Hasselblad (ハッセルブラッド)の魅力

私が愛してやまないカメラHasselblad(ハッセルブラッド.どうやらハッセルブラードと発音するのが正式らしい).Hasselbladは,スウェーデンのカメラメーカーであり,Hasselbladが作るカメラは,あのNASAもその堅固性を評価し採用している.アポロ計画で宇宙飛行士がお腹の前につけて月面を撮影したのもHasselblad製のカメラである.このエントリーでは,宮下および一部の人が愛してやまないHasselbladの魅力を,読者の興味は完全に無視して紹介したいと思う.このエントリーの目標は,このエントリーを読んだ人が最低1人Hasselbladを購入することである(笑).今回のエントリーに掲載されている写真は,ライティング,グラデーションバック,ディフューザー,三脚などフルに使って気合い撮影.Hasselbladの美しさが伝わることを願う.

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Hasselblad 501C/M + Carl Zeiss Planar 80mm C T* f/2.8 + A12
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EOS-1D Mark II + Carl Zeiss Makro-Planar 60mm T* f/2.8 (MMJ), RAW, ISO100, F8, AWB

Hasselbladは,写真にもわかるようにちょっと変わった形をしているが,これも分類すれば”一眼レフ”カメラとなる.Hasselbladにはいくつかのカメラのシリーズがあるが,ここで紹介しているのはVシステム500シリーズと呼ばれるカメラで,Hasselbladと言えばこのシリーズが圧倒的に有名であり,ユーザーも多い.1957年に500Cという最初の500シリーズを発表して,最新の501C/M・503CWまで,基本構造は全く変わらず,レンズ,アクセサリなど全て共通で使用することができる.約50年前のカメラボディに最新のレンズを取り付けて写真を撮ることができるなど,現代の物作りでは考えられないほど歴史のあるカメラである.
この500シリーズの特徴は(私見を含む)
・かっこいい!!!
・全て機械式:つまり電池などは一切必要なくバネなどの機械仕掛けで動作する
・シャッター音がとても気持ちいい
・中判フィルムという,一般的な35mmフィルム(135フィルム)よりも大きいフィルムを使うため高画質
・6×6という正方形の写真を撮れることで有名
・初代500Cを含め現在でも修理をすることができ,一生モノのカメラである

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Hasselblad 501C/M + Carl Zeiss Planar 80mm C T* f/2.8 + A12
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EOS-1D Mark II + Carl Zeiss Makro-Planar 60mm T* f/2.8 (MMJ), RAW, ISO100, F8, AWB

上の写真でかろうじて確認できるが,Hasselbladの500シリーズは,ドイツCarl Zeiss社のレンズを採用している.Hasselblad社は,自社でのレンズ開発を行わず,1950年代既に素晴らしいレンズ技術を持っていたCarl Zeiss社にHasselblad用のレンズ開発をお願いしたのだ.この写真で写っているレンズは,最初に誰もが買うPlanar 80mm f/2.8というレンズ.大変淡い綺麗なコントラストを出し味わい深い描写をするレンズである.

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Hasselblad 501C/M
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EOS-1D Mark II + EF100mm F2.8 Macro USM, RAW, ISO100, F8, AWB

Hasselbladというネーミングは,創業者のDr. Victor Hasselbladから来ているものだが,そのファミリーネームのHasselbladには逸話がある.Dr. Victor Hasselbladの先祖が,一人娘を嫁がせるときに命名したものらしい.「家の門を出て,最初に出会ったものによって姓を決める」といって街にでるとHAZEL(はしばみの穂)のBLAD(葉)が舞い降りるのに出会った.HAZEL+BLAD = Hasselbladとなったそうである.素敵!!
1940年にドイツ軍の爆撃機がスウェーデンに墜落し,その残骸の中から優秀なドイツ製カメラが発見された.スウェーデン空軍は,Dr.Victor Hasselbladにドイツ製に負けないカメラを開発するように依頼したことから,Hasselbladのカメラの歴史は始まる.それから試作機が完成し,その後もっとも有名な500シリーズを世にだし,ちょっと前まで(今でも?)ファッションポートレート,広告などのカメラマン御用達のプロ用カメラとして世界中で愛され続けている.

