桜写真2007 – 満開@九段下

知人の結婚式の2次会の幹事を頼まれていて、その打ち合わせに神楽坂に行ってきた。今日は桜が満開。あいにく天気が悪かったのだが、打ち合わせの後、九段下まで行ってきた。曇っているため、青空バックのコテコテの桜写真は望めなかった。曇りだとその色と桜の花びらが同色で花びらが埋もれてしまう。明日も晴れそうにはないので、天気だけが残念だ。九段下は、靖国神社、千ヶ淵、千鳥ヶ淵と大賑わいで歩くのも大変なくらい混んでいた。千ヶ淵には桜だけではなく、菜の花など春の花がたくさん咲いていた。いよいよ春であるなぁと実感した。

20070331_sakura6.jpg

20070331_sakura4.jpg

20070331_sakura5.jpg

20070331_sakura8.jpg

20070331_sakura2.jpg

20070331_sakura1.jpg

20070331_sakura9.jpg

20070331_sakura10.jpg

20070331_sakura7.jpg

Canon EOS-1D Mark-II (RAW + DPP2.2) +
– EF100mm 1:2.8 Macro USM
– Sigma 15mm 1:2.8 Fisheye

桜写真2007-咲き始め

今年も遂に桜が咲き始めた。写真好きの人間で、この時期に心躍らさない者はいないと思う。とりあえず職場の桜が5分咲き位になっていたので、昼休みに撮影した。今週末はモーレツに撮りに行きたいが、少し天気が心配である。

20070329_sakura0008.JPG

20070329_sakura0003.JPG

満開が楽しみである。

Breeze-Mの爆発は、FENGYUN 1cデブリによるものか?

先日のこのブログのエントリー”中国衛星破壊実験(ASAT)のデブリをGoogle Earthにマッピング“で紹介したように、中国がASATにより破壊した人工衛星(FENGYUN 1c : 中国の古い衛星で運用は停止していた)は、その後益々宇宙のゴミ(宇宙デブリ : Space Debris)を放出しているようだ。先のブログで紹介した頃(2007/02/08)、デブリの数は約700個であったのに対し、現在(2007/03/10)では1036個観測されている。この数は最低数であり更に数千個のデブリが宇宙空間を漂い、100年以上大気圏に突入することなく地球の周りを回り続けると考えられている。

毎年クリスマスにサンタを追跡していることで有名な米国、カナダが共同で運用しているNORAD(North American Aerospace Defence Command : 北アメリカ航空宇宙防衛司令部)は、デブリ、人工衛星、ロケットの残骸など地球近傍の約10cm以上の物体を全てレーダーで監視している。上記の1036個という数字は、このNORADが観測し公開しているFENGYUN 1cのデブリ数であり、10cm以下の小さなネジなどはレーダーの性能限界を超えることから数字には表れてこない。そのため1036という数字は最低数というわけである。

各国がこのASAT実験を非難する中、別の問題が発生した。2006/02/28 (UTC)に打ち上げられたロシアのプロトンロケット (Proton Rocket)の最終ステージであるBreeze-Mが、2007/02/19に突如爆発し、同じく1000個以上のデブリを放出したらしい。

そのニュースに関する記事を以下に列挙する。

記事1:SPACE.com — Rocket Explodes Over Australia, Showers Space with Debris

記事2:Spaceweather.comの2007/02/22の記事:ページ右側で2007, Feb, 22を選択することで記事を表示できる。

今回爆発したプロトンロケットは、Arabsat-4Aという通信衛星を積んで打ち上げられたが、打ち上げに失敗し、Arabsat-4Aは十分な軌道に乗ることができなかったようだ。

失敗に関する記事:Spaceflight Now | Proton Launch Report | Proton rocket fails in Arab satellite launch

このプロトンロケットの上段には、Arabsat-4Aとともに軌道を調整するためのBreeze-Mと呼ばれるステージが存在しており、このBreeze-Mは打ち上げ失敗後も地球周回を回っていたようだ。このBreeze-Mが、2007/02/19頃に原因不明の爆発を起こしたらしい。打ち上げに失敗したことから、このBreeze-M内部には多くの燃料が残されており、その爆発もより大きなものとなってしまったようだ。この爆発の原因をロシアを含む各宇宙機関が調査をしているようであるが、上記の記事でも紹介されているように、自己爆発ではなく、他のデブリがこのBreeze-Mに衝突して起こったのではないかという原因も1つに考えられているようだ。さらにこのデブリは先日のASATによるFENGYUN 1cのデブリの可能性も完全に否定できないということである。

