2015/09/28 Supermoonと月までの距離インチキ計測

2015/09/28は満月であり、また地球・月間の距離が近くスーパームーンと呼ばれます(最近になってこういう呼び方が)

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Canon EOS-M3 + EF70-200mm F2.8L IS USM + x2 Extender : RegiStax6 (4枚合成)。
f=200mm x2 = 400mm, RAW ISO 100にも関わらずノイジーです。かなりシャープをかけています。RegiStaxのコンポジット合成の威力は発揮できず。

さて、この200mmでx2テレコン状態で今度は道路の`止まれ`文字の撮影。

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20.51m離れた場所から59.5cmの`止`の文字を撮影した場合にピクセル間距離は3044px。
昨日は満月なので満月撮影時の写真から赤道直径をピクセル間距離で求める。赤道直径をインチキだけどWikipediaから3471.3kmという値を使えば、撮影地点から月の距離が求まる。結果354662km。
9/28は956900kmまで接近するという記事があったので妙に正確に出てしまった。記事の距離はおそらく地球中心からの距離だろうし(撮影は北緯35度の東京)、しかも南中時に撮影していないのでたまたま。

よく使う200mm x2 = 400mmの画角とピクセル間の比を求めたのは今後いろいろ使えそうです。とりあえずスカイツリーの高さから距離を求めてみようかな。

おまけの動画。

(祝)東京オリンピック・パラリンピック2020。そして東京および日本がこの7年間でやるべきことを考える。

2020年のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定しました。この決定までに相当な労力があったと思いますし、プレゼンに登壇された方、後ろで支えた方達含め、本当にお疲れ様でしたと申し上げたいです。本当に選ばれて良かったです。

さて、7年後の開催に向けてまさにこれからというわけですが、ある意味インフラが充実している東京ですと、無難な開催であれば、普通にやっていれば実現可能だとは思います。しかし、2020年のオリンピック・パラリンピックその時だけ良ければOKみたいな方針にするのはあまりにももったいないと思います。やはり、この機会をきっかけにこれからの東京、日本、そして世界へ発信する都市デザイン・日本技術・文化のモデルケースになり得る開催にすべきかなと思っています。

これからの7年間、時間にしては短すぎず、長すぎずの良い期間だと思うので、こんなのが実現できたら面白いかなというのを考えてみようと思います。面白いかなではなく、”やる”と思わないと何も実現しないですね。

●`omotenashi`ではなく、`おもてなし`の再考。

今回のプレゼンでも使われた`おもてなし`という言葉。同じく世界でも(国連などでも)使われているらしい`mottainai`(もったいない)などの言葉。日本の言葉を横文字で表現するのは良いのですが、その`おもてなし`というのを日本人は知った気になっているのではないかなと。かく言う私も例外ではなく、茶の湯の世界に触れ、何となく日本の文化を知った気になっていた自分に気が付きました。横文字になったイマイチよく分からない`omotenashi`ではなく、本質的に日本的に美しいおもてなしができるように。それはきっとド派手な演出ではないはずです。

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●日本の伝統文化のまず我々の認知と事業維持

(これは言われなくてもやるかとおもうのですが、)おそらく開会式は着物でしょうし、和太鼓なり祭のテイストで行われるでしょう。そういう演出プロデューサーが、一部の有名な日本の文化を採用して外国に見せるのではなく、この機に我々日本人がちゃんと日本の多くの文化を勉強し認知し、良い物を見極める目(+五感)を育て、その文化(事業)を維持するにはどうすれば良いか考えたいものです。ユニクロのような安価大量消費・捨て文化の一部をちゃんと見直せるように。もちろん、それは日本食文化も含めて。
茶の湯を初めてから国内様々なところに訪ねていますが、そこで感じるのはとても良い文化があっても、それをうまく表現することに苦心しており、結果後継者も育たず困っている場面に出会します。東京にはピンからキリまでコンサルと呼ばれる職業の方が実に沢山いるようです。その一部の方達には自分の事業を3年間休んで地方に飛んでその能力を活かしてこの問題に取り組んで欲しいと思います。都内の狭いところで、例えば一つのITシステムを導入させるのに優秀な連中が切磋琢磨して凌ぎ合っているより、ごっそりその頭の使い先をシフトさせてもらいたいです。国の支援・法律などで、彼らにそういう時間を作らせることができないでしょうか。とはいえ、東京で使っているような何でもロジカルに考えすぎると、また掴みにくいのが日本文化なのですが(笑)。いろいろな物を手に持って見てみないと分からない(写真では伝わらない)世界があることを知って欲しいですね。漆・塗の文化なんて角度があるので写真ではその素晴らしさが伝わりません。

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●電力システムの見直し

今回の招致運動でも毎度質問されていましたが、3.11の福島第一原発の処理は難しい問題です。少なくとも3.11から2020年までの約10年で原発を収拾させるのは絶対目標に掲げたいですね。まだまだ第一原発の建屋はテントが掛けられたままで中は手つかずです。あまりの高線量に人が近づけませんから、作業は困難を極めますが、山側からどんどん水が流入していて、最近の漏れも含め、ゆっくりやっているわけにはいきません。2020年をリミットと位置づけて何とか収拾させ、もし事故が起こった場合にどのような構造になっていると収拾させやすいのかなど、設計にまでフィードバックできるようにしてもらいたいですね。世界にある既設・新設原発に向けて少しの修正で改善できるかもしれません。

また、この会場・施設・運営には、直流ネットワークに挑戦してもらいたいです。電力の地産地消とでもいうのでしょうか、電力を遠くから送電するのは無駄が多すぎてもったいないです。風力、太陽電池などのローカルで発電でき、それを一度交流に変換してまた熱にする様な無駄な熱・電気変換を最小にする電力マイクロネットワークを一地域でも実現させて世界に発信してほしいです。すくなくとも晴海・有明・お台場地域はそういう特区にしても良いと思うんですけどね。

2009年の古い記事ですけど、昔このブログでも書いています。
参考:人類として最も進化した”住み方”を考える。完全自家発電自給自足ハウスモデルの提案。

また電力に関わりますが、ボストンの町並みが綺麗なのは一時あった電線を全て地下に埋めたからだと思っています。電線が飛び交って、窓から白シャツとパンツが干してあるのもアジアっぽいですが、そのあたりは脱却して、ちゃんと電線を地下に埋めて欲しいです。毎年2~3月の予算使い切りで綺麗な道路を無駄に掘り起こすのであれば、予算使い切りは全て電線の地中埋めに使うみたいな流れになれば良いのですが。

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●首都圏交通ネットワーク+スマート避難システムの構築

東京の交通網は正に網の目です。網ですから、どこにでも行き渡っている様に見えて、それが各種利権の縦割りでそれが有機的に結合できていません。機械的に編み目になっているだけです。東京メトロと都営地下鉄の`馬鹿の壁`がやっと撤廃される様ですが、JRも含め東京の駅を三次元的に見てもっと最適な接続を再検討していただきたいです。パラリンピックも開かれるのでバリアフリーはもちろん、日本語が分からない外国人がきても100%絶対に迷わず最適(+ちょっと遊びで観光ができる)交通ネットワークシステムを作って欲しいですね。
東京に限らず日本のバスの路線図って最悪だと思っています。例えば”何系統の何とか神社行き”とかって地元の人しかわからないですよね。全部のバス停がバス停の看板には書いていなかったり、バス停の自体が見つからなかったり。正直バス会社は路線図作成に努力が足りないと思っています。日本人でも分からないのですから、外国人がわかるはずがありません。地下鉄・鉄道・そしてタクシーとの垣根を越えて実にスマートな交通システムを確立してほしいです。たぶんそれができるようになると、まもなく発生する首都圏直下地震のスマートな人輸送にも使えると思うんですよね。網を貼っていれば魚がひっかかるわけではなく、戦略をもって交通網を見直したいものです。スマホ利用前提でも良いと思いますし。
それに関連して、首都高整備など道路見直しも出てくるとおもいますが、真っ先に日本橋の上の首都高を撤廃してほしいです。高度経済成長時代の第一回東京オリンピックで突貫工事でつくり、今回成熟した第二回の東京オリンピックで撤廃したみたいなストーリーがよろしいかと思います。日本橋在住としては、日本の道路基準に空が無いのは悲しすぎます。