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Hasselblad 501C/M
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EOS-1D Mark II + EF100mm F2.8 Macro USM, RAW, ISO100, F2.8, AWB

私が持っているのは現行モデルの501C/Mという機種.現行モデルは,その上位機種として503CWというのが存在するが,私にとっては501C/Mで十分.私のような下手くそが言うべきではないが,初代500Cでも全く問題なく素晴らしい写真を撮ることができる.もし中古を探すのであれば,500Cを改良(Modify)した,500C/Mがバランスも良くおすすめ.

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A12 Film Magazine + 120 (Brownie) Medium Films
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EOS-1D Mark II + Carl Zeiss Makro-Planar 60mm T* f/2.8 (MMJ), RAW, ISO100, F8, AWB

500シリーズで使うフィルムは,右下に並んでいるような長細い箱に入っているブローニーと呼ばれる中判フィルム.フィルムは,レンズによって結ばれた像を映像として焼き付けるものであるから,フィルムの面積は大きければ大きいほど画質が良くなる(=情報量が多くなる).小さい方からAPSフィルム,35mmフィルム(一般的なフィルム:135とも言う),中判フィルム(ブローニーと呼ばれる:120, 220などがある),大判フィルム(4×5など)となっていて,Hasselbladは中判フィルムを利用できる.中判フィルムは今でも問題なく購入することができ,現像代も35mmフィルムと同等である.
写真を見ると,カメラのボディの後ろの部分が外されているのがわかるだろうか?これはフィルムマガジンといって,ここに中判フィルムを入れてカメラの後ろにくっつける.実は,このマガジンはいつでも付けたり,外したりできる.私はこのマガジンを2つもっていて,カラーフィルムと白黒フィルムを入れておき,好きな時に取り替えて撮影している.35mmフィルムのように36枚取り終わるまでフィルムが変更できないなどの問題は発生しない(まぁ,ディジタルカメラならこんな問題はないんだけど・・).ちなみに,1本のフィルムで12枚撮影できる.

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Hasselblad 501C/M + Carl Zeiss Planar 80mm C T* f/2.8 + Polaroid Back (Polaplus)
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EOS-1D Mark II + Carl Zeiss Makro-Planar 60mm T* f/2.8 (MMJ), RAW, ISO100, F8, AWB

この写真では,とてもおもしろいマガジンがカメラの後ろについている.なんとポラロイドフィルムバック.中判フィルムだけじゃなく,ポラロイドバックを使えばCarl Zeissのレンズ,Hasselbladのカメラボディでポラロイド撮影ができる.プロの現場では,フィルムの現像には数日かかるので,写り具合を見るのにこのポラロイドバックを使うそうだ.

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Hasselbladのファインダー
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EOS-1D Mark II + EF24-70mm F2.8L USM, RAW, ISO400, 40mm, F3.2, AWB

Hasselbladは一眼レフですが,一般的な一眼レフのように顔の前にカメラを構えて覗くという方法で撮影しない(することもできる).ウエストレベルファインダーというのがカメラボディの上にあり,カメラの上から覗くという方式をとる.この写真は,上から覗いているのをそのまま写真にとったもの.このファインダーが本当に綺麗で感動する.イメージとしては,8ミリのビデオカメラのような古い映画をみているような本当に素晴らしい空間が広がっている.ちなみにファインダーの中に写っているのは,後日紹介するライカ.

