スマホ用熱赤外カメラ FLIR ONE PRO(Android版)を試す

熱赤外(いわゆるサーモグラフィー的な撮影)のために、以前はiOS用に持っていたFLIR熱赤外カメラですが、iOS端末と一緒に手放してしまいました。しかしやはり定期的に熱赤外カメラは使いたくなるわけでAndroid用を買いなおすことにしました。以前使っていたFLIR ONEから、FLIR ONE PROにアップグレードし、Android USB-C接続用が発売されていました(発売自体は2017年らしい)。FLIR ONE PROは、iOS用とAndroid用があるのですが(日本はiOS(iPhone)ユーザーが多いのから?)、iOS用はamazon, yodobashiでも売っているのですがandroid版は在庫がないか、在庫があっても非常に高いか。いろいろ調べた限りAndroid版FLIR ONE PROはアールエスコンポーネンツが一番安く売っていました(在庫があったので即納でした)。おそらく定価はiOS版もAndroid版も一緒だと思うので、日本はAndroid版の流通量が少ないからこんな値段の差がでているのですかね。RSといえば本業ではよく使っていますが、個人でも回路づくり等で電子部品をロジックICなどチップ単位で購入できるので定期的に使っていますが、最近はこんなカメラ単位の製品も扱っているのですね。ずいぶん前の記事「iPadでプリメインアンプの音量を遠隔制御するシステムを作ってみた。」でも紹介していたプリメインアンプを遠隔で制御する回路のNPNダーリントントランジスタICが壊れていたので今回新調して久しぶりに動かしました。それにしても近年の半導体不足は深刻で、FPGAなどはどこにも売っていないですね・・。

さて、FLIR ONE PROを開封してゆきます。

FLIR ONE PRO (Android USB-C接続)

以前の旧型Android版は、microUSB用だったので当時としてUSB-C版が出るまで待とうと思い、とりあえずiOS版を買った記憶があります。その後2017年になってFLIR ONE PROになりUSB-C版で発売されていました。

See the Heat.
うん。かっこいいw
FLIR ONE PRO (Android用 : USB-C)
専用ソフトケースがついていました。

このとても暑い夏にむけてパシャパシャ撮影してみました。スマホはGoogle Pixel 4a。USB-CのAndroidであれば必ず動作するとは限らないので購入前にご確認ください。さすがにGoogle Pixelは大丈夫かなとおもいましたが、やはり全く問題ありませんでした。

部屋の撮影:エアコンの冷気出口が明確にわかりますね。
木々の中で前を歩いていた人。
木々に比べると人体は暑いですが、体温が30.6度では低いので絶対温度計測はもう少し工夫がいりそうです。
真夏の炎天下で道・橋・建物はチンチンに暑そうです。
道・橋・建物に比べると空は温度が低く見えますね。
その中でも人体は高く表示されていました。車が通ると車の排気ガスの部分が一番熱く検出されていました。
大きな鏡があったので自分自身を鏡で撮影してみました。
熱赤外って鏡で反射するのですね(あたりまえか)
やはり自分の体温も31.8度ってことはないのでやや低く出ますね。キャリブレーション機能があるようなのでもう少し調査してみます。
動画も撮影可能です。

今回はとりあえずFLIR ONE PROのクイックな撮影テストをしてみました。温度に応じた着色の仕方、キャリブレーションの仕方(絶対温度がどうもあっていない)などもう少し使い慣れたら再度レビューしたいと思います。

雛人形の選び方~美しい有職雛~

娘の初節句の為に雛人形を購入した際に、雛人形の歴史から買い方の視点などを紹介。 業者ではない素人の視点から雛人形の選び方を紹介します。

<チャプター構成>
0:00​ 導入・動画の内容
3:26​ 雛人形・雛祭の歴史
13:00​ 童謡「うれしいひなまつり」の歌詞
14:21​ 雛人形の購入時期、種類・構成・専門用語
20:46​ 調査前に検討しておくこと「飾る場所」「オフシーズン収納場所」「予算感」
23:49​ 『吉徳』・『久月』など有名なブランドや伝統的な職人・地方について
27:29​ 京人形について:人形司(=着付師)と分業による雛人形作り
33:28​ まとめと余談。男雛女雛の2つの飾り方、季語『後の雛:長陽の節句』など

