写真のセンスはありませんが、カメラ好きなので、”今なら何のデジカメ(コンパクトディジタルカメラ=以下コンデジ)がオススメ?”と質問されることが多々あります。今回は、私がコンデジを買うということで、現況機種を少し調べてみました。
私は最初のディジタル一眼レフカメラ[以下デジタル一眼](Nikon D70←今でこそCanonですが最初はNikonを使っていました)を買ってから、コンデジは1度も買っていません。理由として
・デジタル一眼は、やはり高画質である。
・レンズが交換できて、様々な場面に対応できる。
・一生懸命お金を貯めて買ったデジタル一眼に対して、使わなくなると悲しい。
・(逆に)コンデジの画質・レンズなどをナメていた。
などの理由で、避けておりました。しかしハーフ還暦(30歳)を迎え、デジタル一眼を持って出歩くのが、疲れるようになってきました(笑)EOS-5D Mark IIを導入してから、カメラボディはかなり軽量化したのですが、それでもそう思うのでおっさん化爆進中でございます。しかし、ふと見つけた町並みや、オブジェクト、人との集まりなどでカメラは欲しいなぁという場面が多く、”カメラがあれば・・”と後悔するわけです。そこで、バックに投げ込んでおけるコンデジを買ってみようと思ったわけです。
コンデジは、軽量・小型というメリット以外は、デジタル一眼には機能面でかないません。それでも最近のコンデジは高性能化が進んでいますので、よく仕様を調べて妥協できる性能を持ったコンデジを選択しました。
私が今回コンデジを撰んだ選定ポイントは
(1)イメージセンサーが大きく、画素数が少ない
(2)明るく、高性能なレンズ
(3)ハイヴィジョン(HD)動画が撮れる
(4)RAW撮影ができる
(5)奥行きがでかくてバッグに投げ込めないのはNG
解説:
(1)デジカメと言えば画素数の多さみたいな文化がいまだ根強いです。しかし画素数が多くなると”1画素あたりのサイズが小さくなり”、S/N比、およびダイナミックレンジが低下し、撮影画像が低画質化・大ノイズ化します。WikipediaのCCDサイズのページから画像を以下に引用させていただきました。一般的なコンデジの1/2.5インチのイメージセンサーと、EOS 5D Mark IIが搭載しているフルサイズ(36mm x 24mm)では、これだけ面積に差があります。同じ風景・場面を撮るにしても、大きなイメージセンサーでおさめたほうが、多くの光を集められて、シャッター速度も高速化し、相対的に画質が良くなることがわかりますよね。この面積を”画素数”で割れば、1つ1つの画素のサイズが決まります。つまり同じ1000万画素でもイメージセンササイズが違えば、1画素のサイズは異なります。画素が小さくなると光を集められる量が少ないなどの理由で画質は劣化します。そういう意味で、コンデジを買う際には、画素数の多さではなく、”イメージセンサ-が大きくて、画素数が少ない物”の方が高画質を狙えます。では中古で300万画素のコンデジを買えば良いかというとそれも一概にはそうとも言えません。CCD/CMOSイメージセンサーの処理回路(いわゆる画像エンジン:CanonならDIGICみたいなもの)も常に進化し続けているからです。とはいえ、処理回路に比べ圧倒的にレンズ技術は成熟していますから、古い300万画素のNikonなりCanonのコンデジを使って、低ISOで撮れば今のコンデジに負けない高画質は狙える気がします。
(2)レンズの明るさは、絞りの開放値(いわゆるF(大文字)値)が小さいほど明るくなります。レンズが明るければシャッター速度を短くできて、手ぶれ・被写体ぶれの軽減、露光時間が短いので画像にノイズが乗りにくいなど良いことずくめです。また明るいレンズは被写界深度が相対的に浅いので、デジタル一眼の醍醐味である、一部だけピントがあって、他がぼけた写真などが狙えます。そういう意味で明るいレンズ搭載のカメラを選択したいものです。ここでも画素と同じようにF値だけで判定するのは難しいところです。最近の超薄型コンデジはレンズ群も超小さく、画質を犠牲にして小型化している可能性があります。また大ズームも危険です。大ズームを実現するためにかなり複雑な光学系になっていることも多いので、”見た目で大きなレンズ”、”ズームは2~3倍ズーム程度か、単焦点レンズ”を押さえた上で、F値が小さいレンズを選びたいと思います。
(3)このブログで何度も訴えておりますが、私は大切な場面・記憶を遺すという意味では写真だけにこだわる必要は全くなく、写真と一緒に動画も遺すべきと考えています。私の4歳の動画が残っていますが、”その撮影した事は全く記憶がありません”。写真+1行のコメントももちろん素敵ですが、動画で、その日の日付、場面、状況などを声で入れておくととても素敵な記録となると思います。当時の実家の建物を見るのも新鮮ですし、とても良いものだと思っています。そういう意味でハイヴィジョン動画は必須かと思っています。この1年は動画機能がハイヴィジョン化およびH.264化の波が来ている様で、対応機種が増えたようです。とはいえ、おそらく1年後にはコンパクトデジカメで、フルHD(1080p)+30fps+H.264で16Mbps程度(?)の高画質動画が実現するかもしれませんね。
(4)デジタル一眼では一般的なRAW撮影ですが、AWB(Auto White Balance)に全く信用をおいていないのと、写真の印象がホワイトバランスで全く変わってしまうことから、RAW撮影ができるのはうれしいことです。とはいえ、PCでの後処理を考えるとコンデジでRAWはやり過ぎかもしれませんね。
