東京からの星

ラボの後輩が赤道儀を買った.赤道儀とは,地球の自転軸に平行な回転軸(極軸)と,これに直行する回転軸(赤緯軸)を持ち,天体の日周運動に合わせて自動的に回転し追尾するものである.簡単にいうと,カメラで星を長時間とると,星は動いているので線に伸びたように写るけど,この赤道儀にカメラを載っけておけば,星と一緒に動き,星が線にならず”点”で見えます装置.この後輩が買った赤道儀を使わせてもらって自分の一眼レフで星の写真を撮ってみた.東京目黒の大学の屋上からなので周りが相当に明るい.そんな東京からでも星はちゃんと見えているので,ここで紹介.お忙しい皆様,ふと立ち止まって星を見てくださいね.見えにくいものですが,ちゃんと星の光は届いています.下の写真には,北極星とカシオペアが写っています分かります?

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東京から見た北極星とカシオペア(など)
EOS -1D MarkII + Sigma 15mm Fisheye f/2.8 + An Equatorial Telescope
RAW, ISO100, F8, Bulb 5min

*5分撮りっぱなし(バルブ)なのに星が点に見えるのは赤道儀のおかげです.その代わり町の光が動いていますね.

北極星とカシオペアは見つかりました?

分からなかった方はこちら↓
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キューブサット(CUTE-I)用アンテナ

手作りで開発した超小型衛星CUTE-I 今日も元気に宇宙からデータを電波に乗せて届けてくれました.電波にのっかってくるので,もちろん地上ではアンテナを使って電波を受信します.この写真は,ウチのラボがある建物の屋上に設置してあるCUTE-I用(今度の冬に宇宙へ打ち上がる2機目の衛星(Cute-1.7 + APD)も兼用)アンテナ.テレビ用のアンテナに似ているのですが,エレメント(枝)がクロスになっているのが分かるかと思います.このアンテナはクロス八木アンテナといって,衛星の電波受信には有利な形となっています.今は,写真の左側を向いていますが,実際に衛星が東京上空を通過中は,衛星方向に自動で向きます.CUTE-Iは時速約28000キロで飛んでいますから,この大きなアンテナもかなりのスピードで動きます(約10分程度で東京上空を通過します)

写真の説明:雲にかかっているのは月です(今日の月).右にある星は火星です.明るく見えますが,夜8時頃です.奥に見える夜景は品川付近です.

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CUTE-I 受信アンテナ(145MHz デュアルスタッククロス八木アンテナ & 430MHzクアッドスタッククロス八木アンテナ & 1.2GHz, 2.4GHzパラボリックアンテナ)

EOS 1D-Mark II + EF24-70mm F2.8L USM
RAW, F5, 6sec, ISO400, Picture Style : Natural

最近の悩み

生きている限りそりゃ悩みもあるさということで,2日前に悩んだこと.

中国の海水浴の写真を見た.日本の海水浴場も夏といえばすごい混み方だが,その写真の人の数は半端ではなく,朝の通勤ラッシュ並みの混み方で海岸が埋め尽くされている.さすが中国という感じなのだが,その写真を見ると人間が多くの虫のように見えた.

今の環境や今の子供たちはどうかわからないけど,私が子供だった頃毎日のように山なり川なり遊びに行ったものだ.山や川や畑で大きな石をひっくり返すと,そこには小さい虫がうじゃうじゃいた.その小さい虫たちのうじゃうじゃ感がさっきの海水浴の写真を見たときに思い出したのだ.

二日前の悩みとは,そろそろ地球に来るはずの他の星からきたお客さんが,恐竜の様にデカイ生物だったらちょっとやばいかなと心配になったことである.私は,他の星に遊びに行くくらい進んだ技術をもっている生物はとっても良い奴ら(性善説)だと信じている.そいつらにいろいろ宇宙工学の事を聞きたいのだ.だけど,恐竜くらいでかい奴らだったら人間を”石をひっくり返して見かけたうじゃうじゃ虫”のように見えちゃって会話もくそもないのではないかと思った.

