iPhone4を搭載した人工衛星は実現できるのか?人工衛星設計・開発フローの雑な紹介。

2010.06.24に、Appleは最新のiPhone4を発売開始します。A4と呼ばれるCPU(MPU)、2つのカメラ、ジャイロ、磁気コンパス、加速度センサなど、人工衛星に必要な機能の多くを有しています。このエントリーでは、iPhone4を搭載コンピューターとした人工衛星が実現するか(むしろ、実現するための)設計フローを紹介します。大変長文のエントリーとなりますが、この仮想iPhone衛星を通して、人工衛星設計・開発がどんな感じでできあがっていくのか、その片鱗を伝えられれば幸いです。専門用語は極力解説しながら使いますので、根気よくお読み頂ければ、文系の方でも問題なく理解できると思われます。

◆iPhone搭載人工衛星: iSat4 ”超雑な”概念設計◆

その0) 衛星のミッションをまず考える。

まず、”iPhone4を搭載した衛星”というのは、あまり良くありません。人工衛星は宇宙で(軌道上で)行うべきミッションがまずあり、そのミッションを実現する人工衛星を作らなければなりません。その為、iPhone4を搭載するというのは衛星を作る手段であり、目的とは言えません。宇宙開発は長い間国家(税金)下にあったため、この一番重要な”ミッション決め”のフェーズが極めて弱く、曖昧です。まず、ミッションを考えてみましょう。この部分は、エンジニアリングというよりは、ビジネスの話であり、マーケティング・コンサルファームなどの分野に居る人は特に力を発揮できる部分です。今後増えていきますので、その方面の方、準備をしておいてください(笑)
国の衛星はとりあえずおいといて、民間での宇宙開発では、儲からないミッションは成立しません。衛星を使って誰がうれしいのか?誰が金を出すのか?衛星開発費は?打ち上げ費は?打ち上げ失敗のリスクは?衛星ビジネスにはスリリングな要素が一杯です。

さて、今回のiSat4のミッションを、以下の仮ミッションとして掲げてみましょう。

ミッション例: 毎年起こる米国西海岸の山火事(被害額=10億ドル越え)を、衛星写真を使って常に監視し、火種の段階で早期発見し被害の軽減を目指す
誰が金を出すのか?: いつも山火事が近くで起こってビクビクしているハリウッドセレブ達、カリフォルニア州より集める。山火事になり数十億ドルの損害を事前に最小限に抑えられる旨をプレゼンする。
ミッション持続性:定期的に山火事が自然発生するなら、その発生頻度を考慮の上、持続可能。一方ですべて放火である場合は持続できない可能性がある。
ミッションの実現性の検討事項
・衛星から山火事の火種が識別できるか?その波長帯は?可視域なのか赤外線なのか?また雲の影響なども考慮する。
・そもそも衛星を数億円で開発、運用費を考えたときに、ヘリコプターを定期的に飛ばすのとどちらが経済的か?また、UAVなどの無人飛行機はどうか?
・常に西海岸を観測するためには、GPS衛星のような複数衛星を配置しなければならない。衛星複数機になる場合の開発費、また打ち上げ費はどうなるか?
など。

ざっと、ミッションについて書きましたが、日本の宇宙開発において、”代々極めて弱かった”衛星のミッション検討は、本当に時間をかけてやる必要があります。私が今ベンチャーで開発しているのは、民間の会社だけでやっているので、そもそもこの部分がペイできなければGOが出ていません。国の宇宙開発は税金であるため、つい、”あまり役に立たないミッション”でもGOしてしまい、打ち上げてから利用方法を公募するなど残念な事が多いです。衛星開発の非常に重要な観点ですので、ここは敢えて書いておきます。

今回は、このミッションに技術的な課題がクリアでき、それにより出資者もあつまり、運用後十分にペイできると仮定して話を進めます。火種の検出に関しては、(都合良く)可視波長で、地上分解能150mで監視すれば良いと仮定します(まったく根拠はなく、後半の検討を扱いやすくするために150mと設定)。また、今回の記事のテーマになっているiPhone4で実現することも目標とします(実際には、お客さんがついたら失敗が許されないので、iPhone4の搭載は見送ることになるとは思います。リスクが大きいので)

◆以下、衛星の各要素(系=サブシステム)毎に分けて検討を進めていきます◆

その1) ミッション系を検討する。

今回、山火事の火種が可視域(=簡単にいうと人間が目で見える波長帯)で150mの分解能で監視すれば見つけられることになっているので、iPhone4の背面カメラ(画角約45度くらい?画素数500万画素:画素配置も2200×2200ピクセルと正方形と仮定する)で撮影することにします。その場合、軌道高度(地上からの衛星の軌道高度)に対する、”理想的な”地上分解能(m)(1ピクセルあたり地上で何mくらい映っているの概算)は、下の表の様になります。iPhone4の画角がわからないので、仮に45度とした場合、軌道高度は、約400km以下に打ち上げないといけないようです。画角と画素が決まっているわけですから、地上から近い方が解像度が高いのは直感的にわかりますね。国際宇宙ステーションが350~400kmを飛んでいますので、実際問題としてこの高度に入れるのは、(ぶつかることは極めて希ですが)結構毛嫌いされます。なので、300km位に上げれば良いのですが、逆に300kmは低すぎてなかなかその位の軌道に投入してくれるロケットも現状少ないです。ベンチャーのロケット会社など(国内でも始まってきていますが)は、今軌道高度を上げるのに努力されているでしょうから、逆に良いかもしれませんね。

ちなみに軌道が低い(300km程度)のメリット・デメリットは、
・メリット:地上分解能があがる。(後述する)宇宙放射線が少ない。
・デメリット:衛星可視時間(地上のある1地点から見た衛星の見えている=上空を飛んでいる時間=通信ができる時間)が短くなる。

以上により、300kmの軌道高度で、iPhone4のカメラを使えば、可視波長で107mの地上分解のですから、山火事の火種を1ピクセル単位で観測できそうです。と書きましたが、本当はこのあたりはとても大変です。上記表の地上分解能は理想的な数値であり、実際にはiPhone4のカメラについているレンズの収差・イメージセンサのS/N比、量子効率など多くの面で表のような分解能はでません。言ってしまえばもっとぼけてはっきりしない映像となるはずです。近年、デジカメの性能指標に画素数がありますが、携帯の1000万画素と、大型デジタル一眼レフの1000万画素では全く画質が違いますよね。それはレンズ・イメージャーの性能が違うからです。上記表はiPhone4のそれが、理想的に高性能だと仮定した場合の結果ですから、実際には厳しいと思われます。

とはいえ、とりあえず、iPhone4の外側カメラで軌道高度300kmに打ち上げれば、山火事の火種を画像で確認できることとします。

その2) 姿勢決定・制御系を検討する。

さあ、iPhone4で”カリフォルニアの森”の写真を撮ればミッション成功という目処が立ったわけですから衛星の実現は簡単と思われますが、これからが大変です。
上の”カリフォルニアの森の”というのが難しいのです。地球のまわりをぐるぐる回っている人工衛星が自律的に、”カリフォルニアの森”の写真を撮るには、
2-A)自分がどの方向を向いているかを知る必要がある: 姿勢決定系
2-B)カメラのレンズをカリフォルニアの森に向ける必要がある: 姿勢制御系

人工衛星の設計・開発の中でこの姿勢決定・制御系というのは大変難しく、物理的な物の開発と共に、その計算アルゴリズムなどとても大変です。いわゆる宇宙工学の醍醐味とも言えるところで、多くのノウハウがあります。つまり、自分が宇宙空間(軌道上)でどっちに向いているかわからなければ、カリフォルニアの森がどっちか分からないし、また自由にカメラの方向を変えられるようにしておかなければ、カリフォルニアの森は撮影できないってことです。カメラだけ積んでいても衛星としてはミッションができないってことですね。

2-A)姿勢決定系:

iSat4に搭載できるかは抜きにして、一般的な衛星に搭載している姿勢決定センサは、
●スタートラッカ-:星(恒星)の写真を撮って、衛星の姿勢決定する:昔の大航海時代に星を見て大海原を航海していたのと同じ原理ですね。星は地上と同じように軌道上でも見えますので、その撮影した星画像を画像処理することで極めて精度の高い姿勢決定が可能です。
●太陽センサ-:太陽光の入射方向を検出して、衛星の姿勢を決定する:言ってみれば、地上で太陽が一番高い位置に上がったのが南の方向みたいな感じで、太陽方向から自分の姿勢を検出する方法です。スタートラッカーよりも決定精度は落ちます。
●磁気センサ-:地球の磁気(地磁気)を計測して、衛星の姿勢を決定する:言ってみれば、方位磁針ですね。赤い針が指した方向が北みたいな感じで、自分の姿勢を決定する方法です。スタートラッカーよりも決定精度は落ちます。
●地球センサー:地球の縁?枠?を検出し、衛星の姿勢を決定する:これは最近あまり使わないかもしれません。地球の”ヘリ”をとって姿勢を決定するのですが、精度が悪いのと、完全に姿勢が決まらないなどいろいろ問題があります。
●ジャイロセンサー:いろいろな方式がありますが、衛星の姿勢角速度(どのくらいの速度で回っているか)を検出するセンサです。PS3のコントローラ、Wiiリモコンなどで既におなじみですね。衛星にも必ず搭載しています。上記4つのセンサと違うことは、”相対角”センサということです。上記4つは、宇宙空間で絶対的に自分の姿勢が(ある程度)決定できるのに対して、ジャイロは、どのくらいで回っているという情報しか分からないので、上記4つのセンサでまず絶対角を決定してから、細かい差分の動きをジャイロで補完するような使い方をします。iPhone4には搭載済みなので使えそうですね。
●加速度センサ:iPhone4に搭載されているので敢えて書いていますが、衛星には加速度センサはあまり使いません。衛星がモーレツに回転した場合、衛星に加速度が掛かるのでそれを検出するには使えますが、その用途ですとジャイロの方がよっぽど精度が良いので、一般的には使いません。とはいえ、地上ではかならず地球の重力1Gが掛かっているのが、宇宙では0G付近になりますので、”ああ、宇宙に行ったのね”を確認するには良いかもしれません。
他にもいろいろありますが、このあたりが一般的です。スタートラッカーは私の衛星ベンチャーでも開発しており、かなり開発が難しいです。今回のiSat4では、そこまで姿勢を正確に決定する必要がないのと、電力などの関係で採用を見送ります。

以上を踏まえ、iSat4では、太陽センサと、iPhone4搭載の磁気センサー(いわゆるデジタルコンパス)を使って絶対姿勢決定をし、iPhone4搭載のジャイロでより細かい姿勢運動を導き、iPhone4搭載の加速度センサで宇宙に行ったかを確認します。はっきりいって、デジタルコンパス、ジャイロ、加速度センサがどこまで使えるかわかりませんが、ゴニョゴニョやって、なんとか姿勢決定できると仮定します。搭載する各センサ情報から衛星がどの方向を向いているか計算する姿勢決定アルゴリズムは、カルマンフィルタなどを使ったシミュレーションを重ね、iPhone4アプリとして実装します。かなり重い計算ですが、iPhone4搭載のA4ならがんばってくれるでしょう(と仮定)。iSat4は常に各センサから情報を取り出し、姿勢決定アルゴリズムアプリを計算し続け、衛星がどの方向を向いているか計算します。

2-B)姿勢制御系:

さて、何とか姿勢決定ができたところで、今度は、カリフォルニア上空を通過時に、カリフォルニアの森の方向へカメラのレンズを向けなければなりません。

一般的な衛星に搭載されている姿勢制御アクチュエータは、
●姿勢制御スラスタ:これは質量物質を宇宙空間に放出することで、反作用を受け姿勢を制御(変える)というものです。口に水を含み、ブーと吹き出しているような感じですね。大型衛星などでは良く使いますが、タンクに燃料が必要であるのと、量も有限であることなどから、小型衛星ではほとんど使いません。
●CMG(コントロールモーメンタムジャイロ):これは回転している物体(コマみたいなもの)自体を傾けることによって衛星の姿勢を変えるものです。まさに地球コマを回した状態で手にもって手首を回すと変な力をコマから受けると思います。その力で衛星の姿勢を変える方法ですね。これはモーレツな力(トルク)を発生させるために、大型の衛星などで使われはじめています。国際宇宙ステーションも超でかいCMGを積んで、定期的に交換しています。
●リアクションホイール:CMGとはちがい、コマを回転したり、留めたりして、その軸周りに力を発生させる方法です。オフィスにあるような回転椅子に足を付けずに座って、体を思いっきりひねって姿勢を変えるようなイメージです(ちょっと違うけど・・・・あくまでイメージ)。リアクションホイールは姿勢制御の代名詞として良く使われます。先日、大往生したはやぶさも、某国製のリアクションホイールが片っ端から壊れ苦労しましたね。とはいえ、リアクションホイールを作るのはとっても難しいです。真空でメンテナンスフリーで何年も回り続けるモーターって相当作るのが大変です。リアクションホイールだけではなく、宇宙開発の難しいのは、修理ができない状況で年々も壊れないという物作りの難しさと言えます。車だって車検でおかしいところを修理できますよね。それが出来ずにノンストップで動作させる・・。これは結構難しいことなんですよ。
●磁気トルカ:これはとっても原理がわかりやすいです。いわゆるコイルなどを巻いた電磁石を衛星に積んでおいて、地球の磁場(地磁気)に対して、適切に電磁石で磁界を発生すれば、その電磁力で衛星の姿勢が変わるというものです。小型衛星でよく使います。

さて、ここでiSat4の簡易的な小型衛星では、電力などの面や、また姿勢制御にそれほど精度が要らないことから、磁気トルカを姿勢制御アクチュエータとして採用することにします。具体的には、電線をぐるぐる巻いたコイルを3方向(X,Y,Z)の3軸方向に配置して、どの方向にも磁界が発生できるようにします。地球の磁場は既知ですので、その磁場に上手く干渉するように発生することで、衛星の姿勢を変えられます。

さらに、衛星の自分の位置を知る機能が必要です。地上と同様にGPS受信機を載せれば良いのですが、宇宙で使えるGPS受信機は結構高価です。iPhone4にもGPS受信機は載っているのですが、おそらくそのままでは使えません。理由はわかりますでしょうか?iSat4は人工衛星ですので、自身が時速28000キロというスピードで地球を回ります。つまり、GPS衛星との相対速度が大きく、ドップラーシフトが起こり、GPS信号が周波数ずれで受信できないのです。救急車の音が近づいてくるのと遠くなっていくので違うのと同じ原理ですね。地上で使うGPSは、地上で基本止まっている(車の速度くらいは誤差なので無視できる)のを基本に設計していますが、時速28000キロで飛んでいる衛星では、GPS受信機側でかなり周波数を調整してあげないと信号を受けられないわけですね。iPhone4のGPS受信機をハッキングするのはおそらく難しいので、今回は違う方法を採用します。地上で、衛星の飛んでいる軌道情報というのが米国空軍(NORAD)から得られるので、その情報をiSat4に定期的に教えてあげて、iSat4のアプリで衛星位置を自分で計算することにします。iPhone4搭載のA4プロセッサなら、軌道計算くらい簡単に回ってしまうのではないかと思います(昔はこの計算をする計算機が建物1つくらいあったんですけどね)。というわけで、衛星の絶対位置は、やや誤差は生まれますが、地上からの定期的な軌道情報と内部アプリ軌道計算で決定できるものとします。

まとめると、衛星の絶対位置が計算できるので、カリフォルニア上空というのがわかります。姿勢決定制御系で、自分がどっちの方向を向いているか分かります(同時にカリフォルニアの森がどちらにあるかも分かります)。姿勢制御系(磁気トルカ)で、上手く磁界を発生させて、衛星の方向を変えて、カメラをカリフォルニアの森に向けます。そこでシャッターを切れば、山火事の火種を監視できます。イメージ沸いてきたでしょうか?