書き始めたら止まらないのでこのあたりでまとめたいと思うが,Hasselbladはシャッター音,その外観のかっこよさ,一生モノ,ファインダーのたまらない美しさ,そして下の写真で紹介する正方形フォーマット(スクエアフォーマット)などの魅力にあふれた写真の撮る喜びを教えてくれる素晴らしいカメラである.詳しくは説明しないが,Hasselbladを使えば良い写真が自然と生まれやすい.Hasselbladの最低限必要な撮影手順を踏むと,実は自然と良い写真になりうる要素を多く含んでいる.写真の楽しさだけでなく,ちゃんと腕があれば,それに答える素晴らしい写真を残すカメラである.私もがんばっていい写真が撮れるようにこれからも楽しみながらハッセルを愛していきたい.カメラボディばかり紹介してもしょうがないので,一応とった写真を二つ紹介.

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内之浦湾
Hasselblad 500C/M + Carl Zeiss Planar 80mm C T* f/2.8 + Kodak E100VS

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Friend Yumi
Hasselblad 500C/M + Carl Zeiss Planar 80mm C T* f/2.8 + Kodak E100VS

Hasselbladの特徴の一つであるスクエアフォーマット.普通の写真は3:2が一般的だが,Hasselblad, Rollei, ポラロイドの3の写真はスクエアフォーマットで有名.スクエアフォーマットは,主題を写真のど真ん中に持ってきても違和感がなく,まさに人を撮るのにうってつけだと思っている.ポラロイドをコルクボードに貼っている方もいるかと思うが,あれは友達同士の写真を正方形の中心に撮った写真で自然といい感じの写真が撮れてしまう.あの感覚でモーレツに楽しく,高画質な写真を撮りたいなら,迷わずHasselbladへいらっしゃい.中古市場がぐっと下がり,購入しやすくなっている.

Hasselbladを購入・探す際に一つの楽しみがある.それはシリアルナンバー.Hasselblad製品には,アルファベット2文字+数字が書いてある.例えばEE 32412こんなかんじ.このアルファベット2文字は製造年を表している.
V H P I C T U R E S
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
上の10個のアルファベットには数字が当てはまっていて,EEの場合99 -> 1999年製のカメラということになる.ご自身の誕生日のHasselbladを購入してみるのも面白いかもしれない.多少古くてもオーバーホールを掛ければほとんどの場合は撮影を行うことができる.ちなみに,VHとはVictor Hasselblad,つまり創業者のイニシアルである.

最後にHasselbladを詳しく知りたい方へのおすすめの本を2冊紹介.

(1)ハッセルブラッド&ローライフレックス エイムック―マニュアルカメラシリーズ (614)
ISBN: 4870997754
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ハッセルとローライのスクエアフォーマットを余すことなく掲載.これはあると便利です.

(2)ハッセルブラッドの時間 (エイ)文庫 藤田 一咲 (著)
ISBN: 487099982X
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ハッセルブラッドの魅力(一緒に過ごす至上の時間)を素晴らしい写真を含め紹介しています.この本を読んだらかなりの確率でハッセルを買いたくなるでしょう(笑

まだまだ知識不足ですが,疑問や”買ってみたくなった”ら気軽に連絡してください.私がわからなくとも鬼の知識人が知り合いにたくさんいます.

関連記事:フィルムカメラの魅力(2005/10/04)

東京大学 超小型衛星XI-V打上!(祝成功!)

以下の記事ですが,無事成功しました!東工大でもXI-Vからの電波を受信しました.おめでとうございます!

東京大学中須賀研究室の超小型衛星XI-V(サイ・ファイブ)がまもなく宇宙に打ち上げられます(2005年10月27日打上予定).ウチラ東工大にとって,東大中須賀研は最大・最強のライバル(と私は思ってる).2003年6月30日に競い合って,切磋琢磨しあって開発した東大XI-IV(サイ・フォー)と東工大CUTE-Iは,同じロケットに搭載されて宇宙に打ち上がりました.打上から現在に至るまで2年以上,二つの衛星は元気に動いています.中須賀研は,我々の次期衛星Cute-1.7 + APDより先に2機目の衛星XI-Vを打ち上げます.XI-Vでは,XI-IVよりも高解像度撮影や,連続撮影などの追加ミッションを掲げています.