知性・理性を備えた生物は自分たちと同じ程度の姿形である保証はない.事実,人間よりもずっと長い間,恐竜たちはこの星で過ごしていた.何かのきっかけで恐竜たちも知性を持ち始め,フラスコを振ってリトマス試験紙を使っていたかもしれない.そう考えると,今度(明日かもしれないし,ずっと先かもしれないけど)地球に来る連中は,自分たちと同じくらいの大きさが良いなぁ・・・.と地球の人間らしいちっぽけな悩みを持ってしまった.会話するときに首が疲れるのイヤだし・・・.

とにかく早い来客を期待しましょう.とりあえず何語で話そうか・・.数学だな.まずは,セシウムの共鳴周波数(原子時計)を使って地球の時間を教えて,その時間で切り取った光のスピードで長さを調整しよう.うーむ.楽しみだ.

さいころを振って1が出る確率は1/6しかない.1を出すための積極的な解決は6回振ること.知性・理性をもった生物がいる確率を1/1億だとしても,星は1億以上あるから大丈夫そうだ.具体的なサンプルがこの星にあり,今ブログを書いている.

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ミニカー

CUTE-I Blogスタート

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もう2年以上も宇宙で活躍している,我々が手作りで開発した人工衛星”CUTE-I“.
そのCUTE-Iが,ブログを書き始めることになりました.
その名も,CUTE-I Blog.
今,各界の社長さんたちや,芸能人さん達,もちろん一般の人たちも書いているブログを衛星が書いているのは,たぶんこのシステムだけだと思います.

衛星が書いているブログとは何でしょうか?
もちろんCUTE-Iがキーボードを使ってブログのエントリー(記事)をかいているわけではなく,
CUTE-Iが電波を使って地上局(東工大にあるデータ受信のためのアンテナなどで構成されるシステム)にデータを送っており,そのデータをそのままブログの記事として投稿するシステムを開発いたしました.確かに疑似的ではありますが,リアルタイムで自動でCUTE-Iが送信しているデータが記事になるので,いわば衛星ブログとなります.

CUTE-Iは我々が開発した最初の衛星であり,先日打ち上がった”すざく”のように宇宙開闢の謎に迫るなどな大きなミッションを実現する機能は持っておりません.CUTE-Iの第一ミッションは,学生の手作りですべての衛星システムを設計し,開発し,実際に地上から運用することです.CUTE-Iは,長期動いている衛星では,東大のXI-IVと並んで世界最小の衛星です.そんな小さな衛星ではありますが,コンピュータ,センサー,無線機,太陽電池,バッテリーなど最低限コンポーネント(衛星バスといいます)を超低価格(秋葉原の部品など多数)で実装し,現実に2年間動作しています.この衛星バスの技術をちゃんと実証することで,次にあがるCute-1.7 + APDという衛星などでチャレンジングなミッションに挑戦できます.つまり現在,CUTE-Iから送信されるデータは,CUTE-Iの状態を示すデータ(例えば,衛星内部時計の時間や,バッテリの電圧など)がほとんどで,そのデータをブログの記事として掲載していますから,もしかしたら皆さんはそれほど面白いものを感じないかもしれません.

しかしこのシステムには未来へ向けたヴィジョンがあります.実は,このブログシステムを作ったのではなく,衛星のからのデータをリアルタイムであらゆる扱い易いデータに変換してブロードキャスト配信をするシステムを開発しまして,その一部がブログという,みなさんのアクセスしやすい形になっています.そのほかにも,いろいろなフォーマットで同時配信しています(詳しい説明は省略します)
つまり,衛星のデータ(例えば,地球を撮った写真,他の銀河を撮った写真,宇宙で検知した地震の予兆,海面温度,鯨の生息状況など)あらゆるデータが,リアルタイムで皆様に届けることができるシステムです.昨年は,某衛星のカメラデータを用いて,リアルタイムの地球映像を皆様に届けるよう,システムを開発して技術的にはクリアになったのですが,多少問題がありまして実現しませんでした(また挑戦してしたいですが・・).
私が宇宙工学を専攻しているミッションは”宇宙をできるだけ綺麗にリアルに皆様に伝える”ですので,このシステムは私のミッションの一部の具現化ともいえます.(実はこのシステムが広まった頃に,次の蓄えている別の概念システムを公開する予定です)
今回のシステムは,リアルタイムサテライトコンテンツプロバイディングシステムと名付けておりまして,後でCUTE-I Blogをご覧になっていただきたいですが,このシステムにより将来の面白いイメージが少しでも皆様の頭に浮かんでくれることを祈っています.

