見えない敵との知恵比べ(新型インフルエンザ)

空港での水際作戦もさくっとすり抜け、海外渡航歴のない高校生を中心に猛烈に広まっている新型インフルエンザ。
ウイルスですから、微生物ですよね。目には見えないこの敵(?)と人類との知恵比べと言えます。動揺詩人の”金子みすゞ”さんは、「星とたんぽぽ」で、”みえぬけれどもあるんだよ。みえぬものでもあるんだよ。”と静かに強く輝く・生きる星とたんぽぽを謡っていますが、世界中に広がっていく今回のインフルエンザを見ていると生命力あるなぁと思ってしまいます。微生物にも遺伝子があって、意志があるか・ないかわかりませんが、とにかく増殖することに命をかけているわけです。人間などのほ乳類は”少なく産んで、大切に育てる”戦略を遺伝子を遺す戦略として採用していますが、ウイルスはとにかく”とにかく数を増やして、どれか残れば良い”という戦略ですね。ウイルスにとって見れば、100年前ならメキシコだけで死滅していたウイルスが、飛行機+機内の閉鎖空間、日本で言えば通勤ラッシュの閉鎖空間など良好な繁殖環境によって世界中にあっという間に広がることができました。

人類もウイルスに良好な繁殖環境(飛行機など)を与えているだけではもちろんなく、世界中を駆け巡る光ファイバー網、衛星回線を使って世界中に一瞬で情報を届けられます。ウイルスたちが分け分からず世界中に運ばれているのよりも、何倍も早く情報を行き来しているので、この情報を使って、この見えないウイルスとの知恵比べをしなければなりません。

今回は季節性インフルエンザの致死量に比べ約4倍程度というものですが、中米・北米を中心に死者が出ているわけですから、本当に油断できませんね。今回の世界的な対応、日本の対応を通して、致死量が圧倒的な鳥インフルエンザが、パンデミックを起こしたときに全く対応できないことが証明されてしまいました。むしろその時の訓練になっていると言っている専門家も居ますが、実際には、現在の医者不足などの医療体制ではすぐに対応できるとは思えません。とはいえ、我々にとっては鳥インフル(今回のインフルも油断できませんが)が来たときに、医療機関・行政はパニックになることが想像できるので、やはり個人の努力で感染しないという、個別水際作戦は最低限努力するしかありませんね(限界はありますが)

ウイルス達は、人間・豚・鳥などのキャリアを通して増殖するしか遺伝子を残す方法がないわけで、そのキャリアの抵抗力が強いと死滅してしまうわけです。そういう意味で”キャリア選択”は死活問題な訳ですが、遺伝子の残し方が犠牲を払っても、とにかく多く増殖させる戦略をとっているので、正に俺の屍を超えてゆけという、神風ともいえる勢いで攻めているわけです。こちらは、少ない数を大切に育てる戦略なのですから、マスクや手洗い・うがいなどで保護できるのであれば、ちゃんと行って”自分の体を大切に守らなければ”遺伝子の戦略に反します。一方で最近のメディア・インターネットの普及で、毎日の様に世界地図が出て、メキシコ死者XX人、アメリカ死者YY人というニュースを見ていると、何か地球を上から見ていて、60億人いる内のたった数百人の死者で収めているというような錯覚に陥ります。一人一人の大切な命に対して、とても意識が軽く、やはり、他の悲しい殺人事件などと一緒で他人事です(正直いって)。何千億・何兆という莫大な数のウイルスに対して、60億(動物も含めると数百億)の生物が何百~何千の犠牲数で戦っているというような多量マス VS 多量マスの様な印象を受け、不思議な感覚を受けます。

・ウイルスの多量増殖の戦略と、人類の少量保護の戦略という遺伝子の違いに対して、多量 VS 多量の戦いの気がする?
・いや、やはり何兆 VS 何億だから1000倍程度違うと仮定すると、やはり多量と少量の関係は成立している?
・スペイン風邪など400万人がなくなった時代に比べ、数百人という規模は、やはり人類が”少量保護”戦略をより加速させている?
・そもそも、”結婚”、”コンカツ”、”草食系男子”、”一夫一妻制”、”中国の子供一人政策”など、人類に関しては、大切に育てる前に、遺伝子を残すことに制限を掛けている(自分も未婚だからそうなんだけど)

イマイチまとまっていませんが、この最近のインフルエンザ、ニュースを見ていて感じた感覚です。

何となく知恵比べの仕方が他にちょっとあるのかなという気がしています。たとえば、1%感染能力があるウイルスを100匹撒くのと、100%感染能力があるウイルスを1匹撒くのでは、前者の方が有効な気がします。(この辺は、正にゲーム理論にありますね)。一方で、数学の考える能力が1%という学生がいて(酷い例えですが・・)、その学生達を100人集めて難しい問題を1問解かせるのと、100%理解している学生を1人で解かせるのでは後者の方がよっぽど解けそうな気がします。最初の例えは、今回のインフルエンザウイルスの戦略で、後ろの数学の例えは人類側の戦略な気がしています。漠然としていますが、これをまともに考えると、人類全体にジョギングさせて食生活を整え抵抗力をつけてマスクをつけて個別に対応する方法より、確実にウイルスを駆除する圧倒的なワクチンを考えるというのが正しい戦略なのでしょうか??そもそも、ぼけっとしているといつの間にやら感染して死亡していた昔のペストに対して、インターネットを使って情報を共有させ、マスクなどが有効であると周知させて対策をするという行動が既に、100%理解している学生1人戦略に近いのでしょうか。こう考えると、ハイブリッドな感じがしました。一部のインテリジェンスが、ワクチンを考え、予防方法を考え、それを世界に周知させる戦略と、さらに個別にそれを実践して対抗するマスの戦略が混ざっている(ハイブリッド)なのかなと。

この”見えないもの”というものでは、ウイルス以外に”温室効果ガス”があります。こちらは、本当にしっかりと対策をしないと我々の子孫の死活問題になるにも関わらず、見えないことを良いことに、めちゃくちゃな政策・制度が横行しています。CO2などの分子は、ウイルスの微生物よりももっと小さく、もっと人間の手には負えないものです。今回のウイルスの世界的なパニックぷりをみて、見えない物を扱うのは、いろいろな点で難しいなぁと思いました。

見えない敵との知恵比べ(新型インフルエンザ)」への2件のフィードバック

  1. 本当に見えないウイルスとの戦いは厄介ですね。
    アレだけ空港で大騒ぎして何十人と隔離して少し安心したと思ったら 全然渡航歴の無い人たちの間でアット言う間に感染が広がって 今までの防疫体制は何だったのか?と思うほどです。
    アメリカ在住の友人からは 日本は騒ぎ過ぎとちがうか??とメールが入ってます。
    又我々神戸人は全員が 周りからウイルス感染者のように白い目で見られて大変です。九州の或る県では神戸から帰った人は1週間の自宅待機にすると言ってます。
    本当に今回の騒動はウイルスにしてやられたって感じです。何とか早く終息してもらいたいと思ってます。

  2. K884 さん>

    神戸さんは今大変ですよね。
    しかも白い目で見られているとは!
    季節インフルと同じレベルで騒ぎせず対応したいものですね。
    早くおさまってほしいものです。

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