2015/09/28 Supermoonと月までの距離インチキ計測

2015/09/28は満月であり、また地球・月間の距離が近くスーパームーンと呼ばれます(最近になってこういう呼び方が)

20150928_supermoon
Canon EOS-M3 + EF70-200mm F2.8L IS USM + x2 Extender : RegiStax6 (4枚合成)。
f=200mm x2 = 400mm, RAW ISO 100にも関わらずノイジーです。かなりシャープをかけています。RegiStaxのコンポジット合成の威力は発揮できず。

さて、この200mmでx2テレコン状態で今度は道路の`止まれ`文字の撮影。

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20.51m離れた場所から59.5cmの`止`の文字を撮影した場合にピクセル間距離は3044px。
昨日は満月なので満月撮影時の写真から赤道直径をピクセル間距離で求める。赤道直径をインチキだけどWikipediaから3471.3kmという値を使えば、撮影地点から月の距離が求まる。結果354662km。
9/28は956900kmまで接近するという記事があったので妙に正確に出てしまった。記事の距離はおそらく地球中心からの距離だろうし(撮影は北緯35度の東京)、しかも南中時に撮影していないのでたまたま。

よく使う200mm x2 = 400mmの画角とピクセル間の比を求めたのは今後いろいろ使えそうです。とりあえずスカイツリーの高さから距離を求めてみようかな。

おまけの動画。

今日の月

良い天気だった一日。今の月も綺麗です。(19:40)

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遠く離れた宇宙へ(疑似)物質転送装置とグルメテーブル掛け

ちょっと遠くて、行くのも大変な(イメージの)宇宙へ行くには、今はロケットに頼っているわけですが、未来ではロケットを使わなくても済むかもしれません。それは宇宙エレベーターみたいな遠回りの物ではなく、まさにスタートレックに代表されるSFドラマの世界で描かれる物質転送装置やドラえもんの道具の様な物かもしれません。そんな技術に繋がる技術が、近年色々試されており、宇宙開発のフィールドでも使われ始めています。

一つ記事を紹介すると、米国ロケットベンチャー(ベンチャーと呼べる企業規模では既にありませんが)SpaceXが、ロケットのエンジンチャンバーの部分を3Dプリンターで作成し打ち上げたという記事です。

JULY 31, 2014
SPACEX LAUNCHES 3D-PRINTED PART TO SPACE, CREATES PRINTED ENGINE CHAMBER

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インコネルの3Dプリンタで生成したチャンバー部品
画像引用 : SpaceX (上記リンク記事より引用)

3Dプリンターは、最近世界中で大流行であり、米国なんかは国をあげてこの業界にてこ入れしています( NAMIIなどの設立 )。日本では、米国から取得したデータを用いて3Dプリンターで銃を作るという事件もおこりました。メディアレンタル業のDMMキンコーズなどいろいろな業種の企業が3Dプリント分野に進出し始めています。3Dプリンターが普及すると、日本の製造業(切削業)や金型がどうとか述べている人も多いのですが、ここでその辺りの予想を述べるつもりもありませんし、彼らは生真面目で繊細な技術があるので、時代が変わっても何とかやっていくと信じております。

さて、この3Dプリンターで作られた部品がロケットに使われたというのは、宇宙業界ではちょっとしたニュースになっています。私の会社でも、3年くらい前から主に樹脂部品で3Dプリント発注はしています。実際に宇宙には行っていませんが、適所での利用がはじまっています。衛星の部品は、軽量化でありながら強度を確保するという観点から、大きな材料の塊から必要なものだけ削り出す、いわゆる`削り出し`を多用しています。これは材料的には結構もったいなく、更に加工時間に伴って加工費が高いので、衛星開発コスト増に繋がります。一方で、3Dプリントですと、必要な部分だけ造形されてくるので、無駄な削り出しというのは概念的に存在せず、今後使用も増えてくるのではないかと思います。現在はまだまだ金属系が高価であるのと精度面で難ありのため、本格導入はもう少し成熟してからでしょうか。