その3) 電源系を検討する。

iPhone4の地上での利用では、電池が切れたらUSB経由で充電すれば良いですが、宇宙(軌道上)では、電力を得るのが大変です。ご存じの通り太陽電池セルを衛星表面に貼り付けて、そこから充電することになります。つまり電源系とは、
●太陽電池セル
●二次電池(充電出来る電池):リチウムイオン二次電池
●太陽電池セル制御回路
●二次電池充電制御回路
などから構成されます。この内、リチウムイオン二次電池と充電制御回路はiPhone搭載のものを使うものとします(一方で、USB充電ですので、5V供給ですよね・・。おそらく本当にiPhone4を使うのであれば、充電制御回路は使えないかもしれません。太陽電池セルとの関係で、少し無駄が出てしまう可能性があるからです。まぁ、ここは使えることにしてしまいます)。太陽電池セルとセル制御回路は新たに作らなければなりません。この辺は私も得意な場所なのですが、衛星作りの面白い所です(笑)

軌道300kmの衛星ですと、約100分程度で地球を1周しますので、1日に約15回地球を回ることになります。地球を回る際に、太陽光が当たる日照状態(daylight)と、地球の陰になって太陽光が届かない食状態(eclipse)を繰り返します。日照時に電池を充電して、食時は、その充電した分のバッテリー電力だけで動作しなければなりません。軌道には様々な種類があるのですが、今回はカリフォルニアを通るということで、比較的高緯度を通るということで、一般的な太陽同期軌道を選択します。この辺はやや難しいので説明は割愛します。とりあえず、軌道1周(地球1周)100分の内、65分は日照、35分は食と仮定します。

さて、iSat4の消費電力を見積もらなければなりません。衛星は、搭載コンポーネントの消費電力を全て算出し、その電力をまかなえるように太陽電池セルの面積(衛星サイズ)を決定します。

まず、iPhone4の消費電力見積もりです。事前情報でiPhone4のバッテリは5000mAh(ミリアンペア・アワー)であるようです。単位の通り、5000mA = 5Aを流し続けると1時間でバッテリーが終わってしまうという意味の容量となります。今回、iPhone4は、3G網、およびWi-Fi網は使いません(送信電力が小さく、地上に届かないため=圏外です)。一方で、衛星が様々な計算をするため、内部のCPU (A4になりますね)は結構常に動いていることになります。iPhone4の仕様ページから消費電力の見積もりをします。通話時間、インターネット利用は上記理由で関係ありません(3G, WiFiは使わない)、連続待ち受け時間も、ほとんどCPUが動かず寝ている状態ですので、これよりはiPhoneに軌道上で計算してもらう必要があります。ビデオ再生で10時間、オーディオ再生で40時間で、このあたりがキーですね。iPhone4の液晶はかなり消費電力を使うはずですが、軌道上で液晶は必要ありません。そうなるとビデオ再生よりは、電力が少ないはずです。一方でオーディオ再生よりはやや重い処理をするという仮定で、約20時間動作すると仮定します。バッテリーは5000mAhですので、これより、250mAで一定消費電流時に20時間駆動すると仮定できます。リチウムイオン二次電池を1セル(3.6 – 4.2V電圧)だと思われるため、3.8V平均とすると、3.8V x 0.25A = 0.95Wとなります。ここは概算でiPhoneは平均1Wの消費電力があると仮定します。

他に搭載物として、その2)で検討した、太陽センサと磁気トルカです。これは完全に大雑把に0.5W程度としてしまいます。また、地上からの制御指令(コマンド)を電波で受けるための受信機もいれなくてはいけません。これは0.3W位かな。

以上により、iSat4は常時平均1.8W程度の電力消費が必要な衛星であると見積もられます。このほかに”常時ではない”消費電力搭載物として、地上への”送信機”があります。カリフォルニアの森の写真をとって、その画像を内部のメモリに蓄えますが、その映像を地上に送らなければなりません。その為には送信機が必要です。iPhone4の地上利用では、撮った写真は、メールに添付なんてことができますが、宇宙では、3G網もWi-Fi網も使えないので、専用の送信機を搭載する必要があります。しかも地上300kmを飛ばさないといけないので、イメージとして東京から新潟の距離は最低飛ぶ送信パワーで送信しなければなりません。よって、送信機は常時ではないにしろ、10W位は最低必要です。人工衛星からデータを受信するアンテナが仮に日本にあるとした場合、iSat4が日本上空を通過する約10分間、送信機をONにしてメモリに蓄えた画像をダウンリンクします。今、Wi-Fiや3Gなどは数Mbpsというモーレツな回線スピードがでていますが、宇宙から10W程度の消費電力で送信する時は、せいぜい100kbpsです。とても遅いので、昔のダイアルアップモデム的なイメージで少しずつ画像が降りてくるイメージですね。

送信機は”常時”使わないので、まず常時使う1.8Wという見積もりから太陽電池セルの大きさを算出します。太陽定数という素敵な定数がありまして、地球近傍では、1366W/m2という値になっています。つまり地球近くの宇宙空間で、1平方メートルの板を太陽に向けたとき、その板全体で1366Wの太陽のエネルギーを受けられるというものです。この光エネルギーを電気エネルギーに変換するのが太陽電池セルなのですが、この変換効率がとても重要です。地上の屋根に載っているような太陽電池セルは、一般的なシリコンセルと呼ばれるもので、変換効率10%程度だと思います。つまり1平方メートルあたり1366W x 10% = 136Wということになります。人工衛星では最先端の太陽電池セルを用いることが一般的です(出来るだけ小さい面積で大きな電力を得るため)。シリコンではなく、トリプルジャンクションセルと呼ばれるガリウムやヒ素などを3重構造で重ねたようなセルを使うことで、30%を超えるセルを使うことが多くなってきました。iSat4でも衛星のサイズは小さくしたいので、トリジャン(こんな略語はない)を使うことにします。

軌道の日照・食の時間比とiSat4の消費電力からiSatが軌道で”生存できる”必要な電力が算出できます。考え方として、食の時は電力を発生できないので、食の間に使う消費電力分も日照時に発電してしまおうという考え方です。電池充電放電効率というのは、例えばバッテリに100W充電して100W取り出すことは不可能で、だいたい80%位の効率で、充放電できると見積もっています。また各所に電圧変換(レギュレート回路)がありますのでそこでもややロスして90%の変換効率と仮定しますと、iSat4の場合、日照時3.85W (黄色い帯の所)だけ電力が必要です。トリジャンの30%と太陽定数から、必要なセルの面積は、93.85cm2(平方センチ)(ピンクの帯)だと算出できます。そのセル面積が正方形とした場合、9.7cm (青帯)と算出できます。つまり約10cm平方の太陽電池セル(パドル・アレイ)があれば、iSat4は電力がまかなえる(電力収支が軌道1周で取れると表現します)ことがわかります。つまり10cmの立方体(キューブ型)の6面全面にセルを貼って、中にiPhone4が入っているような構造ですね。まさに私が学生時代に作ったCubeSat規格(10cm立方の衛星)のサイズになります。

ここで私が開発した学生時代の衛星の宣伝。CUTE-Iは、2003年6月30日に世界初学生完全手作り衛星です。7年近く経ってもまだ動いていて、後輩達により運用が続けられています。
1)CUTE-I :運用中
2)Cute-1.7 + APD (1号機):運用終了

その4) C&DH系を検討する。

C&DH系というのは、Command and Data Handling系といいまして、いわゆる衛星の頭脳(計算機)を司る系です。地上から送られてくるコマンドを解釈したり、先ほどの姿勢・決定制御系のアルゴリズムを計算し、カリフォルニア上空で森を目がけてシャッターを切り、その画像データを地上に送信するなど、全権を制御する系です。主にiPhone4内部で動くアプリで実現されます。iPhone4アプリは、iPhone SDKを用いてObjective C/C++ベースの言語で書くことになりそうですね。基本C言語なので開発はしやすいです。一方で、iPhone4を衛星のC&DH系として使う難しいところは、アプリをスリープを掛けずに常時動かし続けられるか?ということです。また後述するように宇宙では宇宙放射線の影響により、定期的にiPhoneがハングアップするので、ハングアップしたときに自己修復・リセットを掛けて再起動を掛け、再度制御アプリを起動しなければなりません。その辺りがちゃんと作り込めるかに掛かっています。
上記で紹介したCute-1.7 + APDという衛星は、内部にPDA(Windows CE搭載)を搭載しC&DHとして利用しました。おそらくWindowsCEを宇宙で動かしたのは世界初だと思います(笑)。マイクロソフトに最初に打ち上げるから支援してくれとメールしましたがフルシカトをされました。さて、WindowsCEでC&DHを作り上げるのも相当大変でした。やはりスリープが勝手に掛かったり、Windowsの勝手に動く常駐アプリなどで、衛星制御に重要なプロセスがブロックされたりと、四苦八苦しました。また、各センサとの接続はUSBを使っていたのですが、これも相当大変でした。地上のPCでマウスがおかしくなったらUSBを抜き指しすればいいですよね?衛星では打ち上げたら触れないのでそれができません。そこで、電気的なスイッチをUSBハブ回路に付けて、WindowsCEがハングアップしてUSBセンサへのアクセスがフリーズしたときはUSBハブのスイッチを切って、数秒後に入れるという、いわゆるマウスのUSBを抜き指しするような動作を、衛星内で自律的に行うような機能を実装しました。たとえば、そんな感じでiOS4 on iPhone4も高機能ですが宇宙で、ノンストップで動かし、更に宇宙放射線によって不定期にハングアップする環境でC&DHアプリを組み上げるのは相当に大変です。まぁ、その辺が面白いんですけどね。学生衛星やiSat4の様にiPhone4を載せてみるみたいなお馬鹿プロジェクトじゃない限り、こんなにOSもブラックボックス化されたデバイスはまず衛星では使いません。実際の衛星では、自分でCPUまわりの回路を設計し全てコードも書いて、宇宙放射線の耐故障性を確保するなど、もっと堅固なシステムになります。iPhone4をそのまま載せても、実運用面では大変だというイメージが伝われば幸いです。

その5) 通信系を検討する。

先に紹介してしまいましたが、カリフォルニアの森の写真を撮ってもその画像を地上にダウンリンクしないといけません。または衛星内に画像処理して火種を検出し、山火事だと判断し、その山火事だ~という情報だけダウンリンクするハイインテリジェンスな衛星でも良いかもしれません。とにかく宇宙で得た情報を地上と交信するために、衛星には送信機・受信機とアンテナが必要です。iPhone搭載の3G/WiFiは先述の通り送信電力が小さすぎて(逆に小さいので我々は無線の免許をとることなく使える)、軌道上から地上へ届きません。つまり、iPhone4と衛星内に搭載されている送信機・受信機とは何らかの方法で接続し、データを受け渡ししなければなりません。iPhone4のドックコネクタ経由で接続しても良いのですが、iPhoneSDKにドックコネクタ内のシリアル通信のプロトコルが公開されていない気がします(たぶん)。されていれば、またはAppleに頼み込んで公開してもらえれば、ドックコネクタ経由で送信機・受信機でデータのやりとりをすれば良いと思います。それがNGの場合は、Bluetoothです(笑)。10cm立方の小さい衛星内で内部機器同士がBluetoothでアクセスするのは技術的に可能です。Bluetooth経由ならAPIが公開されていると思うので(?)実現できると思います。一方で、Bluetoothも無線なのでここに無駄な電力が必要なのと、送信機・受信機側にiPhoneとアクセスするためだけのBluetoothモジュールを付けないといけないので、ドックコネクタ経由で有線で接続できるならそれに超したことはありません。

また通信系としては、無線機の他にアンテナもありますね。アンテナ設計が悪いとどんなに一生懸命電波を出していても地上に届きません。

その6) 構造系・熱制御系を検討する。(+環境試験)

この構造系・熱制御系を説明する前に、環境試験に関して紹介しなければなりません。iPhone4は世界中の”地上”で使われますから、きっと皆さんが満足してちゃんと動いてくれると思います。一方でこれを宇宙で使うにはいろいろな宇宙の環境に耐えられるか試験しなければなりません。iPhone4に限らず衛星に必要な環境試験を下に列挙してみます。