では,CUTE-I Blogサイトアドレスの紹介ですが,CUTE-I Blogを開きますと,毎回の記事にCUTE-Iが送っている(CUTE-Iがしゃべっている)データがエントリーとして公開されています.
バッテリーの電圧やら,温度やらデータが載っています.
そこに,
“この位置を地図上で表示・・・・CUTE-I Position & Telemetry System (Ver1.0)”という
リンクがありますので,是非クリックしてみてください.
そこでは,今流行りのGoogle Mapを用いてそのデータを送ったときのCUTE-Iの位置と東工大地上局の位置を動的に生成し表示するページが開くはずです.
マップ上のCUTE-IのアイコンをクリックするとCUTE-Iのデータが吹き出しとして表示されるはずです.
いかがですか?今はバッテリー電圧などですが,将来いろいろなヴィジョンが描けるのではないでしょうか?同じく”クリップ”のアイコンをクリック(東京地方)すると,東工大地上局の位置と,東工大地上局からCUTE-Iがどの方向に見えて,何キロ離れているかなどの情報が表示されます.
現在,このマップシステムはGoogleだけですが,他の地図システムおよび,私が提案しているより協力なシステムに貼り付ける予定です.今回は,扱いが簡単なGoogle Mapを利用させてもらいました.Google Mapをここまで動的にグリグリいじっているのはまだあまり無いかと思います.

では,ご覧になってください.

CUTE-I Blog : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/

もちろん,同時にRSSでもテレメトリデータを配信しています.

RSS(Rich Site Summary) Ver 1.0 : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/index.rdf
RSS Ver 2.0 : http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/spacerium/cute1blog/index.xml
RSS Viewerなどをお使いの方はアクセスしてみてください.

上記のアドレスにも分かるように,このシステムは”spacerium”という別名を持っています.
スペースリウム(spacerium)とは,宇宙(space)+場所(rium)という私の造語であり,
いろいろな方に宇宙を身近に感じてもらえるような様々な場所,手段,環境を提案し開発しましょうというプロジェクト名です(私だけそういっている)
このシステムをご覧になって,衛星のデータがより身近に感じていただければと思います.

そういえば・・

最新の宇宙論によると,

”我々の住む宇宙は,11次元空間の中に浮かぶ4次元空間の膜”

だそうです.

全くワカンネーので,ちょっと勉強してみます.工学ばっかりやっていると理論に弱くなるなぁ.

Google Moon.

Google Earthに続いてGoogle Moon.

http://moon.google.com/

こんなシステムは技術的には簡単なんだけど,コンテンツが個人では勝てん.
近々公開する自分のシステムに期待してくだされ.

すざく用34mアンテナ

先日うち上がったX線観測衛星すざくを地上管制している34mアンテナです.
すざくが内之浦上空を通るときにこの大きなアンテナが追尾して,データを送受信します.
すごく大きくてかっこいいアンテナでした.

なんせ,まだスキャニングがなれなくて色が安定しないなぁ・・・.
ま,じょじょに腕を上げます.

*追記
ちょっと家に帰ってみるとやっぱり色がおかしいことに気づく.むずかしいなぁ.青かぶりしちゃってる・.

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Hasselblad 500C/M + Carl Zeiss Planar 80mm f/2.8 + E100VS

JAXA M-V#6大成功!

本日,延期されていたM-V#6ロケットが無事打ち上げられました.

JAXA M-Vロケット6号機:打ち上げ成功→予定通り衛星Astro-EIIを分離に成功
衛星(Astro-EII):分離成功,初期動作成功,現在正常に動作中
東工大が行った実験(TSD):成功!分離試験というのを行ったのですが,無事成功いたしました.
Astro-EIIの今後はリポートしていきます!(担当者はこれからが勝負です!)

5秒の実験に3年間掛けてきまして,無事成功いたしました.はぁぁよかった~.

打ち上げの振動すごかったです!!びびびびびび・・地響き!すごかったです!

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M-V#6
EF 70-200mm f/2.8 L IS USM

打ち上げが延期→人工衛星の仕組み

本日は,携わっているJAXA M-Vロケット6号機の打ち上げ日.
しかし,今日は南九州地方の大雨により10日以降に延期.
残念ですが,あまり天気が悪いとやはり打ち上げられないので,とりあえず内之浦で待機です.