●首都圏のビル風・アスファルト照り返しの異常な暑さへの対策

上述の電力システムの見直しに近いのですが、熱い熱いとエアコンを入れて、室外機の熱風をまた別の部屋でエアコンで冷やして・・・という繰り返しでは熱くなるばかりです。今まで原発を好き勝手に建設できた時代は、都心が要求した電力をまかなうように原発を増発すれば良い話でした。3.11以降もう一度節電意識を高め、とにかく首都圏から電力を要求しない体制を作らなければなりません。
首都圏からの電力は地方から相当な電送ロスをもって運ばれ、何かの電化製品を通して熱に変わるわけです。この暑さは(一時的な)異常気象もあるわけですが、まず東京で電力→熱変換をさせない意識を高め発熱を激減したいものです。細かい話でいえば、DC/DCコンバーターなんてこの最近は変換効率で90%近いです。PCに代表されるようにちょっと使わなければスリープに入る技術も成熟しました。この最新の電力変換デバイスとこまめなスリープ機能を電力食い虫の工場の各施設に(国の支援も使って)導入をはかり、たとえば旋盤などの工場機械も直ぐにスリープに入って電力が落ちるなど、徹底的に省電力化をはかりたいですね。全ての工場機械にスリープ機能は必須みたいな法整備が必要かと思います。たぶん旋盤などの機械まで導入すれば世界でも売れるはず。
あと、アスファルト・コンクリート・ビルの壁の素材など、もう少し光学的(α・ε)を考えた材料を導入してもらいたいですね。面積に効いてきますから、今後建設するビル・道路などは、最先端の素材で作り替えていけばいずれ大きく違いが出てくると思います。自転車は走りにくくなりますが、自動車道では、アスファルトと草をゼブラ的な道を作ってみるとか・・・。

*****

ダラダラ書いてしまいましたが、2020年の期間中だけ乗り切る開発ではなく、7年後以降のスマート東京(次世代東京)になるように意識を変え、そしてそのモデルが世界に発信し、そのモデルに関わる産業が儲かるようになればと願うばかりです。たとえば、今の日本の緊急地震速報なり水道システムなんて世界で十分に売れると思います。私もエンジニアの端くれとして技術面では努力と、茶の湯を嗜む面から本当の日本の美・文化に向けて情報を発進して行きたいと思います。

 

東京都慰霊堂、震災いちょう、大正の関東大震災から90周年。

本日2013年9月1日は、大正時代に起こった関東大震災から90周年でした。人類が他の地球の生物に対して、何を持っているか?と言われれば`記録`です。知性も記憶もそのレベルの違いはあれどのような生物にもあるかと思うのですが、人類といえばパピルスから始まる人類の記憶を残す`記録技術`です。先輩達の残した記録は、現代人はちゃんと振り返り失敗を繰り返さないようにしなければなりません。むしろ、動物たちは、地震の前に海沿いからサーっと山に逃げるという動物的勘があると言われます。人類はその機能が失われてしまったため、むしろ個性である記録を大切にしなければなりません。

参考:関東大震災 – Wikipedia

関東大震災が9/1に起こったことは、長野県出身の私でも小学校の頃から防災・避難訓練があったため知っていました。しかし、それがどういう規模で、どの地域で、どういう状態だったのか?少なくとも教科書レベルでは大した事は書いてありません。そこで今年も両国にある`東京都慰霊堂`に行ってきました。

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東京都慰霊堂の由来は上記の看板をご覧ください。

公式サイト:東京都慰霊堂

つまり、この慰霊堂のあった場所は、当時大きな公園(広間)になっていて、この近所に住んでいた住民が寝具などをもって避難してきました。その時に、火災旋風(火の竜巻)が起きて一瞬でその避難してきた人を飲み込みました。そこで、一瞬にして 38000人もの人が焼死しました。かろうじて免れた方の証言などによると、火の回りはあっと言う間で、そして竜巻なので人も自転車も寝具も巻き上げられたそうです。最も被害の大きかったこの場所に、震災後身元不明の納骨も含め慰霊堂が建てられました。東京市のその他の地域の身元不明のお骨もここに収められました(結果58000人)。関東大震災後、やっと復興した東京は、今度は太平洋戦争の`東京大空襲`で失われた人達もここに納められるようになり、二つの一般市民が巻き込まれた人々が眠る東京都慰霊堂になりました。私個人的な意見では、東京に住む以上ここには一度は訪れないといけないのではと思っています。特に被害の大きかった1945年3月10日(3.11の震災の一日前と覚えれば忘れないですね)の東京大空襲では一夜にして10万人近くの一般市民の命が奪われ、一般市民向けに行った空襲では人類史上最悪の被害数の出来事です。

慰霊堂の中には、`夢`を書く札(ゆめ供養)があります。突然命を奪われた、震災・空襲の人々のかなわなかった夢に変わって、我々が夢を書くという趣旨のものです。慰霊堂に訪れた際には是非。慰霊堂の中には、映像資料などもありますので是非中へ。

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慰霊堂の裏にある納骨堂。

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”東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑”

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復興記念館

この復興記念館は慰霊堂の隣にあるのですが、無料ですので是非お運びください。ここで、関東大震災がどのくらいすごい火災であったかを学んでください。そして30万人が皇居前に避難している大型のパノラマ写真もありますので、そこの混乱を是非想像してみてください。

ちょうど昨日、NHK Megaquake III 巨大地震
http://www.nhk.or.jp/special/megaquake3/index.html

にて、この関東大震災の特集が紹介されていました。相模湾を震源として起こった関東大震災は、鎌倉、小田原などに津波等直接被害を与え、また千葉の館山などにも強い震度をおこしました。しかし距離のある東京市は地震の揺れで亡くなった人はあまりいません。95%はその時東京市に同時に起こった137箇所の火災によるものです。現在の東京よりも人口密度が高く、木像が多かった東京で、11:58というお昼時で火を使っている時間に、台風が迫っていて強い風が吹いているという条件が重なり、震災後3日間東京は燃え続けました。NHKの番組で、震災後数時間の神田周辺の動画映像が紹介されていました。写真なども含め震災後、火事は多点で起こっていましたが、人々はそれほど焦って逃げている様子はありません。つまり、一般的な火事(東京は江戸時代から火事の町)と一緒で少しずつ広がると結構楽観的に考えていた様です。しかし多点での火災で広範囲で上昇気流が発生し、そこに強い風が吹き込むと火災旋風というまさに火柱のような竜巻が発生し、あっと言う間に火が四方八方に広がったとのことです。日本橋三越前の写真も残っていますが、皆どちらに逃げて良いかわからないような写真があります。

現在の東京で同等の震災が起こったとき、木造建築は少なくなったとはいえ、やはり多点火事は免れないでしょう。阪神淡路大震災の時でも、火災旋風が起こったという証言は多々聞かれます。ビル風と、多点火災を考えると、全く起こらないとは思えません。インターネットインフラもおそらく直ぐに麻痺してどちらに逃げれば良いかなどの情報把握は困難かと思われます。

復興記念館に足を運んでいただき、関東大震災を学び少しでも個人個人で対策を考えたいものです。MTBのようなパンクしにくい自転車で長野の方まで逃げるのがよいのか。仮にビル風に煽られて火災旋風みたいなものが都内で発生すると、3.11の震災のようにみんなで歩いて帰るなんというのは危険かもしれません。

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20130825_ireido8この`震災いちょう`は皇居のまわり、気象庁近くの公園にある`いちょう`です。

解説にあるように関東大震災の時に奇跡的に火災を免れたいちょうとのことです。関東大震災の東京市全土の火災は、やはり皇居まわりのお堀、浜離宮のような水場で火災がとまり、その後、火事を食い止める堀・川・水・木を残していこうと考えたようです。是非、このいちょうも皇居ランニングなどをする際には行ってみてください。

人類が唯一できる`記録`というのを、現代人は忘れることなくちゃんと足を運んで少しでも対策はないか?少なくとも自分ならその時どうするべきかなど考える必要があるのかなと思います。

(本当は史上最悪の東京大空襲に関しても書きたかったのですがまた別記事で)

