真空管オーディオシステムのススメ

今回のエントリーでは、とてもコストパフォーマンスの高い真空管オーディオシステムを紹介したい。上を見ればキリがないオーディオの世界に没頭するのは、金銭的に得策ではない。一方で、自分の部屋に素晴らしいサウンドを提供してくれるオーディオシステムは誰もが欲しいと考えると思う。ここで紹介するのは、安くて(宮下的に)十分満足が得られるサウンドを提供してくれるオーディオシステムである。

Jazzの生ライヴを部屋で再現することを考える。媒体は音楽CD。

1)ライブ音をアナログ信号に変換する:マイクなど
2)アナログ信号をディジタル信号に変換する:A/D変換機(Analog / Digital変換機)
3)ディジタルデータをCDにプレスする→店頭に並ぶ→買ってくる
4)CDに記録されているディジタルデータをアナログ信号に変換する:CDプレーヤー内部のD/A変換機(Digital / Analog変換機)
5)アナログ信号を耳で聞こえるようにアンプ増幅する:アンプ
6)増幅した音声がスピーカーを通して部屋に再現される:スピーカー

以上が、生ライブの音を部屋で再現されるまでの過程で、”:”で区切ったものが、その過程を実現する機器である。

現代の録音技術、システムは極めて発達しており、ライブ音をCD化するための機器は最高級のものを利用するであろうから、1)、2)の過程はほぼ最高の水準で行われる。全く当たり前のことだが、我々が追求するところは、4)CDに記録されているデータを精度良くアナログ信号に変換して、5)アナログ信号を極めて豊かに増幅して、6)その音を素晴らしく空間に広げるかである。

つまり

4:CDプレーヤー(高精度D/A変換機)
5:アンプ
6:スピーカー

この3つを如何に素敵に構成するかがオーディオマニアが目指す道である。このエントリーでは最上の構成を目指すのではなく、”安く””満足”できる音を実現できる構成を紹介する。

■CDプレーヤー

 約20年近い歴史を持つCDプレーヤーは、D/A変換の精度を上げることを中心に改良が重ねられてきた。あくまで主観ではあるが、このD/A変換は十分に技術的にこなれており、それほど高価なものを買わなくても十分な変換精度が得られると思っている。パソコンのCDで再生する場合は、パソコンのマザーボードのようにあらゆるノイズが載っているため論外ではあるが、いわゆるCDプレーヤーという専用機能である限り、2万円前後のものでかなり精度よくD/A変換が行える(と思う)

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DENON DCD-755AE
kakaku.com DENON DCD-755AE : 32,707円

おそらく、今回紹介する構成の中でCDプレーヤーはDENON, ONKYO, SONY, MARANTZ, PIONEERなど有名メーカーであればどれでも良いのかなと思っている。私としては、DENONがオススメ。もし選ぶのに迷ったら、外部から光信号で入力できるインターフェイスを持ったものがよいと思う。理由は、数あるD/A変換機の中で、上述のようにCDプレーヤー用のD/Aは一番歴史があり安定している。そのため、パソコンやMD、iPodなどのディジタル機器からアナログ信号に変換するのであれば、CDプレーヤーに搭載されているD/A変換機を使うのが最も安くて最も精度が高い。パソコンで多くの音楽データを所有している人は、パソコンのノイジーな変換機能などに任せず、ディジタル信号のままCDプレーヤーに入力して、CDプレーヤーのD/A変換を掛けるのが最も良い選択だと思う。(今調べてみたら光入力が付いている安い機種はないようですね・・・)
SACD(Super Audio CD)を安く聞くなら、SONYのSCD-XE600になるようである。しかしSACDは一枚も持っていないので評価できず・・・。