P1060861
これは、DMMで作って貰ったナイロンの部品です。こういう簡単な部品は1週間少しで気軽に安価に作成できます。(おそらくDMM側もほとんどシステム化・無人化され、あまり人手は掛かっていないでしょう。)

さて、この3Dプリンターは、何も金属や樹脂などの部品だけではなく、食料にも使われ始めています。現在、多くのメーカーが参入していますが、米国3D Systems社のChefJetでは、チョコレートを始め、いろいろな食料材料を任意の3D形状で作成可能であり、今年中に個人向けに出荷が開始されます。


`ChefJet`, 3D Systems, Inc., Las Vegas, CES 2014.

今やサプリのコーナーに行けば、ビタミン、カルシウム、プロテインなり何でも粒状で売っているので、味と雰囲気を無視すれば、栄養面は確保でき、形状だけ見た目に美しい食事を作れそうです。食事本来の楽しみは皆無ですが(笑)。まさにドラえもんのグルメテーブル掛けに近い概念ですね。

3Dプリンターは、このように部品から食料まで幅が広がりつつありますが、その利点は、空間を擬似的にジャンプできることにあります。今は地上(陸海空)でのロジスティクスは発展し、世界中から数日で物が届くようになりました。一方で、まだまだ人類にとって、ちょっと遠いのは`宇宙`です。この地上と宇宙の距離を埋めるように、数日毎にロケットが飛び立つ時代になりましたが、それでもまだまだ物を軌道上(宇宙)に運ぶのはやっかいです。そこで、上述した様ないろいろな分野に幅が広がりつつある3Dプリンターを国際宇宙ステーションに持っていく計画が既に進んでいます。我々も、衛星の部品などは一つ一つ3D CADで設計して、地上で加工して打ち上げているわけですが、国際宇宙ステーションの様な、宇宙空間に設置してある3Dプリンターで出力すれば、厄介な地上と宇宙の距離を埋められそうです。SFドラマでは、地上からの物質を宇宙船などに転送することは基本技術として描かれていますが、それに近いことが実現に近づきつつあります。この記事のタイトルに`疑似`と書いてあるのは、金属で言えばチタン、チョコレートでいえば、クーベルチュール(カカオ)などの粉末材料を別途運ばなければいけないため、造形データだけ転送されている点で、まだまだ疑似でしょうね。これは、いずれ宇宙で作った部品を再度粉々にする技術などで再利用したり、月や火星などの星に上陸後では現地の材料で何とかなるかもしれません。

これに近い話で、少し話題を変えましょう。米国と並んで圧倒的な技術力と歴史がある旧ソ連・ロシアですが、彼らは`コバルトM`と呼ばれる素敵な偵察衛星を持っていて、未だに現役で使っています。

0506kobalt-m
Image courtesy from Russian Space Force.

この偵察衛星は、アナログカメラ、つまりフィルムカメラで(主に米国などの)他国を0.3mの分解能で写真撮影し、そのフィルムを地上へ再突入カプセルで落下させ、回収しフィルム現像するというものです。こんな事をやってしまうのはさすが旧ソ連・ロシアの宇宙軍だなと感心してしまいます。

今やロシア以外はディジタルカメラによる衛星からの撮影が主流です。これも空間転送の一つと言えるかもしれません。昔は、フィルムに感光していた写真を、今やディジタルカメラで撮影しディジタルデータにし、電波で地上に送信することで、実際にフィルムを地上に落下させる必要はなくなりましたし、新たに新しいフィルムを打ち上げる必要がなくなりました。そういう意味で、あらゆるものをディジタル化できれば、ちょっと遠い宇宙へ気軽に持って行ける(転送できる)時代が来るかもしれませんね。