素人地震予測システムMr.EQの開発。その1(ベータテスト)

2011年3月11日の東日本大震災から1年が経ちました。
改めて、多くの被災者の皆様にお祈り申し上げます。

1年を迎えエンジニアとして何かできないか考えました。

震災直後は、東京に飛来する福島原発の放射線を、飛来前に予測し、リアルタイムで計測し、ネットで飛来時間を配信しました。おそらくリアルタイム計測、配信という意味では日本で最も速かったと思っています。
https://www.spacewalker.jp/rad/

その後、簡易ガイガーを車載して、福島の避難区域ギリギリまで放射線を移動計測などもしてきました。
参考: 東京日本橋から福島第一原発周辺まで車で放射線計測をしてきた(その1)

この移動計測技術は、ある移動記録型ガイガーカウンターという商品開発に繋がりました。

1年を迎えるにあたり、完全に分野違いな地震予測がなんとなくできないかを考えました。
地震は全く分野外であり全く知識もありません。地震のメカニズムもしっかりと理解していないため、そんな素人が地震予測というのはかなり無謀なものです。
一方で、昨年の3.11の二日前の3月9日は地震が多かった記憶があります。何か大きな地震が起こる予兆みたいなものだったのではないかと。
もし、何か兆候が見えて、非常食なり簡易トイレなり購入できればほんの少しは役に立つのではないかと。

まだ予測などできるレベルではありませんが、2008年からの日本で起こった全地震データを管理し、傾向をグラフで見られるレベルまでシステムを開発しました。
全地震の詳細データや都道府県別のトレンドグラフなども確認できます。まずはベータシステムとして公開いたします。
仕事の片手間ですが、少しずつ形になるように進めてゆきたいと思います。本当は1年目の今日の内に簡易予測まで行ければ良かったのですが・・。情けない。

Mr.EQ | 素人地震予測システム(ベータ)
http://eq.spacewalker.jp

上記システムに行って、いろいろ確認頂きたいのですが、2008年7月以降の約10500個の地震について詳細なデータやGoogle Earth上にマッピングができます。
以下は、2011/03/11の本振のプロットした様子。

更に、システムがリアルタイムで、自動生成しているグラフを紹介いたします(このグラフもリアルタイムで自動生成されています。最新の地震データに連動しています)

グラフ1:2008年~本日までの全国で起きた地震の総数
2008年~本日までの全国で起きた地震の総数

グラフ2:グラフ1を時間微分(日単位)したもの。2011.3.9に少し跳ねているのが分かる(兆候?)
2008年~本日までの全国で起きた地震の総数の時間微分

実家から自家製味噌が届きました。そして味噌汁。

さて、長野の実家から自家製味噌を送ってもらいました。実家は大豆もお米も作っているのでこの味噌は正に実家の自家製です。何せこの味噌で育っているわけですからこの味噌がどんな味噌よりもおいしいです。慣れかもしれませんが。


今回はこの位の量を2袋分母親に送ってもらいました。


写真がどーにもテキトーなのですが、こんな感じの味噌。確か、大豆とお米を1:1で使っているとか母親が以前言っていたような・・・。


で、早速味噌汁。”おふ”、豆腐、厚揚げ、わかめに万能ネギの味噌汁。今回は昆布を前日の夜に水につけておいて、そのだし汁で作りました。
まぁ、旨いに決まっていますわな。これからの世の中を考えると、ウチの実家のようにお米から大豆・小豆、野菜を作っていることのプライスレスな価値は計り知れません。

追記:万能ネギを鍋に全部いれちゃうの?という指摘を受けました(笑

素晴らしすぎて魂が震えた動画を紹介。米国アリゾナ・ユタのTime Lapse動画

この数年で見た動画の中で最も感動致しました。本当に美しすぎて魂が震えます。もう完全に必見。必ず見て下さい、いや見ろ!(笑

注意!:Full HDの動画ですので必ずフルスクリーン(動画の右下のボタン)で見て下さい。また音楽も完全に同期させていますので音付きで

Landscapes: Volume Two from Dustin Farrell on Vimeo.

この様な動画をTime Lapse動画(日本では微速度動画など)と呼ばれますが、今まで見たTime Lapseの中で最もクオリティが高く素晴らしい作品です。
動画の下に動画元のリンクがありますので辿っていきますと、この動画はDustin Farrellさんの自身の仕事の売り込み動画なんですよね。
このクオリティを見せられたら仕事を頼みたくなりますね。また今回の動画はVolume Twoですが、リンク先に他の氏の動画がありますので是非ご覧ください。

いやはや、地球の素晴らしさを心から感動させられました。Time Lapse動画を見ると、人間の感覚時間が星の時間に対して早すぎることを実感します。こうやってゆっくりと自然を見ると本当に美しいです。おそらく実時間1年を1秒にした地球のTime Lapse動画があったとすると、東北地方に人は住まなくなると思います。1000年周期で大洪水が定期的に訪れている。その視点で見れば自ずと地球の動き、時間、人間との共存の仕方が見えてくるような気がします。

ゲリラ豪雨や大地震に対してモーレツなライトを買おう!GENTOSシリーズ

昨日も都内でモーレツなゲリラ雷雨が発生しましたね。皆様の地域は大丈夫だったでしょうか?毎回の様に、”観測史上最大の大雨”みたいなニュースが流れるため、米国の映画の興行収入第一位の様に驚かなくなりましたが、確かにゲリラ豪雨の様なスポット大雨は増えた気がします。さて、今回はモーレツなLEDライトの紹介です。


GENTOS SuperFire X Premium SF-705XP

株式会社サンジェルマンのGENTOSシリーズのサイト

もう、これが最高でして、ウチの会社で人工衛星に当てる太陽光模擬の為に買った物です。実際には太陽光としては使えなかったのですが、その他の用途で使いまくりです。
とにかく、”モーレツにモーレツにモーレツに明るい”。夜中実験などをする機会も結構あるのですが、あまりに明るいので大変作業がはかどります。
単1電池4本使用で重さ1kgと強烈な筐体です。私はこのライトを実際に使ってみて

0)あまりにモーレツな明るさのため、汎用的な暗闇移動に相当使える!キャンプとかでも大活躍。
1)ゲリラ雷雨の増水で、車が水の中で閉じ込められ、ドアが水圧で開かなくなったときに窓ガラスを割る鈍器として使える。
2)近年、必ず起こる東京の大地震において夜間の移動などで大変役立つ(と思う)

というわけで、お車の中に常備品として、ご自宅の常備ライトとして、にこのライトはとてもおすすめです。地震が来ると分かっているので対策をしないのは、知識を共有できる人類としては、やってはいけない行為です。
無理矢理いろいろな用途を書きましたが、単純にこの明るさは面白いので買って損はないと思います。楽天などでたくさん売っています

私としては、このSuperFireを更に上回る新製品、MegaFireに興味が移っており(笑)

GENTOS MegaFire MF-1000D 単1電池6本

もう完全に軍事用途です(笑)。上記で紹介したSuperFire SF-705XPの500ルーメンで相当ビビっていたのに、このMegaFireは1000ルーメンです。圧倒的。たとえば、通販サイトさん(HOLKIN : MegaFire MF-1000Dのサイト)をみると、ライトを迷彩色のショルダーストラップで掛けています。これは相当に興味が惹かれますが、かなり重量があるので、いざ緊急時の時に持って行けるのか不安です。逆にショルダーストラップがあるから良いのかなと思ってみたり。重さのバランスを考えても最初に紹介したMegaFireの方が使い勝手は良いかもしれません。

さて、このようなLEDライトですが、世の中にはライトマニアという人たちが存在しており、私のサイトで生半可な事を書いたら怒られそうなマニアックっぷりです。興味があれば、以下のサイトなどをご覧ください。あらゆるライトを買い集め同条件で比較しています。とはいえ、その中でも、上記のSuperFire, MegaFireはかなり明るいと評価されているようですよ。このお中元シーズン。いきなりこういうライトでもお知り合いに送ってみたらいかがでしょうか?(笑