ケスラーシンドローム (Kessler Syndrome)という言葉がある。NASAでデブリを研究しているドナルド・J・ケスラー(Donald J. Kessler)が提唱した仮想のモデルで、簡単に言うと”デブリが発生すると、そこで生まれたデブリがまた他の衛星やデブリに衝突し増殖的にデブリを発生させるという現象である”。今回のBreeze-Mの爆発が、先のFENGYUN 1cのデブリが衝突して起こったのであれば、これは一つのケスラーシンドロームの種とも言える現象である。

そこで、実際にBreeze-MとFENGYUN 1cデブリが衝突することは可能であったのか検証してみた。私は人工衛星の研究を行っているが、デブリに関しては専門ではないため、今回の検証が正しいか確証は持てない。しかし、何らかの参考になればと思い公開することにした。

まず、Breeze-Mの軌道の特定である。米国空軍のSpace TrackよりBreeze-Mの軌道を調べる事ができた。プロトンロケットは頻繁に上がっているため、Breeze-Mも同様に何個も地球周回に残されているが、打ち上げ日からカタログナンバー28944のBreeze-Mであることが確認できた。このナンバーでSpaceTrackの軌道情報を問い合わせると、2007/02/21からデータが欠落しておりやはり何かの問題が起こっていたことがわかる。記事2によると、オーストラリア上空でBreeze-Mとデブリと思われる物体が2007/02/19 17:15頃観測されている(記事2に動画も公開されている)。今回FENGYUN 1cのデブリとの衝突を計算するため、15:00 – 20:00までのBreeze-MとFENGYUN 1cデブリを軌道計算し、Google Earthにマッピングしてみた。

Breeze-M(28944)とFENGYUN 1c Debris : 2007/02/19 15:00:00 – 20:00:00 (UTC)
BreezeM_FENGYUN1C_20070219163125.kml
*Google Earthをインストールしてご覧ください。

ge_breeze_fengyun20070219.jpg
上記Google Earthで表示した例

実際にBreeze-MとFENGYUN 1cデブリをマッピングすると、2007/02/19 16:31:00 (UTC)頃、アフリカ上空で、Breeze-Mの軌道がFENGYUN 1cの多量のデブリ軌道の交差していることが分かった。オーストラリア上空で観測されている時間から約45分前である。ここで少し無謀な仮定を行う。Breeze-Mはオーストラリア上空で観測された時に爆発したのではなく、16:31:00頃に衝突し爆発を起こし、その爆発・燃焼が長時間に渡って継続し、45分後のオーストラリアで観測されたという仮定をする。

この仮定をした上で16:31:00付近でBreeze-MとFENGYUN 1cデブリがどの程度近づいたかを毎秒計算してみることにした。Google Earthの目視的確認から16:26:00 – 16:42:00程度が軌道が交差する時間であると定め、全秒毎にBreeze-Mと全FENGYUN 1cデブリを軌道計算し絶対距離をkmの単位で求めたところ、500km以下に接近したデブリが51個あった。

distancebwbreeze20070219.png
2007/02/19 16:31頃のBreeze-M(28944)に500km以下に近づくFENGYUN 1cデブリ

この図から分かるように、計算の結果最も近づいたデブリは、カタログナンバー30177の約155kmであった。155kmと言えば、東京から長野、水戸、静岡くらいの距離であり決して近くない。そのため、この30177が衝突した可能性は少ないと思われる。しかし、上述した様に、10cm以下の細かいデブリが数千飛んでいると言われており、Breeze-Mと衝突する可能性は全くないとは言い切れない。

今回の爆発は、デブリと全く関係がなく自己的な爆発であるかもしれない。しかし上記の計算のようにデブリによる爆発も完全には否定できないことから、やはり宇宙デブリ問題は真剣に取り組まなければならず、先のasatのような故意に増やすことなどは決して行ってはならない。我々の人工衛星開発でも、デブリを最小限に抑えるように想像力を働かせて取り組んでいきたい。