●振動試験・衝撃試験:ロケット打ち上げ時に掛かる振動・衝撃に衛星が壊れないか試験する。
●真空試験:ご存じの通り、宇宙(軌道上)は空気がありませんので、中に空気が入っているような部品が宇宙に行くと破裂してしまいます。真空でも壊れないか試験します。
●熱真空試験:宇宙の温度は3K(ケルビン)と言われます。つまり、-270度位です。とっても寒いです。とはいえ、地球近傍は太陽が上記の太陽定数のパワーだけ熱を加えてくれるので3Kほど過酷ではありません。地球のまわりを回る衛星は、日照時に+80度、食(地球の陰で太陽があたらない)時に-40度くらいになります。これを100分間間隔で繰り返します。暑くなって・寒くなって。この温度サイクルで衛星が壊れないか試験します。
●放射線試験:地球の周りを回る人工衛星には、宇宙放射線という極めてやっかいなものを浴びることになります。地上は大気がありますので、その影響は”ほとんど”ないのですが、衛星達は常に莫大な放射線を浴びています。最も支配的なのは、極域(北極・南極)上空で浴びる高いエネルギーを持ったプロトン(陽子)と、SAA (South Atlantic Anomaly)と呼ばれるブラジル付近上空での重イオンによるものです。こいつらが不定期に飛んできて衛星の電子回路にあたると様々な誤動作を起こします。
よく起こるものとしてSEE(Single Event Effect)と呼ばれる現象です。SEEには、主にSELとSEUなどが存在します。SEL(Single Event Latchup) 半導体内の寄生サイリスタとよばれる部分に荷電粒子が入り回路がショート(短絡)する現象。もう一つはSEU(Single Event Upset)と呼ばれ、メモリのビットが反転してしまうもの。0(ゼロ)と書き込まれていたメモリが反転して1になってしまいデータが変わったり、回路が誤動作するなど。宇宙放射線は太陽活動に依存して不定期に発生するので、いつ起こるかわかりません。衛星開発としては、実際に宇宙放射線を地上の施設で回路に当てて、放射線耐性を調べたり、仮に誤動作してもリセットを掛けて直るのか?、0と1が反転してもエラーチェックによってビット修正かけたりといろいろな対策をとります。
●アンテナ試験・通信試験:設計したアンテナ・通信機がちゃんと動作して数百~数千kmという距離をちゃんと通信できるかの試験です。この試験を行わないと衛星が打ち上がった後、生きているか死んでいるかもわかりません。
●長期運用試験:地上で衛星の軌道を模擬して、超時間動作させて衛星の動作に不具合がないかなどを確認する試験

以上の様な試験を重ねて衛星として完成度を高めいざ宇宙に打ち上がっていきます

構造系は、振動試験・衝撃試験に関わるもので、iPhone4をしっかりと動かないように固定する構造設計、太陽電池セル(大変弱いもの)が振動で割れない設計などを行います。実際に、ロケットと同じ振動・衝撃を与える振動試験機というものを使って、物が壊れないか確認します。まぁ、iPhone4は、世界中のユーザーが不意に落っことして使い続けるので、衝撃試験はやる必要がありませんね。

熱制御系は、熱真空試験に関係します。iPhone4の動作保証温度は、0度~35度という温度範囲的に狭いものです。軌道上では、-40~+80度まで推移します。まず、冷蔵庫みたいな装置にいれて、iPhone4が実際には何度まで動くか確認します。動作保証範囲というのは少し狭めに公開していると思うので、iPhone4も-10~50度くらいは動くのではと思います。あとは-40~+80度までの範囲でも動く様に、もしかしたらiPhone4の周りに電熱線ヒーターを巻き付けて、寒くなったらヒーターを付ける(これはまた電力消費が大きいです)、暑くなったらヒートシンクやヒートパイプで熱を他に逃がすなど、衛星の全搭載物が軌道上の変化する温度下で壊れないかを設計するのが熱制御系です。

あと宇宙放射線に関してですが、iPhone4をそのまま宇宙に持っていったらおそらく1日数回はハングアップすると思います。上述のSEEは、荷電粒子が打ち込まれたときに誤動作を起こします。つまり最新のどんどん微細化している半導体プロセスほど宇宙放射線には弱いです。iPhone4の多大な機能をA4チップは全部まかなっているため、相当微細なプロセスになっているはずなのでモーレツに宇宙放射線で弱いと思われます。おそらく数時間で1回ハングアップするでしょう。ハングアップしたら、自分でリセットして回復する機能を付けなければなりません。その辺は詳しく書きませんが、宇宙放射線対策はいろいろノウハウがありまして、私の会社などはJAXAなどとは違うアプローチでいろいろ面白い対策をしています。宇宙放射線でモーレツに高いエネルギーを持ったものは、どんなに耐性が強い半導体でも少なからず誤動作・ハングアップします。問題はその際に自己修復してリセットをかけてまた動作を開始できるかに掛かっています。何度も言いますが衛星は打ち上げたら修理できません。自分で判断し、ハングアップしたら処理・頭脳が止まっているにも関わらず自分で何とか復活しなければならないのです。この辺が衛星開発の大変なところで、面白いところでもあり、ノウハウの固まりだったりします。また、先述しましたが、宇宙放射線は軌道高度が低いほど弱いため、iSat4の予定軌道300kmは、おそらく放射線耐性の弱いiPhone4には有利な軌道です。

その7)打ち上げ・運用

上記の様なプロセスで設計し、開発し、環境試験を重ねて衛星は出来て行きます。完成した衛星をロケットに搭載して、規定の軌道に打ち上げ切り離してもらいますその瞬間にiPhone4搭載iSat4は、人工衛星になります。ニュースでは打ち上げで話題になりますが、衛星は切り離された瞬間からが勝負です。iSat4は、山火事がいつ起こるかビクビクして生活しているハリウッドセレブの為に、常時カリフォルニアの森を撮影し、火種を監視し、山火事の早期発見をしなければなりません。イメージとしては、1日数回、カリフォルニア上空を通る度に森の写真をとり、画像解析し火種を見つけたら地上に連絡します(送信機を介して地上のアンテナへ)。地上では、衛星から届いた早期火事情報を、カリフォルニア消防団に連絡し、火種の内に消火活動をしてもらいます。これで山火事を防げたら、セレブ達が喜んでお金を払ってもらうわけですな。また、衛星1機だとカリフォルニア上空を通るのは数時間に1回です。ビクビクしているセレブたちが、”常に森を監視して!”なんて要求を言ってきたら、同じiSat4をたくさん打ち上げて、常にカリフォルニア上空を1台は飛んでいるような配置にして、より迅速な早期山火事警報衛星群システムができあがります。

◆まとめ◆

今回、ハリウッドセレブ向け、早期山火事警戒衛星として、iPhone4搭載の衛星を超超超超雑に設計しました。実際にはこの数倍の検討や開発を重ねなければ全くお話になりません。また、通勤途中の電車の中でこの記事を書いているので、計算ミスやら、誤字・脱字があるかもしれません。とはいえ、我々衛星開発エンジニアがどんな感じで衛星を設計しているか?の雰囲気が伝われば幸いです。また、機能がふんだんに搭載されているiPhone4は、いろいろ工夫すれば、衛星の内部計算機として、”使えるかもしれない”という点も紹介できたかと思います。カメラにジャイロコンパスにA4という高性能チップに、衛星のかなりの要素をiPhone4は搭載しています。宇宙放射線や過酷な温度環境などそのままではまず使えませんが、魅力的なデバイスだと思います。

新macminiをリビングPCとして使い、ベルリンフィルハーモニーを高音質で楽しむ。

iPhone4, iPadと調子の良いAppleですが、iPhone4発売前の熱気の裏で、しれっと新しいmacmini(MC270J/A)を発表しました。今回のエントリーでは、このmacminiを家庭用ハイヴィジョンTVに繋ぎリビングPCとして使い、高画質・高音質でとても素晴らしいオンラインのベルリンフィルハーモニーの演奏を楽しんでみようと思います。あと実際のmacminiの消費電力も測ってみようと思います。

まず、macminiが届きました。旧機種も使っていましたが、一段と薄くなり、煩わしかったACアダプターが内蔵されました。驚異的な薄さと小ささです。恐るべしapple・・・。

今回のmacminiは、机の上に液晶ディスプレイを置いて”パソコン”という使い方ではもはや面白くありません。HDMI出力が搭載されたため、むしろ家庭用のハイヴィジョンテレビに接続すべきパソコンです。いわゆるリビングPCというやつですね。早速HDMIで、Bravia (KDL-52W5)に接続して電源をONしたところ、全く問題なく1080p (FullHD)で映りました。Full HD (少し前の日本の表現でフルスペックハイヴィジョン)対応でHDMI端子を持つハイヴィジョンテレビをお持ちの方は問題なく認識すると思います。Dot by Dot表示で、若干細かい文字などは若干シャギーがありますが、少し離れれば全く問題ありません。ワイヤレスのキーボード・マウスがあれば、リビングで大型TVで見るまさにリビングPCとなります。画面も大きく大変おすすめです。

さて、私の目的は、大変すばらしいコンテンツである、ベルリンフィルハーミニーのオンライン配信サイト「Digital Concert Hall」を、このリビングPCで見ることです。大型TVで見ることで、(もちろん生演奏には勝てませんが)、臨場感も強く、素晴らしい演奏を楽しめるはずです。Digital Concert Hallに関しては私の過去のブログをご覧ください。

結論として、完璧でした。しっかりとベルリンフィルの演奏を楽しむことができています。実際には部屋のライトを消して楽しんでいますが、臨場感もあり良い感じです。

システムを少し解説します。

コンテンツ: ベルリンフィルハーモニー -> インターネットネット(オンライン:有料) -> macminiからアクセス
映像: macmini -> HDMIケーブル -> Sony Bravia KDL-52W5 (1080p)
音声: macmini -> S/PDIF -> Denon DCD-1650SE (DACとして利用) -> Denon PMA-2000AE (プリメインアンプ) -> B&W N805 (スピーカー) or 自作スピーカー
音量遠隔制御: iPad (オリジナルアプリ) -> Wi-Fi -> Arduino + Ethernet Shield -> ダーリントンシンクドライブ回路 -> ステッピングモータ -> ボリューム回転
(音量遠隔制御に関しては、このブログの過去の記事:iPadでプリメインアンプの音量を遠隔制御するシステムを作ってみた。をご覧ください。

音声は、macminiからS/PDIFで光デジタルで取り出し、高音質でとてもお気に入りのDCD-1650SEをDACとして使い、プリメインアンプに投げています。HDMI経由でAVアンプでも音はでますが、私の持っているAVアンプでは、残念極まり無い音質で却下です(AVアンプはそもそも使っていない)。HDMIは私は映像にしか使っていません。音声は、とにかくDAC + プリメインアンプじゃないと納得していません。

もちろん、macminiでなくとも、同じシステムは構築できますが、今回のmacminiは消費電力が少ないため、本体からのファン音などはほとんど聞こえません。PCの動作音がうるさければオケには向かないので、そういう意味でもmacminiをリビングPCで使う、更にベルリンフィルを楽しむのはお勧めです。

さて、ベルリンフィルを試聴中のmacminiの消費電力を実測してみました。


ベルリンフィルハーモニーを試聴中の消費電力:26W

macminiの消費電力は試聴中は26Wで、何もしていないときのアイドル時は、8~10W程度という大変小さいものでした。
先日紹介した、Core i3-530ベースのWHSサーバーがHDD x4本とはいえ、約50Wですから、macminiは相当小さい電力で動いています。

2010/06/22 : 追記:
BRAVIAで上下左右の縁がちゃんと表示されるかコメントがありましたので、写真をアップします。
結論からして、全く問題なく表示されていると思います(実際には縁が表示されない現象がどんなものがわかりません。dot by dotでちゃんと表示されています)
https://www.spacewalker.jp/wp-content/uploads/2010/06/20100622_macmini_bravia.jpg
https://www.spacewalker.jp/wp-content/uploads/2010/06/20100622_macmini_bravia2.jpg

iPadを3週間使ってみた感想。(はやるのか?買いなのか?)