LIGHT*MANIA(懐中電灯趣味のサイト)

iPhone4を搭載した人工衛星は実現できるのか?人工衛星設計・開発フローの雑な紹介。

2010.06.24に、Appleは最新のiPhone4を発売開始します。A4と呼ばれるCPU(MPU)、2つのカメラ、ジャイロ、磁気コンパス、加速度センサなど、人工衛星に必要な機能の多くを有しています。このエントリーでは、iPhone4を搭載コンピューターとした人工衛星が実現するか(むしろ、実現するための)設計フローを紹介します。大変長文のエントリーとなりますが、この仮想iPhone衛星を通して、人工衛星設計・開発がどんな感じでできあがっていくのか、その片鱗を伝えられれば幸いです。専門用語は極力解説しながら使いますので、根気よくお読み頂ければ、文系の方でも問題なく理解できると思われます。

◆iPhone搭載人工衛星: iSat4 ”超雑な”概念設計◆

その0) 衛星のミッションをまず考える。

まず、”iPhone4を搭載した衛星”というのは、あまり良くありません。人工衛星は宇宙で(軌道上で)行うべきミッションがまずあり、そのミッションを実現する人工衛星を作らなければなりません。その為、iPhone4を搭載するというのは衛星を作る手段であり、目的とは言えません。宇宙開発は長い間国家(税金)下にあったため、この一番重要な”ミッション決め”のフェーズが極めて弱く、曖昧です。まず、ミッションを考えてみましょう。この部分は、エンジニアリングというよりは、ビジネスの話であり、マーケティング・コンサルファームなどの分野に居る人は特に力を発揮できる部分です。今後増えていきますので、その方面の方、準備をしておいてください(笑)
国の衛星はとりあえずおいといて、民間での宇宙開発では、儲からないミッションは成立しません。衛星を使って誰がうれしいのか?誰が金を出すのか?衛星開発費は?打ち上げ費は?打ち上げ失敗のリスクは?衛星ビジネスにはスリリングな要素が一杯です。

さて、今回のiSat4のミッションを、以下の仮ミッションとして掲げてみましょう。

ミッション例: 毎年起こる米国西海岸の山火事(被害額=10億ドル越え)を、衛星写真を使って常に監視し、火種の段階で早期発見し被害の軽減を目指す
誰が金を出すのか?: いつも山火事が近くで起こってビクビクしているハリウッドセレブ達、カリフォルニア州より集める。山火事になり数十億ドルの損害を事前に最小限に抑えられる旨をプレゼンする。
ミッション持続性:定期的に山火事が自然発生するなら、その発生頻度を考慮の上、持続可能。一方ですべて放火である場合は持続できない可能性がある。
ミッションの実現性の検討事項
・衛星から山火事の火種が識別できるか?その波長帯は?可視域なのか赤外線なのか?また雲の影響なども考慮する。
・そもそも衛星を数億円で開発、運用費を考えたときに、ヘリコプターを定期的に飛ばすのとどちらが経済的か?また、UAVなどの無人飛行機はどうか?
・常に西海岸を観測するためには、GPS衛星のような複数衛星を配置しなければならない。衛星複数機になる場合の開発費、また打ち上げ費はどうなるか?
など。

ざっと、ミッションについて書きましたが、日本の宇宙開発において、”代々極めて弱かった”衛星のミッション検討は、本当に時間をかけてやる必要があります。私が今ベンチャーで開発しているのは、民間の会社だけでやっているので、そもそもこの部分がペイできなければGOが出ていません。国の宇宙開発は税金であるため、つい、”あまり役に立たないミッション”でもGOしてしまい、打ち上げてから利用方法を公募するなど残念な事が多いです。衛星開発の非常に重要な観点ですので、ここは敢えて書いておきます。

今回は、このミッションに技術的な課題がクリアでき、それにより出資者もあつまり、運用後十分にペイできると仮定して話を進めます。火種の検出に関しては、(都合良く)可視波長で、地上分解能150mで監視すれば良いと仮定します(まったく根拠はなく、後半の検討を扱いやすくするために150mと設定)。また、今回の記事のテーマになっているiPhone4で実現することも目標とします(実際には、お客さんがついたら失敗が許されないので、iPhone4の搭載は見送ることになるとは思います。リスクが大きいので)

◆以下、衛星の各要素(系=サブシステム)毎に分けて検討を進めていきます◆

その1) ミッション系を検討する。

今回、山火事の火種が可視域(=簡単にいうと人間が目で見える波長帯)で150mの分解能で監視すれば見つけられることになっているので、iPhone4の背面カメラ(画角約45度くらい?画素数500万画素:画素配置も2200×2200ピクセルと正方形と仮定する)で撮影することにします。その場合、軌道高度(地上からの衛星の軌道高度)に対する、”理想的な”地上分解能(m)(1ピクセルあたり地上で何mくらい映っているの概算)は、下の表の様になります。iPhone4の画角がわからないので、仮に45度とした場合、軌道高度は、約400km以下に打ち上げないといけないようです。画角と画素が決まっているわけですから、地上から近い方が解像度が高いのは直感的にわかりますね。国際宇宙ステーションが350~400kmを飛んでいますので、実際問題としてこの高度に入れるのは、(ぶつかることは極めて希ですが)結構毛嫌いされます。なので、300km位に上げれば良いのですが、逆に300kmは低すぎてなかなかその位の軌道に投入してくれるロケットも現状少ないです。ベンチャーのロケット会社など(国内でも始まってきていますが)は、今軌道高度を上げるのに努力されているでしょうから、逆に良いかもしれませんね。

ちなみに軌道が低い(300km程度)のメリット・デメリットは、
・メリット:地上分解能があがる。(後述する)宇宙放射線が少ない。
・デメリット:衛星可視時間(地上のある1地点から見た衛星の見えている=上空を飛んでいる時間=通信ができる時間)が短くなる。

以上により、300kmの軌道高度で、iPhone4のカメラを使えば、可視波長で107mの地上分解のですから、山火事の火種を1ピクセル単位で観測できそうです。と書きましたが、本当はこのあたりはとても大変です。上記表の地上分解能は理想的な数値であり、実際にはiPhone4のカメラについているレンズの収差・イメージセンサのS/N比、量子効率など多くの面で表のような分解能はでません。言ってしまえばもっとぼけてはっきりしない映像となるはずです。近年、デジカメの性能指標に画素数がありますが、携帯の1000万画素と、大型デジタル一眼レフの1000万画素では全く画質が違いますよね。それはレンズ・イメージャーの性能が違うからです。上記表はiPhone4のそれが、理想的に高性能だと仮定した場合の結果ですから、実際には厳しいと思われます。

とはいえ、とりあえず、iPhone4の外側カメラで軌道高度300kmに打ち上げれば、山火事の火種を画像で確認できることとします。

その2) 姿勢決定・制御系を検討する。

さあ、iPhone4で”カリフォルニアの森”の写真を撮ればミッション成功という目処が立ったわけですから衛星の実現は簡単と思われますが、これからが大変です。
上の”カリフォルニアの森の”というのが難しいのです。地球のまわりをぐるぐる回っている人工衛星が自律的に、”カリフォルニアの森”の写真を撮るには、
2-A)自分がどの方向を向いているかを知る必要がある: 姿勢決定系
2-B)カメラのレンズをカリフォルニアの森に向ける必要がある: 姿勢制御系

人工衛星の設計・開発の中でこの姿勢決定・制御系というのは大変難しく、物理的な物の開発と共に、その計算アルゴリズムなどとても大変です。いわゆる宇宙工学の醍醐味とも言えるところで、多くのノウハウがあります。つまり、自分が宇宙空間(軌道上)でどっちに向いているかわからなければ、カリフォルニアの森がどっちか分からないし、また自由にカメラの方向を変えられるようにしておかなければ、カリフォルニアの森は撮影できないってことです。カメラだけ積んでいても衛星としてはミッションができないってことですね。

