実施直前のエコポイントの使い方(むしろ実施前購入が買い時?)・抜け道・問題点を考える。

明後日5/15から、一部対象製品(エアコン・地デジ対応テレビ・冷蔵庫の一部)にエコポイントという政府発行のバーチャルマネー(ポイント)制度が実施されます。
もうクダクダっぷり最高のこの政策ですが、エコポイントの使い方などは一切未決定のまま、明後日からポイントの発行だけ始まる状態です。今回のエントリーでは、このエコポイントの想定される使い方、裏道(?)、問題点などについて考えたいと思います。

昨日5/12にエコポイントの対象製品に対するポイント額が発表されました。

経済産業省:エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業におけるエコポイント数及び交換商品等の基本的考え方について

これを見ると、いわゆるビックカメラなどで導入されているポイントとはちがい、税込み価格の割率ではなく、46インチ以上のテレビなら一律36000ポイントというものです。
ここで、経産省の公式ページでは36000”ポイント”と発表されているのに、めざましテレビを始め、多くの報道は、1ポイント=1円として、36000円と報道しているページが多々ありました。これは大丈夫なのでしょうか?後から10ポイント=1円とかなったら暴動が起きそうですね(笑)。経産省のページをざっと見た感じ、あくまで1ポイント=1円とは書いていないので注意は必要です。まぁ、マスコミがこれだけフライング報道しているので大丈夫だと思いますが・・・。

現在のマスコミの報道では、対象商品を購入した際の”領収書”および”保証書”をとっておけば、後に設立されるエコポイント管理団体という官僚が好きそうな団体が設置され、エコポイントを発行してくれるようです。詳しくは、

経済産業省:Q&A グリーン家電普及促進事業

などを参照すると現時点での状態が公開されています。報道では、”領収書”、”保証書”だけと報道されていますが、この公式ページを見ると注文書なども必要になるケースがあるので注意が必要です。
また肝心のエコポイントをどのように使うのかは、未だ決まっておらず、このあたりが非常にグダグダです。

ここまでの情報が現時点でのエコポイントに関する情報です。ここでこのエントリーを終えてしまうとただのニュースなので、少し考えます。

1)エコポイント報道先行に対する買い控え

エコポイントは1ヶ月~半月くらい前からニュースなどで流れているため、5/15のエコポイント実施まで消費者が購入を待っているといういわゆる買い控え現象が起こっている様です。実際には補正予算も”この時期に代表がフラフラしている野党”などが審議しているためまだ可決されていませんので、仕方がありませんが、これだけエコポイントの名前が報道されてしまっては、今更否決は無いでしょう。とはいえ、エコポイント報道に対して、知人二人もテレビ購入を待っているため、身近でみても買い控えは起こっています。
メーカーとしては買い控えは困るとは思いますが、所詮1ヶ月程度売り上げが落ちてもそんなには問題ない気がしていました。しかし、昨日の日立製作所などの赤字っぷりを見るとこの時期は決算期が多く、甚だ迷惑な話ですね。
さて、買い控えが起こっているので今テレビが安い様です。たとえば、BRAVIAの52インチの新型液晶テレビ(KDL-52W5)などは、ビックカメラで45万円(+15%還元:実質38.5万程度)に対して、価格コム(kakaku.com)の最安では、29.8万円と、10万近い差が出ています。価格コムの最安店は、実質店舗営業はなく、ネット通販専門としてぎりぎりの利益で多く売るビジネスモデルを採用しているため、ビックカメラなどと比べるとやはり値段の差はつきます。とはいえ、この最新機種で10万円の差は結構大きい気がするのでもしかしたら、このエコポイント買い控えで値崩れしている可能性はあります。

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Sony BRAVIA KDL-52W5の価格推移@kakaku.com