CubeSatとは,10cm立方,1kgの超小型衛星の規格で,そのサイズに衛星機能を詰め込んで,世界中の大学・宇宙機関が自由に設計し,開発を進めています.そのCubeSatが提唱されてから実際に開発し,打上げて,しっかりと宇宙で動いたのは上記の東大・東工大の2台のみです.この2年間の間も他の国のCubesatが上がることはなかったので,XI-Vはいわば3台目のCubesatとなります.XI-Vの打上にご注目ください.この大学生たちの衛星開発奮闘の記録を,川島レイさんというとても素敵な方が「キューブサット物語~超小型手作り衛星,宇宙へ」と題して書かれています.もしご興味があれば,そちらもご覧になってください.

今回の打上にあたり,Cubesatが今宇宙のどこにいるのかな?というウェブページを作っておきました.興味があればみてみてくださいね!XI-Vは,打ち上がるまでロケットのあるロシア・プレセツク宇宙センターに表示しておきます.衛星をクリックすると各種情報が表示されます.

whereiscubesats.jpg
Cubesats Realtime Position System
URI: http://gsas.mes.titech.ac.jp/c1rcp/cubesats.jsp
上の画像をクリックしてください.

*このウェブログの右上にあるようにみなさんのウェブページにも簡単に貼り付ける(リアルタイムで更新されます)ことができるので,希望の方は連絡してください.

東京からの星

ラボの後輩が赤道儀を買った.赤道儀とは,地球の自転軸に平行な回転軸(極軸)と,これに直行する回転軸(赤緯軸)を持ち,天体の日周運動に合わせて自動的に回転し追尾するものである.簡単にいうと,カメラで星を長時間とると,星は動いているので線に伸びたように写るけど,この赤道儀にカメラを載っけておけば,星と一緒に動き,星が線にならず”点”で見えます装置.この後輩が買った赤道儀を使わせてもらって自分の一眼レフで星の写真を撮ってみた.東京目黒の大学の屋上からなので周りが相当に明るい.そんな東京からでも星はちゃんと見えているので,ここで紹介.お忙しい皆様,ふと立ち止まって星を見てくださいね.見えにくいものですが,ちゃんと星の光は届いています.下の写真には,北極星とカシオペアが写っています分かります?

20051023_stars1.jpg
東京から見た北極星とカシオペア(など)
EOS -1D MarkII + Sigma 15mm Fisheye f/2.8 + An Equatorial Telescope
RAW, ISO100, F8, Bulb 5min

*5分撮りっぱなし(バルブ)なのに星が点に見えるのは赤道儀のおかげです.その代わり町の光が動いていますね.

北極星とカシオペアは見つかりました?

分からなかった方はこちら↓
続きを読む “東京からの星”

目黒からの富士山

今日は快晴.目黒にある大学の屋上から富士山が見えた.ややスモッグが掛かっていてぼやけているが,家・いえ・イエの中にぽっと富士山が浮かんでいる感じ.ニュースでやっていたように,既に雪が積もっていました.目黒から富士山までは60kmちょっと.今週,現在開発中の人工衛星の長距離通信試験を富士山と大学間で行う.何人かが富士山の5合目まで人工衛星のプロトタイプを持って実際に電波を出し,大学のアンテナ(2つまえのエントリーで写真を掲載しているもの)で受信する.人工衛星は宇宙(今回の衛星は地上から最遠800km)から電波を飛ばさないといけないので,この60km程度は軽く成功させなければならない.

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目黒からの富士山
EF24-70 F2.8L USM + C-PL
*なんだか知らないけど色が変・・・.

銀座散歩

銀座にちょっとお出かけ.なにせ年中カメラを持ち歩いているから,ちょっと出かけた時にも写真は貯まる.それにしても銀座をはじめ,渋谷,新宿などの町写真は難しい.銀座らしいとか渋谷らしいとかを写真に写し込むには,シンボリックな建物を入れるという王道があるんだけど,それもやっぱり簡単ではない・・.結構撮ったんだけど凡写真ばかり・・・・(涙 それでもせっかく行ったし少しだけ公開.