2-A)姿勢決定系:

iSat4に搭載できるかは抜きにして、一般的な衛星に搭載している姿勢決定センサは、
●スタートラッカ-:星(恒星)の写真を撮って、衛星の姿勢決定する:昔の大航海時代に星を見て大海原を航海していたのと同じ原理ですね。星は地上と同じように軌道上でも見えますので、その撮影した星画像を画像処理することで極めて精度の高い姿勢決定が可能です。
●太陽センサ-:太陽光の入射方向を検出して、衛星の姿勢を決定する:言ってみれば、地上で太陽が一番高い位置に上がったのが南の方向みたいな感じで、太陽方向から自分の姿勢を検出する方法です。スタートラッカーよりも決定精度は落ちます。
●磁気センサ-:地球の磁気(地磁気)を計測して、衛星の姿勢を決定する:言ってみれば、方位磁針ですね。赤い針が指した方向が北みたいな感じで、自分の姿勢を決定する方法です。スタートラッカーよりも決定精度は落ちます。
●地球センサー:地球の縁?枠?を検出し、衛星の姿勢を決定する:これは最近あまり使わないかもしれません。地球の”ヘリ”をとって姿勢を決定するのですが、精度が悪いのと、完全に姿勢が決まらないなどいろいろ問題があります。
●ジャイロセンサー:いろいろな方式がありますが、衛星の姿勢角速度(どのくらいの速度で回っているか)を検出するセンサです。PS3のコントローラ、Wiiリモコンなどで既におなじみですね。衛星にも必ず搭載しています。上記4つのセンサと違うことは、”相対角”センサということです。上記4つは、宇宙空間で絶対的に自分の姿勢が(ある程度)決定できるのに対して、ジャイロは、どのくらいで回っているという情報しか分からないので、上記4つのセンサでまず絶対角を決定してから、細かい差分の動きをジャイロで補完するような使い方をします。iPhone4には搭載済みなので使えそうですね。
●加速度センサ:iPhone4に搭載されているので敢えて書いていますが、衛星には加速度センサはあまり使いません。衛星がモーレツに回転した場合、衛星に加速度が掛かるのでそれを検出するには使えますが、その用途ですとジャイロの方がよっぽど精度が良いので、一般的には使いません。とはいえ、地上ではかならず地球の重力1Gが掛かっているのが、宇宙では0G付近になりますので、”ああ、宇宙に行ったのね”を確認するには良いかもしれません。
他にもいろいろありますが、このあたりが一般的です。スタートラッカーは私の衛星ベンチャーでも開発しており、かなり開発が難しいです。今回のiSat4では、そこまで姿勢を正確に決定する必要がないのと、電力などの関係で採用を見送ります。

以上を踏まえ、iSat4では、太陽センサと、iPhone4搭載の磁気センサー(いわゆるデジタルコンパス)を使って絶対姿勢決定をし、iPhone4搭載のジャイロでより細かい姿勢運動を導き、iPhone4搭載の加速度センサで宇宙に行ったかを確認します。はっきりいって、デジタルコンパス、ジャイロ、加速度センサがどこまで使えるかわかりませんが、ゴニョゴニョやって、なんとか姿勢決定できると仮定します。搭載する各センサ情報から衛星がどの方向を向いているか計算する姿勢決定アルゴリズムは、カルマンフィルタなどを使ったシミュレーションを重ね、iPhone4アプリとして実装します。かなり重い計算ですが、iPhone4搭載のA4ならがんばってくれるでしょう(と仮定)。iSat4は常に各センサから情報を取り出し、姿勢決定アルゴリズムアプリを計算し続け、衛星がどの方向を向いているか計算します。

2-B)姿勢制御系:

さて、何とか姿勢決定ができたところで、今度は、カリフォルニア上空を通過時に、カリフォルニアの森の方向へカメラのレンズを向けなければなりません。

一般的な衛星に搭載されている姿勢制御アクチュエータは、
●姿勢制御スラスタ:これは質量物質を宇宙空間に放出することで、反作用を受け姿勢を制御(変える)というものです。口に水を含み、ブーと吹き出しているような感じですね。大型衛星などでは良く使いますが、タンクに燃料が必要であるのと、量も有限であることなどから、小型衛星ではほとんど使いません。
●CMG(コントロールモーメンタムジャイロ):これは回転している物体(コマみたいなもの)自体を傾けることによって衛星の姿勢を変えるものです。まさに地球コマを回した状態で手にもって手首を回すと変な力をコマから受けると思います。その力で衛星の姿勢を変える方法ですね。これはモーレツな力(トルク)を発生させるために、大型の衛星などで使われはじめています。国際宇宙ステーションも超でかいCMGを積んで、定期的に交換しています。
●リアクションホイール:CMGとはちがい、コマを回転したり、留めたりして、その軸周りに力を発生させる方法です。オフィスにあるような回転椅子に足を付けずに座って、体を思いっきりひねって姿勢を変えるようなイメージです(ちょっと違うけど・・・・あくまでイメージ)。リアクションホイールは姿勢制御の代名詞として良く使われます。先日、大往生したはやぶさも、某国製のリアクションホイールが片っ端から壊れ苦労しましたね。とはいえ、リアクションホイールを作るのはとっても難しいです。真空でメンテナンスフリーで何年も回り続けるモーターって相当作るのが大変です。リアクションホイールだけではなく、宇宙開発の難しいのは、修理ができない状況で年々も壊れないという物作りの難しさと言えます。車だって車検でおかしいところを修理できますよね。それが出来ずにノンストップで動作させる・・。これは結構難しいことなんですよ。
●磁気トルカ:これはとっても原理がわかりやすいです。いわゆるコイルなどを巻いた電磁石を衛星に積んでおいて、地球の磁場(地磁気)に対して、適切に電磁石で磁界を発生すれば、その電磁力で衛星の姿勢が変わるというものです。小型衛星でよく使います。

さて、ここでiSat4の簡易的な小型衛星では、電力などの面や、また姿勢制御にそれほど精度が要らないことから、磁気トルカを姿勢制御アクチュエータとして採用することにします。具体的には、電線をぐるぐる巻いたコイルを3方向(X,Y,Z)の3軸方向に配置して、どの方向にも磁界が発生できるようにします。地球の磁場は既知ですので、その磁場に上手く干渉するように発生することで、衛星の姿勢を変えられます。

さらに、衛星の自分の位置を知る機能が必要です。地上と同様にGPS受信機を載せれば良いのですが、宇宙で使えるGPS受信機は結構高価です。iPhone4にもGPS受信機は載っているのですが、おそらくそのままでは使えません。理由はわかりますでしょうか?iSat4は人工衛星ですので、自身が時速28000キロというスピードで地球を回ります。つまり、GPS衛星との相対速度が大きく、ドップラーシフトが起こり、GPS信号が周波数ずれで受信できないのです。救急車の音が近づいてくるのと遠くなっていくので違うのと同じ原理ですね。地上で使うGPSは、地上で基本止まっている(車の速度くらいは誤差なので無視できる)のを基本に設計していますが、時速28000キロで飛んでいる衛星では、GPS受信機側でかなり周波数を調整してあげないと信号を受けられないわけですね。iPhone4のGPS受信機をハッキングするのはおそらく難しいので、今回は違う方法を採用します。地上で、衛星の飛んでいる軌道情報というのが米国空軍(NORAD)から得られるので、その情報をiSat4に定期的に教えてあげて、iSat4のアプリで衛星位置を自分で計算することにします。iPhone4搭載のA4プロセッサなら、軌道計算くらい簡単に回ってしまうのではないかと思います(昔はこの計算をする計算機が建物1つくらいあったんですけどね)。というわけで、衛星の絶対位置は、やや誤差は生まれますが、地上からの定期的な軌道情報と内部アプリ軌道計算で決定できるものとします。

まとめると、衛星の絶対位置が計算できるので、カリフォルニア上空というのがわかります。姿勢決定制御系で、自分がどっちの方向を向いているか分かります(同時にカリフォルニアの森がどちらにあるかも分かります)。姿勢制御系(磁気トルカ)で、上手く磁界を発生させて、衛星の方向を変えて、カメラをカリフォルニアの森に向けます。そこでシャッターを切れば、山火事の火種を監視できます。イメージ沸いてきたでしょうか?