2010/05/10追記:一番下に購入先情報を追記。
2010/05/14追記:”一瞬起動”に関して追記。こんな強力なメリットを書き忘れていました。
2010/05/14追記:”iPadの改善点”について追記

******** 本文は以下より ****************

iPodを開発用に購入してから3週間が経ちました。このエントリーでは、その個人的な雑感を述べたいと思います。日本でも今月末(5/28)の発売を控え、5/10から予約が開始されます。その前に何かの参考になれば幸いです。
(* 私は米国に行った際に開発用に購入して来ました。日本では技適がまだ取れていませんので、日本国内で原口大臣と同様に違法に使用することはありません)

非常に長くなってしまったので、赤字の部分だけ斜め読み頂くだけでも、iPadの雰囲気が伝わるように工夫しました。

iPodの細かいスペックは言わずもがなですが、iPadの公式サイトをご覧ください。私の感想は、iPodの何となく見えてきた魅力は、ウェブのスペック(仕様)からだけでは見えてこない、つまり、”iPhone, iTouchの画面がでかいデバイスではない”という印象です。このブログでは、いろいろな場面で使った感想・感じ・雰囲気を箇条書きで、雑に述べていきますので、何かその内の1つでもピンと来たら、ご予約の検討にされてみてはと思います。

1)画面の大きさは想像以上に魅力的。
iPhone / iTouchに比べて、物理的にも解像度的にもiPadは4倍の画面面積があります。(iPad = 1024×768 @ 9.7インチ | iPhone = 480×320 @ 3.5インチ)
iPadを使ってみると、この画面の大きさは単純にiPhoneより大きいという予想できる恩恵以上の、かなり大きな力・アドヴァンテージがあることが体感できます。

PCでウェブを見る精神状態でPC用ウェブページを見られる。つまり、フルブラウザの搭載が当たり前になった今の携帯電話で、大きなPCのウェブページを、スクロールを多用させ、とりあえず見られるという状態ではありません。当たり前の事を言っていますが、ウェブを普通に見るという精神状態が、iPhoneが大きくなっただけでしょとは違う感覚がiPadにはあるということです。これが、iPhoneと同様に”瞬時”に起動して、しかもベッドに入っても、ソファに寝っ転がってもできるという感覚を想像してください。

◆付属のカレンダーアプリ(google カレンダー、Exchangeサーバーなどと連動可能)は、大画面の恩恵で大変見易くなりました。横置きにして、1ヶ月間表示にしたときが感動で、まさに机の上に置く紙の卓上カレンダーと同じものです。これもiPhoneでスケジュールが”見ることができた”、から紙媒体のカレンダーを置き換えうるものであり、更にネット経由で各カレンダーと同期しますから、卓上カレンダーだけでなく、手帳をも置き換えられる可能性があります。

◆マルチアカウント対応の付属のメーラも横置きで見たときが秀一で、私の様に数個のメールアカウントを切り替えているユーザーは、左にアカウント+フォルダ構成(受信トレイ・振り分けフォルダ)、右にメール本文が表示できるので、可視性も良く使いやすいです。Word, Excel, PDF, JPEGなどの添付ファイルは当たり前ですが表示できますので、メールチェックという機能としては完璧です。ちなみに、日本のiPhoneは、softbankが、専用のメアド(@i.softbank.jp)を提供しています。それは、IMAPでアクセスするメールアカウントなのですが、iPadでそのアカウントにアクセスしても、絵文字が表示されません。iPhoneにはsoftbankの何らかの実装が入っているのかもしれませんね。

◆ブラウザ・メーラーなどで多用するキータッチ式のキーボードですが、横置きにすれば、1つ1つのボタンがかなり大きいので、それなりに使いやすくなりました。物理キーボードの約30%(慣れれば50%位も?)のスピードで入力ができるのではないでしょうか。とはいえ、やはり物理キーボードには(今のところ)敵いません。物理キーボードだと、指が落ちた瞬間に、キーの位置を触覚で微妙に調整を行っていますよね。iPadではそれがないので、ミスタッチが多いです。ただ、これがキー溝が無いことの問題かはまだわかりません。FとJのホームポジションに常に正確に戻っていられれば、ミスタッチも減るのかもしれません。FとJの位置のボッチ(でっぱりマーク)が物理キーボードでは役に立っているかもしれません。これは、慣れと、インプットメソッド(+サジェスト)での文字補完機能などで、精度は上げられそうな気がします。Googleなどでは、検索窓の入力中でどんどんサジェストが入りますし、タイプミスも”もしかして”で保管されますから、こういうバックの技術も合間って、iPadのキーボードはかなりの高速タイピングが期待できます。実際には、全指を使って打つことはまだ難しく、左右の人差し指と中指を、北斗百裂拳のように打っていることが多く、素人ブライドタッチみたいな状態です。

◆ここまで書いていて思うことは、横置きで使っていることが多い様です。ウェブもメールもカレンダーもキーボードも、Youtube, ビデオも含め基本横置きで使うことが多いです。パソコンのディスプレイも640×480のVGA時代から始まり、1024×768、1600×1200, 1920×1200などのように発達してきていますが、考えてみればみんな横長のアスペクト比ですよね(人間の眼が横に配置されていますし)。携帯、iPhoneなどが縦使いが多く、iPadで横置きが多いというところからも、iPadは携帯の延長ではなく一つ上のレイヤーのデバイスなのかなと思っています。

◆電子書籍リーダーとして
この部分はiPadの発展に大きく影響していると思うので、後で1つのテーマとして扱います。結果を述べると、電子書籍リーダーとしては最高に使えます

◆動画、Youtubeは解像度と画面が大きいですから当たり前ですが良い感じです。iPadの解像度が、DVDの解像度(720×480でしたっけ?)よりも解像度があるんですよね。なのでDVDの程度の動画はもちろん、Youtube HD動画などは大変美しく見られます。私は、谷将貴ツアープロコーチの動画をiPadに入れてありますが、とても良い感じです。ゴルフ練習場で活躍中です。

◆マップアプリは、カーナビとして使える可能性がある。(ただし3Gモデル)
画面が大きいので、マップは大変見やすいです。”経路”機能を使えば簡易カーナビとして使えるかもしれません。一方で、GPS機能は、3Gモデルしかついていませんので、Wi-Fiモデルだけですと少し厳しいかもしれません。Wi-Fiの位置情報サービスで数10m程度は決まる様ですが・・。

フォトフレームとしては完璧です。近年フォトフレームが流行りで、結構売れている様ですね。ただ写真を表示するだけの普通のフォトフレームは、iPadが来てしまうと存在価値はありません。低価格くらいしか魅力がありません。Sonyは高級路線で2万を超えているフォトフレームが出ていますが、iPadが4万中盤(?)から発売されることを考えると、すぐにでも発売を引っ込めた方が良さそうです(もちろんSonyの上位機種はHDMI出力などがあるわけですが、iPadの外部画面出力なりネットワーク出力なりで、いずれ(次機種?)解決されるでしょう)

◆(ニッチな使い方ですが)オーディオ出力ソース+ジャケット表示デバイスとしての素敵かもしれません。
LPレコードはもちろん、CDすら売れないこの時代、音楽はネットダウンロードが主流になっています。一方で私も含めピュアオーディオと呼ばれる狂信的な音楽”聞き”(機器)好きの連中は、CDやLPのジャケットの綺麗さも一つの楽しみだったりします。ジャズなどのLP判のジャケットデザインは秀逸でとてもかっこいいのが多いです。彼らは何百万円も掛けている家のオーディオで、LPまたはCDなどを聞く際に、いちいちそのジャケットを斜め45度の台において、このジャケットの曲を掛けているんだぞ的な誇示をするわけです。ジャケットも含めての音楽アルバムなんだと。iPadはiPod機能(=音楽再生機能)は言わずもがな搭載されている訳ですが、音楽再生中にジャケットのアルバムアートワークが画面一杯に拡大されて表示されます。この”大きさが”私からすれば”おお”っと思う訳で、iPadを同じように45度に傾けてオーディオの前に置いておけば、ジャケット披露には使えるなという印象を持ちました。
ここには(簡単に解決できる)課題がいろいろあります。まず、iTunesの各オーディオファイルに埋め込めるアルバムアートワークを解像度の高い綺麗なものを用意しなければなりません。今までのアートワークは低解像度の物が多く、iPadで拡大されるとシャギーやJPEGのブロックノイズが目立って全く美しくないです。私は自分でジャケットの写真で撮って取り込んでいましたが、iPadまでの解像度を考えず小さめに取り込んでいるものが多かったです。今までのアルバムを全部高解像度で撮り直すはだいぶ萎えますが、上記の為にはがんばらないといけません。
また、高音質で再生するためには、iPadから後段のDACにデジタルデータ”で”渡さなければいけませんが、ここにもいろいろ問題があります。私の環境では、DENONのDCD-1650SEというCDプレーヤーをDAC代わりに使っています。CDプレーヤーなのですが、外部からSPDI/Fの光デジタル入力と、USB経由でのデジタルデータ取得ができる機種であるため、外部ソースのデジタルデータを内蔵のDACを通して、プリアンプ・パワーアンプに渡しています。過去にも述べていますが(avexの”microSD”による楽曲販売について、ナウイのか考える。)、CDはさすがに時代遅れでして、これだけフラッシュメモリが安くなった時代に敢えてモーター+レーザーでの非接触呼び出しをする必要はありません。私もこのCDプレーヤーはSACDを希に聞く以外は、iTouchに入っているデジタルデータを入力してDACとして使っています。同じ様にiPadも接続してみましたが、現時点では再生できません。iPadのドックコネクタは、カメラが付いたりUSB、カードリーダーが付いたりといろいろ機能が拡張されているようなので、少しプロトコルが変わっているのかもしれません。DCD-1650SEをはじめ、デジタルで音声を引っ張れるOnkyoのND-S1など機種は動作確認が必要です。この問題は、ファームウェアのアップで対応してもらえるのか少々心配です。iPadでジャケットを大きく表示し、デジタルデータのままDACに渡し、プリメインアンプに渡すというのがオーディオヲタク達には喜ばれると思うのですが・・・。
また、ヘッドフォンで聞く限り、iPhone/iTouchに比べて、iPadは明らかに音質が良くなりました。iPad内蔵のDACが良いのか、筐体が大きいためグランドが広くとれているからか?わかりませんが、音質は向上しています。

SSH / Telnet端末としては、”本格的には”使えない印象。サーバー・デーモンの管理程度なら問題なし
これもややニッチな使い方かもしれませんが、iPad対応アプリiSSH – SSH / VNC Consoleを使って、私の管理しているLinuxサーバーにリモートログインしてみたところ、画面が大きいためかなり良い感じに思えました。しかし、やはり1024×768とはいっても、その半分がキーボードで使われているので結構厳しいです。またキーボードが数字キーが無いのと、テンキー、矢印キー、頻繁に使うキー(コロン・セミコロン・|バー、括弧系文字)が、切り替えないと出せないため、かなり使いづらいです。これはキーボード問題を解決しないと、本格的には使えない印象です。実際にviを使って、C++言語でhelloworldを書いてコンパイルしてみましたが、超時間がかかりました。おそらく、デーモンの起動・再起動など管理程度なら問題ないので、そういう使い方をするのでしょうね。VPNクライアント(L2TP, PPTP, IPSec)を付属しているので、サーバーの管理などは非常に便利かと思います。また、キーボード問題も外部物理キーボードをbluetooth経由で接続できるので、解決してしまうんですよね。

◆リモートデスクトップクライアント端末としては、少しは使えるかも。
これもややニッチな使い方かと思いますが、iPad対応のアプリRDP(from MochaSoft)を使って、遠隔地のWindowsPCにリモートログインしてみました。iPad付属のVPNクライアント(PPTP)経由で遠隔地のLANに接続し、VPN経由で、Windowsにリモートログインしたところ、全く問題なく自分のPCにログインすることができました。複雑な作業は面倒ですが、少し自分のPCに保存されているwordファイルを開いて見るとか、そんな使い方なら全く問題なく使えます。上記のSSHとも含め、このあたりはiPhone / iTouchでもできましたが、やはり画面が大きいので、少し”使う気”になれるかなという印象です。

そんなこんなで、いろいろな場面でiPadを使ってみると、画面の大きさはやはり魅力でして、iPhoneで何とかやっていたというものを、本格的に使ってやろうという場面が多々多かった気がします。細かいことを書きましたが、やはり、ウェブ、メール、スケジューラ、電子書籍、これに関しては最高だと思いました。

2)電子書籍について
電子書籍の発展が、iPadが成功するかを左右するみたいな情報が多く飛び交っているのではないかと予想されます。私も同様の意見です。遅ればせながら、最近村上春樹さんの1Q84を読み始めたのですが、なにせハードカバーで本が大きい!。出勤用のバッグには、NotePC + 財布などに1Q84が入るともうパンパンで、ジッパーを閉めるのがきつい状態でした(バッグが小さいからなんだけど)。そこで、iPad + PDFリーダーのアプリ(CloudReaders = 無料:良いソフトです)で試しに本を読んでみることにしました。1冊100円で自分の書籍を裁断しPDF化してくれる会社”BOOKSCAN“にお願いして、1Q84と実家にあった北斗の拳(漫画)をPDF化してもらいました。実際に読んでみた感想は、全くもって書籍と同じ、全く問題なしです。紙を実際にめくる感覚など・・・なんていうアナクロな考えは遠に消え去り、普通に読めます。活字の1Q84はもちろん、コマをおいかける漫画も全く問題なく読めます(しかも早く)。それ以降、出勤バッグには、NotePCとiPadになったので、パンパン状態は解消されました。NotePCを持っているならPDFリーダーを立ち上げて見れば事は足りるのですが、電車に乗ってNotePCを使うのは(私はしますが)一般の人はしないと思うので、やはり良いデバイスだと思います。しかし、立ち乗車でiPadによる読書は少し厳しいかもしれません。日本の混雑した車内で、iPadを片手に本を読むにはすこし重すぎるかもしれません。iPadの重さに関しては、後述します。
さて、私はBOOKSCANでPDF化してもらいましたが、これは全くエコではありません。紙に出力して、また電子データに戻しているわけですから。やはり出版物を直接電子データで購入できる仕組み必要です。ここは明言を避けますが、日本の出版業界の既得権益と、Apple, Amazonなどの新参者との権力争いですね。出版業界は、利益激減を裏腹に、電子データだとコピーが出回るとかいってしばらく阻止してくるかもしれませんね。おそらく、Apple, Amazonなどの電子書籍出版側は、著者に対して、紙媒体の出版業界よりも大幅に高い印税で釣ってくると思いますので、この両者がどのように折り合いをつけていくか楽しみです。いずれは、電子書籍化になるわけですから、出版業界はへんなブロックを掛けて崩壊するよりは、日経新聞の様にどんどん前向きに出て行った方が良いと思います。とはいえ、実際には、私のスキャンしてもらった1Q84のPDFも、コピーが出回れば1800円の値段を払わなくて済むわけで、コピー問題は真剣に取り扱う必要がありますね。アメリカはAmazon Kindleが売れているらしいので、日本では、iPadをきっかけになかなか進まなかった電子書籍化インフラが整備されるのか楽しみなところです。
日本では、村上春樹さんくらいの大物文壇が、今後電子書籍しか記事を書きませんくらい言わないと変わらないかもしれませんね。私としては、iPadを使っての読書が相当に快適だったので、どんどん進んで欲しいと願っています。

