シンガポールの歌姫 Corrinne May (コリン・メイ)

最近、家で聴くことが多いのは歌唱力のある女性Vocalの曲である。クラシックはちょっと前のエントリーで書いたようにこの数年は随分聴かなくなってしまった。クラシックの曲はほとんどの曲は聴いたし、好きなマエストロほど録音数が少なく、聴く数も有限でとりあえずの目処は付いてしまった。そこで最近はもっぱらJazz Vocalをはじめとした歌唱力があり、録音が良いCDばかり聴いている。

この半年は基本的にSACD(Super Audio CD)のソフトのみ購入してきた。SACDはWikipediaのリンク先などでも紹介されているように、100kHzを超える周波数領域、120dBを理論上超えるダイナミックレンジで録音できるフォーマットである。このSACDを再生するにはSACDプレーヤーが必要なのであるが、所有しているPlayStation3が再生できるため、最近はSACDを中心に購入している。

SACDに記録されている周波数領域は人間が聞こえる可聴領域を裕に超えており本当にここまでのスペックが必要であるか議論が分かれているが、私もCDとの違いを”希”に感じることはある。SACDは、CDとの互換を保つために同じディスクにSACD層とCD層をハイブリッドで構成されていることが多く、SACDとCDとの差を同じデータソースで比較することができる。世の中のブログでSACDの音質は明確に違いがあり圧倒的という記事をよく見かけるが、本音を言って私はそれほど違いを明確に聞き分けることはできないようだ。私が違いを感じるのは、可聴域以外に大幅に伸びた周波数領域よりも、ダイナミックレンジの広さで少し違うかなと思う事がある。歌唱力のあるVocalの延ばす部分などでCDでは破綻気味の部分も、SACDでは持ちこたえるような場合がたまにある。このあたりでSACDはまぁ良いかなという印象である。私がSACDを中心に購入しているのは、そのダイナミックレンジの拡大もそうなのであるが、一番には”SACDで出すアーチストはそれなりに歌唱力(録音)に自信がある”ということである。私の耳はともかく、徹底的に微細な変化を聞き分けられるオーディオマニアに対してSACD録音でヘボイ録音なぞ厳禁である。そういう意味でSACDで収録されたCDは概して良い録音が多い。

ここまで書いて今回のエントリーはSACDではなく、Corrinne Mayのタイトルにしたことを思い出した。女性Jazz Vocalを中心にSACDの録音を探し歩いている時に、シンガポールの歌姫と呼ばれているOlivia Ongという女性Vocalistを知った。ヴォサノヴァを中心に歌っている女性であり、とてもハスキーヴォイスですばらしい歌唱力である。そのOliviaを調べていたところ、多くのコメントで、”Corrinne Mayと同じレーヴェルに所属し・・”という文章を見かけた。Oliviaもすばらしいが同じレーヴェルのCorrinne Mayという女性Vocalistがとても素晴らしいということだった。

SACDの話をこれだけ解説しておきながら、Corrinne MayはSACDでの録音は発表していない。一方でiTunes Storeで公開されているので気軽に試聴することができる。

Corrinne May @ iTunes Store ←iTunesをインストールしている方はクリックすると勝手に立ち上がります。

Fly Awayなどの曲を中心に人気があるようだ。興味があればクリックして聴いてみてください。私もとても歌唱力があり綺麗な歌声であるため、最近良く聴いている。外国人Vocalistを聴くと思うのが、日本人は女性も含めてなんであんなに音程が狭くて低いのかが疑問に思う。圧倒的な歌唱力の差を聞かされると日本人という人種が問題じゃなくて、母音が5つしかない日本語に問題があるのではと勝手に思ってしまう。最近は海外育ちの日本人アーチストが多いので少し調べてみればわかるかもしれないなと思った。ちなみにCorrinne Mayは土曜日に渋谷のタワレコでライヴを行っている。

さて、Corrinne Mayの他には、先ほどのOlivia Ong, Diana Krall, Jennifer Warnes, Eden Atwood, Shirley Horn, Natalie Cole, Tierney Sutton, Ella Fitzgerald, Dianne Reeves, TiffanyなどをSACDで聴いている。同じような歌唱力が高い女性Vocalistをご存じでしたら是非ご紹介ください。