その3) 電源系を検討する。

iPhone4の地上での利用では、電池が切れたらUSB経由で充電すれば良いですが、宇宙(軌道上)では、電力を得るのが大変です。ご存じの通り太陽電池セルを衛星表面に貼り付けて、そこから充電することになります。つまり電源系とは、
●太陽電池セル
●二次電池(充電出来る電池):リチウムイオン二次電池
●太陽電池セル制御回路
●二次電池充電制御回路
などから構成されます。この内、リチウムイオン二次電池と充電制御回路はiPhone搭載のものを使うものとします(一方で、USB充電ですので、5V供給ですよね・・。おそらく本当にiPhone4を使うのであれば、充電制御回路は使えないかもしれません。太陽電池セルとの関係で、少し無駄が出てしまう可能性があるからです。まぁ、ここは使えることにしてしまいます)。太陽電池セルとセル制御回路は新たに作らなければなりません。この辺は私も得意な場所なのですが、衛星作りの面白い所です(笑)

軌道300kmの衛星ですと、約100分程度で地球を1周しますので、1日に約15回地球を回ることになります。地球を回る際に、太陽光が当たる日照状態(daylight)と、地球の陰になって太陽光が届かない食状態(eclipse)を繰り返します。日照時に電池を充電して、食時は、その充電した分のバッテリー電力だけで動作しなければなりません。軌道には様々な種類があるのですが、今回はカリフォルニアを通るということで、比較的高緯度を通るということで、一般的な太陽同期軌道を選択します。この辺はやや難しいので説明は割愛します。とりあえず、軌道1周(地球1周)100分の内、65分は日照、35分は食と仮定します。

さて、iSat4の消費電力を見積もらなければなりません。衛星は、搭載コンポーネントの消費電力を全て算出し、その電力をまかなえるように太陽電池セルの面積(衛星サイズ)を決定します。

まず、iPhone4の消費電力見積もりです。事前情報でiPhone4のバッテリは5000mAh(ミリアンペア・アワー)であるようです。単位の通り、5000mA = 5Aを流し続けると1時間でバッテリーが終わってしまうという意味の容量となります。今回、iPhone4は、3G網、およびWi-Fi網は使いません(送信電力が小さく、地上に届かないため=圏外です)。一方で、衛星が様々な計算をするため、内部のCPU (A4になりますね)は結構常に動いていることになります。iPhone4の仕様ページから消費電力の見積もりをします。通話時間、インターネット利用は上記理由で関係ありません(3G, WiFiは使わない)、連続待ち受け時間も、ほとんどCPUが動かず寝ている状態ですので、これよりはiPhoneに軌道上で計算してもらう必要があります。ビデオ再生で10時間、オーディオ再生で40時間で、このあたりがキーですね。iPhone4の液晶はかなり消費電力を使うはずですが、軌道上で液晶は必要ありません。そうなるとビデオ再生よりは、電力が少ないはずです。一方でオーディオ再生よりはやや重い処理をするという仮定で、約20時間動作すると仮定します。バッテリーは5000mAhですので、これより、250mAで一定消費電流時に20時間駆動すると仮定できます。リチウムイオン二次電池を1セル(3.6 – 4.2V電圧)だと思われるため、3.8V平均とすると、3.8V x 0.25A = 0.95Wとなります。ここは概算でiPhoneは平均1Wの消費電力があると仮定します。

他に搭載物として、その2)で検討した、太陽センサと磁気トルカです。これは完全に大雑把に0.5W程度としてしまいます。また、地上からの制御指令(コマンド)を電波で受けるための受信機もいれなくてはいけません。これは0.3W位かな。

以上により、iSat4は常時平均1.8W程度の電力消費が必要な衛星であると見積もられます。このほかに”常時ではない”消費電力搭載物として、地上への”送信機”があります。カリフォルニアの森の写真をとって、その画像を内部のメモリに蓄えますが、その映像を地上に送らなければなりません。その為には送信機が必要です。iPhone4の地上利用では、撮った写真は、メールに添付なんてことができますが、宇宙では、3G網もWi-Fi網も使えないので、専用の送信機を搭載する必要があります。しかも地上300kmを飛ばさないといけないので、イメージとして東京から新潟の距離は最低飛ぶ送信パワーで送信しなければなりません。よって、送信機は常時ではないにしろ、10W位は最低必要です。人工衛星からデータを受信するアンテナが仮に日本にあるとした場合、iSat4が日本上空を通過する約10分間、送信機をONにしてメモリに蓄えた画像をダウンリンクします。今、Wi-Fiや3Gなどは数Mbpsというモーレツな回線スピードがでていますが、宇宙から10W程度の消費電力で送信する時は、せいぜい100kbpsです。とても遅いので、昔のダイアルアップモデム的なイメージで少しずつ画像が降りてくるイメージですね。

送信機は”常時”使わないので、まず常時使う1.8Wという見積もりから太陽電池セルの大きさを算出します。太陽定数という素敵な定数がありまして、地球近傍では、1366W/m2という値になっています。つまり地球近くの宇宙空間で、1平方メートルの板を太陽に向けたとき、その板全体で1366Wの太陽のエネルギーを受けられるというものです。この光エネルギーを電気エネルギーに変換するのが太陽電池セルなのですが、この変換効率がとても重要です。地上の屋根に載っているような太陽電池セルは、一般的なシリコンセルと呼ばれるもので、変換効率10%程度だと思います。つまり1平方メートルあたり1366W x 10% = 136Wということになります。人工衛星では最先端の太陽電池セルを用いることが一般的です(出来るだけ小さい面積で大きな電力を得るため)。シリコンではなく、トリプルジャンクションセルと呼ばれるガリウムやヒ素などを3重構造で重ねたようなセルを使うことで、30%を超えるセルを使うことが多くなってきました。iSat4でも衛星のサイズは小さくしたいので、トリジャン(こんな略語はない)を使うことにします。

軌道の日照・食の時間比とiSat4の消費電力からiSatが軌道で”生存できる”必要な電力が算出できます。考え方として、食の時は電力を発生できないので、食の間に使う消費電力分も日照時に発電してしまおうという考え方です。電池充電放電効率というのは、例えばバッテリに100W充電して100W取り出すことは不可能で、だいたい80%位の効率で、充放電できると見積もっています。また各所に電圧変換(レギュレート回路)がありますのでそこでもややロスして90%の変換効率と仮定しますと、iSat4の場合、日照時3.85W (黄色い帯の所)だけ電力が必要です。トリジャンの30%と太陽定数から、必要なセルの面積は、93.85cm2(平方センチ)(ピンクの帯)だと算出できます。そのセル面積が正方形とした場合、9.7cm (青帯)と算出できます。つまり約10cm平方の太陽電池セル(パドル・アレイ)があれば、iSat4は電力がまかなえる(電力収支が軌道1周で取れると表現します)ことがわかります。つまり10cmの立方体(キューブ型)の6面全面にセルを貼って、中にiPhone4が入っているような構造ですね。まさに私が学生時代に作ったCubeSat規格(10cm立方の衛星)のサイズになります。

ここで私が開発した学生時代の衛星の宣伝。CUTE-Iは、2003年6月30日に世界初学生完全手作り衛星です。7年近く経ってもまだ動いていて、後輩達により運用が続けられています。
1)CUTE-I :運用中
2)Cute-1.7 + APD (1号機):運用終了