3)Wi-Fiモデルか3Gモデルか?
日本では、3Gモデルに対して、NTT DocomoがMicroSIMをサービス提供することが発表されました(その後、3Gはsoftbankだけになりました。Docomoの戯言でした)。iPadは、いろいろ使ってみてやはりネットに繋がっていないとおもしろくないです。ネットに繋がっていないと電子書籍くらいしかやることがありません。よって、E-mobileのPocket Wi-Fi + iPad Wi-Fiモデルか、iPad 3Gモデルのいずれかで常にネット環境は確保しなければならないと思います。私は、Wi-Fiモデルを購入しましたので、Pocket Wi-Fiとの連携でネット環境を確保する予定しています。また、DocomoのM-Zone(Mopera U)に契約しているので、東京の地下鉄、スタバ、マックなどでは、Wi-Fiが確保できています。(M-Zoneはお勧めです。M-Zoneはほとんどの駅で飛んでいるので、駅に到着している1~2分の間でメールチェックはできますし、打ち合わせの際にスタバ・マックなどを選べ ば、多くの場面で確保できます。現Docomoユーザーは、数百円で使えます)。一方で、Pocket Wi-Fiのバッテリーの持ち時間、小さいとはいえ持ち歩く必要がある点、接続したりすることの煩わしさを考えると、やはり3Gモデル+ M-Zoneが最強かなと思います。カーナビとして使う場合は3Gモデルが必須ですね。
Docomoの価格体系も発表されていないし、3Gモデルの値段は10万近くになりそうな様相ですが、可能であれば3Gを買っておけばより楽しめるのではないかと思います。

4)ストレージ容量は必要か?
16GB, 32GB, 64GBと発売されるわけですが、私はWi-Fi で16GBと一番弱気な機種を買いました。これは使い方次第かと思いますが、電子書籍のデータが結構大きいのと、画面が大きいので写真・動画を載せる可能性が高く、大きいに超したことは無い印象です。ちなみに北斗の拳のPDFが1冊約70MB程度(200ページ)で結構使います。こち亀全169巻ですと12Gになるので、16Gモデルですとこち亀だけで終わってしまいます(笑)。参考になれば。

5) 雑感・いろいろと思った事。
レストランなどで、さっと出せる
先日、知人のフランス人と、割と良い感じのフレンチレストランに行ったのですが、そこでiPadを割と自然に使えました(もちろん本来はよろしくないのかもしれませんが)。いわゆる良い感じのレストランで、NotePCを取り出して、トップカバーを開いてとなると、高さ方向があるため、目立ちますし、きれいなテーブルの上では広げられません。それを平置きできるiPadは、まぁまぁ出しやすいかなと思いました。平置きなので、一緒に居た全員が、のぞき込むことができます。NotePCだと画面が立つので、見る人の方向に向けなければならないですよね。それとみんなが指を伸ばしてページをめくるなど、結構いろいろな使い方ができました。このレストランの場面で、みんなでのぞき込んでいる場面が、iPadっておもしろいなと思いました。iPadは加速度センサが付いているのでどの方向に向けてもコンテンツが回転されて表示されるわけですが、人間は結構逆転していも文字や写真は理解できるもので、平置きのiPadのコンテンツを4方向からみても、問題はなく、結構会話は弾むものです。 ネットにつないでウェブなどを見れば、会話の中で出てきた内容にささっと検索することもできますし、良いデバイスだなぁと思われます。
上記で、さんざん”NotePC”的に使えると機能重視の解説をしてきましたが、そのNotePC級の機能を、こういった環境でささっと出せることに、このiPadのおもしろさがあるのではと思っています。NotePCだと仰々しい、携帯だとこぢんまり、そこを埋めるものだと思います。

◆(ぶっちゃけ:汚い話)トイレにも持って行かれる
汚い話ですが、敢えて書いておきますと、Wi-Fiがどの家庭にも飛びつつある今、トイレ内にも飛んでいるわけです。そうなると、iPadはトイレに持って行かれるんですよね。トイレで本を読む人がいるのですから、電子書籍という側面では、不思議ではありません。一方で、上のレストランの話の裏腹で、トイレにNotePCだと仰々しいですが、iPadならさっと持って入れる。この感覚は携帯をトイレに流しちゃう人が多いことを考えると携帯は持ち込んでいるですよね。書籍の側面、携帯の側面でiPadは全世界のトイレにどんどん進出するかと思われます。この話を書いておくと宮下のiPadは毛嫌いされそうなので、ちゃんと消毒します。

◆会社のミーティングをiPadを持って参加してみた
会社の定例ミーティングには、NotePCをもって参加していましたが、最近はiPadで参加しています。進捗報告と今週の予定は、カレンダー機能を使えば話せます。メールベースの内容はメーラーで確認できるということで、NotePCが無くともスマートに会議には参加できそうな様相です。しかし、議事録当番の時はNGでした。ミスタッチの多い現段階では、議事録メモは間に合いませんでした。iPad + キーボードを持っていくなら、NotePCでいいじゃんってことなので、このあたりのビジネスユースは、どうiPadが入り込んでいくか楽しみなところです。

電車の中で取り出すと、内容は隠せない
混雑した電車の中では、自分のメールは後ろの人に読まれている可能性があります。女性の多くは見えづらいシートを貼っている様ですが、液晶メーカーからすれば多くの方向から見えるように視野角を広げる努力をしているわけで皮肉な状態です。iPadに関してもそのようなシートは発売されるのかもしれませんが、それはあまりに面積が広いので防ぐのは不可能だと思います。実際に電車の中でiPadを取り出して、北斗の拳を読むわけですが(笑)、どう考えても隣の人は一緒に読むことができます。iPadを使って、読む物はホクケンかよと思われているかもしれません。というわけで、ウェブ、メール、電子書籍としてはかなり使えますが、電車の中ではコンテンツはオープンなので、卑猥な小説を読む方には向かないかもしれません。スポーツ新聞のエロコーナーを思いっきり見ているおじさまもたまに見かけますので気にしないのかもしれませんが。

意外と重たくて手首が疲れる
これは結構重要な問題です。スタバで1~2時間だらだらiPadを使ってみたところ、画面が結構反射するので、机に平置きだとやや見難い感じです。そこで、自分に正対させるように手首を使って45度傾けて支えるわけです。両手なら気にならないのですが、片手はコーヒーも飲みたいわけですし、ずっと両手で支えるのは体制が変です。そこで片手で45度を支えるのですが、これが結構重たくて疲れます。折りたためる45度の置き台みたいなものは売れるかもしれませんね。この重さは、電車で立っているときに片手で支えるのも同様に厳しいかと思います。次世代では軽くなるのでしょうか?画面の大きさは魅力ですが、逆に重さは少しネックかもしれません。もちろん膝の上に置く、机の上に置く環境では問題ありません。

◆教育目的ツールとして、
長くなるのであまり触れませんが、アプリ次第、制度次第でとても有用、魅力でしょうね。Crayon PhysicsのiPad対応版がでたら買ってみたいと思います。

◆いろいろな操作端末として、
wifi + 3GでIP接続ができるわけですから、いろいろな物の遠隔操作デバイスとしては使えますね。

クックパッドなど、”手が汚れた環境で使える”
日本でトップ級にアクセス数があるクックパッドですが、まさにiPadでクックパッドを表示して、キッチンに持ち込むという使い方は良いかもしれません。物理キーボードではないのでタイピングが遅いと書きましたが、逆に物理キーボードじゃないメリットとして、キーボードの間に料理中の手で付いた小麦粉が落ちることがないわけです。これはむしろメリットです。料理を作りながら、食材で汚れた手でもiPadは使えますし、その後表面を掃除すれば良いので、むしろこういった場面はiPadの独壇場かもしれません(とはいえ、ホームスイッチ、イヤフォン穴などは防塵・防滴ではないのと思うので注意が必要です)

◆iPad的ウェブサイトが出てくるかも?
上記のクックパッドは、基本的にはレシピを参照するだけですので、iPadなどではとっても快適に見られるサイトです、逆に”2ちゃんねる”の閲覧は最悪です。まず、現iPad搭載のSafari(ウェブブラウザ)はウェブページの内容の検索ができないので、2チャンネルの昔のサイトデザインは全く向いていません。スレッド名が多量に並んだ分岐ページでは、iPadはとても大変です。Googleで検索して2ちゃんねるのページが引っかかって、そこに飛んでもキーワード検索ができないのでたどり着けません。そう考えると、2ちゃんねる的なサイトは、iPadには向いておらず、”ページをスクロールして、押していくだけ”のサイトが向いていると言えます。これはどんどん人間が退化している気もするのですが、そういう誘導系のサイトデザインが好まれるかもしれませんね。逆に2ちゃんみたいなサイトは、ビューワーみたいなアプリで対応していくのかなと思います。クックパッドは偶然かもしれませんが、iPadとの親和性が高く、参考サイトになると思います。

◆(2010/05/14追記)一瞬起動のメリット
そういえば書き忘れていましたが、iPhone OSですので、iPadはスリープ状態から、瞬時に起動できます。こんなメリットを書き忘れていました。上記で紹介した、”PCサイトをストレスなく見られる”という行為が、さらに瞬時に始められるというメリットは強大です。さっと起動、さっと検索、さっとスリープ。現状、Win7ですと、スリープにしておけば瞬時起動は可能ですが、電気代を考えると電源オフ or 休止状態に入らざるを得ません。そうなると起動にSSDを使っても1分はかかるので、勝負になりません。一瞬起動のメリット。これはiPhone / 携帯では当たり前ですが、大変なメリットです。

6)誰が買うのか?
◆私の様な新し物好きの馬鹿野郎はまず飛びついて良いでしょう。おもしろいです。+3G契約か、PocketWiFi + M-Zone(Mopera)公衆無線LANの準備はお忘れ無く。
◆モバイル系(軽量)NotePC+常時ネット環境を持っている人は?
私の状態でもありますが、基本的に機能面だけ見れば、その状態は超えませんので必要がないかと思います。一方で上で書いた、NotePCでは仰々しくて出せない環境でささっと使える感覚は、少し新しいものでここに面白さが発見できそうなら買ってみても良いかもしれません。私もいろいろ考えたのですが、家・職場には超強力なデスクトップPCがあり、専門のCAD, 開発ソフトなどを多用しています。そういう場所ではそれを使えば良い。一方で出勤中、外出先まで、完璧のPC環境が必要か?というとそうではないかもしれません。そうなると、意外と持ち歩きはiPadだけで事足りる場面もあるかもしれませんよ。と書いておいて、私は、NotePCとiPadを持ち歩いていますが、この体制がどうなるか今後楽しみです。
◆奥様達、女性の一人暮らし(OL,女子大生など)は?
女性達の生活は想像の域をでませんが、iPadでほとんど事足りてしまうのではないですか?ウェブ見て、Youtube見て、音楽聞いて、メール(は携帯か・・)。下手なネットブックにお金出すよりも、スマートで良いかもしれません。ちょっと大きいかもしれませんが、女性でも持ち運べるぎりぎりのサイズだと思います。

7)FLASH非搭載について思うこと。
私もiPhoneを長年使っていて、FLASHサイトが見られないのは大変不満でした。少なくなってきましたが、FLASH(swf)を1つだけページのど真ん中に張ってあるサイトが、iPhoneでは何ともならないわけです。町でレストランを探して、レストランのサイトに行くと、無駄に凝ったのかそういうサイトがあり電話番号すら調べられないケースが多々ありました。しかし、先日JobsがFLASH非搭載についてプレゼンしました(ジョブズCEOがiPhoneへのFlash非搭載について声明-AppleはWeb標準を重視。「Flashこそがクローズド」)。この演説でこの問題は終了したと思います。今後ウェブデザイナーはFLASHを1つだけ貼ったようなサイトは作らないでしょう。今のiPhoneの普及率と、このプレゼンでAppleは今後FLASHをサポートしないと表明したことで、サイトの発注者は、デザイナーに”iPhone/iPad”でも見られるようにしてねとなるかと思います。動的ウェブがJava AppletやDHTML(いわゆるjavascriptを使った動的サイト)としてはやりだした時に、FLASHはそのアニメーションとインタラクティブ性でシェアを勝ち取りました。今度は、iPhoneの端末のシェア数という力でまた変わっていくだけのことだと思います。私もテキストベースが好きなので、HTML5はとても期待しておりますので、良い流れだと思います。

8)まとめ
だらだら書きましたが、iPadは携帯とNotePCの間に1つのレイヤーを作ったデバイスなのかなと思います。むしろNotePCの大半の機能を搾取し、上に押しやって入り込んだようなイメージかもしれません。パソコンの機能(むしろ実用面)の8割位はiPadが、携帯性を備えた上で実現し、残り2割のビジネス的、テクニカル的な使い方はNotePC,デスクトップとして上に追い出された様な印象です。このエリアはPDAなりタブレットPCなり構想はたくさんありましたが、毎回失敗しました。今回、再三にわたる参戦ですが、iPhone/iPodでこれだけシェアを取ったアップルが、成功するか楽しみなところです。おそらく常時ネット接続が確保できる現代だと、過去のように失敗しないのでは?と思います。
1年後、iPad全然売れていないねぇとなっているのか、電車に乗れば、iPadでみんなが本を読んでいるのか、楽しみですね。
私のようなガジェット好きは、iPadはいろいろ楽しめると思いますよ。

9)追記
・2010/05/08 23PM追記:SoftbankがSIMロック状態でプランを発表しましたね。この時期にSIMロックかよとだいぶ残念ですね。私はSoftbankキャリアの弱さが嫌いなので、Softbankラインはなしかなと思います。Apple StoreでSIMロックフリーで購入し(本体を買い切り)、Docomoの方が良い気がします。とはいえDocomoがまだプランを発表していないので、調査は必要ですが・・・。なんかiPadは、分割で購入っていうイメージでもないんですよね。私も含めE-mobileなど別キャリアでのネット環境を持っている人は、このあたりのプランをどうするか悩ましいところですね・・・。E-Mobileをお持ちでないなら、AppleStoreで3Gモデル本体購入、Docomoで3G契約+MoperaU(M-Zone)契約が最強かと思います