自作スピーカーの開発(続編)

前回のブログ(自作ディジタルアンプと自作スピーカーの開発)で開発した自作スピーカーであるが、1週間程度聴いていると自作にしては割と良い音がするという印象である。今回のスピーカーは、少しネットなどで話題になっているJSP式と呼ばれ、4穴のダクトにより低音を補強している。今回、その4つの穴(ダクト)を塞ぎ、周波数特性がどのように変化するか計測してみた。
ちなみに音を聞きたい方は気軽に遊びに来てください。

■JSP式4穴バスレフ(4穴ふさぎ=密閉型)

JSP_Style_Altec_CD408-8A_no.jpg

■JSP式4穴バスレフ(3穴ふさぎ=1ダクト)

JSP_Style_Altec_CD408-8A_1d.jpg

■JSP式4穴バスレフ(2穴ふさぎ=2ダクト)

JSP_Style_Altec_CD408-8A_2d.jpg

■JSP式4穴バスレフ(1穴ふさぎ=3ダクト)

JSP_Style_Altec_CD408-8A_3d.jpg

■JSP式4穴バスレフ(ふさぎなし=4ダクト)

JSP_Style_Altec_CD408-8A_4d.jpg

密閉型は、低音に向かってなだらかに低下しており綺麗な特性を示している。一方で、ダクトが増えれば増えるほど、極低音を除いて低音が補強されていることが分かる。この結果よりJSP式の4穴ダクトが低音を良く出していることがわかる。

ちなみに可聴域付近の音声、楽器の周波数レンジは以下の通りである。

feqrance.jpg

この表によると、パイプオルガン、ピアノ、ハープあたりを除き40Hzくらいまで出ていれば概ねの楽器・歌声をカヴァーできることになる。あくまでこの周波数特性は各周波数における音圧だけで評価しており、そのスピーカーが音が良いかどうかは、結局各個人が聴いていてその音が好きかどうかであると思う。

さて、今回自作したスピーカーは、Altec(アルテック)という会社のスピーカーユニットを採用した。アルテックはとても歴史のあるスピーカーユニットメーカー(他にケーブルなども)であり、年配のオーディオマニアの方に人気が多い。”往年”のアルテックサウンドなどの表現で、すばらしい音を昔奏でていたスピーカーらしい。残念ながら私はその”往年”のアルテックサウンドを聴いたことがないが、その伝統を引き継ぐアルテックのユニットを採用した(コストパフォーマンスが高かったため)。そのAltecのスピーカーユニットがついに生産中止になったらしい。このユニットをゲットするには在庫のみとなるため、もしAltecに興味をお持ちなら入手を急いだ方が良いだろう。

参考:Altec Lansing | wikipedia  

最後に、上記の自作スピーカー特性との比較として、B&W Nautilus 805と、小型低価格スピーカーで有名なOrtofon Concorde 105の特性も計測した。Concorde 105は、5万以下で購入できた(現在は発売中止)スピーカーでかなり多くの評価を得ているスピーカーである。特性だけで評価するとあまり綺麗な特性ではなく、今回の自作スピーカーの方がよっぽど良い。実際に聞いた感想でも自作の方がずっと良い音がしている。同価格帯で比較すると今回の自作スピーカーは中々よくできたスピーカーであると改めて感じられた。

比較:
BandW_Nautilus805_pinknoise.jpg
B&W Nautilus 805

OrtofonConcorde105-PinkNois.jpg
Ortofon Concorde 105

自作ディジタルアンプと自作スピーカーの開発

2007.09.24: 追記(はじめ)

このエントリーの続きとして、自作スピーカーの開発(続編)を公開している。そのエントリーでダクトの数に対する周波数特性の変化の測定をしている。またコメントとして使用木材は合板よりパーディクルボードの方が良いことがわかった。このエントリーで紹介しているシナ合板より同じ理由でMDF板のほうがコストも特性も良いかもしれない。

2007.09.24: 追記(おわり)