<参考文献>
決定版 日本の雛人形, 是澤博昭, 淡交社 https://amzn.to/2Mnvan4
日本の美術 第11号 人形, 北村哲郎編 1967.03.01
お雛さまをたずねて 藤田順子, JTB https://amzn.to/2MaAZ7B
三井家のおひなさま, 三井記念美術館目録
日本の伝統工芸士 http://www.kougeishi.jp/
有職京人形司 大橋弌峰:https://www.ohashi-ippou.com/
桂甫作安藤人形店:https://www.ando-doll.com/
京都東山三条 田中人形:http://www.tanaka-ningyo.co.jp/
京人形商工業協同組合:http://www.kyo-ningyo.com/
吉徳:https://www.yoshitoku.co.jp/
久月:https://www.kyugetsu.com/

緑茶(抹茶・煎茶)に含まれるEGCG(カテキンの一種)がCOVID-19に抗力があるという論文(査読前)

日本の緑茶(抹茶・煎茶・玉露など)には、カテキン、テアニンなどのポリフェノールが含まれているのは一般的にも有名です。元々、臨済宗などと共に薬として伝わった茶ですが、昔から健康維持などに使われていたようで、日本の慣習としてもお茶は体に良いと伝わってきたと思います。近年、実際にカテキン類には、免疫力向上、抗ウイルス性などがあるという論文が近年報告されています。カテキンにもいろいろ種類があり、例えば、EGCG (没食子酸エピガロカテキン、Epigallocatechin gallate)などが有名で最近はサプリなんかにも入っていますよね。

さて、COVID-19(SARS-CoV-2)が世界中で猛威をふるい東京も非常に厳しい状態になりつつあります。そんな中、一つの論文が提出されました(提出されただけで査読前)

Mohammad Faheem Khan, Mohsin Ali Khan, Zaw Ali Khan, Tanveer Ahamad, Waseem Ahmad Ansari, “Identification of Dietary Molecules as Therapeutic Agents to Combat COVID-19 Using Molecular Docking Studies”, RESEARCH ARTICLE, 27 Mar, 2020.
https://www.researchsquare.com/article/rs-19560/v1

いわゆる計算機を用いた分子ドッキング法を用いて、SARS-CoV-2に打ち勝つ18個食物分子を調査した研究です。EGCGを含む、18個を計算機を用いてシミュレーションをかけたところ、EGCGが最も良い結果を得られた様です。以下に結果の一部を引用します。

「Among these dietary molecules, epigallocatechin gallate (EGCG) which is found abundantly in green tea, was found as most active agent against COVID–19. EGCG showed highest binding affinity (–9.30kcal/mole) and lowest inhibition constant (0.152µM) for 6y2e protein. 」

これを読む限り、緑茶に含まれるEGCGが、COVID-19に一番強く対抗したようです。あくまでシミュレーション結果ですし、まだ査読前ということで、更なる研究の発展に期待したいですね。

この研究はまだ一例ですが、COVID-19に限らず、抹茶・煎茶・玉露などには免疫力の向上や抗ウイルス性があると論文も出ているので、特効薬という意味ではなく、普段より緑茶を楽しむことで、少しずつ免疫などを挙げて行ければいいですね。私なんかは、普段から抹茶は飲んでいますが、最近は煎茶も取りいれ、ほっこりしながら頂いています。

