな最低な使われ方をしているが,バラードの音楽といったらやはりショパンである.

その最高に素晴らしいショパンのバラードであるが,youtubeをうろうろしていたら,なんとHorowitzのカーネギーホールの映像が見つかった.ピアノを弾く・聴く人なら当たり前の事だが,同じ楽譜であってもピアニストによって全く違う.私がバラード1番において最も素晴らしいと思っている演奏は,このブログでも過去に扱っている(Horowitz “The Legendary 1968 TV Concert”)の演奏だと思っている.今回見つけた映像は,その3年前,1965年5月9日にN.Y.カーネギーホールで行った伝説の復活コンサートのバラード1番である.この演奏も大変素晴らしい!このコンサートはHorowitz好きの中ではかなり有名で私もHMVのCD(ホロヴィッツ・ライヴ&未編集!(2CD+特典DVD) 受注393セット )を持っており演奏は聴いたことがあったが映像は今回始めてである.世界中のピアニスト・ピアノ好きを魅了してやまないショパンのバラード1番を,貴重なHorowitzの映像で是非聴いて欲しい.

↓クリックすると再生(from youtube)

HOROWITZ plays Chopin Ballade Nr.1 Op.23 @ Carnegie Hall, 9th May, 1965.

URL : http://www.youtube.com/watch?v=XhnRIuGZ_dc

スクリャービン ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20

ラフマニノフと並ぶロシア・ロマンの作曲家にアレクサンドル・スクリャービン[スクリアビン](Alexander Scriabin, Александр Скрябин)がいる.スクリャービンの生い立ち,作品などは,wikipedia (アレクサンドル・スクリャービン – Wikipedia)に詳しい.ピアノ,クラシック音楽を聞く機会が多い人には,スクリャービンは一般的でファンも多いと思われるが,実際にはその名を聞いたことがない人も多いのではないだろうか?スクリャービンの曲の美しさをご存じない方のために,今回スクリャービンの素敵な曲を紹介したい.本音を言えば,今日BGMでずっと流した曲の紹介である.

スクリャービン ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 op.20
Scriabin Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20
* wikipediaにこの曲の記事を見つけた:(ピアノ協奏曲(スクリャービン) – Wikipedia)

ピアノ協奏曲は,ショパン,ベートーヴェン,グリーグ,シューマン,ブラームス,ラフマニノフなど有名な作曲家がそれはもう美しい曲を多く残している.こういった大作曲家の名を連ねて書いてみるだけでも,各曲の背筋がぞっとするほど美しい旋律が脳裏に浮かぶ.ラフマニノフの3番など,音楽評論家の黒田恭一氏曰く,”この曲を弾きたくてピアニストになった人が多い”というほど,ピアニストを含めた多くの人を魅了し続けている.いずれそれぞれのピアノ協奏曲を紹介したいが,ここは敢えて(若干)マイナーなスクリャービンのピアノ協奏曲を紹介したい.

スクリアビンのピアノ協奏曲は,BGMとして相当使えない曲である.この日記を書いている時もこの曲を如何にして伝えようと聴きているのだが,美しくて,もどかしくて(手が動かないことが・・),切なくて,キーボードが進まない.そうバック・グラウンド音楽にはならないのだ.分かりやすい表現でいえば,この曲にロマンチックが止まらない(CCB)感じになり居てもたっても居られなくなる.第3楽章の最終部(コーダ)に向けて,どんどん気持ちが引っ張られて,その美しさにいらいら感が湧き出て手作業が止まる.もう下手な日本語で伝えようとするのも馬鹿馬鹿しい.有無を言わず,この曲を聴いてくれ.

今回,どの盤を紹介しようか迷った.というのは,スクリアビンのピアノ協奏曲は若干マイナーなため,録音数が極めて少ない.ブーニンの父親であるネイガウス盤を推そうかと思ったが,このサイトで紹介するCDは音質が悪いモノばかりなので,比較的新しい盤を紹介したいと思う.

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Alexander Scriabin (1872 – 1915)
法悦の詩,Op.54 (交響曲第4番)
プロメテウス,Op.60(交響曲第5番)
ピアノ協奏曲,嬰ヘ短調,Op.20
• 演奏者 : Ashkenazy (アシュケナージ)
• 指揮者 : Maazel, Lorin (ロリン・マゼール)
• 楽団 : Cleveland Orchestra

ラフマニノフ 作品37 Vespers (徹夜禱, 晩禱)

本日のBGMは,大好きなロシア・ロマン派の作曲家ラフマニノフの歌曲”Vespers” 作品37である.

セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff, Сергей Рахманинов)は,クラシックを聴き始めた誰もがその美しさに必ず一度はハマる作曲家である.ラフマニノフの詳しい解説は,wikipedia (セルゲイ・ラフマニノフ – Wikipedia)に譲るが,映画”シャイン”(David Helfgott – Wikipedia)で,使用されたピアノ協奏曲第3番ニ短調(Op,30)や,荒川静香さんがトリノオリンピックのExhibitionで使用したパガニーニの主題による狂詩曲 (op,43) など,いろいろなメディアで取りだたされ,ご存じの方も多いのではないだろうか.私はこのラフマニノフが大好きで遺作,作品番号未詳のものまで含め,手に入れられるものは全て手に入れ聴き込んだ.その中で最も愛している曲を紹介したい.

セルゲイ・ラフマニノフ 歌曲 作品37 “徹夜禱” or 晩禱 or 徹夜祷 or 晩祷
Sergei Rachmaninoff Opus.37 “Vespers”

*日本語題がいくつもあるのは,”祈る”意味の漢字が”禱”と”祷”が両方あるのと,”Vespers”の日本語解釈に問題があるからである.

私が最も愛しているラフマニノフの曲は,ピアノ曲でも交響曲でもなく歌曲である.Vespersは,ラフマニノフが信仰していたロシア正教会の典礼音楽である.Vespersは,ロシア正教会において,夕方(晩)に行う晩禱ではなく,夜通し行う”徹夜禱”と訳すべきらしく,その点で日本語名に多くの解釈がある.私はロシア正教徒ではないので,このような解釈問題や,歌われている歌詞の意味などは全く分からないが,音楽として歌曲として表現できないほど美しい.宗教歌は美しいものが多い,しかしVespersは,私が聴いた宗教歌では最も美しく,恥ずかしい話聴いていて身が浄化される気がしてしまう.それほど美しい.この評価は私の戯言に聞こえるが,実はラフマニノフ自身もVespersを彼の葬儀に用いるように指示しているほど,お気に入りの曲だったようだ(暗い話だが・・・・・)

私はこの第2番「わが霊(たましい)や主を讃め(ほめ)あげよ」(Bless The Lord, O My Soul)が特に好きで,iTunes(iPod)の再生回数をみてもこの曲だけ300回の再生を越えている・・.

宗教・信仰とは関係なく,教会で流れているような音楽が好きな方,ラフマニノフのピアノは大好きだけど,歌曲などは聴いたことが無い方など是非このVespersを聴いて頂きたい.ラフマニノフ(と私が・・)が愛した素晴らしく美しい音楽に出会えるはずである.また,Wikipediaにはこの曲のページがあった.その内容のマニア度と熱意に脱帽である.世の中マニアは多い.

参考:晩祷 – Wikipedia
参考:ロシア聖歌とラフマニノフの二大宗教曲

おすすめのCD

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作曲: Sergey Rachmaninov
指揮: Robert Shaw
アンサンブル: Robert Shaw Festival Singers
Telarc – #80172 / 1990/03/15
ASIN: B000003CV0