家に居る時は、基本的にいつも音楽を聴いている。聞くジャンルは、ジャズボーカル、クラシカルが中心であり、希にJ-POPといった感じである。いわゆるNo Music, No Lifeとは良く言ったもので、今までの人生いつも音楽を聴いて生きている気がする。一方で、No Life, No Musicであり、例えどんな音楽であっても音楽を聴いているときは生きているわけで、その時間は1度しかない大切な時間である。つまり、せっかく音楽を聴くなら良い音で聴きたいと思うわけである。昔に比べれば激減したが、オーディオ(いわゆるピュア・オーディオ)の世界にはマニアが多い。そのマニアの人々がどのようなモチベーションでピュア・オーディオの世界を追求しているか分からないが、私は単純に人生の時間を使って聴くのであるから、できるだけ良い音で聴きたいと思うからである。

ピュア・オーディオというには実に不思議な世界で、マニアも理論・技術に裏付けさせた理論的な考察を述べている人から、極めて叙情的で詩的な表現でわずかな音の違いを表現する人、とりあえず新しいアイテムを端から試す人まで、その姿勢は様々で実に面白い。所詮趣味なのであるからどんな姿勢でもかまわないと思う。その不思議な世界を、Wikipediaで面白く分類されている。

オーディオ・マニア – wikipedia

現在のピュア・オーディオの世界はあまりに高価で、はいそれと購入することはできない。たとえば1mのRCAケーブルが100万円オーバーであったり、1000万円を超えるスピーカーも存在している。高額であれば良い音なのかという泥沼の議論は避け、とりあえず安くてどれだけ満足できる音が出せるかに注力しようと考えている。

今、私の部屋のメインのオーディオは、以下のような構成になっている。

a) SACD(Super Audio CD)の場合
Play Station 3 (PS3)[SACDプレーヤー] -> (HDMI) -> ONKYO SA-TX605(AVアンプ)[D/A変換, プリアンプ] -> (PREOUT) -> Denon PM-2000AE[パワーアンプ] -> SAEC Classic 2.5H[スピーカーケーブル] -> B&W Nautilus 805[スピーカー]

b) CDの場合
CD -> パソコン(PC)にリップル -> (Ethernet) -> Apple AirMac Express[D/A変換] -> Denon PM-2000AE[パワーアンプ] -> SAEC Classic 2.5H[スピーカーケーブル] -> B&W Nautilus 805[スピーカー]

ピュア・オーディオの世界からすれば突っ込みどころ満載の構成であるが、私にとってはまずまず素敵な音を奏でており、割と満足している。この構成になるまで、少しづつ拡張を重ねて現在の状況に至ったわけであるが、何しろ一気にパワーアップしたのは、やはりB&WのNatuilusを購入したときである。今まで不満を感じながら聴いていたオーディオが、一気に楽しくなりそれこそ端からCDを聞き直したいと思うほど繊細ですばらしい音が出ている。これ以上のシステムはいくらでも存在する。ただ、値段的にとても手が出せない領域であるため、このくらいでOKかなと思っている。

さて、今回のエントリーは、上で紹介したパワーアンプとスピーカーの部分を自作で作り、どこまで良い音が出るか試してみることにした。ピュアオーディオは性能以上の値段が付いていることが多くなり、自作で作ったスピーカーがどの程度、市販品に肉薄できるか確かめるためである。夏休みの工作という感じで少し手を動かすことにした。

■ディジタルパワーアンプの自作
スピーカーに比べて、アンプは随分技術が飽和しており、はっきり言って自作でも十分まともな音はする。今回は、Tripath社のTA2020というディジタルアンプICを使って自作した。

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電源スイッチとボリュームだけという極めてシンプルであるが、パワーアンプは所詮増幅なので他に機能は必要ない。半田付けよりも、この金属のケースに穴をあけてボリュームなり通すのが大変だった。とりあえず音を出してみたが全く問題なし。TA2020は、可聴域(20Hz – 20kHz)で-0.5db程度のほぼフラット特性なので、予想通りの結果である。一方でAC/DCの部分がせこい部品を使っているので、高速に音圧を要求されたときにDC出力が咳き込むことがあるかもしれない。とりあえず部屋で聞くくらいの低音量であれば、問題はない性能である。ちなみに部品代は全てあわせて13000円程度であった。

