バラ写真:ディジタル処理によるフィルムシミュレーション比較

ディジタルとアナログはどちらが良いか?この命題は、今回比較するフィルムだけではなく、CDとLPレコード、時計などあらゆるジャンルで比較・議論されています。どの分野でもそれぞれ良い点があり、なかなか優越はつけがたいことが多い様です。今回のブログでは、ディジタル一眼レフで撮影した画像と、フィルムの一眼レフで撮影した画像の比較”ではなく”、DxO Filmpack 2という、フィルムシミュレーションソフトを使って見た結果を紹介します。このソフトを使えば、どんな画像(JPEG形式 or Tiff形式)でも、フィルムっぽい色味・粒状感に変換してくれるというわけですね。

このブログでも何度か紹介しているように、私のカメラ庫(除湿庫)には、小判(35mmフィルム = 135サイズ)のライカM、中判(120サイズ)のハッセルブラッド、大判(4×5サイズ)のトヨ・フィールド45が眠っています。と、書いてしまうほど、フィルムカメラは出番が激減しました。ぶっちゃけ、たまにハッセルを使うくらいですが、撮っても現像したままフィルムスキャンもできていないような放置状態です。フィルムで撮って現像し、フィルムスキャンでデジタル化することを考えると、ディジタルカメラでいいじゃんという合理的な意見はわからんでもないのですが、頑なに
1)フィルムカメラのスローライフっぷり(撮ってもすぐ見られない。現像を取りに行く楽しみ)
2)フィルムは有償であるという緊張感(ディジタルと違って失敗しないように、よく場面を見て、考える)
3)機械式(電池がいらない)
4)フィルムによる色味の違い・鮮やかさ
などの理由から、フィルムを捨てきれずにきています。1~3)の理由は写真を”すばやく・確実にとる”という観点から見れば極めて非合理的であり、ここを趣味と言うのだと思います。一方で4)の色味に関しては、確かにディジタルよりいいなぁと思わされることは数多く経験しており、これがディジタル処理でできるなら、さらに”ディジタルでいいじゃん”化が加速するのではと思いました。そこで、話には聞いたことがあったフィルムシミュレーションソフトを試してみました。

被写体は、今年もお世話になりまくると予想される近くのお花屋さんAND ONEさんの黄緑色の美しいバラです。
あらかじめ言っておきますと、なんともいえないほど、”薄い”黄緑が美しいバラです。濃くないのです。この薄さが美しいのです。

DxOは有名なフィルムのプリセットを多く登録されていてメニューで選ぶだけでそのフィルムをシミュレートできます。
今回は、私がフィルムでよく使っている、ベルビア50, プロビア100F, E100VS, Portra 160VC, Across100, T-MAX 100を選びました。
フィルムの色味と粒状感をそれぞれシミュレートでき、色味の濃さの調整や、粒状感をなくすこともできました。

元画像:ディジタル(Canon EOS 5D Mark II + EF100 F2.8 Macro USM) : クリックすると拡大
RAW, sRGB, 1/12sec, F/4.6, 100mm, ISO100, Picture Style = Standard, 2800K
20090119_rose_c0_s5_pr.JPG

Fuji Fujichrome Velvia 50 (RVP) simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_fujivelvia50_50.jpg

Fuji Fujichrome Velvia 50 (RVP) (粒状感なし) simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_fujivelvia50_50_2.jpg

Fuji Fujichrome Provia 100F (RDP III) simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_fujiprovia100f.jpg

Kodak Professional Ektachrome 100VS (E100VS) simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_kodake100vs.jpg

Kodak Professional Portra 160 VC simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_kodakportra160vc.jpg

Fuji Neopan 100 Across  simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_fujineopanacross100.jpg

Fuji Neopan 100 Across (粒状感なし) simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_fujineopanacross100_2.jpg

Kodak T-MAX 100 Professional simulated by DxO Filmpack 2
20090119_rose_c0_s5_pr_dxo_kodaktmax100.jpg