ここで紹介した材料・食料の3Dプリンターを宇宙や他の星で生成するのは技術的には目処がたちはじめています。それよりも興味深いのは、我々人間などの生物を分子レベルで3Dスキャンしディジタルデータ化し、宇宙で3Dプリントで生成したときに`記憶・意識・性格・感情`などもコピーされるのでしょうか。このあたり3Dプリンターだけでなく、3Dスキャン技術も近年発達してきていますし、さらに人間の記録・記憶に関わる脳波in / 脳波outなどの技術もやはり米国を中心に進んでいますから、生物の`肉体的な物質以外の部分`の転送も可能になるかもしれませんね。宇宙旅行も、ロケットを使わずに`物質転送`で行く時代がくるかもしれません。しかし、脳波や記憶などをコントロールするようになれば、転送技術を使った宇宙旅行すら実際には行かず、既に行った方の記憶を脳に植え付けて`行って来たことにする`などの技術も出てくるかも知れません。

人工衛星の打上・初期起動・動作に成功

開発した人工衛星WNISAT-1が2013/11/21ロシアのロケットをつかって無事打ち上げられました。ウェザーニュース社さんのプレスリリースが出ましたので紹介。

新たな宇宙ビジネスの第一歩
ウェザーニューズの超小型独自衛星「WNISAT-1」、打ち上げ成功
発行日 : 2013年11月22日
http://weathernews.com/ja/nc/press/2013/131122.html

プレスリリースにあるように、
1)ロケット打上成功
2)衛星分離成功
3)衛星の起動および、初期健康状態=健全

現在、順調に動作中です。これから内部機器を少しずつONにして動作チェックをして行きます。

打上映像(演出っぷりが凄いですが・・)

人工衛星の打上・初期起動・動作に成功

開発した人工衛星WNISAT-1が2013/11/21ロシアのロケットをつかって無事打ち上げられました。ウェザーニュース社さんのプレスリリースが出ましたので紹介。

新たな宇宙ビジネスの第一歩
ウェザーニューズの超小型独自衛星「WNISAT-1」、打ち上げ成功
発行日 : 2013年11月22日
http://weathernews.com/ja/nc/press/2013/131122.html

プレスリリースにあるように、
1)ロケット打上成功
2)衛星分離成功
3)衛星の起動および、初期健康状態=健全

現在、順調に動作中です。これから内部機器を少しずつONにして動作チェックをして行きます。

打上映像(演出っぷりが凄いですが・・)

Mr.Orbit4公開:スマホやフルスクリーン表示に対応した人工衛星がどのように地球のまわりを回っているかを魅せるシステム

ウェブブラウザ上で、人工衛星が地球のまわりをどのように回っているか魅せるシステム (Mr.Orbit)ですが、今回Version 4にアップグレードしMr.Orbit4として公開しました。

Mr.Orbit4 : https://www.spacewalker.jp/~mrorbit

20131018_mrorbit4_blog

今回のVersion4.0から使い方ページを新たに設けました。

参考:Mr.Orbit4 – 使い方解説

◆Version 3 -> 4への新規機能として

1)マップの画面解像度(サイズ)の変更機能
マップの画面解像度をディスプレイサイズに合わせて変更できます。これはブラウザのフルスクリーン機能(キーボードF11キー)を使う事で画面一杯でマップを表示させることを狙っています。

2)スマートフォン対応
Mr.OrbitはPC/Macのウェブブラウザ(Chrome/Firefox/IEなど)のGoogle Earthプラグインを用いて表示しているため、スマートフォン(iOS, Android)などではプラグインが未対応で表示ができませんでした。一方でGoogleはGoogle EarthアプリをそれぞれのスマートフォンOS用に公開しています。そのため、Mr.Orbit4の衛星の軌道表示・衛星の観測方向表示などの機能を提供するKML生成機能を追加しました。KMLなのでもちろんスマートフォン専用だけではなく、Windows, MacOSのGoogle Earthでも表示できます。(Mr.Orbit1はそもそもWindowsのGoogle Earth用のシステムだったのですが・・)
このスマホ対応により、たとえば国際宇宙ステーションを肉眼で見る場合に、皆さんの居る位置から衛星がどの方向に見えるかを表示することができます(画面右上に方位角・仰角などが表示されています)。
衛星と現在観測位置を事前に選択してから、マップの下の`Generate KML for Google Earth App (for smartphone, PC, MacOS)`を押してください。