実際にkakaku.comの値段推移を見るとエコポイントが報道された4月中旬から10万近く落ちているため、買い控えによる低価格化はあるかもしれません。また価格コムの上位店舗は、いろいろな理由でとにかくキャッシュを回す必要がある・また倉庫の面積に限界があるため在庫は抱えられないなどの理由で、ビックカメラなどの大型店舗に比べ買い控えは困る状態にあると予想されます。そういう意味で、このエコポイント実施前は、ちゃんと使えるか分からないエコポイントよりもお買い得かもしれません。ここで注意ですが、価格コムの上位店舗は、いろいろな理由でいきなり倒産する可能性もありますので、必ず着払いで購入すべきですので、どうぞお気をつけください。先払いで商品が届かない、または在庫ありで注文しても実は在庫がないなどのトラブルがあるようですのでとにかく着払いが良いと思います。

そこで、思ったのですが、着払いの場合、領収書は、”届いた日”になります。つまり、今日購入し、5/15到着にすれば、領収書は5/15になるため、もうエコポイントの恩恵が得られるのではないか!!??と考えました(誰でも思いつくか・・・)

先ほどの経済産業省:グリーン家電普及促進事業のQ17を見ると

Q17 5月15日以降の購入が対象となりますが、支払い日、納品日等どの時点を購入日と判断するのですか。
A17 代金をお支払いした日(=領収書に記載される日)により判断します。ただし、テレビ通販・ネットショッピングで商品を購入した場合は、納品書・購入証明書に記載されている日付により判断します。また、クレジット払いの場合(一括もローンも)は、クレジットカードを提示し、売上票にサインした日になりますが、領収書が発行されない場合もあるので、「お客様控え」でも、購入された商品の型番が記載されていれば、領収書の代わりとしてそこに記載された日付で判断することは可能です。

ここで”納品書・購入証明書に記載されている日付”がやっかいです。領収書という意味では5/15の日付になりますが、今日購入した場合は、この納品書がどうなるのでしょうか??一方で報道で”領収書”と”保証書”と報道してしまっているので、結果的には着払いの領収書だけでいけそうな気がします??う~む。グレーですがどうなんでしょうか。言うまでもなく不正を促すサイトではありませんが、実際に商品が到着するのと、領収書の日付は5/15なので、商品を使い始めるのも5/15からですし、問題ない気がするのですがどうなんでしょうか!??

このあたりは経産省の窓口などに相談していただきたいですが、5/15に商品が届いて、お金を払うという原理を考えれば今日5/15到着の着払いで買うのはありな気がします。そうなると、買い控えで安い(かもしれない)今日・明日は実はお得じゃないでしょうか?5/15に、卸価格を上げる可能性はありますが、下げることはおそらくないかと思います(ボーナス商戦で数を売るために下げるメーカーもあるかもしれません)。少なくとも在庫がどんどん掃ける小売店は値段を上げるかもしれません。36000ポイントの大型テレビは1~2万円分値段が上がるかもしれませんね。

今回のエコポイントは、ポイントをどうやって使うかまだ未決定ですし、もしそのポイントはエコ商品(今回のテレビ・冷蔵庫・エアコン)のみにしか使えないというシステムだしたらすぐにテレビは買わない可能性もあるので結局使えないポイントになるかもしれません。そういう意味では、

・買い控えが起こって値段が下がり気味の5/15実施前
・5/15でみんなが飛びつき、実施後は在庫切れが多発する!?(かも)
・着払い5/15到着ならエコポイントは発行される??(経産省に要確認)