さて、結論と感想です。

・フィルムのシミュレーションの正確性ですが、このあたりのフィルムを使ったことある人なら、ほぼ印象どおりと思われる方が多いのではないでしょうか?ベルビア50とE100VSの硬さ(硬調)は良く出ていると思いますし、RDP IIIのニュートラル感、ポートラの淡さも良く出ていると思います。TMAXに対してAcrossの超極小粒状感も出ていますし、TMAXらしい硬さも出ているのではと思いました。つまり、フィルムっぽさはさすがというのが個人的な感想です。

・実際のバラに一番近いのは、残念ながら(?)、圧倒的にディジタルの元画像です。AND ONEの店員さんももしこのブログをご覧になっていれば、おそらくディジタルの元画像が一番近いとおっしゃると思います。ベルビアなどに比べれば、もちろん派手さはありませんが、今回、この被写体を選んだのは、”薄い黄緑色”の美しさです。派手な色はもちろん私も好きですが、ベルビア、E100VSは予想通り派手目になってしまいました。フィルムは色味が良いという先入観を取り去り、その空間・場面を正確に残すという意味では、ディジタルで良いのかもしれませんね。

・粒状感のアナログ感:レコードが良いという人の中に針を置いたときのプツプツ音が良いという人がいます。最新のGT-Rではなく、初代のプリンス・スカイラインがレトロでかっこいいという人がいます。いわゆるエロカワ的にいえば、”古かっこいい”みたいな感覚ですが、フィルムの粒状感もその一種かもしれないですね。上記の写真で粒状感が良いと思う人がいるかもしれません。私は冷静に判断して粒状感はいらないなと割と現代的な考えを持っていることわかりました。最先端の技術で正確に残す。エンジニアの性かもしれませんが、今まで何となく好きだった粒状感も元画像の色・解像度の正確性からあまり魅力がなくなりました(笑)。ただ、Acrossの粒状感ある・なしを比較すると粒状感があったほうが立体的に見えますね。

・結局、アナログ・ディジタルは個人の好みですから、優越はつけられません。私は今回の比較で、そろそろフィルムは良いかなと思うようになりました(思うようにしました)。

*注意点として、この比較はあくまでソフトウェアによる比較であって、フィルムから撮ったうまい人の写真で比較すると、やはりフィルムは良いなぁと思うことがあると思います。特にネガフィルムは、最新のディジタル一眼レフと比べてもダイナミックレンジ(フィルムでいうLatitude)の幅が数倍あり、その階調の豊かさはすばらしい物があると思います。

バラ写真:ディジタル処理によるフィルムシミュレーション比較」への3件のフィードバック

  1. いまでは自分もエンジニアなのにらしくない発言をします。お許し下さい。

    T-MAX渋いですね(古かっこいい?)。
    昔、フィルムの自家現像をしてた頃は、T-MAXを使うと中間快調の荒れるので、
    現像液の濃さ・温度・攪拌スピードいろいろ試した覚えが有ります。
    NEOPANにもしょっちゅうお世話になりました。この写真みていたら懐かしすぎて
    ついコメントを書きたくなってしまいました(笑)。

    RVPの色も堪らんものがあります。夕焼けの描写とか、
    南国カラーとか(PLを使うと更に良い)を目にすると、
    今でもベルビアが欲しくなります。時代に逆行してるなー(>>自分)

  2. おひさです~

    その前に5D2とても良い感じですよ!是非!(笑)

    さて、DxOは色もそうですが粒状感のシミュレートが良い感じでした。
    T-MAXは良いフィルムでしたよね!私は現像液のコントロールまで試したことはありませんが、過去にこだわった方ならDxOは面白いかもしれません。ソフトの設定パラメーターでそのあたりのこだわりをだせるかもしれません(14日間無料で利用できます)

    RVPの堪らんっぷりはわかります。朝日を背中に背負って、PLつかって真っ青っていうRVPの気持ちよさはたまらんので、今でも撮りたいなぁって思うことがあります。

    とはいえ、私はそろそろディジタル100%にしようかなって思っています。

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