たぶん,銀座にいらっしゃるセレブなおばさまをデパートをバックにいれれば銀座らしい写真になるんだろうなぁ・・.

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西銀座ビル
EF17-40mm F4L USM

キューブサット(CUTE-I)用アンテナ

手作りで開発した超小型衛星CUTE-I 今日も元気に宇宙からデータを電波に乗せて届けてくれました.電波にのっかってくるので,もちろん地上ではアンテナを使って電波を受信します.この写真は,ウチのラボがある建物の屋上に設置してあるCUTE-I用(今度の冬に宇宙へ打ち上がる2機目の衛星(Cute-1.7 + APD)も兼用)アンテナ.テレビ用のアンテナに似ているのですが,エレメント(枝)がクロスになっているのが分かるかと思います.このアンテナはクロス八木アンテナといって,衛星の電波受信には有利な形となっています.今は,写真の左側を向いていますが,実際に衛星が東京上空を通過中は,衛星方向に自動で向きます.CUTE-Iは時速約28000キロで飛んでいますから,この大きなアンテナもかなりのスピードで動きます(約10分程度で東京上空を通過します)

写真の説明:雲にかかっているのは月です(今日の月).右にある星は火星です.明るく見えますが,夜8時頃です.奥に見える夜景は品川付近です.

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CUTE-I 受信アンテナ(145MHz デュアルスタッククロス八木アンテナ & 430MHzクアッドスタッククロス八木アンテナ & 1.2GHz, 2.4GHzパラボリックアンテナ)

EOS 1D-Mark II + EF24-70mm F2.8L USM
RAW, F5, 6sec, ISO400, Picture Style : Natural

大地震に向けてスマートに行動する

政府(文部科学省)の特別機関である地震調査研究推進本部は,南関東直下でM6.7-7.2の地震が30年以内に発生する確率70%,10年以内に発生する確率30%と発表している.

参考1:「全国を概観した地震動予測地図」報告書 平成17年3月23日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会

参考2:各地の分布は,独立行政法人防災科学技術研究所地震ハザードステーションがオススメ.

極めて不安定な地殻の上で生活している我々にとって地震は今まで何度も経験しており,その度に多くの人命が失われてきた.上の調査にもあるように,大地震が今日起こる可能性も十分にあり得る.そんな大きな地震を迎えたとき,我々はどうすれば良いのだろうか?

今,東京都世田谷区で1ルームのアパートに一人暮らしをしている.部屋にはテレビもないようなとてもシンプルな生活をしているが,変な物が置いてある.それは大量の水.実は地震対策のために,近くのドンキホーテで2リットル入りの水6本が入っている段ボール単位の水を3箱買って置いてあるのだ.Googleで,阪神・淡路大震災の被害に遭われた方の貴重な意見を調べてみると”とにかく水の確保”ということである.水はもちろん水分補給もそうであるが,トイレ,体を洗うにもとにかく水が必要とのこと.都市部において,トイレの水が流せないのは本当に大変ということ.その他にも,懐中電灯などの避難道具は一応購入してある.私がこのエントリーで述べたいことは,実はこのような細かい地震対策に関することではない.