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iPhone 4s (iOS7) + Google Earthアプリ + Mr.Orbit4 (横にしたり、縦にしたりしてみてください)

3) 軌道線やマップ画面内にいろいろ情報を表示
マップの画面右上に衛星の位置情報、観測位置からの方向情報などを表示しました。
また、衛星が通過していく軌道線は今から100分後までの軌道を表していますが、今まで緑色一色でした。今回は、観測位置から仰角が0度以上になる箇所では、軌道線が”赤色”になるように変更しました。

*登録されている以外の衛星で表示してみたいなど要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。

Mr.Orbit3: 人工衛星がどんな感じで地球を回っているかを魅せるシステムのバージョンアップの紹介

先日バージョンアップした`人工衛星がどんな感じで地球を回っているかを魅せるシステム`のMr.Orbit2ですが、この度Mr.Orbit3にバージョンアップしました。

Mr.Orbit3 : https://www.spacewalker.jp/~mrorbit/

20131012_mrorbit3

‘旧版’の参考記事:人工衛星がどんな感じで地球を回っているかを魅せるシステム(Mr.Orbit2)の公開
*以下は、Mr.Orbit2の時の内容と前半は一緒で、Ver3に加わった内容を最後に追記しています。

◆概説

宇宙ステーションや我々が開発して打ち上げた人工衛星の軌道をウェブブラウザー内のGoogle Earthプラグインを用いて表現しています。それぞれの人工衛星の現在の位置をリアルタイムで計算して表示しています(動いているはずです)。緑の線は今から100分後までの衛星が通る軌道を表しています。たとえば宇宙ステーションでは、地上から約350km上空を回っています。こうやってGoogle Earth上で見てみると遠い星(恒星)の世界に行っているわけではなく、地球のスレスレを沿って回っていることが分かりますね。

◆使い方

1)Mr.Orbit3のウェブページ( https://www.spacewalker.jp/~mrorbit/ )を開く。Google Earthプラグインがインストールされていないブラウザではインストールが開始されます。その場合はブラウザを立ち上げなおして再度ページを開いてください。留意点として、少し重い処理を行っている関係で、稀にページの初期表示に失敗することがあります。その場合は、リロード(F5 or Ctrl + R)でページを読み直してください。Google Chrome, Firefoxを推奨IEで動かない場合は、互換モードでお試しください

2)ページが正常に開きますと、画面中央に国際宇宙ステーション(ISS (ZARYA))が表示されるはずです。さらにその宇宙ステーションのアイコンがどんどん動いているのが分かるかと思います。第一宇宙速度という時速28000kmで回っていますので、かなりのスピードで地球を回っているのが分かるかと思います。
*留意:やや重い処理をしているので衛星が動いていくはずなのに止まってしまうことがあります。その場合はページをリロードしてください。

3)”衛星の選択” : 画面上部Satellitesのセレクトボックス
国際宇宙ステーションの他に私達が学生時代に開発して打ち上げた衛星が選択できます。衛星名を切り替えると、その衛星が画面中心になるように視点が移動します。

4)”衛星と視点との距離の設定” : Range[KM]のテキストボックス
衛星の居る位置から画面の視点は”距離を離して”見えています。初期値は2000km。この数値をたとえば0kmに設定すると、画面の視点は衛星と同じ場所になり、まさに衛星から見た眺めになります。ちょうど宇宙飛行士達が宇宙ステーションの窓から見ている視点になるわけですね。