・2010/05/10 5AM追記:Apple Store(ウェブ)でiPadの予約が始まりましたね。予定通り4万後半からです。またウェブショップでは、Wi-Fiモデルのみのようですね。Softbankキャリアで行く人は、Softbankショップでの予約が早く入手できるのかな?、Docomoで行く人は、Apple Store銀座などの直営店に足を運んで予約しなければようですが、かなり情報が錯綜しているようですねはっきりいってDocomoの動きが悪すぎて、やる気があるのかと思いますね。上にも書きましたが、Pocket WiFiなどを持っていない人は、3Gモデルに行くべきです。カーナビとして使う人はもちろん、ささっと出してすぐ使う感じを考えるとPocket Wifiよりも3Gの方が圧倒的に利便性は高いと思います。iPadを買う人は絶対に持ち出すような人たちだと思うので(笑)、是非3Gモデルを。

・2010/05/11 1AM 追記:なんとDocomoがiPadから撤退なのですね。完全にこの会社終わっていますな。何やっているんですかね。先日、iPadのmicroSIMに参入なんて社長が言っていましたが、現iPhoneのSB網、SIMロックまわりをその方が全く理解していない状態での戯言だったのですな。全くの論外でありますね。電電公社時代(親方日の丸時代)の電柱インフラは評価すべきですが、現代の状況を全く理解できていない会社の様ですね。iPadが成功するかわかりませんが、電子書籍のターニングポイントとも言える、この製品に(失敗・成功はおいておいて)こんな形で撤退という状況に、全くお話になりません。iPadに参入すると社長自ら言ったのですから、10日の時点で、撤退しますくらいのプレスリリースをすべきで、この辺りも全く論外の対応でした。

・2010/05/14 iPadの改善点について
会議に持ち込み、メモ用に利用した際に問題が起こった。会話中、指がiPadに触れていることがあります。iPadを落とさないようにiPadの縁を持っていることが多いのですが、その縁の近くにはBSキーがありまして、ふとしたときにそのキーを押しっぱなしにしていることが何度かありました。つまり会議のメモが相当消えてしまいました。undoがiPadには無いので、そのメモは失われました・・・。物理キーボードは触覚でわかりますが、押しっぱなし時には非判定する機能は必須だと思います。

何か質問があればコメント欄に。

iPadでプリメインアンプの音量を遠隔制御するシステムを作ってみた。

今回のエントリーは、iPadとArduinoを用いて、部屋のオーディオ用プリメインアンプ(Denon PMA-2000AE)のボリューム(音量)を遠隔で調整する雑システムの紹介です。

不満: 私の部屋のプリメインアンプは、リモコンが付いておらずベッドに寝っ転がって音量調整ができない!
目的: iPadなどの携帯端末を使って遠隔で音量(ボリューム)の調整をする。
方法: ネットワークベースの組み込みマイコンを使ってモータを制御し、直接ボリュームヘッドを回す。

百聞は一見にしかず。とりあえず、動画を撮りましたのでご覧ください。

https://www.spacewalker.jp/wp-content/uploads/2010/04/20100424_ipadcontrol021.jpg”>超雑に開発したiPadアプリ(iPhone SDK 3.2使用)。プリメインアンプのボリュームの部分を写真で撮って、アプリの壁紙に貼っているもの。
ボリュームの部分を指でクルクルして調整するようなiPadらしいコントロールはできない
あくまで、”+” , “-“のボタンを押してボリュームを調整するという手抜き簡易プログラム。

Arduino + Ethernet Shield。
上のブレッドボードには、4chのダーリントンシンクドライバ(TD62064APG 2個入りで200円@秋月)
ギア付きステッピングモータSPG20-310(4相ユニポーラ。980円@千石)

ソニエリのXPERIA X10 (Android)でNTT Docomoに戻れるか?

遂にソニーエリクソンから、GoogleのAndroid搭載のスマートフォン ”XPERIA X10″が公式に発表されました。

ソニー・エリクソン XPERIA X10 プロモ動画&公式画像

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ソニエリの公式動画(@youtube)が倒れるほどかっこいいです。

独自のUIであるRachaelがとてもかっこよく、Androidのベースにソニエリのデザインで大いに期待できそうです。
iPhone 3G”S”は大変すばらしく(旧3Gは遅くて話にならない)、大変満足しておりますが、softbankキャリアということで、その性能がかなり奪われています。
softbankは、ちょっとした店頭などに入るとすぐ圏外ですし、通話中の突然の切れなどは、全くうんこ底辺のキャリアと言えます。とにかく早くNTT Docomo網に戻りたいので、このXPERIA X10は大変期待しています。既にドコモからはAndroidが出ておりますが、店頭で使ってみて全然魅力を感じませんでした。

私のiPhone 3Gの使い方として、マルチアカウントメーラー(pop3, imap)および、(フル)ブラウザ、および動画・音楽再生を主に使っているのでiPhone / Appleにこだわりはありません。同じ機能が快適にできればandroidベースで全く問題ないので、それよりもドコモキャリア網に戻りたい気持ちで一杯です。今回のXPERIA X10でDocomoに戻れることを今から期待しています。

そういえば、dairaさんのブログで素敵な動画(youtube)が紹介されていましたので、私も紹介致します。誰もいない職場で爆笑してしまいました。

【空耳MAD】バーレーンの実況が日本語にしか聞こえない件 @ daira’s blog

ONKYOのiPod用デジタルトランスポート(ND-S1)が素敵→iPadはNG, iPhone4はOK

2010.06.29:追記 iPhone4は使えました

2010.06.04:追記 iPadにDockコネクタ延長ケーブルを介してND-S1と接続しました。やはり使えませんでした。

2010.06.02:追記 当然のことながらiPadははまらないので使えません。一方で、Denon DCD-1650SEのUSB接続では、iPadが使えなかったのでそもそもデジタル転送のプロトコルがiPadは変わっているのかもしれません。iPhone 3G, 3Gsに関しては、問題なく使えます。

2009.08.20: 追記 値段は15000円程度だと発表されましたね。sofmapなどで予約開始しています。

2009.08.10: 訂正(iPhoneでの動作が未だ公式サイトでも公表されていないので一部訂正しました。ONKYOに問い合わせたところ、iTouchはおそらく動作する、iPhoneに関してはおそらく大丈夫だろうけど、未だ検証中とのことです。ご購入前に対応機種を確認してください)

onkyoからとても素敵な製品が発表されました。

ONKYO デジタルトランスポート ND-S1(S) :プレスリリース(pdf)

ONKYOデジタルトランスポート ND-S1(S)新製品ニュース

要するにiPodからディジタルデータのまま、S/PDIFで出力できます。iPod,  iTouchなどはドック用に共通のインターフェイスを備えているわけですが、そのインターフェイスが意図的にもかなり微妙です(参考:YAMAHA Universal Doc YDS10.pdf from powerplant.co.uk)。参考のPDFの7ページでドックインターフェイスのピンアサインが記載されていますが、デジタルの音声ラインが取り出せません。USB経由やTX/RX(UARTかな?)などのシリアルラインでiPodの各種制御データの信号と供に音声データを吸い上げて、音声だけ切り出す処理がなかなか素人では(ライセンス問題も含め)できない仕組みです。今回のONKYOのND-S1は、まさにこの処理をやっていてUSBやTX/RXを使って音声データをデジタルで取りだして、使いやすいS/PDIFのインターフェイスに変換して出力しています。S/PDIFのクロックに関しては、こだわってジッタの少ない回路をがんばっているようで、なかなか期待ができそうな製品ですね。

要するに、iPodに”高音質”で記録された音楽データを、デジタルのまま取り出す(トランスポート)するだけの、マニア大受け、一般の人には全く必要のない製品と言えます(笑)。

このND-S1を使った家庭用(少しマニア向け)オーディオ環境を考えて見ます。ちなみに、ここでのマニアとは、PureAU (Pure Audio : ピュア・オーディオ)マニアと呼ばれる、とにかく高音質の音楽再生を目指すマニアで、CDを1000枚以上余裕で持っている人を指します。ちなみに、私もこのマニアに足の小指だけ踏み入れていると思っておりますが、何せ金がないのであまりPureAU機材に投資ができず、自作オーディオに向かった亜流派です。

まず、PureAUの世界は怪しい製品が大変多いです。ビックカメラなどで、隅っこに追いやられているPure AUコーナー(ピュアオーディオ、セパレートコンポ、ハイエンドステレオなどと書いてある)は、若者を見たことがほとんどありません。私(=もちろんおっさん)でもかなり若手の方で、40~50歳位のおっさんたちがスーツを着て(会社帰りに)立ち寄っているのをよくみかけます。最近、若者撃退に15kHz以上のモスキートノイズを用いている様ですが、あの現象でも分かるようにおっさん化が進めば進むほど聴力は衰えていきます。なのでおっさんの耳なんてもともと期待できないことをまず認識することがPureAUの世界には必要です(笑)。よくkakaku.comなどの口コミで、”私はこの世界に入って短いので耳が肥えていないのですが”みたいな書き込みを見つけますが、耳は衰える方向しか進まないので、全然臆することはありません。”耳は肥える”ではなく、”好きな音をする「スピーカー」”を見つけるのがPure AUの魅力だと私は思っています。後述しますが、そこそこ良いものを買えば、データソース、D/A変換、プリアンプ、メインアンプは、十分に高音質・高性能な物を購入できます。人間が”おっさんの衰えた耳では特に”聞き分けられない部分まで追求したものを買う必要はありません。とにかく、音は、スピーカーと部屋の形を考慮したセッティングで全然かわりますから、スピーカーより前段に金を掛けるよりは、自分が好きな音のスピーカーを見つけてそちらに投資すべきです。

さて、PureAUのマニアは、(私も含め)機材ばかりにこだわってほとんどCDなどの音源を持っていないという人が多数います。これは写真ではなくカメラ(機材)が好きというマニアに似ています。所詮趣味ですから写真を撮らなくても、CDを聞かなくても機材だけで満足できる変態も多いので、それはそれで良いかと思います。私もその傾向があるので気をつけなければなりません(苦笑)。とはいえ、普通のPureAUマニアは1000枚なり1万枚なりすばらしいCDなどの音源をお持ちです。1万枚というのはマニアではよく聞く話ですが、1枚60分とすると、24時間ぶっ続けで聞き続けて416.6日掛かるわけですから注意が必要です。そういう意味では100枚~1000枚くらいの人が本当に音楽好きな人なのかもしれません(独断と偏見です)。さて、その多数毎あるCDは、そろそろCDプレーヤーで聞く文化を減らしていく時代に突入しました。先のブログ(avexの”microSD”による楽曲販売について、ナウイのか考える。)でも述べましたが、音声データ(2ch音声データ)程度の容量を、12cm円盤でモーター回転+非接触で読み込むのは明らかに時代遅れで、面倒です。BD, DVDなどは容量の関係でまだまだ回転円盤は必要ですが、音声に関しては、やはり大容量ストレージで管理し、ディジタルストリームで適切に処理すべきだと思います。そういう意味で、今回のOnkyoのND-S1は一つノードとなる良い製品だと思います。

ここからND-S1を使ったシステム例を考えてみます。

1)データソース管理(音源ソース管理):RAIDを組んだ(故障を考慮した)大容量NASに高音質形式でCDからデータをインポート。宮下家は約600枚のCDを80% AAC 320kbps、10% Apple Lossless、残り10%はなぜかMP3で保持しており、合計で40Gbytes位です。CDからのインポート作業は時間が掛かるものですから人生に1回だけにしなくてはなりません(笑)。しかもHDDもNASも安いですから、AACなら256kbps以上、Apple Losslessなど高音質設定にしておきます。

2)データソースを、iPod Classicなり、iTouchなりに移動。iPod classicは120GbytesのHDDなので容量は大きいですが、HDDなのでデータが飛ぶ(消える)可能性があるので、そういう意味でも1)の大本はRAIDを組むなり、Blu-rayなりで確実に管理すべきです。人間の耳には関係ないですが、iPod ClassicはHDDのモーター回転でのノイズが乗るため、iTouchなどのフラッシュメモリータイプが良いかもしれません。ここまできたら病気です。

3)デジタルデータのトランスポート:ここでONKYOの新製品ND-S1が使えますね。iPodからS/PDIFで音質劣化なくディジタルデータでトランスポートできます。

4)D/Aコンバーター(DAC):ここはあんまりヘボいと、ちゃんと人間でも聞き分けられる程度にノイズとして検聴されるため、良い物を使うべきです。DACは、100万円を超えるものもありますが、私はそこまで必要はないと思います。CDを直接聞きたいことも多いでしょうから、CDプレーヤーでS/PDIFを外部入力できるものが適任かと思っています。そういう意味で、DENONの新製品である、DCD-1650SEは素敵な製品だと思います。CD/SACDは十分に再生できますし、S/PDIFの外部入力を持っています。更にiPodから直接読み込めるので、実はこのCDプレーヤーを買ってしまうとND-S1は要らなくなってしまいます(笑)。ただ、DCD-1650SEは、iPodから”デジタルデータ”で引っ張ってきているかウェブからは見えません。あり得ない話だとは思いますが、アナログで引っ張っていたらとても残念なのでこの辺は確認が必要です。少なくともND-S1はデジタルで取り出せますので、ND-S1 + DCD-1650SEの組み合わせなら劣化なくD/Aまで持って行けます。

5)プリメインアンプ:アンプは、1万円の物から、数百万するアンプまで非常にたくさんあります。私は、オーディオの科学さんと全く同意見で、10万円程度の最新のプリメインアンプを買っておけば、人間の検知できるレンジでは十分に高性能なアンプだと思います。20Hz~20kHzの可聴域を人間の検知以下のレベルのひずみでフラットに増幅するなんぞ、高周波でこれだけ携帯なり通信なりやっている時代にとっては余裕な事だと思います。そういう意味で、たとえば、DenonのPMA-2000SEあたりのアンプで、必要十分だと思います。PureAUのマニアからすれば突っ込みどころ満載かと思いますが、少なくとも私はこのレベルの製品とそれ以上の製品をブラインドテストで聞き分けられる自信はありません。

6)スピーカー:このブログはOnkyoのND-S1が素敵という解説のブログですが、実は個人的にとても気に入っている(気になっている)スピーカーがありまして、それを紹介したかったので、こんなシステム例まで紹介しています。

英国 Monitor Audio PL-100 Platinum

このスピーカーは本当に素晴らしいです。ペアで55万くらいするのでとても購入できませんが、いつか欲しいなぁと思っているスピーカーです。お金に余力のある方で、よく分からんがいい音の出るスピーカーが欲しいってことなら、PL-100はとてもオススメです。とはいえ先述の通りPureAUは自分に好みのスピーカーを見つけることが目的ですから、是非店頭で聞いて頂きたいです。本当にハイスピードスピーカーで解像度が高く気持ちの良いスピーカーです。私の好みでトールボーイスピーカーはあまり好みではなく、音がすっと軽く・早くでるブックシェルフのスピーカーが好みです。私も好んで使っているB&W 805もブックシェルフで、スピード感のある良いスピーカーですが、PL-100は全く違うアプローチで、もっと高速な気持ちよいスピーカーです。PL-100は自作では迫れないなぁって思ったスピーカーの一つです(いつか挑戦するかもしれませんが、PL-100についているトゥイーターが絶対に入手できない)。ちなみに昨年作った30周年記念スピーカーも音の傾向が違いすぎて比較にはなりません(圧倒的にPL100が上です(笑))。実はある方からオススメのオーディオシステムを紹介してくれといわれまして、ここで紹介したシステムを紹介しました。個人的な好みを押しつけてはと思いましたが、とても気に入って頂いたようです。

さて、話もずれ、個人的な好みも含めた極めて雑談ブログとなりましたが、お使いのiPodに入っている素晴らしい楽曲を、素晴らしい音で再生させるためにも、ND-S1から始まるような素晴らしい再生環境を整えてみるのはいかがでしょうか?