たとえば阪神・淡路大震災の場合,死者・行方不明者あわせて6436名,負傷者43792名(Wikipedia)という大変厳しい震災となった.最近でも,新潟,パキスタンなど本当に大変な地震が続いている.上の統計や,このような厳しい震災を経て,”対策をしなかったから亡くなった”ということは今後極力なくさなければならない.それは,不幸にも地震において命を落とされた方に対して申し訳ないと思うからである.ある野生の鳥たちは地震を予見して逃げる行動をとったとかいう話を聞いたことがある.人類は,知性を持ったおかげてそのような野生の勘はほとんど使うことができない.そんな人類が野生の勘の代わりに得たものの1つが記憶であると思っている.野生の勘がないのなら,過去に人類が被った苦い記憶に対して,その記憶を頼りに同じ事を起こさないように少しでももがくのが人類としての行動である.大地震で被災に遭われた方たちは,現在,多くの情報をインターネットや書籍などに残している.それは人類としてみたときの人類共通の記憶であり,それを参考にしないのは生物として愚かすぎると考えている.対策をしたのにやはり亡くなってしまうことは当然あり得る.こんなエントリーを書いている私も,東京のあの深い地下鉄の中とかで地震が起きたらまず助からないだろう.この星の歴史から考えたら,対策をしないで地震で死んでも,対策をして地震で死んでも,対策をしないで長生きしても,対策をして長生きしても,正直誤差であって大して変わらない.しかしその大したことない1つの命に,家族があり,友達がいて幸せな生活があるのだ.宇宙から見たら本当に短くて小さな命のくせに,こんなに毎日イベントがあって楽しい.こんな宇宙くらい大きな生活に私は最高の価値を感じている.だから,人類として,過去の記憶・知識をフル稼働してスマートに生き抜くのだ.

このエントリーをご覧になった方.宮下よりもよっぽど対策を取られている方も多いかと思いますが,もしあんまり考えたことがなかった方がいましたら,地震に対して”考えて”ください.私は,研究室の一部の後輩にこの話をして,たとえば研究室で地震が起こったときにまず何をするかなどを想定し,ディスカッションを行いました.はっきりいって面白いと思います.上のような水を買うだけでは不十分です.そのような場合にどう行動するのかまで考えてください.

みなさん:とりあえず家と職場でおこった際に起こす行動を想定してみてください.阪神・淡路大震災では火災による二次災害で多くの人命が失われています.

ご家族の方:大切なご家族の生活を明日も楽しく生活するために,家,仕事先,学校など想定される場所で地震が起こったときに家族が再会できる方法(移動・場所・通信手段)などを調べ,家族でのルールについて今日決めてください.特に旦那様は,今の家庭生活を今後も続けていくために最高の想像力を働かせてください.

例)
・食料・水はコンビニで買えばいい→POSシステム(レジ)全盛のこの時代,停電があればレジが動きません.相当最悪環境にならない限り人間も理性が優先されますから,盗みを行うことは難しいかと思います.
・連絡は携帯電話を使えばいい→隅田川の花火で通じなくなるくらいのシステムです.停電であれば同じですが,171伝言ダイヤルなども一つの手段です.むしろ全く取れないときも想定しないといけないですね.距離が離れた親戚などと連携を取っておくのは非常に有効です.

研究室の後輩たちとの議論で面白かったのは,”仮に地震の揺れを回避できて怪我がなかったときに何をするか?”です.
地方出身者は,確かに実家に歩いてでも帰ってしまうという考えも出ました.しかし,”東京は復活させなければなりません”.そう考えたときに,東京に残って,動けるなら何か復興支援を行うなどの意見が出ていました.まず自分たちも含めた人命の確保は最優先として,その次に若い自分たちが動けることは何かを考えたときに,”道の確保”というのが出ました.これが正しい行動かわかりません.しかし,救急車,消防車をスマートに通すためには,近くの道が破壊されていないかなどをチェックしてみてはどうか?などが出ていました.この行動は防災に対しては不適切かもしれませんが,仮に問題ないとして,東京全域でとりあえず怪我がなかった人間が早急に道のチェックを行えれば素敵かなと.

とにかく個人,ご家族,友達,恋人,それぞれの単位で人類としてスマートに行動するために,一度考える時間を取ってみてはいかがでしょうか?厚かましいですが,良い行動など思いついたらみなさんのブログに書いて,TBでもコメントでも送ってください.そういう知識の繋がりも発展した人類の知恵でありスマートな行動です.