5)”視点の上下角設定”: Tilt Angle[deg]のテキストボックス
視点を地球中心(真下・鉛直方向)を0度、衛星の進行方向(水平方向)を90度として、視点の角度を変更できます。初期値は45度。4)のRangeを0kmに設定して、このTiltを0度にすると宇宙ステーションの宇宙飛行士が、地球に向かって真下に見ている視点になります。いろいろ変更してお楽しみください。

6)”画面の表示方向の設定” : Heading Angle [deg] のテキストボックス
この角度を設定すると、画面の見ている方向(水平方向)の角度を変更できます。説明が面倒なので(笑)、いろいろいじってみてください。すぐに理解できると思います。留意として後述する`Auto Heading Angle Control`モードがOnになっていると、この数値は自動計算になり変更できません。

7)自動追跡モード : Auto Trackingのチェックボックス
このチェックボックスにチェックが入っていると、衛星が画面の中央になるように自動で追跡してゆきます。しかし、あくまで衛星が画面の中央に持ってくるだけの追尾なので、衛星の後ろを追跡したい場合は後述8)を。

8)自動追跡+衛星の後ろを追跡するモード:Auto Heading Angle Controlのチェックボックス
このチェックボックスが入っていると、7)の自動追跡に加えて、衛星が進んでいく後ろを着いていくように画面方向(Heading Angle)を自動計算して追跡してくれます。この角度計算は結構気まぐれなのでチェックボックスを入れてしばらくして動いたり、たまに計算を間違えて変な方向に一度向いて戻ったり、愛嬌がありますのでアシカラズ。

◆Ver 2.0 -> Ver 3.0の変更点

9) 観測点の設定 : Your Ground Pointセレクトボックス
衛星を見ているあなたの地上地点を都道府県庁所在地として設定できるようになりました。初期値は東京都。皆さんの現在位置に近い都道府県を選ぶと、その地点から衛星がどの方向に見えるか(方位角[azimuth], 仰角[elevation], 距離[range (km)], 距離レート[range rate (km/sec)]などを表示できます。上の図に表示されている様に仰角が0度以上の時は、地上地点と衛星間に青いリンク線が描画されます。

10) 自動追跡モードチェックONの時に各種数値の表示
自動追跡モードにチェックを入れると、衛星の現在の位置(経度・緯度・高度)、速度、また、9)で設定された地上地点からの方位角・仰角・距離・距離レートなどがマップの上に表示されます。

11) 衛星のアイコンの横に衛星の位置情報を表示
衛星のアイコンの横に衛星名に加えて、経度(lon), 緯度(lat), 高度(alt : 単位km)の表示を追加しました。

◆Mr.Orbit3 まとめ
・人工衛星のスピード(時速28000km = 秒速7.9)
・地表のスレスレを回っていること
・宇宙飛行士が窓から見えている景色
・地上から衛星がどの方向を通過しているかわかる
など少しでも人工衛星が地球を回っているイメージが伝わると嬉しいかなと思っています。

人工衛星がどんな感じで地球を回っているかを魅せるシステム(Mr.Orbit2)の公開

地球の周りをグルグル回っている人工衛星ですが、どんな感じで回っているのか?イメージしやすいシステムをちょいと開発しました。最近、このブログも茶の湯ばかりですので、たまには本業も書かないとマズイということで紹介。実は、過去にも同様のシステムを開発(参考記事:宇宙ステーションからの視点をGoogle Earth上に再現 | 2007/12/13)したのですが、その時は、専用アプリケーションをダウンロードしたりやや面倒でした。今回は、Ver 2.0ということでウェブブラウザだけで見られるように改良しました。(残念ながらスマホでは動きません。またIE10の方も互換モードでないと動きません。chrome, firefox推奨