などの理由で実施前の今日・明日は実は狙い目かもしれません。
言わずもがなですが、全く責任はとれません。

2)エコポイントの問題点

エコポイントに関する問題点は多々あります。ちょっと考えただけで起こりうる問題を箇条書き列挙します。

■エコポイント管理団体が本当に管理できるのか?
これからできるらしいエコポイント管理団体ですが、政府・官僚さんたちは、領収書と保証書(製造番号・シリアルナンバー)を確認しエコポイントを発行する管理団体を作ると簡単に言っていますが、いったい誰がやるのでしょうか?おそらく経産省がまた一つの管理団体・法人を作ることになるのですが、また長妻議員が好きそうな構図です。
さらに、年金記録があれだけ抜けがあった状態で、”領収書”と”保証書”で本当に管理できるのでしょうか??領収書は、ビックカメラなどのレシートでは商品名はしっかりと記載されていますが、その製品名と商品のシリアルナンバーはどう整合をとるのでしょうか?ビックカメラのレジで出てくる感熱紙の領収書(レシート)は、税法上、正式な領収書として処理はできますが、何せ感熱紙なので手書きの領収書を書き直してもらうことがあります。その場合に、その領収書で製品名とシリアルナンバーの整合はとれるのでしょうか?
まだまだ問題はあります。例えば、シリアルナンバーは、メーカーによっては、ABC000001, ABC000002, ABC000003など数字続きの様な違うナンバーを推定できる商品があります。悪どい業者が、上記の理由で整合が取りにくい領収書と、買ってもいないシリアルナンバーでエコポイントを取得した場合、本当に購入した人が後から申請した場合、既にこの番号は登録されているという検出ができるのでしょうか?また検出された場合、その悪徳業者と購入した人は争う事になるわけですが、その場合、個人情報をその管理団体が把握しなければならず、製品1個1個に購入した人の情報が入り、個人情報なんたらで、またややこしくなりそうです。
少なくともポイント申請時に、その製造シリアルナンバーが過去に申請されていないことを確認する全国的にリアルタイムなシステムを構築しなければならず、また何百億くらいシステム開発費が掛かりそうです。これはまた時間と金(税金)が掛かりそうな話です。
仮に製品シリアルナンバーで唯一排他で処理できないエコポイント管理システムなら、転売業者が卸価格で買って、ポイント申請して、消費者に商品を高く売るみたいな構図が簡単に予想されますね。

■エコポイントはどうなるのか?どうやって使えるのか?
商品券などに交換などと発表されていますが、全く詳しいことは決まっていません。同じくエコポイント対象製品だけ購入できる商品券になるなら、テレビ・冷蔵庫・エアコンなど簡単に2~3年は持ちますので、私の様な一人暮らしの場合、なかなか使うことはない気がします。おそらく36000円の商品券を30000円で売りますみたいなヤフーオークションや、また町のチケットショップに、エコポイント商品券が溢れそうですね。

そのエコポイント商品券を使って購入した場合、またテレビを買えばエコポイントが付くのでしょうか?

領収書の記載はどうなるのでしょうか?30000円分エコポイントを使っても、販売店側からすれば30000円減の領収書にはならず、おそらく商品価格が領収額になると思います。その場合、我々消費者は、30000円分はどう処理をすれば良いのでしょうか?エコポイント発行時に日本円と1:1の関係で収入と見れば良いのかもしれませんが、この辺うまく整合がとれるのでしょうか?ビックカメラなどの還元ポイントで購入しても現金が動いていないので領収書は発行できませんし、この辺はどうするのでしょうか?

このエコポイントから現金相当に変えるのが、焦点となりそうです。個人的にはチケット屋やヤフオクなどで多少ポイントが下がっても使いやすい現金化を目指した方が良いような気がします。エコポイントはエコポイント対象商品しか購入できないなどになったら尚更です。

■そもそもエコなのか?
そういえば、京都議定を始め、エコを推進している国な気がしましたが、この制度は全くエコではありません。確かにエコに貢献する低消費電力の電化製品が対象とはなっていますが、まだまだ使える商品を買い換えて廃棄するほど地球にダメージを与えるものはありません。小売店のエコポイント対応なり、エコ管理団体立ち上げなり、動く人件費・コストなどを考えると全くエコではありません。エコロジーではなく、エコノミーポイントですね。

■そもそも政府が発行するバーチャルマネーは、日本円じゃないのか?
ビックカメラがビックポイントを発行するのは、
A)ビックポイントはビックカメラしか使えずリピーター・お抱えができる
B)ピックポイント利用時は、ポイントがたまらないので10%還元といっても、実は10%還元はされていないトリックがある
C)会社経理上、見た目の額が大きいのでなんか有利?(たぶん)
です。ビックカメラがポイントを発行するにはそれなりに戦略があるわけですが、それを政府がやろうというのですからおかしな話です。政府発行といえば、1円・10円・100円・500円の日本円(硬貨)があるじゃないですか。ここはエコポイント商品券ではなく、幻の政府紙幣 or 硬貨発行にしてもらいたいです(つまり現金支給)。それなら日本円なので扱いやすいと思います。

