もう2年以上も宇宙で活躍している,我々が手作りで開発した人工衛星”CUTE-I“.
そのCUTE-Iが,ブログを書き始めることになりました.
その名も,CUTE-I Blog.
今,各界の社長さんたちや,芸能人さん達,もちろん一般の人たちも書いているブログを衛星が書いているのは,たぶんこのシステムだけだと思います.
衛星が書いているブログとは何でしょうか?
もちろんCUTE-Iがキーボードを使ってブログのエントリー(記事)をかいているわけではなく,
CUTE-Iが電波を使って地上局(東工大にあるデータ受信のためのアンテナなどで構成されるシステム)にデータを送っており,そのデータをそのままブログの記事として投稿するシステムを開発いたしました.確かに疑似的ではありますが,リアルタイムで自動でCUTE-Iが送信しているデータが記事になるので,いわば衛星ブログとなります.
CUTE-Iは我々が開発した最初の衛星であり,先日打ち上がった”すざく”のように宇宙開闢の謎に迫るなどな大きなミッションを実現する機能は持っておりません.CUTE-Iの第一ミッションは,学生の手作りですべての衛星システムを設計し,開発し,実際に地上から運用することです.CUTE-Iは,長期動いている衛星では,東大のXI-IVと並んで世界最小の衛星です.そんな小さな衛星ではありますが,コンピュータ,センサー,無線機,太陽電池,バッテリーなど最低限コンポーネント(衛星バスといいます)を超低価格(秋葉原の部品など多数)で実装し,現実に2年間動作しています.この衛星バスの技術をちゃんと実証することで,次にあがるCute-1.7 + APDという衛星などでチャレンジングなミッションに挑戦できます.つまり現在,CUTE-Iから送信されるデータは,CUTE-Iの状態を示すデータ(例えば,衛星内部時計の時間や,バッテリの電圧など)がほとんどで,そのデータをブログの記事として掲載していますから,もしかしたら皆さんはそれほど面白いものを感じないかもしれません.
しかしこのシステムには未来へ向けたヴィジョンがあります.実は,このブログシステムを作ったのではなく,衛星のからのデータをリアルタイムであらゆる扱い易いデータに変換してブロードキャスト配信をするシステムを開発しまして,その一部がブログという,みなさんのアクセスしやすい形になっています.そのほかにも,いろいろなフォーマットで同時配信しています(詳しい説明は省略します)
つまり,衛星のデータ(例えば,地球を撮った写真,他の銀河を撮った写真,宇宙で検知した地震の予兆,海面温度,鯨の生息状況など)あらゆるデータが,リアルタイムで皆様に届けることができるシステムです.昨年は,某衛星のカメラデータを用いて,リアルタイムの地球映像を皆様に届けるよう,システムを開発して技術的にはクリアになったのですが,多少問題がありまして実現しませんでした(また挑戦してしたいですが・・).
私が宇宙工学を専攻しているミッションは”宇宙をできるだけ綺麗にリアルに皆様に伝える”ですので,このシステムは私のミッションの一部の具現化ともいえます.(実はこのシステムが広まった頃に,次の蓄えている別の概念システムを公開する予定です)
今回のシステムは,リアルタイムサテライトコンテンツプロバイディングシステムと名付けておりまして,後でCUTE-I Blogをご覧になっていただきたいですが,このシステムにより将来の面白いイメージが少しでも皆様の頭に浮かんでくれることを祈っています.
では,CUTE-I Blogサイトアドレスの紹介ですが,CUTE-I Blogを開きますと,毎回の記事にCUTE-Iが送っている(CUTE-Iがしゃべっている)データがエントリーとして公開されています.
バッテリーの電圧やら,温度やらデータが載っています.
そこに,
“この位置を地図上で表示・・・・CUTE-I Position & Telemetry System (Ver1.0)”という
リンクがありますので,是非クリックしてみてください.
そこでは,今流行りのGoogle Mapを用いてそのデータを送ったときのCUTE-Iの位置と東工大地上局の位置を動的に生成し表示するページが開くはずです.
マップ上のCUTE-IのアイコンをクリックするとCUTE-Iのデータが吹き出しとして表示されるはずです.
いかがですか?今はバッテリー電圧などですが,将来いろいろなヴィジョンが描けるのではないでしょうか?同じく”クリップ”のアイコンをクリック(東京地方)すると,東工大地上局の位置と,東工大地上局からCUTE-Iがどの方向に見えて,何キロ離れているかなどの情報が表示されます.
現在,このマップシステムはGoogleだけですが,他の地図システムおよび,私が提案しているより協力なシステムに貼り付ける予定です.今回は,扱いが簡単なGoogle Mapを利用させてもらいました.Google Mapをここまで動的にグリグリいじっているのはまだあまり無いかと思います.
では,ご覧になってください.
CUTE-I Blog : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/
もちろん,同時にRSSでもテレメトリデータを配信しています.
RSS(Rich Site Summary) Ver 1.0 : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/index.rdf
RSS Ver 2.0 : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/index.xml
RSS Viewerなどをお使いの方はアクセスしてみてください.
上記のアドレスにも分かるように,このシステムは”spacerium”という別名を持っています.
スペースリウム(spacerium)とは,宇宙(space)+場所(rium)という私の造語であり,
いろいろな方に宇宙を身近に感じてもらえるような様々な場所,手段,環境を提案し開発しましょうというプロジェクト名です(私だけそういっている)
このシステムをご覧になって,衛星のデータがより身近に感じていただければと思います.