やはりアポロ計画で人類は月に行っていた!(JAXA かぐやの月面写真)

月の観測をしているJAXAのかぐやですが、この度アポロ15号が着陸した地点を観測し、その形跡を発見したようです。

JAXAプレスリリース:JAXA|月周回衛星「かぐや(SELENE)」の地形カメラによるアポロ15号の噴射跡の確認について
めちゃめちゃおもしろいので是非お読みください。

宇宙関係の仕事をしているとよく聞かれるのが、”アポロは本当に月にいっているの?”という質問です。今のスペースシャトル、宇宙ステーションの技術を考えると、あの時代に月に行くくらいの技術があっても技術の進歩という意味では極めて自然で、行っている(と思う)と回答していたのですが、今回はそこにもう一つ証拠を加えられそうですね。

ただ、一部ではかぐやも月に行っていないという論議があるようですね(笑
かく言う私も、かぐやのハイヴィジョン映像を見たときにあまりに映像が綺麗すぎてCGっぽいと思ったのは事実です。アポロ時代のアナログ+ノイズたっぷりの映像を見過ぎてしまい、あのノイズ感が”遠さ”を感じさせたのですが、フルハイヴィジョンの解像度で、しかも月面のど真ん中から地球が上がってくるのは、あまりに環境が整いすぎていてリアル感に欠け、そう思ったのでした。実は私の宇宙関係の知人たちも同じような感想を持って居る方が多いようでした(笑) 世界中の情報が瞬時に得られるこの時代に、あらゆる情報にリアル感を持たせるのはとても難しいと思っています。カメラを始め解像度アップが製品開発の主軸となっていますが、逆に解像度が高すぎてリアル感を感じなかったのは滑稽なことでした。

MONOPRIXのMONT D’ORチーズ

先日、パリに行ってきたときにプランタンに寄って、チーズ・バターをたくさん買ってきました。
バターは料理に、チーズは家で少しずつ食べているわけですが、
本日は、MonoprixMont D’orチーズを開けてみました。

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フランスのスーパーMonoprix GourmetMont D’orチーズです。
右側に、AOC (Appellation d’Origine Contrôlée)のマークもありますね。

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がっつり黒くカビの生えたチーズです。

食べてみると、とてもクリーミーで、カビっぽい味も少しあり、あとこの容器の木の味?なども混ざって感じられるとてもおいしいチーズです。朝開けて、ちょっと食べる程度だったのですが、これだけ濃厚だとワインが飲みたくなりました(少なくとも何か液体が欲しくなる)。Mont D’orですので、今度はオーブンで溶かして、パンでも付けて食べてみようと思っています。

今回パリで、チーズ・バターを買ってきましたが、日本の値段よりも圧倒的に安くてびっくり致しました。安く、品揃え良いスーパーを見てしまうと、やはり食文化の豊かな国だなぁという印象でした。

ウッドコーンユニットによる自作スピーカー製作(PARC Audio)

懲りずにまた自作スピーカーを作成した。最近、ごく狭い領域で話題になっているウッドコーンスピーカーユニットを用いて作ってみた。本エントリーは、オーディオ・スピーカーに興味の無い人にとっては極めて退屈な内容である。

昨年末に秋葉原のコイズミ無線に立ち寄ったところ、ソニーの元スピーカーエンジニアがスピンオフして起業したベンチャー企業Dream CreationのスピーカーブランドPARC Audioのウッドコーンユニットを見かけた。その時は未だ発売前で、サンプルユニットをコイズミ無線で聴かせており、その音の歯切れの良さに心地よさを覚え、すぐに注文予約をした。12月下旬には入荷していたのであるが、なかなか忙しく、エンクロージャー(スピーカーの周りの箱・木材加工で作る)やディバイディングネットワーク(スピーカーの中に入る音域を分けるフィルタ回路)の開発ができず、最近になるまで部屋の片隅で眠っていた。これではいつまで経っても完成しないし、ちまたではビクターのウッドコーンスピーカーも流行はじめているので、ここは一発合間を見つけて製作することにした。

