日ごろからの不満を解消するものが米国から届いた。現時点では、あまり必要のない人が多いかもしれないが、あと1,2年もすれば多くの人が利用している(または同等機能を有する機器)だろうと思う。購入したものは、米国Octava社のHDMI切り替え機(スイッチ)である。今回のエントリーは、この商品の魅力をたっぷり紹介する(笑)。今後の地上波ディジタル(地デジ)に移行していくときに、HDMIをいずれ知ることになるので、ここで単語くらい覚えておいても損はない。
最近のハイヴィジョンテレビは、今まで主流だったアナログ信号を用いたD端子からHDMI (High Definition Multimedia Interface)に移行しはじめている。HDMIは、その名の通りHD(ハイヴィジョン)の映像および、音声(マルチチャネル対応)を1本のケーブルでディジタル転送する規格である。HDMIは、HDMI Licensing, LLCというところが規格を定めており、実際にまだ確実に規格が安定しているわけではないが、最近の動向を見ると少なくともD端子は置き換えそうな気がする。細かい規格はおいておいて、地デジ、BS/CSディジタルで一般化するハイヴィジョンは、D端子や昔よく利用していた黄(映像)、赤(音声:右)、白(音声:左)の3本線で接続する方法ではなく、映像・音声(2chステレオではなく、5.1chなどのマルチチャネル対応)も含めて1本という非常にシンプルなものに変わっていく(参考:RCA端子 – Wikipedia、コンポジット映像信号 – wikipedia)
今後HDMIが普及していくのは間違いないのだが、現時点ではまだ完全に普及しているとは言い切れず少し問題がある。私の日ごろからの不満とはこの問題に起因するものである。私がワールドカップに合わせて買ったSharp Aquosは、フルスペックハイヴィジョンテレビとしてHDMI端子を備えている。しかし、そのHDMI端子が1つしか付いていないのだ。私のAquosの主な端子リストと現在の接続状態を紹介すると
Aquos端子 < = > 接続先(機器)
(1) HDMI < = > Apple Mac mini (Intel, DVI-HDMI変換ケーブル)
< = > 1080iアップスケーリング対応DVDプレーヤー(HDMI)
(2) D端子(a) < = > Toshiba Vardia (HDD/DVDレコーダー):D端子(D3接続)
(3) D端子(b) < = > Xbox360:D端子(D3接続)
(4) DVI端子 < = > 接続なし
(5) iLink端子 < = > 接続なし
(6) RCA端子(映像・音声) < = > 接続なし
現時点でAppleのMac miniとDVDプレーヤーがHDMIを取り合っており、見るときにテレビの裏側にまわってケーブルを抜き差ししているという最悪な状況である。Apple Mac miniはDVI端子であるため、本来は、(4)DVI端子に接続すれば良いのであるが、SharpのAquosは、DVIで1920×1080のフルスペックハイヴィジョン解像度に対応していない(最大1280×1024)。そのため、この端子はフルスペックの出力ができるMac miniには全くもって必要のない端子となっている。また、(2)のD端子(a)にToshiba Vardiaが接続されているが、テレビのHDMI端子が足りないため遭えなくD端子接続をしている。また、将来導入されると思われるハイヴィジョンビデオカメラや、Playstation3もHDMI端子で接続することを考えると、テレビ側にHDMI端子が少なすぎるのだ。
新しいAquos(10/1発売)やPanasonicのVIERAなどは、HDMI端子を2個(または3個)程度備える機種も発表されてきたが、私のAquosは1端子なのでなんとかこの問題を解決しないといけない。一方でテレビを映像と音声の出力機器と考えた場合は、1個のHDMIでも良いのかもしれないとも思っている。それはDenonのAVアンプ AVC-4320などは3つのHDMI入力と、1つのHDMI出力を持っているため、DVDプレーヤー、HDD/DVDレコーダー、ゲーム機などのHDMIをまずAVアンプに入れて、テレビに1本で出すという方法があるからである。しかしAVアンプ(HDMI端子はない)は持っているし、HDMI端子の為だけに買いなおすのも気が引ける。そこで、足りない端子を補うために、HDMIのセレクター(スイッチ)を購入することにした。
HDMIセレクターは、まだ商品の数が少なく極めて高価な機器である。最近、エバーグリーン社が、EG-HDMI301という商品を低価格で発表して少し話題になった(3ポートのスイッチで29800円)。29800円で低価格といわれるのは、この商品がでるまでHDMIセレクターといえば、GefenのHDMIが有名であり、品質も良さそうだが、ただのスイッチ(セレクター)にもかかわらず10万円を超えていた。この値段だとケーブルを毎回抜き差しするのも仕方ないとあきらめていたときに、上記のエバーグリーン社の29800円というのは低価格として取り上げられた。私もエバーグリーンを注文しようかとネットを検索していたら、米国のOctava社のHDMI Switchを見つけてしまった。だらだら書いてしまったが、結局買ったのは、このOctava社の製品である。
4 x1 HDMI switch with 4×1 Optical Audio
この商品は大変素晴らしい。エバーグリーンの3ポートを越える4ポート搭載であり、光音声ディジタル(角型、同軸)も同じく4ポート備えて同時に切り替えできる。しかも値段は299ドル(送料30ドル)とエバーグリーン社と大して変わらない。ただのスイッチで300ドルは決して安い買い物ではないが、今後のことを考えると思い切って買ってしまった。
ここで多少矛盾があることに気が付くかもしれない。HDMIはハイヴィジョン映像とマルチチャネル音声を1本で実現する規格である。にもかかわらず光音声ディジタルのスイッチが付いている必要があるのか?という点である。HDMIは確かに5.1chのドルビーディジタルやDTSおよび将来的な規格も含んだ音声に対応しているが、テレビに接続した場合、結局テレビスピーカーが貧弱な2チャネルステレオであるため、映画、ゲームなどのマルチチャネルを再生できない。つまりAVアンプに音声を渡さないとせっかくのリアスピーカーの音が再生されないのだ。この点を考えても上述した高価な複数のHDMI端子を備えたAVアンプを購入すればすべて解決なのだが、それは現時点では金銭的な面で実現できない。そこで、光音声ディジタルを同時にスイッチしてその出力を今持っているAVアンプに入力すれば、マルチチャネルの音声を再生できる。
先日のCEATECのエントリーでも記載したのだが、HDMIから入ってきたマルチチャネル音声を、Aquosの光ディジタル音声出力にマルチチャネルのままスルーし、それをAVアンプにつなぐことができれば、このディジタル音声のスイッチは必要なくなるのであるが、Aquosの光ディジタル出力は、地デジ、BS・CSディジタルの放送から来たマルチチャネルを出力するだけで、HDMIから来たマルチチャネルを出力できない。この機能は是非実現してほしい(何度もシャープにはお願いしてある)
では、商品の写真を紹介。