*追記:ちなみにこのディジタルアンプは、若松通商のディジタルアンプキットをベースに、コンデンサ、抵抗、ボリュームなどを高品質な物に変更して作っている。参考:若松オリジナルキット デジタルステレオアンプ

■スピーカーの自作
 このエントリーの本題ともいえるスピーカーの自作である。ディジタルアンプも含め、オーディオ機器はほとんどの部分でディジタル化が進んでいる。音源はレコードから、CD/SACD、またはネットワークからダウンロードできるデータというようにディジタル化した。アンプは、アナログアンプとディジタルアンプのどちらが良いか近年激しい攻防が続いている。一方で人間に脳波で音声データを送信する技術ができるまで、スピーカーはディジタル化できない。つまりアナログであるからの自由度があり、作るのが難しい。逆にそこに各社ノウハウの固まりがあり、自作する方もいろいろ楽しめる部分であるといえる。

スピーカーは大きく3つの部分から構成される
1)ユニット
2)エンクロージャー
3)ネットワーク

1)ユニットは、まさに音がでる振動板を有している本体で、秋葉原やネット通販で購入できる。秋葉原で言えば、コイズミ無線などが有名である。人間が聞き取れる音の周波数範囲を可聴域というが、一般的には20Hz – 20kHzの間と言われている。その周波数の領域をいかにフラット(平坦)に再生できるかがスピーカー作りの究極で永遠の目標でありモチベーションである。ユニットには、20Hz – 20kHzの全体のレンジの再生を”目指す”フルレンジユニットと、低音部(ウーファー: Woofer)、中音部(スコーカー: Squawker)、高音部(ツィーター: Tweeter)というそれぞれの得意分野の周波数領域専用のユニットがある。フルレンジユニットで20Hz – 20kHz全て音がでればスピーカー業界なんて存在していない。全てのレンジをフラットな特性を出すのは難しいため、ウーファー、スコーカー、ツィーターを分けた3-wayと呼ばれるスピーカーなどで可聴域全体でフラットになるようにしたスピーカーなどがある。自作スピーカーは、まず好みのユニット選びから始まる。理想はフラット特性というが、本当にフラットが良いのかは議論の余地がある。単純に低音が強くでる音が好きな人もいるだろうし、それは趣味であるから、好みの音がでるユニットを探せば良いと思っている。

今回の自作では、往年のAltec社のユニットCD408-8Aを用いた。

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Altec CD408-8A

選定理由は、
・Altecである(これは理由にはならないが・・)
・同軸-2wayであるため、綺麗な定位が期待できる
・20cmのユニットであるため、低音が割と出やすい
・安い
などの理由である。

2)エンクロージャーは、いわゆるユニットを取り付ける箱である。木製であることが多い。ユニットは基本的に買ってくるものであるため、自作スピーカーといえば、このエンクロージャーをどのように作るかということに注力される。エンクロージャーはユニットを取り付けるためだけではなく、管楽器や弦楽器などと同様に音を響かせる役目があるため、ヘボいエンクロージャーだとユニット本来の音が出ず、酷い場合、性能を下げてしまうこともありうる。

ユニットは振動板を振動させて音を前面に発生させているが、同時に逆位相の波(音)がユニットの後方に出ている。この後方に出た波が回り込んで前面に出てくると位相が逆であるため、前面の音を打ち消してしまう。エンクロージャーは基本的にこの音波の打ち消し合いを防ぐ目的がある。つまり理想的にいえば無限に広い板に穴が空いていてそこにユニットが付いていれば、後ろの波が回り込むことができないため打ち消しあうことがない。実際に無限に広いのは無理であるが、かなり大きな平面スピーカーというのも売っている。これは平面バッフルというエンクロジャーのタイプのスピーカーである。後ろに出た波を前に出さなければ良いわけであるから、無限に広い板でなくても、密閉箱にユニットを取り付けるのも良い。いわゆる学校の音楽室の天井にあったようなスピーカーであるが、これは密閉型のエンクロージャーと呼ばれる。他にもエンクロジャーはたくさんのアプローチがあるのであるが、今回採用したのは、位相反転型(バスレフ型)と呼ばれる方式である。ユニット以外に穴が空いているスピーカーを見たことがないだろうか?あの穴(ダクト)を有するスピーカーが位相反転型スピーカーである。位相反転型の仕組みをここで説明すると長くなるので、別サイトに譲るが、ユニットの本来持っている低音特性より、位相反転型にすると低音がより出やすくなる。