まずは完成した外観から紹介。

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今回のスピーカーは、WooferとTweeterの2ウェイのユニットで構成されており、背面の上に見えるように1つのダクトを用いたバスレフ(Bass Reflex、または位相反転型)スピーカー構成となっている。木材には、板厚15mmのMDF(Medium Density Fiberboard, 密度不明:東急ハンズ新宿店のクラフト工房で購入)を用いている。

Woofer(低音ユニット) : Dream Creation PARC Audio DCU-171W 17cmウーファー
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写真からも分かるように大変美しいウッドコーンによるウーファーユニットである。実際に音も素敵なのであるが、ヴァイオリンなども木材だし、ウッドコーンというだけで良い音がでてしまうのではないかと思ってしまう(笑)。DCU-171Wの製品のページに周波数特性や各種ユニットの性能が公開されているので、自作スピーカーとしてはとても扱いやすい。周波数特性を見ると2kHzあたりまで綺麗にフラットな特性が出ていたので、JAZZボーカルなどを好んで聴くため、人声域(80Hz – 1kHz位)は、このウーファーでカバーし、それ以上高音は後述のトゥイーターに任せることにした。

Tweeter(高音ユニット) : Dream Creation PARC Audio DCU-T111S 25mm ソフトドーム・トゥイーター
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25mm (1インチ)のソフトドーム・トゥイーターである。DCU-T111Sの製品のページには、同じく周波数特性や各種性能が記載されており、その周波数特性によると500Hzあたりから20kHz近くまでほぼフラットな特性がでており、音圧も先のウーファーの90dB/W/mに対して91dB/W/mと近いことから、アッテネータなどのを介在する必要もなく、単純に組み合わせられるのかなと思い選択した。

以上のウーファー・トゥイーターを、人声域をウーファーがカバーする形で、2150Hzのクロスオーバー周波数で2ウェイにすることに決定した。つまり、ウーファーには、ローパスフィルター(高音域をカット)を、トゥイーターにもハイパスフィルター(低音域をカット)を付けることで、お互い同じ音域を切り分けて音が鳴る仕組みである。アンプからの出力を、2つのユニットに上記のようにフィルタリングする回路をディバンディングネットワークと呼び、その回路を作成して、スピーカーの中に入れてある。

ネットワークの設計は、フィルタ回路に関する本を読めば簡単ではあるが、巷には自作スピーカーマニアも多く、ウェブアプリやソフトウェアで簡単に計算ができる。たとえば、Bachagi.h氏のスピーカー設計プログラムにおけるネットワーク設計プログラムを用いれば、スピーカーユニットの特性を入力し、何Hzでカットしたいかを入力すればフィルター回路に必要なコンデンサ・コイルの容量を計算してくれる。今回の計算結果のページをPDFで保存しておいたので、一応公開しておく。フィルターの種類は何種類か存在するが、今回は、12 dB / oct, -6dBクロスを採用している。

ネットワーク回路のパーツ
ウーファー用:ローパスフィルタ
・L1 : 0.82mH : TRITEC EPOXY-MOLD OFC COIL 0.83mH @ コイズミ無線
・C1 : 10uF : MUNDORF MCAP63/10.0 @ コイズミ無線 計算結果では11.4uFであるが10uFを採用。
トゥイーター用:ハイパスフィルタ
・L1 : 0.47mH : TRITEC EPOXY-MOLD OFC COIL 0.47mH @ コイズミ無線
・C1 : 6.6uF : MUNDORF MCAP63/3.3 @ コイズミ無線を2並列
背面のスピーカーケーブル端子台
TRITEC TERMINAL T-93 @ コイズミ無線

エンクロージャーは、東急ハンズに提出した木材カット図面(PDF)を公開するので、必要であれば参考にしてほしい。(留意:木材E, Fは4つずつあれば十分であるが予備として8個注文した)。エンクロージャーの中には、同じく東急ハンズで購入した白い吸音材を内部全面(ネットワーク回路の部分は当然避けてある)に貼ってある。外形寸法は、28cm x 33cm x 45cm(W, D, H)となった。内部容積は31.5Lである。今回ははみ出たボンドの拭き取りなども丁寧に行ったため、外観は結構綺麗である。MDF木材が割と綺麗なので塗装は行わない(手抜き)