<参考文献>
資料[0] (本記事の論文) : Mohammad Faheem Khan, Mohsin Ali Khan, Zaw Ali Khan, Tanveer Ahamad, Waseem Ahmad Ansari, “Identification of Dietary Molecules as Therapeutic Agents to Combat COVID-19 Using Molecular Docking Studies”, RESEARCH ARTICLE, 27 Mar, 2020.
https://www.researchsquare.com/article/rs-19560/v1
資料[1] 新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)厚生労働省健康局結核感染症課 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000587893.pdf
資料[2] 戸田眞佐子,大久保幸枝,島村忠勝,他,”茶カテキン類およびその構造類似物質の抗菌作用ならびに抗毒素作用”,日細菌誌 45: 561~566,1990
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1944/45/2/45_2_561/_pdf/-char/ja
資料[3] 後藤哲久,長嶋等,吉田優子,木曽雅昭,”市販緑茶の個別カテキン類とカフェインの分析”,茶研報83:21~28,1996
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/1996/83/1996_83_21/_pdf
資料[4] 中村衣里,上田友佳子,橋本ゆかり,和田宏美,松浦寿喜,”抹茶の品質と糖質吸収阻害作用との関係”, 日食化誌,Vol21(3),2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/21/3/21_KJ00009749723/_pdf
資料[5] 中村衣里,博士学位論文,”抹茶の品質と機能性に関する研究”,2017年、武庫川女子大学
https://mukogawa.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1128&file_id=20&file_no=1

気楽な抹茶(薄茶)の点て方動画:茶筅とキッチン道具で。

茶筅とキッチン用品だけでキッチンで気軽に抹茶(薄茶)を点てる解説動画を撮ってみました。いろいろな抹茶の論文を読みましたが、抹茶に含まれるポリフェノールの内、カテキン、ストリクチニンなどが免疫作用、抗ウイルス作用、脂肪低減など色々な効果があることが研究結果でも出ています。しかし抹茶は扱い難いという方の為にキッチンで茶筅だけで気楽に楽しめるようにということで撮ってみました。新型コロナに効果があるとは言うつもりはありませんが、日々頂く事で基礎的な免疫向上等は望めるのかなと思っています。茶人の先生たち高齢であってもめちゃ元気です。

この動画では、作法や所作などは一切なく、キッチンで気軽に抹茶(薄茶)を点てることに目的を置いています。なので流派等関係なく極めてカジュアルな内容です。

参考)伊藤園と静岡県立大学の以下の研究では、カテキンの一種(EGCg)と緑茶にしか含まれていないストリクチニンが2009/2010年の新型インフルエンザに対して、その抗インフルエンザ薬の「アマンタジン」よりも抑制の効果を示したという結果が示されています。また季節インフルの予防効果もあったとのことです。
https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0497575_02.pdf

濃茶の回し飲みは濃厚接触?(茶の湯)

狭い茶室で肩を寄せ合い、主客一座建立で心を揃えて一碗の濃茶を回し飲む。450年続いてきた茶の湯の茶事(濃茶)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)判定で話題の濃厚接触なのでしょうか。

結論から言うと、資料[1]の厚労省による定義ではおそらく濃厚接触です。(該当部:汚染物質の接触者: 「患者(確定例)」由来の体液、分泌物(痰など(汗を除く))などに、必要な感染予防策なしで接触した者)

今回の定義では上の通りですが、濃茶の飲み回しは悪いものなのでしょうか?長生きも多いと言われる茶人の濃茶に何か効能はないのでしょうか?少し論文を読んでみました。

まずは、最近の世界中の抹茶ブーム・緑茶ブームで有名な苦みにあたる「カテキン」。資料[2]の論文によれば、カテキン類が、抗菌・殺菌作用、抗毒素作用等が示され、日本人が長年臨床しているともいえる緑茶の習慣が、健康維持や細菌感染症の予防に役立っていると示されています。

次に緑茶(日本茶)といっても煎茶、玉露、抹茶、ほうじ茶などいろいろな製法がありますが、資料[3]の論文では市販の多くの日本茶を分析しカテキン、テアニン、カフェイン等の含有量を比較しています。残念ながら玉露・抹茶などは煎茶よりもカテキンが少ないと報告されています。カテキン類は太陽光により変化(生成)されるため、被覆して太陽光を避ける玉露・抹茶はカテキンが少なくなるようです。もともと茶樹の根から作られる旨味成分とよばれるテアニンは太陽光にてカテキンに変化するため、抹茶は被覆によりテアニンが「残り」、それが旨味となるようですね。ただし、煎茶に比べ、濃茶は大量に抹茶を使うため煎茶を飲むよりはカテキン摂取量は多い様です。