では,今回は簡単に人工衛星の原理を紹介します.
興味があるかたは,是非考えて理解してみてくださいな.
何か疑問があれば,なんなりとおたずねください.

惑星の周りをまわり続ける天体を衛星といいます.
地球は月という衛星をもっています.もうずいぶん長い間地球のまわり(38万キロ離れている)をまわっています.女性にリズムがあったり,潮の満ち引きなど月はとっても地球に影響を及ぼしています.

人間の手で作った衛星を人工衛星といいます.
では地球のまわりをまわり続けるための原理はどうなっているのでしょうか?
実は人工衛星が地球を回っている”基本”原理はとっても簡単です.
今回は,細かい難しいことはおいといて,基本の原理だけ説明します.

リンゴが地面に落ちる.ニュートンくんが発見した万有引力の法則というものです.
地面に落ちるという法則ではなくて,”すべてのものは,お互い引っ張りあっている”という法則です.
法則というより物理現象なのですが,表現に関してはあまりこだわらないようにしましょう.

全てものがひっぱりあうので,私たち人同士もそれぞれひっぱりあっています.よって,地球とリンゴもひっぱりあっているので,リンゴが地面におちる法則じゃなくて,リンゴと地球がひっぱりあっているということをニュートンくんは言いたかったのですね.
人間同士もひっぱりあっているのに,人間同士が飛んでいってぶつかることはありませんよね.
それはなぜでしょう?

ポイント1:引っ張られる力は,重いものほど強く引っ張る

つまり,人間同士も引っ張られているのですが,人間は軽いのですごくひっぱる力が弱いのです.人間の足腰のほうが強くて,AさんとBさんが並んで立っていても,引き合ってぶつかりあうことはありません.
まあ,そういうことがあったら,ロマンチックが止まらなくて素敵なこともあるかもしれませんね.

こんな小さな力ですが,地球くらい重い物体ですと,引っ張る力が無視できなくなります.飛び降り自殺できるのも,高いビルの上にいる人間を地球がモーレツにひっぱってくれるから落下することができるわけですね.その時,人間を構成している分子よりも,地面の土とかアスファルトのほうが強い(堅いので),人間の構成が分解され,死ぬことができるという仕組みです.話が暗くなりました.

万有引力にはもう1つのポイントがあります.

ポイント2:近づけば近づくほど強く引っ張る

つまり,ニュートンくんが発見した万有引力は,”全ての物体は,近ければ近いほど,重ければ重いほど強くひっぱりあう”といえます.なぜ,ひっぱりあうのか?なぜ近ければ強いのか?なぜ重ければ強いのか?それは,この宇宙を作ったときにきまっているので,しょうがないです!

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さて,話を変えます.

車を運転していて,例えば左急カーブを曲がっているときに,車にのっている人はどのような力をうけるでしょうか?左急カーブのときは,体が右に流れますよね?これは,遠心力と呼ばれる力です.
では,
A:時速40キロでカーブを曲がる
B:時速100キロでカーブを曲がる
この2つの場合,どちらが強い遠心力を受けるでしょうか?
経験的にBのスピードが早いほうが強い力をうけると思います.

つまり,
ポイント3:物体が回っているときには回っている外側に力を受ける.しかもスピードが早いほうが強い.

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さらにこれはなかなか体感できないのですが・・
ポイント4:物体が重ければ重いほど遠心力は強い.

まとめると,遠心力は,”物体が何かを中心に回っているときに,重ければ重いほど,早ければ早いほど,外側に力を受ける”

実はこの二つの日頃お世話になっている力,”万有引力:リンゴが落ちる”,”遠心力:カーブで外側に力を受ける”だけで人工衛星の基本の原理が説明できます.

人工衛星は,やはり人間がつくったとはいっても物体なので,万有引力の例外ではなく地球にひっぱられて落ちてきます.
そこで,地球の丸(へり)に沿って人口衛星を回してみます.

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上の図にあるように,地球のへりに沿って飛ぶと,
A:万有引力によって地球の中心にひっぱられる
B:遠心力によって,外側にひっぱられる
ことになります.このAとBが同じ力でひっぱりあったとしたらどうでしょう?いつまで落っこちず,かといって地球の外にも飛んでいかず,ずっと地球の周りをまわることができます.
これが人工衛星の原理です.