今回,ずっと昔から自分が持っている考え方を,1カテゴリーとして追加してあります.
”最低限,星レベルで考え,人類として行動する”
この詳細は後にちゃんと書きたいと思っていますが,このエントリーをこのカテゴリーの最初にしたいと思っています.

P.S. このエントリーに付随して一つ面白いエピソードがあります.
先日,家に帰るとなんと水が出ませんでした.水道代を払っていないのかな?と思っていたら,ポストに夜1時~6時まで断水とのこと.こまった.手も洗えないし,歯も磨けないし,もちろんシャワーも入れない.そこで,大量にかってある水を使ってみることにした.それが結構使うのが難しい.2リットルのペットボトルのフタをあけ,片手で傾けて(もちろんシンクの上で),もう片方の手をぬらす.石けんを使って両手をこすり,また片手でペットボトルを傾け手の石けんを洗い流す.石けんの付いた手でペットボトルを傾けるのでペットボトルに石けんが付く.石けんが付いたペットボトルを洗うためにまた水を使う.こんなことをやっていたら,笑い話だけど1リットル近く使ってしまった.ペットボトルは先につける蛇口とか,両手を放して傾けられる方法がないと,かなり水を無駄にしてしまう.そこで,シンクの上に上がって両膝でペットボトルを挟んでとか怪しい行動を考えたりしてみた(笑 怪しいが結構この問題は深刻だと思った.

2005/10/20追記:
dairaさんのDaira’s Blogで,有益な情報を見つけました.
内閣府の「表層地盤のゆれやすさ」マップと,その東京のマップ 東京・・・・ゆれまくりですね・・(苦笑

Apple

5歳の頃からいわゆるパソコンというのをいじってきているからもう22年くらいになるのかな.
この22年の中でパソコンに対して衝撃を受けたのは1回だけ.
中学3年の時に,あるお店でAppleのQuadra 800で再生されているQuicktimeムービー(いわゆる動画)を見たときだ.当時の私は,いわゆるPC98というパソコンにテキストベースのOSでちょこちょこ遊んでいた時に,同じパソコン上で動画が再生されていることに大変驚いた.
何度も瀕死の状態になりながら,iPodでとっても元気になったApple.
どこかと違って,プロダクトデザインを疎かにせず,今後も良い製品を作ってほしい.

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Apple Logo on a Mighty Mouse

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iPod nano on a Mac mini

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PowerBook G4 (taken by friend Show)

EF 100mm f/2.8 Macro USM

ロッテ VS ソフトバンク

プロ野球をテレビで見ることなどほとんどない.その前に家にはテレビがない.
応援に行っちゃうほどファンのチームがあるわけではない.一度も球場に行ったことがない(一度みてみたいのだけど・・)
だけど,ミーハーにもロッテ好き.
選手の名前も知らないけど(すいません・・),バレンタイン監督の表情がいい.それだけでロッテ好き.
他の監督もそうだと思うけど,バレンタイン監督はなんかめちゃくちゃ一生懸命やっている感じがある.

昨日は9回裏でソフトバンクに追いつかれ,次の回で負けた・・・.う~む.今日こそは決めてほしい!

20051014_lotte_softbank.jpg
ソフトバンク vs. ロッテ
EF 100mm f/2.8 Macro USM

Google OS

友達のshumaくんからの紹介で,NY Timesのウェブに紹介された2084のGoogleの姿.(Google 2084 @ The New York Times)
もちろんGoogleの公式なものではなく,NYTimesの記事なのかな?皮肉っぽくてとっても面白いです.

1010opart.jpg
http://www.nytimes.com/imagepages/2005/10/10/opinion/1010opart.html

Googleの今の勢いは,こんな全ての情報の統括と人工脳みたいなものを作る動きかもしれないですね.面白い見方だと思っています.

