“能”を見に行ってきました。喜多流職分会の自主公演能

先日、池尻にある大変おいしくて、素敵な寿司屋をdairaさんに紹介して頂きました。とても素敵なお店には、とても素敵なお客さんが付きもので、私の隣にいらっしゃった方も、例外に漏れず能楽師の名家の方でした。

能ももちろん流派があり、お会いした方は、喜多流職分会の”粟谷能の会”の粟谷明生氏でした。

参考:
粟谷能の会公式Webサイト
粟谷明生氏の公式ブログ

その際に名刺を交換することができまして、本日、その粟谷さんがシテ(主役)を務める”能”を見て参りました(ご招待頂きました)。芸術に疎い私にとって、能は初めての体験であり、多くの感動がありました。

演目は”雲雀山(ひばりやま)”、前シテ・後シテを粟谷さんが演じていらっしゃいました。

まず、”能”に関してですが、歴史の授業で、世阿弥・観阿弥くらいの人物名が浮かぶ位で、時代背景はもちろん、能の演じ方、どういうシステムなのか?なども全く無知でありました。とりあえず、wikipediaの能のページで最低限の知識だけは付けて臨んできました(もちろんwikipediaの記述がどこまで正しいか疑問ですが)

能を見た感想ですが、全体を通してのトータルな表現は難しいため、とりあえず感じたことを箇条書きで述べたいと思います。

・まず入ったところで思うのは能舞台の綺麗さです。歌舞伎が前に向かって演じているのに対して、能舞台は正方形の舞台であり、横からの角度からも見られるという特徴があります。後ろに松の絵が描いてあり、まさに日本の古典・伝統芸能という感じでした。

・お客さんの客層ですが、やはりご年配の方が多く、私の世代(もう一回り上を含め)少ない印象でした。

・私も以前のブログで書いたように着物(といっても安いもの)を着るのですが、そんなものと比較にならないほど、綺麗な着物で輝いていました。ただ派手というのではなく、奥ゆかしい煌びやかさとでも言うのでしょうか、着物好きならあの着物を見るだけでも価値があるかと思いました。

・”話し方”とでもいうのでしょうか、もちろん日本語ではありますが、あの独特のしゃべり方は、最初の内なかなか聞き取れず話の展開がよく分かりませんでした。しかし不思議なもので、少し聞いていれば割と聞き取れるようになってきたので、こればっかりは慣れなのかもしれません。

・ぶっちゃけ途中ウトウトしてしまいました。理由としては、能楽師たちの声の美しさ・心地よさです。すっと通る声なのですが、うるさくはない、なんとも言えない心地よい声でした。そういえばお寿司やさんでも、声の事をおっしゃっていたので、やはり声には相当のこだわりがあるようですね。

・摺り足(wikipediaによるとハコビというらしい)による独特の歩き方、少し腰を落とした姿勢など、まさに能とも呼べる姿勢とでも言うのでしょうか、とても印象的でした。

・小鼓・大鼓の、ポン・カンという音が、TVなどで和を表す時にBGMと使われるものですが、生で聞くと能舞台との反響もありとても綺麗な音でした。表現が難しいのですが、鼓の”ピアニッシシシモ”とでもいうのでしょうが、どこまでも小さな音が”通る”感じがすごく良い感じでした。祭りなどの和太鼓は全力なので、”小さい鼓の音”というのはすごく良いものでした。

・wikipediaによると、基本的には能は即興芸術らしく、リハーサルは行わないとのことです。見終わった後に考えると凄いの一言です。

あまりに知識が少なく、”間”、”声の張り”など役者さんの表現に関しての感想を言うことはできません。ただただ新しいものに感動したという印象です。今回、ひょんな出会いから能の世界に触れられることができて本当に良かったと思っています。能のシステム・用語は基礎的なレベルは分かってきたので、次回行くときは、表現・内容に目を向けられるようにしたいと思います。鎌倉時代から続く日本の伝統芸能に30歳になってやって触れられたわけですが、なぜこの芸能が数百年も残っているのか、そのあたりの観点からも興味を持って勉強していきたいと思いました。興味のある方、一緒に能を見に行きましょう。

“能”を見に行ってきました。喜多流職分会の自主公演能」への4件のフィードバック

  1. 私も日本人の一人として 非常にお恥ずかしいのですが 日本の古典芸術はほとんど
    知りません。
    今までに歌舞伎を見たのは2回だけです。残念ながら能はまだ見たことがありません。
    幸い日本舞踊は友人に名取の先生が一人居ますのでその人の会だけは無理に
    誘われて何回かは見に行って事がありま。

    日本人が外国の歌とか踊りを勉強するように 反対に外国の人が日本の古典を
    勉強する人が増えておりますが 私の知り合いのオーストラリアの女性で 
    尺八に魅せられて 素晴らしく上達して 神戸で彼女の演奏会に行ったことがあります。 
    演奏場所は教会で 出演者は琴、三味線、尺八と全員外国人で和服姿で 観客の
    ほとんどは日本人という異様な風景でした。

    そんなことで日本の音楽を見直した事も有りました。

  2. K884さん

    私も古典芸術は全く疎く、早くそのすばらしさに気づかないとあっという間に時を過ごしてしまいそうです。

    外国人ですごく漢字の読み書きができる人もいますし、日本の相撲もそうですが、地元ほど軽視しているのかもしれませんね。

    外国人さんの尺八に観客が日本人というのはおもしろい光景ですね。

  3. 私は、氷川神社のお祭りの時に、初めて能を見学させてもらったんだけど、
    古くて小さな舞台でシテ(?)が舞う姿にとても感動したし、夏の境内に響き渡る
    鼓の音がとても心地よかったことを記憶してるよ。

    こういうのとは違って、着物をピシっと着て、きちんとした舞台で鑑賞するのも、
    また違った感動があるんだろうね。

  4. じゅんじゅんさん>

    さすが!ごらんになったことあるんですね。
    しかも神社のお祭りっていいですね。
    世界遺産の厳島神社にも有名な能舞台があるみたいで、もともとは神社あたりで普通にやっていたものなんかいね?

    すごくゆったりとした休日を過ごした気がします。やはり日本古来の”間”という感覚を、この忙しい現代に取り戻したいものです。

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