その4) C&DH系を検討する。

C&DH系というのは、Command and Data Handling系といいまして、いわゆる衛星の頭脳(計算機)を司る系です。地上から送られてくるコマンドを解釈したり、先ほどの姿勢・決定制御系のアルゴリズムを計算し、カリフォルニア上空で森を目がけてシャッターを切り、その画像データを地上に送信するなど、全権を制御する系です。主にiPhone4内部で動くアプリで実現されます。iPhone4アプリは、iPhone SDKを用いてObjective C/C++ベースの言語で書くことになりそうですね。基本C言語なので開発はしやすいです。一方で、iPhone4を衛星のC&DH系として使う難しいところは、アプリをスリープを掛けずに常時動かし続けられるか?ということです。また後述するように宇宙では宇宙放射線の影響により、定期的にiPhoneがハングアップするので、ハングアップしたときに自己修復・リセットを掛けて再起動を掛け、再度制御アプリを起動しなければなりません。その辺りがちゃんと作り込めるかに掛かっています。
上記で紹介したCute-1.7 + APDという衛星は、内部にPDA(Windows CE搭載)を搭載しC&DHとして利用しました。おそらくWindowsCEを宇宙で動かしたのは世界初だと思います(笑)。マイクロソフトに最初に打ち上げるから支援してくれとメールしましたがフルシカトをされました。さて、WindowsCEでC&DHを作り上げるのも相当大変でした。やはりスリープが勝手に掛かったり、Windowsの勝手に動く常駐アプリなどで、衛星制御に重要なプロセスがブロックされたりと、四苦八苦しました。また、各センサとの接続はUSBを使っていたのですが、これも相当大変でした。地上のPCでマウスがおかしくなったらUSBを抜き指しすればいいですよね?衛星では打ち上げたら触れないのでそれができません。そこで、電気的なスイッチをUSBハブ回路に付けて、WindowsCEがハングアップしてUSBセンサへのアクセスがフリーズしたときはUSBハブのスイッチを切って、数秒後に入れるという、いわゆるマウスのUSBを抜き指しするような動作を、衛星内で自律的に行うような機能を実装しました。たとえば、そんな感じでiOS4 on iPhone4も高機能ですが宇宙で、ノンストップで動かし、更に宇宙放射線によって不定期にハングアップする環境でC&DHアプリを組み上げるのは相当に大変です。まぁ、その辺が面白いんですけどね。学生衛星やiSat4の様にiPhone4を載せてみるみたいなお馬鹿プロジェクトじゃない限り、こんなにOSもブラックボックス化されたデバイスはまず衛星では使いません。実際の衛星では、自分でCPUまわりの回路を設計し全てコードも書いて、宇宙放射線の耐故障性を確保するなど、もっと堅固なシステムになります。iPhone4をそのまま載せても、実運用面では大変だというイメージが伝われば幸いです。

その5) 通信系を検討する。

先に紹介してしまいましたが、カリフォルニアの森の写真を撮ってもその画像を地上にダウンリンクしないといけません。または衛星内に画像処理して火種を検出し、山火事だと判断し、その山火事だ~という情報だけダウンリンクするハイインテリジェンスな衛星でも良いかもしれません。とにかく宇宙で得た情報を地上と交信するために、衛星には送信機・受信機とアンテナが必要です。iPhone搭載の3G/WiFiは先述の通り送信電力が小さすぎて(逆に小さいので我々は無線の免許をとることなく使える)、軌道上から地上へ届きません。つまり、iPhone4と衛星内に搭載されている送信機・受信機とは何らかの方法で接続し、データを受け渡ししなければなりません。iPhone4のドックコネクタ経由で接続しても良いのですが、iPhoneSDKにドックコネクタ内のシリアル通信のプロトコルが公開されていない気がします(たぶん)。されていれば、またはAppleに頼み込んで公開してもらえれば、ドックコネクタ経由で送信機・受信機でデータのやりとりをすれば良いと思います。それがNGの場合は、Bluetoothです(笑)。10cm立方の小さい衛星内で内部機器同士がBluetoothでアクセスするのは技術的に可能です。Bluetooth経由ならAPIが公開されていると思うので(?)実現できると思います。一方で、Bluetoothも無線なのでここに無駄な電力が必要なのと、送信機・受信機側にiPhoneとアクセスするためだけのBluetoothモジュールを付けないといけないので、ドックコネクタ経由で有線で接続できるならそれに超したことはありません。

また通信系としては、無線機の他にアンテナもありますね。アンテナ設計が悪いとどんなに一生懸命電波を出していても地上に届きません。

その6) 構造系・熱制御系を検討する。(+環境試験)

この構造系・熱制御系を説明する前に、環境試験に関して紹介しなければなりません。iPhone4は世界中の”地上”で使われますから、きっと皆さんが満足してちゃんと動いてくれると思います。一方でこれを宇宙で使うにはいろいろな宇宙の環境に耐えられるか試験しなければなりません。iPhone4に限らず衛星に必要な環境試験を下に列挙してみます。

●振動試験・衝撃試験:ロケット打ち上げ時に掛かる振動・衝撃に衛星が壊れないか試験する。
●真空試験:ご存じの通り、宇宙(軌道上)は空気がありませんので、中に空気が入っているような部品が宇宙に行くと破裂してしまいます。真空でも壊れないか試験します。
●熱真空試験:宇宙の温度は3K(ケルビン)と言われます。つまり、-270度位です。とっても寒いです。とはいえ、地球近傍は太陽が上記の太陽定数のパワーだけ熱を加えてくれるので3Kほど過酷ではありません。地球のまわりを回る衛星は、日照時に+80度、食(地球の陰で太陽があたらない)時に-40度くらいになります。これを100分間間隔で繰り返します。暑くなって・寒くなって。この温度サイクルで衛星が壊れないか試験します。
●放射線試験:地球の周りを回る人工衛星には、宇宙放射線という極めてやっかいなものを浴びることになります。地上は大気がありますので、その影響は”ほとんど”ないのですが、衛星達は常に莫大な放射線を浴びています。最も支配的なのは、極域(北極・南極)上空で浴びる高いエネルギーを持ったプロトン(陽子)と、SAA (South Atlantic Anomaly)と呼ばれるブラジル付近上空での重イオンによるものです。こいつらが不定期に飛んできて衛星の電子回路にあたると様々な誤動作を起こします。
よく起こるものとしてSEE(Single Event Effect)と呼ばれる現象です。SEEには、主にSELとSEUなどが存在します。SEL(Single Event Latchup) 半導体内の寄生サイリスタとよばれる部分に荷電粒子が入り回路がショート(短絡)する現象。もう一つはSEU(Single Event Upset)と呼ばれ、メモリのビットが反転してしまうもの。0(ゼロ)と書き込まれていたメモリが反転して1になってしまいデータが変わったり、回路が誤動作するなど。宇宙放射線は太陽活動に依存して不定期に発生するので、いつ起こるかわかりません。衛星開発としては、実際に宇宙放射線を地上の施設で回路に当てて、放射線耐性を調べたり、仮に誤動作してもリセットを掛けて直るのか?、0と1が反転してもエラーチェックによってビット修正かけたりといろいろな対策をとります。
●アンテナ試験・通信試験:設計したアンテナ・通信機がちゃんと動作して数百~数千kmという距離をちゃんと通信できるかの試験です。この試験を行わないと衛星が打ち上がった後、生きているか死んでいるかもわかりません。
●長期運用試験:地上で衛星の軌道を模擬して、超時間動作させて衛星の動作に不具合がないかなどを確認する試験

以上の様な試験を重ねて衛星として完成度を高めいざ宇宙に打ち上がっていきます

構造系は、振動試験・衝撃試験に関わるもので、iPhone4をしっかりと動かないように固定する構造設計、太陽電池セル(大変弱いもの)が振動で割れない設計などを行います。実際に、ロケットと同じ振動・衝撃を与える振動試験機というものを使って、物が壊れないか確認します。まぁ、iPhone4は、世界中のユーザーが不意に落っことして使い続けるので、衝撃試験はやる必要がありませんね。

熱制御系は、熱真空試験に関係します。iPhone4の動作保証温度は、0度~35度という温度範囲的に狭いものです。軌道上では、-40~+80度まで推移します。まず、冷蔵庫みたいな装置にいれて、iPhone4が実際には何度まで動くか確認します。動作保証範囲というのは少し狭めに公開していると思うので、iPhone4も-10~50度くらいは動くのではと思います。あとは-40~+80度までの範囲でも動く様に、もしかしたらiPhone4の周りに電熱線ヒーターを巻き付けて、寒くなったらヒーターを付ける(これはまた電力消費が大きいです)、暑くなったらヒートシンクやヒートパイプで熱を他に逃がすなど、衛星の全搭載物が軌道上の変化する温度下で壊れないかを設計するのが熱制御系です。