4×1 HDMI + 4×1 TOSLINK/Coax(角型と同軸両方対応:すばらしい) スイッチ
しかもリモコン付き。今回は同時購入で、4本のHDMIケーブルを購入した。ケーブルの品質はあまり良いとはいえないがかなり格安であった。ディジタル転送なので理論的にはちゃんと接点していれば劣化は少ないだろうと仮定。

Octava社は、HDMIスイッチのみであれば、5×1 HDMIスイッチという製品も売っている。私もHDMIは多くても困らないのでこの商品を狙っていたのだが、音声切り替えが唯一付いている4×1のものにした。つまりこのリモコンはこの会社の製品共通のものであり、5番まで切り替え番号が付いている。なんともせこいがしょうがない。

表側。デザインは良くない。
スイッチ自体は非常に軽く、金属も重厚感がなく極めて華奢である。しかしまだまだ高価なHDMIセレクターという商品を考えた場合、それはしょうがないとあきらめられるほどの内容だと思っている。Octava社によると日本での販売実績はほとんどないということで、敢えて写真までとって紹介することにした。同じようなことを考えている人がいたら参考にしてほしい。エレコムあたりが作ってくれればきっと一気に値段がさがると思う。おそらく、1年後には同じ仕様で10000円程度で出回っているのではないだろうか?
このスイッチ導入により以下の接続になる
Aquos端子 < = > 接続先(機器)
(1) HDMI + 4×1 HDMIスイッチ
< = > Apple Mac mini (Intel, DVI-HDMI変換ケーブル)
< = > 1080iアップスケーリング対応DVDプレーヤー(HDMI)
< = > Toshiba Vardia (HDD/DVDレコーダー)(HDMI)
< = > Playstation3 or ハイヴィジョンビデオカメラ(将来)
(2) D端子(a) < = > 接続なし
(3) D端子(b) < = > Xbox360:D端子(D3接続)
(4) DVI端子 < = > 接続なし
(5) iLink端子 < = > 接続なし
(6) RCA端子(映像・音声) < = > 接続なし
このようにずいぶんすっきりする。PS3とビデオカメラですでに足りないような気がするが、まずこの2つを買うか分からないということと、DVDプレーヤーと、HDD/DVDレコーダーは将来Blu-rayレコーダーが来ればひとつにまとまるので4端子で問題ない。Octavaはそれを見込んで(?)4×1にのみ音声切り替え機能をつけたと勝手に解釈している。