ここでポイントは,人工衛星の回るスピードです.
遠心力は,上で説明した”ポイント3”に従って,スピードが早ければ遠心力が強くなっていきます.
地球の引力と同じ遠心力になるスピード,つまり人工衛星のスピードを”第1宇宙速度”といいます.

では,人工衛星のスピード:第1宇宙速度はどのくらいだと思いますか?
私たちが開発した人工衛星CUTE-Iは,秒速8キロくらい.時速に直すと時速28800キロというモーレツなスピードで飛んでいます.地球の引力と同じくらいの遠心力を得るためには,時速28800キロを出さないといけないってことですね.時速288800キロですと,地球1周が40000キロなので,約1時間半で地球を1周してしまいます.恐ろしいスピードですね.1日15周ちかく地球を回っています.

ここで疑問が生じているかもしれません.”ポイント1”,”ポイント4”の関係です.重さが重いほど,引力は強くなり,重さが重いほど遠心力が強くなるという点です.実はこれは上手い具合に釣り合っています.重さが重ければ引力を強くうけますが,重さが重ければ遠心力も強いので,人工衛星のスピードはその重さに関係ありません.スペースシャトル(もちろん地球の周りをまわっているので人工衛星です)とCUTE-Iは,重さはあんなに違ってもスピードはほぼ一緒です.

さて,最後に”ポイント2”にとってもおもしろい話があります.地球から引っ張られる引力は,近ければ近いほど強いというものでした.逆にいえば,遠ければ遠いほど引っ張られる力が弱いことになります.人工衛星は,地球の引力と,遠心力の力が釣り合って回り続けられるということでした.
つまり,地球から離れれば,遠心力が小さくても釣り合うため,つまり人工衛星のスピードもゆっくりでいいことになります.

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CUTE-Iは,地上から840kmの高さを飛んでいます.その引力と釣り合うためには,時速28800kmが必要でした.1方,今年3月に打ち上げ先週から正式運用がはじまった気象衛星ひまわりは,36500kmという非常に遠いところにいます.地球からかなり遠いので,引力が弱く,その引力に釣り合う速度は,時速9500kmです.この時速は1日に地球を1回まわる速度です.
気象衛星ひまわりの映像をよく天気予報でみますよね.その映像はいつも日本の映像ですよね.ひまわりは静止衛星といって,いつも日本上空にいます.実際にひまわりはその場に静止しているわけではありません.地球はひまわりと同じく1日に1周自転しています.静止衛星は,実際に静止しているわけではなく,地球の自転と同じスピードで飛んでいます.

人工衛星のこの基本原理によると,地上でもすごいスピードを出せれば人工衛星になることができます.しかし,地上には空気があって,人間が走るときも向かい風ではスピードが落ちちゃいますよね?それと同じで,空気抵抗によってせっかくの衛星のスピードが落ちてしまい,遠心力が弱くなってすぐ地上に落ちてしまいます.その為,地球の空気が無くなる高度100キロ以上に打ち上げています.

ロケットは,
・空気がないくらいまでの高さまで持ち上げる
・人工衛星に第1宇宙速度まで加速して切り離す
ための乗り物になります.

人工衛星は,宇宙をエンジンで飛んでいるようなイメージがありますが,
ロケットから遠心力と引力が釣り合うスピードをもらって切り離されているため,
エンジンとか無くてもずっと飛んでいることができます.ちなみにCUTE-Iは200年近く地球を回り続けます(いろいろな影響で永遠にはまわっていない.地球におっこちる)

逆に今,壊れた衛星が地球のまわりをうようよ漂っているため,宇宙デブリ(ゴミ)として深刻な問題になっています.我々の開発している次の衛星Cute-1.7 + APDは,自分で実験が終了後地球におっこちる軌道離脱の仕組みを持っています.

いかがでしょうか?非常に長文ですのでいったい何人が最後まで読んでくれたか甚だ疑問ですが,こんな原理で人工衛星はとんでいます.
これから,ロケット打ち上げというニュースをみたら,”お?このロケットはなんの人工衛星が乗っているのかな?”とか思ってくれるとうれしいものです.