あと宇宙放射線に関してですが、iPhone4をそのまま宇宙に持っていったらおそらく1日数回はハングアップすると思います。上述のSEEは、荷電粒子が打ち込まれたときに誤動作を起こします。つまり最新のどんどん微細化している半導体プロセスほど宇宙放射線には弱いです。iPhone4の多大な機能をA4チップは全部まかなっているため、相当微細なプロセスになっているはずなのでモーレツに宇宙放射線で弱いと思われます。おそらく数時間で1回ハングアップするでしょう。ハングアップしたら、自分でリセットして回復する機能を付けなければなりません。その辺は詳しく書きませんが、宇宙放射線対策はいろいろノウハウがありまして、私の会社などはJAXAなどとは違うアプローチでいろいろ面白い対策をしています。宇宙放射線でモーレツに高いエネルギーを持ったものは、どんなに耐性が強い半導体でも少なからず誤動作・ハングアップします。問題はその際に自己修復してリセットをかけてまた動作を開始できるかに掛かっています。何度も言いますが衛星は打ち上げたら修理できません。自分で判断し、ハングアップしたら処理・頭脳が止まっているにも関わらず自分で何とか復活しなければならないのです。この辺が衛星開発の大変なところで、面白いところでもあり、ノウハウの固まりだったりします。また、先述しましたが、宇宙放射線は軌道高度が低いほど弱いため、iSat4の予定軌道300kmは、おそらく放射線耐性の弱いiPhone4には有利な軌道です。

その7)打ち上げ・運用

上記の様なプロセスで設計し、開発し、環境試験を重ねて衛星は出来て行きます。完成した衛星をロケットに搭載して、規定の軌道に打ち上げ切り離してもらいますその瞬間にiPhone4搭載iSat4は、人工衛星になります。ニュースでは打ち上げで話題になりますが、衛星は切り離された瞬間からが勝負です。iSat4は、山火事がいつ起こるかビクビクして生活しているハリウッドセレブの為に、常時カリフォルニアの森を撮影し、火種を監視し、山火事の早期発見をしなければなりません。イメージとしては、1日数回、カリフォルニア上空を通る度に森の写真をとり、画像解析し火種を見つけたら地上に連絡します(送信機を介して地上のアンテナへ)。地上では、衛星から届いた早期火事情報を、カリフォルニア消防団に連絡し、火種の内に消火活動をしてもらいます。これで山火事を防げたら、セレブ達が喜んでお金を払ってもらうわけですな。また、衛星1機だとカリフォルニア上空を通るのは数時間に1回です。ビクビクしているセレブたちが、”常に森を監視して!”なんて要求を言ってきたら、同じiSat4をたくさん打ち上げて、常にカリフォルニア上空を1台は飛んでいるような配置にして、より迅速な早期山火事警報衛星群システムができあがります。

◆まとめ◆

今回、ハリウッドセレブ向け、早期山火事警戒衛星として、iPhone4搭載の衛星を超超超超雑に設計しました。実際にはこの数倍の検討や開発を重ねなければ全くお話になりません。また、通勤途中の電車の中でこの記事を書いているので、計算ミスやら、誤字・脱字があるかもしれません。とはいえ、我々衛星開発エンジニアがどんな感じで衛星を設計しているか?の雰囲気が伝われば幸いです。また、機能がふんだんに搭載されているiPhone4は、いろいろ工夫すれば、衛星の内部計算機として、”使えるかもしれない”という点も紹介できたかと思います。カメラにジャイロコンパスにA4という高性能チップに、衛星のかなりの要素をiPhone4は搭載しています。宇宙放射線や過酷な温度環境などそのままではまず使えませんが、魅力的なデバイスだと思います。

Twitter Time on Your Lifeシステムの(雑)開発。Twitterユーザーはお試しあれ。

今更説明の必要もないくらいはやっているTwitter(ツイッター)ですが、そのツイッターをやっているユーザー向けのシステムを電車の行き帰りで雑に開発しました。

その名も、
英題:”Twitter Time on Your Life / Humankind / The Earth / The Universe.
邦題:”あなたの人生、人類、地球、宇宙におけるツイッター時間。
システムです。

URLは、https://www.spacewalker.jp/twittertime/

です。要するに、あなたの最近のつぶやきを解析し、そのつぶやいている時間”感覚”を、人生、人類、地球、宇宙の時間軸まで広げて考えてみるというくだらないシステムです。さすがにTwitterインフラは非常に良くできていて、このくらいの雑システムなら2時間ちょっとで作ることができます。あくまでくだらない・冗談システムですのであしからず。
(このシステムを作るにあたり同様のシステムがあるかなど調査もしておりません。思いついたものを作ったまでです。)

是非、ツイッター中毒の皆様、あなたのユーザー名で算出しますので、是非お試しください。感想などコメントにでもいただければと思います。

このシステムを作ったのにはいろいろ理由があります。私はツイッターインフラのシステム・広がり・つながり、可用性など非常に素晴らしいと思っておりまして、同等システムのmixi voiceなどとは比較にならないほど良くできていると思います。多くの著名人もつぶやいており、ツイッターのすばらしさをよくつぶやいているのを見かけます。とはいえ、私個人的にはツイッターに関しては、あまり良い印象を持っておりません。ある方のつぶやきでは、ツイッターを始めたら優秀な知人(フォロワー)達が非常に精度の良いフィルターとなり有用な情報を効率よく取得できると述べておりました。確かにツイッターを見ていると、ある記事・ブログの引用から始まってみんながRTしています。これは物理的に世界中がつながったインターネットインフラを使った人類全体の英知の結合であり、確かに素晴らしいものだと思います。あるソース記事からRTが連鎖し、更に深い議論に発展し、ソースの情報から更に広がった新しいアイデアなどがでるかもしれません。そういう意味ではツイッターインフラは非常に人類にとって有用なものであるかもしれません。

一方で私が良い印象を持っていない理由は上述の有用性とは逆のものです。つまり、誰か一部の人のニュース記事・ブログエントリーをかき回すだけで、0からの新しいコンテンツ創造力が圧倒的に落ちているのではないか?という懸念です。つまり、人の情報を舐めるスキルは人類全体で向上しますが、これが一般的になりすぎると、何もないところから新しいものを考えるクリエイティブ能力が欠落するのではないか?という心配です。すぐつぶやける事で、著名人の生の声・リアルタイムの声が聞けることで情報の発信のスループットはあがりましたが、逆に非常に素晴らしいブログを書いていた人々がツイッターに移行したことで、その人から発信されるおもしろい情報は非常に減り、また浅くなりました。私の周りでも何人かいらっしゃいまして非常に残念に思っています。もちろんブログも、アフィリエート、広告の台頭により、他人の記事のただの引用、ペーストばかりで全く意味のないブログが乱発しているのも確かです。しかしツイッターの時間が掛かっている割に、”情報の残らなさ”、”文字数制限による情報の浅さ”、”RTなどの引用が主体となる情報インフラ”、などの理由で、良いコンテンツが生まれないような気がしてなりません。

私の単なる思い過ごしなら良いのですが、ツイッターを利用されている方に、自分のツイッター時間をいろいろな時間軸で比較してみることで、何か客観的に感じる事があるのでは?という願いを込めて、今回のシステムを(雑に)作った次第です。ご自身のタイムラインと費やしている時間をご覧になって、人類にとって前進しているかどうか考えるきっかけになればと思います。もちろん、人々のつながりの中で気軽に情報をつぶやきをしあえるコミュニケーションツールとしては大変優秀です。とはいえ時間は有限ですから、勉強をしようと、テレビを見ようと、ブログを書こうと、ツイッターをしようとデートをしようと公平に有限に進みますから良い形でつきあって行きたいですね。

ツイッターが人類全体で”ものを考える”事に対するゆとり教育には”ならないように”祈るばかりです。

また、ツイッターの情報の”残り方”にも懸念があります。過去の私のブログ”人類は前進しているのか?”でも述べておりますが、人類が他の生物に対して有利にできる技術は、知恵・知識を残す技術です。Twitterは検索もできますし、Googleでも直接つぶやき中にある単語まで検索が引っかかっておりますが、その断片(短いつぶやき)を見ても、はっきりいって大した情報ではありません。先のブログで、Blu-rayはエジプトのパピルスに勝てない可能性があることを述べています。デジタル技術は本当によく考えないと、まともに情報を残すことができません(人類の特権技術にもかかわらず)。人類全体で巨大なツイッター時間を費やすのですから、ちゃんと有益な情報を残すことをもう少し考えるべきだと思いますが、短い文字数でつぶやくというコンセプト自体、この視点とは相反していますね。