参考:ヘルムホルツ共鳴とバスレフ型スピーカー オーディオ雑学帳 その4

位相反転型スピーカーは一般的にダクト(穴)が1つである。今回はその一般的なスタイルではなく、去年あたりから話題になっているJSP方式の位相反転スピーカーを採用してみる。JSP方式とは、JSP研究所というスピーカーメーカーが提唱している全方位、位相反転型スピーカーである。百聞は一見にしかずで、JSP研究所のJSP-1010ALというスピーカーをご覧いただければすぐに理解できる。ダクトが1つではなく、ユニットのまわりに4つ付いているスピーカーである。このスピーカーの利点は諸説あるが、1つのダクトよりも低音が出やすいらしい(この辺の理論は厳密に追いかけていない)今回、このJSP方式を採用して、Altecのユニットで作ってみることにした。

3)ネットワーク
 ネットワークは、フルレンジではない2-way, 3-wayスピーカーの場合に周波数を切り分けるハイパス・ローパスフィルタ回路のことである。20Hz – 20kHzの可聴域を例えば3wayの3つのユニットで鳴らす場合、それぞれの得意の周波数領域で鳴らすことになるが、ネットワークを使わないと、3つが同じ領域を鳴らしてしまい、音が混ざってしまう。アンプの出力を、フィルタを掛けて、3つのスピーカーが担当領域以外鳴らさないようにする回路がネットワークである。ちなみにその境の周波数をクロスオーバー周波数という。フィルターの構成もノウハウがあるらしい。今回使うユニットは、2-wayの同軸であるが、ユニットの内部にネットワークが搭載されているため、別途回路を作る必要が無かった。ユニットの端子(+、-)を端子台に半田付けするだけで音がでるお気楽なユニットである。

■自作スピーカーの制作過程
 ユニットは、秋葉原のコイズミ無線で購入した。最近秋葉原は萌え(アニメ)系に占領されつつあり、全くもって電気回路系は形見が狭い。個人的には萌え系と一緒にするなと内心思っているが、一般人からみたら私もその一員に映っていることは間違いない(笑えない)。
 エンクロージャー用の木材は、東急ハンズの新宿店で購入した。しかも面倒なので穴明け・カットなどの木材加工も東急ハンズのクラフトコーナーにお願いした。ハンズで購入できる木材は、ラワン合板、シナ合板、MFD板である。MFDは木屑を再度固めた板材なので強度的にNGかと思い外した。ラワン合板で考えていたが、いざお店で見てみると見た目がいわゆる合板で美しくなく、値段が1.5倍であっても見た目の美しいシナ合板に急遽変更した。しかしシナ合板は後で反りが多いことがわかり板の貼り合わせに苦労した。
 ダクトは、配管などで使うΦ89mmの塩化ビニール(塩ビ)の配管を使った。合板と塩ビの接着には、セメダインスーパーXシリーズを用いた。木材の接着剤は、一般的な木工用ボンドである。エンクロージャーの中には、吸音材を張らなければならない。コイズミ無線で買っておいたのであるが、全然面積が足りず、ハンズでポリエステルのホワイト吸音材というのを買ってみた。面によって吸音材の素材が違うのはイマイチが気がするが、新宿からまた秋葉に行くのは面倒だったのでこれで良しとした。

ちなみにハンズのクラフトに提示した木材加工図面を載せておく。
20070915_speaker_schematics_rev2.pdf

材料費として(スピーカー2本分)

