ETS-VIII (きく8号)の世界最大アンテナが開きました!!

先日打ち上げられた日本の宇宙機関JAXAと宇宙メーカーが開発したETS-VIII (きく8号)の世界最大アンテナが開きました!!

関連記事: 技術試験衛星VIII型「きく8号」の大型展開アンテナの展開結果について

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画像提供: JAXA

ETS-VIIIに関しては、先日のブログ(日本のロケットと人工衛星が打ち上がります)をご覧ください。

12/18にJAXA H2-AロケットによってETS-VIIIは地上から282kmの高さに打上げられました。地球の半径は約6400kmですから、宇宙といっても地球のヘリをスレスレに回っていることになります。我々の作った人工衛星も高度800kmを回っており、100 – 1000km程度の高度で回っている人工衛星を低軌道衛星と呼びます。今まで約10000の衛星が打ち上げられていますが、そのほとんどが低軌道衛星です。低軌道衛星は、高度によって速度が違うのですが、大方秒速8km ( = 時速28000km)程度のモーレツな速度で地球を回っています。

低軌道衛星に対して、静止衛星(静止軌道衛星)というのがありまして、地上から約36000kmというとても高い軌道の衛星がいます。静止衛星は気象衛星ひまわりなどが有名でしょうか?その名の通り、常に日本上空に居て日本の気象を撮影しています。そのことから静止衛星と名付けられているのですが、実際に”静止”しているわけではなくて、地球の自転と同じ速度でまわっているため、常に日本上空にいます。今回のETS-VIIIも静止軌道に乗っています。実は12/18に低軌道に打ち上げられたあと、ETS-VIIIは4回キックして低軌道282kmから静止軌道36000kmまで自ら蹴りあがりました。キックといっても足が付いているわけではなくて、モーレツな噴射をしてその推進力で高度を上げていくのですが、業界的に”キック”なり”蹴る”っていう表現を使います。ETS-VIIIおよび地上管制、関係者さんたちは、クリスマス返上でこの4回のキックを行い、静止軌道に乗った後今回の2枚のアンテナ展開に成功しました。

前回のブログにも書いたように、ETS-VIIIは最先端の宇宙通信実験を行います。地震などの災害時、地上の通信網は断裂する可能性があります。その際に、宇宙通信を使って被害の及んでいない地域との連絡をするなどの実験を予定しています。低軌道衛星だと、常に日本上空に居るかわからないので、ETS-VIIIは静止軌道まで上がりました。

今回のロケットおよびETS-VIIIの目的は、”これから”行う通信実験によって新しい技術試験を行い、我々の将来の生活に役立てることです。ロケットの打上、軌道高度を上げるキック、アンテナ展開などは極めて難しい技術で、その成功もとても喜ばしいですが、これからが本当の実験なので注目していきたいと思っています。

ETS-VIII (きく8号)の世界最大アンテナが開きました!!」への2件のフィードバック

  1. 最初にJAXAのページに掲載されている縮小版画像を見たとき、あまりに綺麗に展開しているので、想像図のCGかと思いました。キャプションを見たら搭載カメラの実写でびっくり。

  2. ひらやまさま>

    全く同感です。最初CGかと思いました。
    妙に綺麗な映像で展開予想CGかと・・。
    とりあえず、ここまでうまくいって本当に良かったです。

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