ここで1枚高音質の録音された素敵なCDを紹介。

YO-YO MA plays ENNIO MORRICONE
from Sony Music SICC-199

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Amazon.co.jp : US Import版(安い)

Amazon.co.jp : SACD版

”海の上のピアニスト”などの映画音楽の巨匠であるEnnio Morriconeさんと、ヨーヨー・マさんのコラボアルバムです。
曲は美しいし、チェロは素晴らしいし、しかも録音品質もクオリティが高いです。上記の様なオーディオシステムで聞けばもちろん格別ですが、
普通に聞いても素晴らしいCDだと思います。

iPhone 3GSを買ってみた感想。

発売から少し遅れて、iPhone 3GSを購入しました。発売日に某大型カメラ店には行ったのですが、旧iPhone 3Gからの機種変が高すぎたのと、softbankの貧弱なキャリアの不満は3GSでは拭えないということで、見送っておりました。が、うまくやってiPhone 3GSを購入致しました。使ってみた感想と、iPhone 3GSに行くべきかどうかを簡単に述べたいと思います。

◇iPhone 3GSの動作について
 旧iPhone 3Gに比べて、広告や多くのリビューの通り、全ての動作(ウェブ、メール、マップ、日本語入力含め)が軽快になりました。これは軽快になったと書くべきではなく、”やっと普通の感覚で使えるスピードに戻った”というべきかもしれません。iPhone 3GSは、CPU,メモリ、バッテリー全てが倍増程度にパワーアップしています。この倍増によってスピードが軽快になったというよりは、旧機種のメモリの少なさによる、頻繁にスワップに”入っていたのが、入らなくなった”のが決定打だと思います。私が思うに、欧米圏の旧iPhone 3Gユーザーは、日本のユーザーほど遅さを感じていなかったかもしれません。明らかに日本語の処理系のアプリがメモリを食っていて、その分でスワップにはいっていたとしたら、今回の3GSによって一番スピードの体感を受けられるのは日本ユーザーかもしれません。旧3Gですと、日本語1文字打つのに数秒掛かっていましたが、新3GSでは、指ではじいたスピードでリアルタイムに処理できます。普通の日本の携帯をお使いの方からみたら何をいっているんだという感じですが、旧3G(+日本語環境)は、そのくらい欠陥品でした。
 今回の軽快さで思ったのは、softbankのキャリアの弱さで遅いと思っていたのが、単純にパケット処理で遅かった処理が結構多いことです。メールを受信してくる時間なども思いの外早くなり、そもそもそれほど早くないキャリアの通信速度を更に低下させるほど酷い状態だったと言えます。そういう意味で、iPhone に興味がある方なら、3GSから”やっと普通に使えます”。旧3Gをお使いの方は、しばらく機種変を考えないなら新3GSは絶対に触るべきではありません(笑)。
 少なくとも私は新3GSでメールを打てるようになりました。旧3Gでは1年間でiPhoneからはおそらく10通くらいしかメールを打っていません(全部パソコンで送信していた)。それは上記にも書いた1文字打つのに数秒掛かっていたので、全く打とうと思いませんでした。
 もしiPhoneに興味があり、まだ持っていない方は、かなりオススメだと思います。少なくとも、Gmailなどのパソコンで扱っているメールが多い人はオススメです。ウェブもFlashサイト以外ほとんどみられますし(Flashも対応は時間の問題)、方位磁針(デジタルコンパス)がついたGoogle Map + GPSはかなり強力なアプリです。すくなくともsoftbankユーザーで機種が古く、そろそろ機種変を考えていて、しかもiPodも古くそろそろ機種変を考えているユーザーは、迷わずGOです(笑)
 
◇ソフトバンクの料金プランについて
 昨年7月の発売日に旧3Gを購入し、同時にソフトバンクに初めて加入した訳ですが、どうやらこの1年でいろいろ料金プランに変更があったみたいです。私はそのプラン変更を申請していなかったため、数ヶ月間1500円近く多く料金を払っていたようです。どのキャリアにもあるかと思いますが、”こちらから言わないと高いプランのまま”というのが、日本の通信業界には慣例的によくあるようなので、注意が必要です。インフラ系のビジネスってそういうものなのでしょうね。そういえば同じような事が実家の電話機にもありました。宮下家は今でも黒いダイヤル電話が現役なのですが、電電公社時代から毎月のレンタル品としてお金を払っていました(確か毎月500円程度を何十年も払い続けていた)。最近になって、”黒電話は貴重なのでNTTから買い上げようと”と、NTTに電話したところ買い上げは2000円とのこと。おそらくこちらから言わなければ今でも500円払い続けていたかもしれません。通信料などは定期的に見なおした方が良さそうです(あたりまえか・・・)。ちなみに私は、3GSを新規契約で購入しています。つまり旧3Gは今も持っていて、最低限のプランでつかっています(電話受け専門:月額3000円強くらい)。

◇ドコモユーザーはどうするべきか?ドコモキャリアとの関係
 電波状況など質でいえば、ソフトバンクとドコモでは、象と蟻の関係で全く相手になりません。DOCOMOからsoftbankにiPhoneをきっかけに移動した私にとって、あまりに貧弱なsoftbankキャリアに驚愕致しました。ドコモユーザーでiPhoneに興味ある人は悩ましいですね。お金に余力があるなら、DOCOMOはそのまま通話用にキープし、スマートフォンとしてiPhoneをサブで買うのが理想的です。通話をしないのであれば、3GS 16Gだと月額6000円強くらいだと思います。出先でウェブ、メール、maps、ipodが使える利便に対して6000円を高いとみるか安いとみるかですね。ドコモを解約してiPhone 1本は少し考えた方がいいです。キャリアが貧弱なので、携帯で仕事に影響がある人は考える必要があります。また、長野の実家などの僻地ではもちろん圏外です。僻地カバーを含めてもdomocoとsoftbankでは同じ土俵にはいません。そういえば、周りにdocomo関係者が多いので、もういちどiPhone 3GS on DOCOMOを実現すべく頼んでみたいと思います。
 一方で、ソニー・エリクソンがGoogleの携帯用OS(アンドロイド)ベースの携帯を作っているようです。非公式のリーク動画が出回っています(ソニエリ・アンドロイド携帯非公式リーク動画)。かなりかっこいいです。このあたりを待つのも良いかもしれませんね。私は今回の3GS購入の前に、他に魅力的な携帯がないか調べましたが、やはりwi-fi付きでIMAP, POP3対応のマルチアカウントメーラー搭載で、Map機能、自作アプリ開発などがついている携帯って他にないですよね。アンドロイドくらいしか候補になりませんが、ドコモで出た機種はどうみても残念な感じなので、ソニエリなど日本メーカーのアンドロイド端末を期待です。

◇まとめ
 つらつらと書きましたが、個人的に3GSは本当に魅力的な携帯だと思います。私としては、3GSがiPhoneの初号機であってほしいです。旧3Gを使っている人が不憫でならないです(笑)。softbankは在庫をさばくために旧3Gを安く併売していますが、絶対に購入してはいけません。あれは別物です。世界的にPDAなどのスマート端末(デバイス)はいつも失敗してきました。それは、携帯は必ず持ち歩く、NotePCも持ち歩くとなった場合、この間に端末はいらなかったからだと思います。。携帯電話で、iPodで、NotePCをバックから出してメールチェックだけするのは面倒という状態にiPhoneは完全に乗っかったと思います。お財布携帯、赤外線通信など日本の携帯では当たり前の細々とした機能はありませんが、メインの機能・コンセプトで差がつきました。来年には出ると思いますが、WiMAXベースのiPhoneが出たときが一番世界が変わるときですね。”3G”という末尾もなくなるでしょうし、キャリアが本当ひっくり返る瞬間です。5年後には、3大キャリアは疲弊して、UQコミュニケーションが日本のトップキャリアになっているかもしれませんね。大変楽しみです。

iPhone 3G(s), iPhone4, iPad, iPad2用Eメール(i)をパソコンのメールソフトで送受信する方法(SSL対応版)

2009.09.06追記:あくまでPCからのi.softbank.jpへのアクセスはsoftbankサポート外ですから自己責任で行ってください。多少トラブっている方がいるようです。
2010.02.17追記:Thunderbird 3.0を追記。
2010.05.28追記:iPadのi.softbank.jpでも行けるはずです。
2010.06.24追記:iPhone4ももちろん対応。
2011.04追記:iPad2でも対応なはず。

******* 以下より本文 *********

iPhone 3G (s)およびiPhone 4, iPadを日本で契約する際、softbankより、”hogehogebaka@i.softbank.jp”というメールアカウントを1つ与えられます。

参考:Eメール(i) | Softbank  iPhone専用の@i.softbank.jpメールアカウント

このメールは、iPhone専用と書いてありますが、実は、普通のIMAP4形式でアクセスできるメールアカウントであり、iPhone 3G/3GSはもちろん、Outlook, Becky, Thunderbirdなどのパソコン(PC)用メールソフトで、送受信が可能です。そのようなメールソフトでEメール(i) @i.softbank.jpのメールを送受信する為の設定方法は、このブログの過去の記事(iPhone 3G(s), iPhone4, iPad用Eメール(i)をパソコンのメールソフトで送受信する方法)で紹介したところ、結構評判が良い様で、最近久しぶりにブログのアクセス解析をしてみたところ、この記事だけぶっちぎりに検索されて参照されていることが分かりました。

今回の記事は、上記で紹介したメールの送受信に関して、メールを暗号化(SSL利用)して、よりセキュアに送受信する方法を”追加”で紹介致します。つまり、上記の記事で既にメールの送受信が行えていることが前提です。その設定からまた少し変化させることにより対応できますので、まだ設定が終わっていない方は、まず上記の記事で送受信設定の確認をしてください。上記の記事でSSLによる暗号化を紹介しなかったのは、最近になってsoftbankのサーバーがSSLに対応したからです。

補足ですが、SSLに関しては、wikipediaなどをご覧ください。とにかく、メールの送受信時には、メールの件名、本文はもちろん、パスワードなども全てそのまま暗号化もされずパケットとして流れています。少しネットワークに詳しい方なら盗聴(とでもいうのでしょうか)することが可能です。たとえば、ネットカフェや、公衆無線LANなどは気をつけないとクラッカー達が、あなたの送受信するタイミングを見計らってパスワードなどを抜き取るかもしれません。今回SSLによって暗号化すれば、そのリスクが激減します。簡単な設定で対応可能なので是非お試しください。

■前提条件(前記事と同等)
・メールアドレス : hogehogebaka@i.softbank.jp
・パスワード : abcdefg123
・名前(届いた時に相手に表示される) : iPhone Taro
・パソコンはインターネットに繋がっている。ここで会社内のLANなどは外部のメールサーバーにアクセスをFirewallで禁止しているケースもあるかと思います。もし管理者に聞く際には、TCP 993(IMAP4S), 465(SMTPS)で外部に出られるか問い合わせてください。
・前回の記事で送受信が正常に行えている。

上記はこの記事用の例ですので、皆様のアカウント情報に置き換えてご参照ください。

設定0)わかっている人向け。詳しい方向け。
・送信:smtpサーバ: smtp.softbank.jp
 TCP465のSSL通信(StartTLSではない)です。送信の際には、SMTP-Auth認証で、アカウント名(hogehogebaka)・パスワード(abcdefg123)で認証が必要です。*認証方式にもよるのですが、なくても通る時があります。試行錯誤してみてください。
・受信:IMAPサーバ: imap.softbank.jp
 TCP 993のSSL通信のIMAPです。アカウント名(hogehogebaka)・パスワード(abcdefg123)で認証できます。アカウント名に@i.softbank.jpのドメイン名は必要ありません。
・受信箱だけではなく、送信済みメール、ゴミ箱、下書きなども同期させられます。iPhone 3G / 3GSがデフォルトで設定されるサーバー上のディレクトリ(フォルダ)名前は以下の通り。
*送信済みメッセージ: “Sent Messages”
*ゴミ箱: “Deleted Messages”
*下書き: “Drafts”

設定1)Becky!  (今回は、Version 2.50.05 [ja]で確認)

* 前回の記事で設定が全部終わっている前提での変更箇所は

20090730_becky_ssl1
IMAPS, SMTPSのボタンを押します。何かダイアログが出ると思いますが、”はい”を選択してください。

20090730_becky_ssl2
一つ前のIMAPS, SMTPSのチェックボックスを入れて、”はい”を選択すれば、自動で、465, 993に設定されるはずですが、
変更されていなかったら図のように修正してください。