Mr.Orbit2 : https://www.spacewalker.jp/~mrorbit/

20131005_mrorbit2

◆概説

宇宙ステーションや我々が開発して打ち上げた人工衛星の軌道をウェブブラウザー内のGoogle Earthプラグインを用いて表現しています。それぞれの人工衛星の現在の位置をリアルタイムで計算して表示しています(動いているはずです)。緑の線は今から100分後までの衛星が通る軌道を表しています。たとえば宇宙ステーションでは、地上から約350km上空を回っています。こうやってGoogle Earth上で見てみると遠い星(恒星)の世界に行っているわけではなく、地球のスレスレを沿って回っていることが分かりますね。

◆使い方

1)Mr.Orbit2のウェブページ( https://www.spacewalker.jp/~mrorbit/ )を開く。Google Earthプラグインがインストールされていないブラウザではインストールが開始されます。その場合はブラウザを立ち上げなおして再度ページを開いてください。留意点として、少し重い処理を行っている関係で、稀にページの初期表示に失敗することがあります。その場合は、リロード(F5 or Ctrl + R)でページを読み直してください。

2)ページが正常に開きますと、画面中央に国際宇宙ステーション(ISS (ZARYA))が表示されるはずです。さらにその宇宙ステーションのアイコンがどんどん動いているのが分かるかと思います。第一宇宙速度という時速28000kmで回っていますので、かなりのスピードで地球を回っているのが分かるかと思います。
*留意:やや重い処理をしているので衛星が動いていくはずなのに止まってしまうことがあります。その場合はページをリロードしてください。

3)”衛星の選択” : 画面上部Satellitesのセレクトボックス
国際宇宙ステーションの他に私達が学生時代に開発して打ち上げた衛星が選択できます。衛星名を切り替えると、その衛星が画面中心になるように視点が移動します。

4)”衛星と視点との距離の設定” : Range[KM]のテキストボックス
衛星の居る位置から画面の視点は”距離を離して”見えています。初期値は2000km。この数値をたとえば0kmに設定すると、画面の視点は衛星と同じ場所になり、まさに衛星から見た眺めになります。ちょうど宇宙飛行士達が宇宙ステーションの窓から見ている視点になるわけですね。

5)”視点の上下角設定”: Tilt Angle[deg]のテキストボックス
視点を地球中心(真下・鉛直方向)を0度、衛星の進行方向(水平方向)を90度として、視点の角度を変更できます。初期値は45度。4)のRangeを0kmに設定して、このTiltを0度にすると宇宙ステーションの宇宙飛行士が、地球に向かって真下に見ている視点になります。いろいろ変更してお楽しみください。

6)”画面の表示方向の設定” : Heading Angle [deg] のテキストボックス
この角度を設定すると、画面の見ている方向(水平方向)の角度を変更できます。説明が面倒なので(笑)、いろいろいじってみてください。すぐに理解できると思います。留意として後述する`Auto Heading Angle Control`モードがOnになっていると、この数値は自動計算になり変更できません。

7)自動追跡モード : Auto Trackingのチェックボックス
このチェックボックスにチェックが入っていると、衛星が画面の中央になるように自動で追跡してゆきます。しかし、あくまで衛星が画面の中央に持ってくるだけの追尾なので、衛星の後ろを追跡したい場合は後述8)を。

8)自動追跡+衛星の後ろを追跡するモード:Auto Heading Angle Controlのチェックボックス
このチェックボックスが入っていると、7)の自動追跡に加えて、衛星が進んでいく後ろを着いていくように画面方向(Heading Angle)を自動計算して追跡してくれます。この角度計算は結構気まぐれなのでチェックボックスを入れてしばらくして動いたり、たまに計算を間違えて変な方向に一度向いて戻ったり、愛嬌がありますのでアシカラズ。

◆まとめ
・人工衛星のスピード(時速28000km = 秒速7.9)
・地表のスレスレを回っていること
・宇宙飛行士が窓から見えている景色
など少しでも人工衛星が地球を回っているイメージが伝わると嬉しいかなと思っています。