(5)上記の機能を備えていくと、コンデジとは言えども、大型になり(たとえばイメージセンサーやレンズが大きい=そのままカメラの外形サイズにつながる)、バッグに入らなくなってしまいます。普段持ち歩きのバッグに入らないのであれば、ディジタル一眼で良いじゃないかとなってしまうので、極端に大きいのは避けたいところです。
さて、こんな観点で現状のコンデジを選定しますと、以下の機種が候補となりました。
クリックすると大きな画像になります。
結果として、今回はPanasonicのLumix DMC-LX3を選びました。
選定理由・感想など
・Sonyはイメージセンサーの生産ラインを統一化しコスト削減を謀っているのがわかりますね。3機種ともに同じセンサーです。
・T900, T90はあの薄型ボディにレンズを詰め込んでいるので10群12枚の詰め込みまくり感がありますね。いくらカール・ツァイス製とはいえあまり期待できません。レンズもT90/T900は同じ様です。
・Sony T900は形もかっこいいし、ハイヴィジョン動画も素敵ですが、サンプル画像を見た感じのノイズ感、レンズがイマイチっぽく見送り。
・Sigma DP2はこの中での画質面で見たら一つ頭が出ています。コンデジにAPS-Cのサイズですから圧倒的です。しかし、使ってみた感じ、動さが遅く、カメラが大きすぎて見送り。とはいえ、一眼レフは持っていない人は良いカメラだと思います。
・Casio FC100は、宮下の用途ではやや機能不足ですが、ハイスピード撮影(毎秒1000フレーム)は魅力的です。ゴルフスイングには必須です(笑)。私は上位機種を持っているのでFC100は見送りです。とはいえ良い機種だと思います。
・Canon IXY 510ISは普通利用では大変すばらしいカメラです。私の要求機能としてはやや機能不足です。Powershot G10は、大きすぎるのと、動画機能が弱く見送り。
・Fuji F200EXRは大変すばらしいカメラで、とりあえずシャッター押せばちゃんとぶれずに撮れているカメラという意味で、かなり素敵なカメラです。私にはRAWが撮れないのと、マニュアル機能不足で見送り。
・Nikon S710は、知り合いがNikon勤務が多いので書くのも心苦しいのですが、他社に比べやや出遅れ感はありますね。デジタル一眼が調子良いので、コンデジもがんばってほしいです。
以上の理由は、実は一瞬で決まっていまして、実際に悩んだのは、RicohとPana(or Leica)です。
・RicohのGR-Digital IIとGX200は、イメージセンサーも大きく、画素数も抑えており(少なく)、RAWも撮れるので画質は期待できる。小さくて使いやすい。1:1のスクエアフォーマットも撮れる。しかし動画が弱い。あと周りで使っている人が多く、ちょっと避けたい(笑)
・Leica D-LUX4は、PanasonicのLX3の完全OEMで外観だけ変えて販売しています。性能は全く一緒ですが値段が非常に高い。しかしLeicaのロゴはかっこいい(私みたいなのが正にカモの消費者ですね・・)
・PanaのLX3は、イメージセンサーも大きく画素数も抑えられ、レンズもLeicaのレンズで明るく、無理もなく、動画も若干怪しいですが720p (24fps)対応、さらにRAW撮影できる。
結果としては、Leica D-lux4とPana LX3を迷い、安いLX3に至りました。まぁ、現状のコンデジとしてはコストパフォーマンスも含め大変良い機種だと思います。
今回は、私の要求が普通のコンデジの要求よりも高いためLX3になりましたが、普通に使う分なら
Sony T900, Casio FC100, Canon 510IS, Fuji f200EXR, Nikon S710あたりがおすすめです。ハイヴィジョンを撮れることを考えると
T900かFC100か510ISくらいが良いあたりではないでしょうか。
さて、購入したLX3で撮影してみました。RAWで撮影しPhotoshopでJPEG現像しています。
*すべての画像はクリックすると生サイズで最低圧縮・最高画質JPEGの画像を表示できます。
比較のために、Canon EOS 5D Mark II + EF100mm F2.8 Macro USMの画像を載せています。同じくクリックすると拡大できますので、比較になれば・・。
Panasonic DMC-LX3 RAW, ISO80, F5.6
参考:Canon EOS 5D Mark II + EF100 Macro : RAW ISO100 F3.5
参考:Canon EOS 5D Mark II + EF100 Macro : RAW ISO100 F9
■被写界深度・ぼけっぷり調査
Panasonic DMC-LX3 RAW, ISO80, F2.4
Panasonic DMC-LX3 RAW, ISO80, F7.1
*すべての画像はクリックすると生サイズで最低圧縮・最高圧縮JPEGの画像を表示できます。
参考:Canon EOS 5D Mark II + EF100 Macro : RAW ISO100 F2.8
参考:Canon EOS 5D Mark II + EF100 Macro : RAW ISO100 F9
Panasonic DMC-LX3 RAW, ISO80, F2.4
Panasonic DMC-LX3 RAW, ISO80, F6.3
■まとめ
・コンデジの画質をナメていましたが、最近のカメラはよく写りますね。十分に使えそうな感じです。
・デジタル一眼の画像はやはり、被写界深度も薄く、ぼけも美しく、ノイズも少なくすばらしいと改めて感じましたので、今後もデジタル一眼はお世話になりそうです(そうじゃないと、悲しい・・)
・使い方も複雑ですが、LX3良い感じです。ちょっとマニアックなカメラをお探しなら1候補のカメラではないでしょうか?