スピーカーユニット(Altec CD408-8A @ コイズミ無線): 22000円(2個)
シナ合板(1820 x 910mm 2枚):17000円(もっと安く買えるはず)
ダクト(Φ89mm VU75 1mを25cmで4つにカットx2本):3000円(もっと安く買えるはず)
スピーカー端子台(TRITEC T-93 @ コイズミ無線)):2000円(2個で)
吸音材(ニードルフェルト AONF5093 5個くらい):5000円
その他:
・塩ビ固定用セメダイン(スーパーX)
・木工用ボンド
・吸音材貼り付け用両面テープ(大量にいる。2ロール使った)
・ユニット、スピーカー端子台取り付け用M4 x 16の木ねじ(最低24本程度)
・スピーカーケーブル(ユニットとスピーカー端子台間。55cm x 2本程度)
・半田ごて

合計5万円程度

はっきりいって木材費が高い。ネットで調べたら同じ木材で半額くらいで売っている店を後で見つけた。もっと安いお店および材料であれば4万円程度でできたかと思われる。

200709_自作スピーカー
まず背面の板にスピーカー端子を取り付けた。

200709_自作スピーカー
内側には吸音材を両面テープで貼り付けた。

200709_自作スピーカー
上面、横面にも、白い吸音材を貼り付けた。

200709_自作スピーカー
次に前面板。真ん中の大きな穴がユニット取り付け穴。4つの穴がダクト用である。

200709_自作スピーカー
同じく、吸音材を内側に貼り付ける。

200709_自作スピーカー
ダクトはこんな感じで接着剤(スーパーX)で貼り付ける。VU75という型番の塩ビ配管(外径Φ89mm)の1mを25cmづつ4本にカットしてもらいダクトとして用いている。実はここで紆余曲折があった。実はコイズミ無線でΦ91mmのダクトが売っていたのでそれを買う予定でハンズにはΦ91mmで4つの穴を開けてもらっていた。しかしコイズミ無線では品切れで、”塩ビを使うと良いよ”と言われたので急遽塩ビダクトに路線変更した。たまたまΦ91mmに近いΦ89の塩ビがあったため助かったがあまりに径が違っていたら困っていた。(上記で公開している木材図面はΦ89と修正してある)。とはいえ2ミリの隙間があるため、スーパーXをかなり大量に付けて隙間を埋めながらの接着だったためかなり苦労した。接着剤が木材にも結構垂れて配管周りは見た目が美しくない・・・。木材工作が久しぶりで不器用っぷりが発揮された・・。

200709_自作スピーカー
なんとか配管を接着剤で固めたところ。

200709_自作スピーカー
側面板には、箱の強度を高めるための細い補助剤を使った。
(図面でいう42cm x 50cmの板が側面板である)

200709_自作スピーカー
上面・底面・側面を接着したところ。ここで極力直角がでるように工夫すべきであった。
その後、前面・背面を取り付ける際に、板の反りも含めて寸法が少しあわず苦労した。

200709_自作スピーカー
完成した2つのスピーカー。

200709_自作スピーカー
右側面をみてもわかるようにボンドの乾き後などが美しくない・・・。

こんな感じでとりあえずスピーカーは完成した。
JSP方式の位相反転型スピーカーで低音を出すキモの一つは、ダクトの長さ調整である。
今回は1mの塩ビ配管を4等分しているので25cmの長さである。
実は一回り小さい塩ビ配管も同じように25cmの長さでカットして購入しておいた。この径の違う配管を使ってダクトの長さを調整しテープで留める工夫をした。しかし後で述べる計測で、長さに対してとりあえず良い特性が出たのが25cmの延長をしない状態だったので、これで良しとした。

実際に音を出してみると、B&WのNautilus 805にそれほど劣らず、また低音もダクトを通しているような響いた音がそれなりに出ていた。4~5万のスピーカーとしては十分の性能かなといった印象である。逆にこれだけ大きくて(外形:45cm x 45cm x 50cm)、低音がでなかったらあまりにも悲しいことになっていた。主観だけでスピーカーの判断をしても何とも評価し難いので、実際にその性能を計測することにした。

スピーカーの計測は、スピーカーからピンクノイズ・ホワイトノイズなどの可聴域全体でフラットな音声を出して、少し離れたところでやはり性能がフラットなマイクで集音し、その音声をFFT(高速フーリエ変換)して特性をみるという方法である。