さて,私が何年か前から予想していた通り(こんなもの言った者勝ちだか・・),Googleが動いてきているので,2084年じゃなくて,この1年くらいを予想.あくまで個人的な意見ですし,どこか情報ソースを拾ってきたわけではなく,前々から思っていたことを書きます.責任はもちませんし,新しくもありません.
ホントはこの程度自分が作ってやろうと思っていたんだけど,衛星づくりやなんやらで,保留保留保留に・・・.

・Google Web OS(Operation System)構想みたいなものが動くであろう.GooGOSとかいう名前かな?

– Web上でアカウントを使ってログインすると,Windowsでいうデスクトップがそこに現れる.
– メールはもちろんGmail
– ウェブは問題なし
– ハードディスク(Windowsでいうマイコンピュータ)は,GStorageみたいなネットワークストレージが公開されるであろう.Gmailが2Gなので,これはもう十分なストレージである
– スケジュール・ToDo,Google Calendarがそろそろ(?)上がるんだよね.問題なし.待ち合わせ場所,会議場所などは,Google Earth / Google MapsでGISとも連携
– オフィススイート(ワープロ,表計算,プレゼンテーション)は,Open Officeを使う(予想通りのSunとの提携も発表されたし)
– インスタントメッセンジャー(いわゆるチャット): Google Talk
– 物流・ネットショップ・購入関係:大胆な予想だけど,そろそろAXXXXNと一緒になるのでは?
– Newsなど情報:Google Newsとか,既存のニュースのウェブ
– 動画・音楽:この辺は,Appleかな.新iPodわりと面白いし.
– 写真などのデータ:いちいちローカルPCに保存しないで,ネットワーク上で管理できるし,Picasaの技術がある
– 写真・データの印刷:よりディジタル化が進んでペーパーレスになるし,この辺(Online lab)と連携すればいいのかな.

これだけあれば,ほとんどの作業はできるんじゃないでしょうか?ウェブ上で.

ウェブ上なので,
・データを家のパソコンに作って会社に持っていくのを忘れたみたいなことがなくなる.
・(危ないけど),空港のウェブ端末やら,ネットカフェとかで便利
・ウイルス,OSのアップデートなどは(うまくやれば)なくなる
・PCの一番壊れる原因の一つHDDの故障とかがなくなる.PCにHDDがいらなくなるね.
などメリットは大きい感じはする.

一方で,問題になっているソフトウェアのコピーに関しても,ウェブ上のOSにたとえば,画像処理ソフトのPhotoshopなどを使う場合は,利用した時間だけ時間割で支払うとか,ヘビーユーザーは1ヶ月使い放題値段とか,そういう利用料スタイルになり,コピーとか少なくなるのかな?(あくまで理想型.問題は沢山ある)

問題点も当然おおい,

・すべてのデータがGoogle側のサーバーに入るので,セキュリティは問題になる
・Microsoftが黙っていないだろうな.Windows, Officeもっていかれたらさすがに怒るでしょ.

とはいっても,専用メールソフトを使わずにウェブメールのみ使っているユーザーも増えてきた今,上の構想は,たぶんGoogleが近年実現する機能であり,ま,使ってみたい気はする.
仕事用と完全に切り分ければ,いろいろ便利なことも多いだろうし.たぶん,Windowsよりもウェブ上のOSの方が,いろいろな業種のデータが入り安いので,少し考え方・ビジネスが変わってくるんじゃないかな.

ま,Googleの事だから,こんなベタな予想(とはいってもこの構想は何年か前のものだから,かなり予想通り進んできているんだけど)以上のことをやってくるでしょう.

そこで一つ提案.

デスクトップの考え方.たぶん,MacOSから始まったGUIベースのOSデザインっぽくなるんじゃないかなと思っているので,デスクトップには”物をおけない”または,”物をおいてもちゃんと整理”される仕組みをつくってください.PC上のデスクトップが汚い人は,身の回りのリアルなデスクトップも大概汚いです(笑
そういえば,Google DesktopなんていうWindows上のファイル検索技術も蓄積しているから,この辺は考えているのかな?

以上誰もが予想がつくたわごと.雑筆失礼.