■アンプ

 下手なことを書くと徹底的にオーディオマニアに叩かれるアンプであるが、今回の構成で紹介するのは真空管のアンプである。世の中のあらゆる電子機器は半導体(トランジスタ)に置き換わっている。今更電気も多量に消費し、タマが切れたら交換しないといけない真空管なぞ時代遅れも良いところだが、オーディオマニアの世界では、いつかは”真空管アンプ”という憧れがある。とにかく電気回路において、”増幅する”というものはとても重要な機能で、半導体がなかった時代に、その”増幅”などを担っていたのが真空管である。今でこそ半導体(トランジスタなど)によって”増幅”するのが一般的ではあるが、たんぱく質を使った増幅なども研究されており、実現すればスプーン一杯のたんぱく質で世界の最高のスパコンの何千倍ものパフォーマンスが出るらしく、未来も半導体を用いているかはわからない。話は逸れたが今回紹介するアンプは、その歴史的に古い真空管を使ったものである。

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TU-870 真空管アンプキット 若松通商 20475円

 今回紹介する真空管アンプは、自分で半田付けをして完成させる電気回路キットのアンプである。アキバにある有名な電気パーツ屋である若松通商が企画した真空管アンプキットであり、私は、人工衛星を作るのと同じように”宇宙用半田付け”で開発した。何せ全てパーツもそろっており回路図ももちろん含まれているから作るのはとても簡単である。

さて、アンプについての本題である”トランジスタアンプに対して真空管アンプはいい音なのか?”という点について述べなければならない。はっきりいって、アンプの特性などを計測した場合、ほとんどのケースでトランジスタアンプの方が数値的に良い結果である。とういうことで、宮下的には数値で表れていない柔らかい音がする(気がする)としか言いようがない。しかし、上のキットは2万円である。2万円のトランジスタアンプを買っても、この音は出ないことだけは付け加えておく。つまりコストパフォーマンスが最高のアンプなのだ。

■スピーカー

 アンプでかなり素敵な音まで引っ張り上げてくれているので、空間に響かせるという意味でスピーカーの役目はきわめて重要である。母方のおじさん、雑誌の特集、各種記事などの客観的な評価もふまえた上で、次のスピーカーを紹介する。

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Ortofon Concorde 105

通販などでは、TRISTAR JAPAN (Ortofon Concorde 105)などで購入できる。31800円

レコード針で有名なオルトフォンがなんとスピーカーを作った。しかも140x218x207mm(WxHxD)という超小型スピーカーであり、価格もお得である。スピーカーは一般的に大型であれば良いと言われている。しかしこのスピーカーはこの値段、この大きさからは信じられないすばらしい音がする。残念ながら発見できなかったのだが、スピーカーケーブルに何十万も掛ける有名なJazzオーディオ評論家が、”こんな小さなスピーカーなんて聞く気も起きなかったが、聞いたら腰が抜けた”みたいな記事が昔掲載されていた。評論家の言葉を鵜呑みにはできないが、私もこのスピーカーはサイズ、値段を考えるとかなりすごいと思う。

というわけで、
・CDプレーヤー:2万
・真空管アンプ:2万
・スピーカー:3万

以上の7万円という確かに安くはないけど,値段の割にはすばらしい音が家庭の部屋で再現できる。これ以上の音を求めると何十万も簡単に飛んでいくため、一般人のオーディオシステムとしてはほぼ最強のコストパフォーマンスを実現しているシステムだと思っている。

100読は1聴にしかずということで、興味があるかたは宮下家に足を運んでいただければ、その素晴らしい音を聞くことが可能である。過去に聞いた人はほとんどの方がビックリしていた。ただ、アンプ、スピーカーの特性から、Jazz、Classical向きで、JPopなど元々音域が少ない音楽にはそれほど差が出ないかもしれない。

P.S. iPod + 上記の真空管で遊んでいる本が発売されていた。iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ

真空管オーディオシステムのススメ」への2件のフィードバック

  1. dairaさん>

    是非、聴きにきてください。6月中旬には引越しも完了していると思われます。とても素敵な音がしますよ。コストパフォーマンスは最強かと思います。ただ、新居の音響がどうなのかまだ未知数なので、直接音に期待です!

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