さて、本題の音質であるが、まず自分の耳で主観的に聞いた感想は
・音の歯切れがとても良く、人の声(Jazz Vocal系)は、とてもスッキリとして聞こえる。とても心地よい。
・ギター、バイオリンなども同じく歯切れ良くスッと出る感じで気持ちがいい。
・低音から高音へのつなぎは上手く行っており、とても聞き疲れしない感じで、主観的には全音域ある程度フラットなのかなという印象

以上の様な感想を持ち、自作スピーカーとしては及第点かなという感じである。おそらく某社の101スピーカーよりはよっぽど良い音が出ている。ギター、ヴァイオリンなどの弦系の音もとても柔らかく、伸びやかである。ダクトの周波数を無理に下げすぎていないので、無理に高音を強調したような箱鳴り的なボスボス感もなく、バランスが良い感じである。

さて、主観的な評価だけでは、そこらのオーディオ評論雑誌と同じであるので、計測を行った。
計測方法:
・ソフトウェア:Bachagi.h氏のMySpeakerを利用したピンクノイズを発生させて、マイクで取得しFFTを掛ける方法
・コンデンサマイク:ベリンガーEMC8000
・マイク取得、DAC : M-AUDIO Fast Track Pro
・パワーアンプ: DENON PMA-2000AE
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写真の様に、スピーカーからピンクノイズ(全周波数領域に対してフラットな音声信号)を出して、特性がフラットなコンデンサマイクで取得し、FFT(高速フーリエ変換)を掛けて、実際にどの程度の音が出ているかを計測した。理想的なスピーカーであれば、全領域がフラットな音が取得できるはずであるが、理想的なスピーカーは未だ実現されておらず、低音側は落ち、波形がフラットではなく、ギザギザに荒れるのが一般的である。スピーカー屋は、低音を如何に出すか?如何に波形をフラットにするか?などを日々研究している。

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参考までに、B&W N805と昨年自作したAltecのスピーカーの特性を比較表示する。
B&W N805

自作Altec CD408-8A 4本ダクトバスレフ

今回の特性を見ると、ネットワークによるウーファー・トゥイーターのつなぎはある程度上手く行っており、そこそこにフラットの特性になっている。昨年作成したAltecのスピーカーよりもギザギザっぷりが少ない様だ。低音も50Hz程度まで出ているので、低音多用のパイプオルガンや、ハリウッド映画の爆弾馬鹿映画をビリビリ感じたいみたいな要求が無ければ十二分に高音質スピーカーとして使えそうなスピーカーと言える。今回は割と見た目も綺麗なので結構良いスピーカーができたかなと思っている。

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部屋にスピーカーが溢れて来たが、写真右上のAltecは知人の新婚さんが引き取ってくれることになっているので、ちょっとほっとしている。

最後に、今回採用したスピーカーユニットを作っているDream Creationは、音が素晴らしいのはもちろん、開発者(代表者)が親身になって丁寧に質問に答えてくれるなどとても好印象である。興味があれば、宮下家に聞きに来て頂いてもOKですし、ちょうど今週末に国際フォーラムで開催されている変態オーディオのイベント”HI-END SHOW TOKYO 2008 SPRING“に出展されているようなので、足を運んでみてはいかがであろうか?

しばらく自作スピーカーはいいかなと思っているが、先日Sonus Faber の500万円オーバーのスピーカーを聴いて、ちょっと感動してしまい、ScanSpeakSEASのユニットを使った自作スピーカーをいずれは作りたいなぁと思う今日この頃である。

最後にどうでも良いことなのですが、ドリカムの録音って何であんなにクオリティが悪いのか不思議でたまりません。未来予想図IIなど聴くだけである一定の時期を懐古してしまうような歌唱力もある素晴らしい曲ばかりなのに、なぜあんなに録音がヘボいのか全く意味がわかりません。せっかくの良い音楽が残念でなりません。