これで送受信ができれば、SSLによる暗号化のメール送受信が確立しています。

設定2)Outlook 2007

* 前回の記事で設定が全部終わっている前提での変更箇所は

上記”ツール(T)” > ”アカウント設定(A)” > iPhoneのアカウントをダブルクリック > 
”電子メールアカウントの変更”ダイアログの”詳細設定(M)”ボタンを押して、下のダイアログを表示させます。

20090730_outlook2007_1

”OK”ボタンを押して、メールが送受信できればOKです。

設定3)Mozilla Thunderbird 2 (バージョン 2.0.0.22 (20090605)で確認):Ver3.0は、下の設定4を参照

* 前回の記事で設定が全部終わっている前提での変更箇所は

上記メニューの”ツール(T)” > アカウント設定(C) > で以下のダイアログを表示させます。

20090730_thunderbird2_no1

SSLを使用する(L)にチェックボックスを入れます。

20090730_thunderbird2_no2

送信(SMTP)サーバーも同様に、SSLにチェックを入れます。

以上で送受信ができれば、SSLによる暗号化されたメールの送受信が可能です。

設定3)Mozilla Thunderbird 3 (Version 3.0.1)

* 前回の記事で設定が全部終わっている前提での変更箇所は

上記メニューの”ツール(T)” > アカウント設定(C) > で以下のダイアログ

・送信(SMTP)サーバを選択し>iPhone用SMTP(smtp.softbank.jp)を選択し>”編集(E)”ボタンを押す。


・ポートを465
・”保護された認証を使用する”のチェックをはずす(入れてあると送信できませんでした・・・なぜ??)
・”接続の保護(N)”をSSL/TLSに設定し、OKを押す。

以上で、送信側の暗号化(SSL化)は完了です。

次に受信側です。


・サーバー設定:”接続の保護”を”SSL/TLS”に設定し、ポートを993にする。

以上で、送受信共に暗号化(途中でメールの内容が盗聴されることが格段に減る)が完了です。

新iPhone 3Gs発表で思うこと。

iphone3gs

http://www.apple.com/jp/iphone/

ぽつぽつとリークされていたように次世代iPhoneがApple WWDC 2009基調講演で発表されました。名前はiPhone 3Gsの様です。またもマッシュアップ記事(=人類として前進しない記事)ではありますが、現iPhoneユーザーとして少し思ったことを書きたいと思います。

新iPhoneでは、
・iPhone OS 3.0のネイティブサポート(現iPhone 3GでもiPhone OS 3.0はもちろん対応していますが、Bluetoothなどハードウェアに起因する部分で違いも多いようです)
・CPUの速度向上
・メモリの容量倍増(日本の慢性的なメモリ不足での動作遅延に対してこれで大きく改善されるでしょう)
・バッテリーの増量(噂では増量はなしということでしたが、やはり世論を考慮したのでしょうか、増えるようです)。これも日本ユーザーの不満の大きいところですから少し期待できますね。
・磁気センサー搭載で、どちらを向いているかわかる。Mapsとの連動もあり、地図上でどの方向を向いているかわかります。先日のNTT DocomoのGoogleアンドロイド端末にも搭載されていたので、追いついた形ですね。
・テザリング対応(iPhoneの通信ラインをつかってPCでネットをつなぐ):おそらくsoftbankは対応しないでしょうね。
・動画撮影対応
・音声制御(何かをしゃべって操作したり、チャットしたり)。音声でチャットなら、電話しろよという感じですが。

まだまだありますが、こんな感じなようです。iPhone SDKを使ってアプリを開発している関係で、OS 3.0に関してはbetaで使っています。そのAPIのドキュメントを読んでいても今回の機能はある程度予想できていました。さて、発売ですが米国などの早い国では6月19日にも発売開始の様です。日本は6/26になるようです。とはいえ、SIMを持っている現iPhoneユーザーは、外国で買ってくるなり、Apple Storeなどで端末だけ買えば使えるのでしょうね。このあたり今日にも詳細が分かってくるのではないでしょうか。

さて、今まで新機種の情報ですが、この情報に対して私が思うことは

・現iPhoneを落っことしすぎて(保護カバーなどは付けていない)、最近調子が悪いので買い換えても良いかなとは思っています。
・softbankキャリアが酷く、話にならないのでdocomo版iPhoneを期待していましたが、docomoからGoogle端末(アンドロイド)が発表されたので、しばらくないでしょう。ちなみにDocomoのGoogle端末は日本メーカー製ではなく、台湾(?)メーカーなので、iPhoneと同様に日本人的にはあたりまえの機能がないなど、KY感たっぷりな機種になりそうです。(そのくらい日本の携帯は機能が多い)。Google端末は魅力な面ももちろんありますが、最近のgmailのトラブル多発っぷりを見ると少し心配です。全盛期のgoogleならgmailのトラブルなんて考えられなかった気がします。サーバーなどのインフラにお金が回らなくなったのか、優秀なエンジニアが他に移ったのかわかりませんが、gmailの安定化だけは優先的に行ってほしいものです。
・バッテリーの弱さは、iPhone搭載のバッテリー問題だけではありません。softbankのキャリアが弱く、すぐに圏外になり、サーチが多いのでバッテリーの減少が激しい気がしています。ずっとdocomoを使ってきてsoftbankに移ったものとしては、softbankの貧弱なキャリアっぷりに驚愕しています。iPhoneをどうしてもなどの理由でないかぎりsoftbankを私なら選びません。そんなに安いわけでもないですし。
・現iPhoneは本当に遅く(メモリ不足でスワップに入り遅い)、iPhoneでメールを打つことは全くありませんが、新機種ではやっと改善されそうなので、この点だけでも良いかもしれません。
・日本の高度な携帯を見ていると、iPhoneをこだわって使う必要はない気もしていましたが、マルチアカウントを扱えるPOP3ベース, IMAPベースの普通のメーラーが入っているのは便利かなとおもっています。何個もメールアカウントを持っていますので、非常に助かっています。
・GPS + Google Mapsはやはり便利です。先日、銀座で”ちくしろう”とひらがなで検索したら、”もしかしたら筑紫楼 ?”とでて、場所・電話番号がわかったのは驚きました。まぁぶっちゃけ、ちくしろうの日本語変換が遅すぎてひらがなで検索しただけなんですけど(笑)
・(アンドロイドをはじめ、日本の携帯でももちろんできると思いますが)Googleカレンダーとスケジューラーが連動するのは便利です。
・通話などは、いつのまにかタッチパネルを押して人に電話をかけていたり、通話中に突然切れたりするので、普通の通話用携帯としての機能は落第です。Docomoを1機種もって通話用に、iphoneはモバイル端末として使うのが良いのかもしれないですね(昔そうだったのですが、もったいないのでdocomoは解約してしまいました)
・iPod機能ですが、これは普通に使えるので利用しています。とはいえ内蔵のDACかヘッドフォンアンプが問題なのでしょうか?1kHzを超えたあたり、または800Hz付近の音が非常に悪いです。AAC 320kbpsでの音源でも量子化誤差っ”ぽい”モサモサ音が聞こえて大変不快です。またメモリ不足のスワップ問題はiPod機能にも波及し、他の処理が発生したときに音楽再生が不安定になります。私が気にしすぎだと思いますので、普通は問題ないと思います。(この問題は音源がRAWではない時点でデータソース側にも問題があるかもしれませんので何とも言えません)

こんな感じで不満な点もありますが、今となっては無いのも困るという状況です。softbankキャリア問題は全く解決されていませんが、メモリ増大、バッテリー増量でだいぶ操作性が改善されそうなので、とりあえず新iPhone 3Gsには移行しようかなと思っています。発売日に買ったiPhone 3Gですが、今度はどうなることやら。

参考:速報:アップルWWDC 2009 基調講演 (第2部 iPhone 3G S編) @ Engadget japan

参考:アップル、通信/動作を高速化した「iPhone 3GS」6月26日発売 @ av watch

iPhone 3Gを3ヶ月使ってみての雑感(メール受信の問題点などについて)

さて、超ミーハーにも発売日に購入したiPhone 3Gですが、そろそろ3ヶ月ということで雑感を紹介したいと思います。ソフトバンクが当初予定していたほど売れていないらしく、それはおそらく初期ユーザーの口コミなどで購入への踏みとどまりが発生したからかと思われます。極めて私見ではありますが、いろいろな観点から良い点・悪い点を紹介したいと思います。

◆良い点

・PCのウェブサイトが見られる事:これはiPhone 3Gに限らず、イーモバイルの端末などでも余裕で実現できていると思われますが、携帯端末でささっとPCのサイトが見られるのは便利ですね。グルメサイト(ぐるなび、たべろぐ)を出先で調べられる事や、Googleの検索、ビックカメラで購入前にkakaku.comなどで値段が適正かチェックできるなど便利なことが多いです。とはいえ、kakaku.comにしろ携帯サイトも充実しているようなので私が遅れているだけなのかもしれませんが。Note PCをいつも持ち歩いているとはいえ、携帯端末でささっと使えるのは便利ですね。

・マップ(地図)ソフト+GPSが素敵すぎる: 私にとってのメリットはこれだけと言っても過言ではありません。スケール変更可能なディジタル地球儀とも言えるGoogle MapsがGPSと連動して使い放題(パケ放題契約なので)なのは超便利で、超面白いです。もともと方向音痴ではないですが、これで道に迷うことは皆無ですし、地球スケールでどこにいるか分かるシステムは本当にすばらしいです。江戸時代の地図もマッシュアップしてみれば、散歩の素敵なお供になるのではないでしょうか。

・Youtubeが見られるのは便利:無類のお笑い好きなので、Youtubeが出先で見られるのは便利です。通勤時に座れればNote PCがあるので仕事ができますが、混んでいる場合なんかはやることがありません。そんなときには便利ですね。

・写真ビューワーとして使える:まぁ、これは無理矢理持ち上げていますが、画面がデカイので写真を人に見せられます。こんなものは普通の携帯でできますし、私はNote PCを持ち歩いていますからほとんど必要ないんですけどね。一応列挙。

・自分でアプリが作れる:これは私くらいしかメリットじゃないですね。

このくらいでしょうか。

◆悪い点 (たくさんあります)

・バッテリーの持ちが最悪: 全く通話をしない宮下ですが、朝5時までフル充電して、夕方5時に返ってくるころには、6割方電池が終わっています。おそらく通話は1,2回なので、12時間待機がメインで半分程度減るというとんでもない持ちの悪さです。これは海外では通用するかもしれないですが、平気で2,3日持つ日本の携帯に慣れていると困ります。私が見る限り充電回路がヘボい様な気もしておりもう少し改善できる気もしますが、何せ分解できないので何とも対策がとれない感じです。来年の7月までバッテリー交換をさせないという契約ですが、これはそろそろ不満噴出で祭になるでしょう。あとはsoftbankのキャリアがヘボいため、圏外になることが多く、キャリアの検索などで少し無駄に電力を使うとかあるかもしれませんね。

・音楽を聴けない:上のバッテリー問題で、音楽なんて聴いたら速攻でバッテリーが終わります。そこで、音楽は、変わらずiPodで聞いています(意味がない・・)。

・メール(@i.softbank.jp)の受信時に、”音が鳴らない”、”バイブもしない”事: 仕事中なんかは携帯のメールを見ないので問題ないですが、家に居るときなどマナーモードを解除してメールが届いたのをリアルタイムで知りたい時もあるかと思います。iPhone 3Gをsoftbankで契約したときに@i.softbank.jpというメールアドレスが1つ使えるわけですが、そのアカウントにメールが届いても、”音がなりません”、”バイブもしません”(マナーモードの有無に限らず)。家で仕事をしていて、知人が到着したらメールをもらうような時にこれだと常にメールが届いていないか定期的に確認する必要があり、全くもって使えません。このどうしようもない仕様に対して、私はimapのクライアント機能とsmtpのメール送信機能を備えたプログラムを開発しました。これは個人のLinuxサーバー上に常駐させているのですが、毎分、imapクライアントでi.softbank.jpのメールボックスにチェックに行き、新着があったら私のもう一台の携帯(ドコモの普通の携帯)にメールを転送するプログラムです。これによりもう一台の携帯のマナーモードを解除しておけば、その受信音で分かるというものです。まず携帯をもう一台使っている時点で本末転倒なのですが(笑)、この音が鳴らないというくだらない仕様のためには仕方ありません。このプログラム(phpベース)のスクリプトが欲しい方は連絡いただければソース毎お渡しします。このプログラムは、例えばgmailなどの個人のメールに転送しておけば、受信メールのバックアップにもなりますし意外と便利かもしれません。今、本文

・日本語入力が遅い:iPhone 3Gは世界同時発売と華々しく登場したわけですが、日本語を始めとするマルチバイト圏はとても苦労している気がします。アルファベットの26文字+記号程度なら問題ないですが、日本人は多数の日本語(ひらがな・カタカナ・漢字)を使うので、この部分は各国に開発を任せてあるようです。日本語のiPhone3Gにも日本語変換機能が付いているのですが、どうやらiPhone 3G搭載のメモリが明らかに不足している感じで、ある程度使っていると極端に遅くなります。そうなると1文字打つのに数秒かかるのでもはや長文メールなんて打てません。これは日本語変換機能のバージョンアップにより少しは使用メモリを軽減できる見通しもありますが、おそらく限界はあるでしょう。iTouchが超速いので(iTouchには日本語変換は付いていない)、こればっかりは日本ユーザーはがっかりだと思います。

◆総論

・現行のiPhone 3Gは買うべきではないと思います。どうしても地図などが使いたいなら、私の様にセカンド携帯として使うべきだと思います。
・バッテリーの持ち、日本語入力の遅さ、電話機能の使いにくさ、全てにおいて、携帯好きの国民にはまだ対応できないと思います。
・おそらく次世代バージョン(メモリ増量、バッテリー増量+日本人の要望のフィードバック)iPhoneは期待できるかもしれません。