そもそもお金ってなんでしょうか?物々交換の時代に対して、一定の基準を作ったのが金であって、生きていくためには食料がいる。食料を買うためにはお金を払うというもので、お金自体、人間が決めたバーチャルなものです。今ポイントブームではありますが、政府まで日本円以外に変なバーチャルマネーを作るのはやめてください。こんな面倒な事をするより、1,2年消費税なしにすれば良いことだと思います(ぶっちゃけ)

留意点:この内容はエコポイント実施前の不確かな情報で述べているため、内容に全く責任を負えませんのであしからず。

実施直前のエコポイントの使い方(むしろ実施前購入が買い時?)・抜け道・問題点を考える。」への6件のフィードバック

  1. 確かに実施前から破綻してますね(笑)

    定額給付金も手続きが煩雑で、すごい経費がかかってそうだなと思いましたが、
    これもすごそうですねー。

    個人的には46インチの液晶テレビは、実質15万円ぐらいで買えるのに、
    36,000ポイントは付け過ぎだと思います。
    ただでさえ液晶テレビは値崩れして、メーカが苦しんでるのに、大丈夫なんでしょうか…?

    草彅氏のタイーホもあり、地デジ化が一向に進まないから、ヤケクソになったとしか思えません。

  2. nakayoくん

    定額給付金も含め、このエコポイントも制度(特に税制面)が未検討でやばすぎますよね。

    46インチは15万のものでも、対象商品はありますよね。そうなると36000円は大きいですよね。実質12万弱と考えたいところですが、ブログでも書いたように旨く36000円”化”できるかが勝負ですね(笑

  3. いま海外にいるので、そもそも制度を知らずに浦島太郎でした。ここで知りました。

    対象商品のテレビに、環境と関係ない「地デジ対応」という縛りがあるのに笑いました。

    「エコノミー」が本音であるのは、みんな分かっているから、もう「エコロジー」なんて綺麗事を被せなくていいのにね。エコロジーのためなら、「エアコンやテレビを減らす」という解になるはずで、省電力機に買い換えには小さなポイント、単純廃棄には大きなポイント、買い増しならペナルティ(環境税)、です。エコポイントで家電を買い足したら、全然エコロジーじゃない。自転車とか、公共交通の定期券を買えるようにしてはどうだろう。

  4. ごんざぶろうさん>

    ご無沙汰しております。ブレーメン良いですね!中央駅の北側??のIACをやった会議場のさらに北に超でかい綺麗な公園ございますよね??去年いったときにあの公園の大きさとすばらしさに感動しました。

    さて、海外からご覧になれば、今回のエコポイント制度なんてちゃんちゃらおかしいのが客観的におわかりになるのではないでしょうか?

    そんなに古くないエアコンを敢えて買い換えて廃棄など、もうエコでもなんでもないですよね。ご指摘の通り、もしエコポイントなどの価値を作るのであれば、ポイントを貯めない方がすばらしいという概念にしなければならないと思います。何をしてもCO2は増えてしまうので、他の人よりも”増やさなかったら良い”という概念をちゃんと植え付けないと、プリウスを毎年買い換えるというような、超アンチエコ活動をする人がいるかもしれないですし。

    エコポイントの使い道は、そのままスイカポイントとかだと公共交通の促しにつながり、良いかもしれませんね。

  5. こんにちは、お久しぶりです。

    ネットで見ただけですが、日本では混乱してるようですね。

    前職で、このエコポイントの原型になる制度設計で、
    こちらのお役所とかかわった事がありますが、
    何も詳細決まってないのに、国会で発表したいがための
    素晴らしい見事なまでの見切り発車・・・
    相変わらずだな~という気がしてます。

    エコがエゴになってしまっていますね・・・。

  6. どーもです!

    なるほど前職で経験があるのですね!

    本当に何も決まっていない状態で、エコポイントが本当に使えるのか微妙なところです。ここまで報道されているので、今更無効はないと思いますが、グダグダな結果となりそうです。

    ところで米国にも政府発行の電子マネーはあるのでしょうか?ブログでも書きましたが、政府がその国の通過以外に電子マネーを発行するのはよーわからんと思っているのですが・・・。

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