次に興味深い論文(資料[4], 資料[5]:同じ研究者)は、抹茶の質・グレード(安い物から高いものまで)によるカテキン成分量の違いに関して比較しています。興味深い結果として3つの茶舗ともにグレードの高い(価格が高い)抹茶ほど「カテキンが少なく」、旨味成分が強いということです。確かに高い抹茶は特に濃茶でこそ美味しく、安い抹茶で濃茶を飲むと雑味が(一般的には)目立ちますものね。つまり安い濃茶をたくさん頂く方がカテキンが多い為、健康維持には繋がりやすいという示唆が論文ではなされています。お茶事などでは良い(高い)抹茶を使う傾向がありますが、毎日の気軽なお茶では、好みの安価な抹茶で濃茶を練った方が良さそうです。論文にある1つの面白い紹介として、抹茶の効能の1つである「糖質消化吸収抑制作用」において、食後過血糖治療薬であるアカルボース医療薬1回服用量100mgと抹茶6gが一緒とのことです。流派によっても異なるかと思いますが、薄茶は一服約1.5g~2g, 濃茶は一客三杓(4.5g~6g)とすると、市販薬の効果と同様の効果が濃茶一服で得られる様です。

論文を色々読んで結果的に濃茶は殺菌・抗菌作業等があり、予想通り健康維持に繋がるものだと分かりました。門外漢ですので、厚労省の濃厚接触の定義「必要な感染予防策なしで接触」の部分において、濃茶の飲み回しが必要な感染予防策に該当するのかわかりませんが、こういった観点でこの分野の先生に少し調べて頂きたいですね。

今日の家稽古の濃茶は測ってみたところ9gでした(笑)

キッチンスケール点前(そんなものはない)
9gでした
団子に懐紙がくっついた。

<参考文献>
資料[1] 新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)厚生労働省健康局結核感染症課 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000587893.pdf
資料[2] 戸田眞佐子,大久保幸枝,島村忠勝,他,”茶カテキン類およびその構造類似物質の抗菌作用ならびに抗毒素作用”,日細菌誌 45: 561~566,1990
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1944/45/2/45_2_561/_pdf/-char/ja
資料[3] 後藤哲久,長嶋等,吉田優子,木曽雅昭,”市販緑茶の個別カテキン類とカフェインの分析”,茶研報83:21~28,1996
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/1996/83/1996_83_21/_pdf
資料[4] 中村衣里,上田友佳子,橋本ゆかり,和田宏美,松浦寿喜,”抹茶の品質と糖質吸収阻害作用との関係”, 日食化誌,Vol21(3),2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/21/3/21_KJ00009749723/_pdf
資料[5] 中村衣里,博士学位論文,”抹茶の品質と機能性に関する研究”,2017年、武庫川女子大学
https://mukogawa.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1128&file_id=20&file_no=1

春の七草粥

スーパーのレジの前に七草セットが売っていたので作ってみました。卵入り。


出帛紗は「寿々志ろ」(すずしろ)


花びら餅


鼠志野、加藤亮太郎、銘「箒星」

豆の脱穀と唐箕

実家で豆類(大豆・黒豆・小豆など)の脱穀とそれを分別する唐箕(現代的)を使った農作業の手伝い。
とはいえっても脱穀は既に終わっており、唐箕も人力ではなくエンジンを使うのであっと言う間に終了。
小春日和の良い日でした。

水まつり 貴船神社

水を司る高龗神(たかおかみのかみ)を御祭神とする貴船神社の水まつりへ。


献茶は、裏千家家元名代 伊住公一朗さん

その後、かき氷

炉を閉じ風炉へ。端午の節句の粽。

5月になりましたので自宅の炉(置き炉だけど)を閉じ、風炉へ。
炭点前、濃茶、薄茶と思い出しながら点前を確認しましたが、体が覚えていました。わりとすんなりと。また半年風炉釜にお世話になります。

端午の節句の粽をとらや@日本橋にて。粽は2世紀の中国(後漢)で始まった(少なくとも文献が残っている)とのこと。日本にも文化が輸入され伊勢物語でも菖蒲の葉で餅を繰るんだ記述があるようです。歴史がありますね。