ウクライナ青少年宇宙教育センターと出張雑感

ウクライナのドニプロペトロウスクへ本業の出張できております。出張先のユジノエ設計局は、カメラ禁制、入退出もパスポートチェックがあり全く宇宙ネタの写真が撮れません。今回、同じドニプロペトロウスクにある航空宇宙博物館的な場所へ案内してもらいました。正式名称は、”Національний центр аерокосмічної освіти молоді ім. О.М. Макарова” = “UKRAINIAN YOUTH NATIONAL AEROSPACE EDUCATION CENTER” = ウクライナ青少年宇宙教育センターです。名前の通り、ウクライナの青年向けの宇宙開発従事者を育てる教育センターで、授業料は行政が負担して、青年達の適正を見極め、宇宙関連開発のプロフェッショナルに育て上げる機関です。その一部が博物館となっており、そこに見学に行きました。殆どの展示物は、お膝元のユジノエ設計局から提供されたものであり、博物館的な展示とはいえ、普段は入れません(たぶん)。今回はユジノエに手配してもらって見学に行ってきました。

ユジノエ公式サイト:http://www.yuzhnoye.com/index.php
教育センター公式サイト:http://www.unaec.dp.ua/

場所で言えば、http://goo.gl/maps/LkVUW
このあたり。

センター長みたいな人に丁寧に説明してもらいました。

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ウクライナ青少年宇宙教育センター外観。

20130131_museum3

ロシアの宇宙開発の歴史をここで書き出すと非常に長いので、興味があればwikipediaあたりでいろいろ検索してみてください。(手抜き)

ドニプロペトロウスクの主にミサイル開発の歴史は、ミハイル・ヤンゲリセルゲイ・コロリョフあたりをご参照くだされ(超手抜き)。極省略的に概説すると、ドイツでV2ミサイルを作った連中の内、ウォンブラウン一派が米国に、それ以外の一派がモスクワに亡命し、コロリョフを中心に米ソ冷戦のロケット・ミサイル開発競走時代に突入します。ヤンゲリはコロリョフと共に研究開発をしていましたが、有人宇宙開発のコロリョフとは路線を変え、弾道ミサイル分野に転向し、このドニプロペトロウスクに場所を移し世界最大のミサイル工場、そして性能に関しても世界最強のミサイルシステムを作り上げました。以上。簡単ですが。

で、上の写真はミサイルの他にも軍事目的で人工衛星を作っており、その最初に打ち上げた衛星(と同型機)とのことです。何となくスプートニクににていますね。

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この衛星は、地上分解能5mくらい(?って解説していたかな)の衛星。ちょうど我々が現在開発している衛星が同等の分解能なので、こんなに大きかった衛星が、最新デバイスなり技術を駆使することで、50cm立方の小型衛星でも実現できるようになりました。そして、短期開発・安価開発を実現し、民間の衛星開発ベンチャーでも衛星を作る時代になりました。そして、その民間の小型衛星をこのロシア・ウクライナのロケットで打ち上げて貰うための調整作業に今回出張に来ているわけです。

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これは6.7トンの地上分解能50cmの超巨大衛星。当時としては世界最高性能だったと思われます。現在、同等の分解のは200kg~300kg程度の衛星で実現可能になっています。衛星というよりロケットの最終段とも考えられ、ロケットも一緒に作っているとこういった攻めた設計も当時可能であったと伺えます。

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先ほどの衛星の違う方向から。我々が作っている衛星だと質量比で134個分の大きさです。

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上の6.7トンの衛星はさすがに大きくて重いため、ロケットも拡張しないとなかなか宇宙まで運べません。そこで作ったのが写真のZenitロケットです。これを紹介した理由は、ちょうど昨日・今日(2013/02/02)にZenitロケットの打ち上げが失敗しました(苦笑)
ユジノエももちろん絡んでいるので心配です。