まず、マイクは、ベリンガーのECM-8000というコンデンサーマイクを用いた。特性は、リンクのPDFにあるように極めてフラットな特性のマイクである。

200709_自作スピーカー
自作スピーカーをコンデンサーマイクで計測している様子。

このコンデンサーマイクは、48Vの電圧を(ファントム電源というらしい)加えないといけないため、M-AudioのUSBオーディオインターフェイスFast Track Proという製品を用いた。Fast Track ProはいわゆるUSBオーディオであり、PCからのノイズはUSB経由であるため少なく、ファントム電源搭載のマイク端子、またアナログ出力を備えているので、プリメインアンプに接続することができる。FFT解析ソフトには、自作スピーカー測定プログラムMySpeakerを使わせていただいた。このソフトウェアは、ピンクノイズ・ホワイトノイズなどを出力し、マイクからの入力を解析してスピーカーの周波数特性をFFT解析し表示してくれるプログラムである。またこの計測には、DENON PMA-2000AEのプリメインアンプを用いた。

さて、自作したAltec CD408-8Aを用いたJSP方式位相反転型自作スピーカーの測定結果は、
JSP-Style_altec_cd408-8a.jpg

以上の様になった。ユニットのスペックシート(CD408-8A)の周波数特性から比べて、この自作エンクロージャーに入れた場合、-5db落ちが40Hzくらいであり、低音が割と出ていることが分かった。また、ヴォーカル域である100Hz – 1500Hz位までの領域は、CD408-8Aがもつ本来の特性でフラットな特性であるため、このスピーカーでジャズヴォーカルなどを聞くととても気持ちよく聞きやすい。自作スピーカーとしては及第点ではないかと個人的に思っている。

今回のスピーカーは、カタログスペック的な表記にまとめると
構成:同軸2ウェイ JSP方式バスレフ型
ユニット:Altec CD408-8A 20cm 同軸2ウェイ
周波数特性:44Hz – 20kHz (+-5dB) (実測)
感度:98dB (1W 1m)
インピーダンス:8Ω(最低7.8Ω)
パワーハンドリング:32W – 128W
クロスオーバー周波数:2500Hz
外形寸法:450mm(W) x 450mm(H) x 500mm(D)
質量:8kg

こんな感じになる。

さて、目標としていたB&W Nautilus 805との比較である。聞いた感じかなり良い音が出ていたので割と期待していた。計測条件は、アンプなど全く一緒である。

BandW_Nautilus805_pinknoise.jpg

やはりB&Wはすごかった。低音は自作スピーカーと同程度であるが、なによりも全体を通しての特性のフラットっぷりが半端ではない。特に2kHzを超えたあたりからのツィーターの特性は恐ろしいほど平坦である。やはりすごい。

■総括
 今回、B&W Nautilus 805を超えるべく自作スピーカーに挑戦した。自作スピーカーは過去に挑戦したことはあったが、安いユニットに適当なエンクロージャーで音が出た程度の制作であった。今回は優秀なユニットを用いて、低音が出やすいJSPスタイルを用いたことで自作スピーカーで4万円程度のスピーカーとしては優秀なスピーカーになったのではないかと思っている。ここでは載せていないが自作ディジタルアンプとあわせたときでもほぼ同じ特性を示しており約5万強でかなり良い音を実現することができた。一方でB&Wの805はやはりすごかった。もちろんピュアオーディオの世界から見ればこのスピーカーの上には果てしなく高性能なスピーカーがあるが、それでもこの特性をさらっと出してしまうところはさすがである。今回自作スピーカーで木材の反りなどで角が揃わなかったり結構苦労があった。一方で805は、一体成形で曲面しかなく角がない。こんなに美しい形状をしていればいい音がでるのかなと思った。ピュア・オーディオの世界は高額であるが、あまりに高すぎる製品を除けばその値段も納得ができる。そこにはスピーカーエンジニアの努力が注ぎ込まれており、私が日曜大工程度で作ったスピーカー程度ではあの美しいフラットな特性は簡単には出ないなと思った。

スピーカー自作に興味のある方はご連絡ください。コストパフォーマンスが高いスピーカーを安価に作れると思います。