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さて、建物の外に出るとSS-17ミサイルが置いてありました。本物だと思います。後継機のSS-18は現在ドニエプルロケットとして商用利用で大人気のロケットです。ミサイルとロケット技術は基本的には一緒で、先っぽに核弾頭が付いていればミサイル、人工衛星が付いていればロケットと大雑把に分類できますが、大陸を横断できるクラスの大型ミサイルであれば、ロケットと技術的には同じです。

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2段目。いろいろアビオニクスが付いていますね。

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核弾頭が入る先っぽ。

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2段目のエンジン部。

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1段目のエンジン。

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実際に使っていたかわかりませんが、核弾頭のケース。ここに核爆弾的なものを入れてミサイルの先っぽにくっつけて、米国を狙っていたわけですね。

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さて、このSSシリーズの旧ソ連の大陸間弾道ミサイルは技術的に米国を大きく凌駕していました。上の写真はキャニスターというミサイルの密閉容器で、SS-17に燃料をいれて組み上げ完了後、このキャニスターに缶詰のように入れられ密封されます。その状態で鉄道などを使って輸送が可能です。ポイントはこのキャニスターの密閉および、常温で液体の燃料(超猛毒ですが)を用いることにより、最大18年間程度燃料を入れて、発射可能な状態をノーメンテで維持できたことです。(SS-17はもっと短かったようですが、いわゆるこのミサイルシリーズとしては最終的に20年間近く保持可能だった)

ミサイルみたいな何時打つかわからないような物を、燃料いれてから発射台に・・なんてやっていたらお話しになりません。この長期発射状態維持性能で旧ソ連は米国を圧倒しており、ものすごい数が地中に埋められていつでも発射状態であったことを考えると恐ろしい状態だったなぁと。(今でも第三国が同じようなことを目指して開発を進めているようですが)

ミサイル技術とロケット技術は基本的には同じという解説は間違っていないのですが、私のなかでは明確に違うかなという実感があります。ユジノエで実際に複数のロケット(ミサイルではなく衛星打ち上げのロケットね)の同時並行作業の開発っぷりを見ると、やはり以前世界最大のミサイル工場であったことを肌で感じることができます。これは日本のロケットの一本作って大切に打ち上げるというのは文化が違い過ぎます。最初から同時開発、同時打ちを前提とした開発システムと、一本をまず上げて・・・では工場の作り方やロケット構造自体の設計思想が違いすぎて比較にならないのかなと。ウチの衛星ベンチャーでも、複数の小型衛星を同時に早く開発する必要があるため、ユジノエでの開発の仕方は非常に勉強になりました(真似できるものでもありませんが、本来の体制が違うという感覚が身につきました)

あとは、ウクライナの人達は、”人が良い”ので仕事をしていても楽しいです。まじめな気質で、何にしろ一生懸命なので、システマチックなスマートさは無いですが、みんなで強力してやり遂げる感が強くとても好感を持てました。ドニプロペトロウスクには、しばらく来ることが無くなりますが、この2回の出張は良い経験ができました。

北朝鮮のロケットから切り離された3つの物体をとりあえずGoogle Earth上にプロット。

北朝鮮が打ち上げたロケットから3つの物体が放出され地球周回を回っているとNORADが発表しました。その軌道情報(TLE)が公開されていたので、日本時間の13日午前1時頃における軌道計算を行い、Google Earth上にプロットしてみました。現在オブジェクト名は、2012-072A (39026), 2012-072B (39027), 2012-072C (39028)

https://www.spacewalker.jp/~miyashita/20121213010000JST_NK_Objects.kmz

突貫計算なので雑な記事ですが、また少しずつ記事を修正してゆきます(今ウクライナなのでネット回線等あまり環境が良くなくて、NotePCではこのくらいが限界)。

ざっとみても、今回の打ち上げはかなり成功に近いですね。