おかしなエコ (その1) : 紙コップ回収機(カップエコジット)

世界中で地球環境を守ろうというエコ活動が活発にされています。日本は京都議定や、ゴミの分別の実施率なども含め、比較的エコに関する意識が高い国なのではと思っています。オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策もエコに関する政策ですし、どこにいってもエコ、チームマイナス6%などを見かけるようになりましたね。このブログでも何度かエコ・地球環境に対して述べておりますが、やはり”おかしな”エコが多すぎて疑問を感じずにはいられません。実際、グリーン・ニューディール政策もエコというよりは現在の不景気に対する雇用創出の政策ですし、各企業がエコ・エコと言っているのもCSRの側面が強く、本当にそのエコと呼ばれている活動が地球に対して優しいかは割と無視されている気がしています。私個人としては、過去のブログ”閉鎖系での地球環境(温暖化)の考え方”、”人類が滅亡したら地球はどうなるか?”などで述べておりますように、あんまりエコ活動はしないほうが良いのでは?(しない方が良いというよりは、むしろマイナス効果のエコ活動が多すぎる)と思っております。このタグ”おかしなエコ”では、町中、テレビ、マスメディアを通して、このエコはどうなんだろうか?と疑問に思ったおかしなエコを紹介したいと思っています。

先日、大江戸線の某駅プラットフォームで、紙カップ回収機「カップエコジット」というものを見つけました。私も大好きな”紙コップ”に飲み物が注がれて出てくる自動販売機がありますが、その紙コップをこの”カップエコジット”に入れると、10円返金されるというものでした。「カップエコジット」のリンク先にはその機械の概要や外観などをご覧いただけます(サイト規定を読みますと、画像などは勝手に使えないようなので、リンク先を参照ください)。そもそもカップエコジットを開発した会社アペックスさんは、紙コップ型自動販売機メーカーであるようで、問題意識があった紙コップの散乱、分別回収に関する対策として、このカップエコジットを開発したようです。自社製品を作るだけではなく、どうしても起こりうる紙コップのゴミ問題に対してその対策製品を作る姿勢はとてもすばらしいと思います。

さて、私思うおかしな点は

・そもそも紙コップは、分別回収してリサイクルする必要があるのでしょうか?
 大手製紙メーカーの再生紙配合問題もありましたが、再生紙はかなり技術的に難しいものです。また熱力学第2法則を考えても、エネルギーを費やして古紙から再生紙を作ることは無駄が多く、温室効果ガスの増大にしか寄与しません。再生紙自体にかなり疑問をもっていますので、どうも紙コップの回収というのは疑問に思います。

・紙コップ回収という行為に電気が使われている点
 仮に紙コップ回収がエコ的に素敵であると仮定した場合、紙コップ専用ゴミ箱で良いのではと思ってしまいます。カップエコジットは電動であり、その機械自体が常に電力を消費しています。電力がいらない行為に対して、電気を使うのは、エコ的には確実にマイナス要因です。カップエコジットだけではないのですが、最近、無駄に電力を使う機械が多く、エンジニアリング的にナンセンスだなぁと思うことがあります。たとえば、足下にスイッチがあってそのスイッチ(リモコン)によって水が流れるトイレを、特に高級なレストランなどで良く見かけます。もう何十年も前に完成している昔ながらの水洗トイレのタンクは、タンクの水でブイを浮かしてそのブイによってタンクの弁を制御しています。地球の重力とブイが水に浮くというとっても素敵な原理で電力も使わず完成した技術だと思います。これを敢えて、リモコンで弁のON/OFF信号を飛ばして弁を電子制御で開けるという感覚が全く理解できません。過去のブログでも一貫して述べておりますが、究極のエコは、人間が何もしないことです。動けば動くほどアンチ・エコです。電動式にすればメンテナンスが要りますし、装置も大型になるので運送が大変になります。人が動けば温室効果ガスが出る。とにかく無駄な動きをしないことをしないのがエコだと思います。

・この10円返却はどういうお金?
 カップ式の自動販売機でコーヒーを買います。その場で飲みます。横に設置してあるカップエコジットにカップを入れます。10円が戻ってきます。この10円は一体なんのお金でしょうか?瓶の回収なら少しは分かります。古紙として再生紙に回る古い紙コップを返すと10円が返ってくるのは経済的にはおかしな話です。その後、回収費用、再生費用などを考えるとむしろ10円位もらいたいはずです。経済的にこれで成り立っているのであれば、飲料代に上乗せされていると考えるべきです。こうなったら全くよく分かりません。カップエコジットが町に溢れていれば少しは分かりますが、自販機の横に設置されていることを考えると、自販機の近くで速攻で飲んだ人しか回収できません。すると一律の10円金額に乗せられていたら、回収できない分だけ企業の利益になります。エコ活動が逆の作用をしています(商売といえばそれまでですが)。10円のためにわざわざその自販機の部分まで戻ってくるモチベーションが沸くか疑問ですし、なんか得した気分にもなれません。エコ活動はモラルですから、10円で釣らなくても良いのかなと思います。

では、どうすれば良いのでしょうか?
 私としては、紙コップの再生紙化が本当にエコかどうか再検証する必要がまず最初だと思います。おそらく無駄だと思います(熱力学的にも、あと実際の回収の実態を考えても)。紙コップを使わない(液体が自動販売機から口に注がれるなど(笑))方法を考えるか、使う場合は”温室効果ガス”発生が少ない新紙コップの更なる研究あたりでしょうか。紙コップの回収に関しては電力の使わない筒状のゴミ箱で十分だと思います。紙コップは形が特徴的ですから、円型に口を切っておけば自然に重なりますし、むしろ回収しやすいゴミだと思います。

先述の通り、アペックスさんとしては、環境問題の意識を持ち、自社製品で発生しうる紙コップの廃棄問題に少しでも役立つようにという活動かと思われますが、やはり少し視点がずれている気がします。HONDAのCMでも”本当のエコカーを作ることは難しい”と言っておりますが、私もそう思います。本当にエコとはなんなのか?(何もしないことだと思いますが)、もう一度考えないといけないですね。

おかしなエコ (その1) : 紙コップ回収機(カップエコジット)」への4件のフィードバック

  1. こちらで、「任天堂は環境に貢献してるから、この恐慌の中でも余裕で利益がでているのではないか」、という話を、友人としていたのを思い出しました。何しろ主力製品が、液晶と半導体の電極をピコピコ動かすと、それに人間の目と耳を通じて脳の電荷がピコピコ動いて、それで人が満足したり疲れたりするので、miyashitaさんの言葉を借りると、究極のエコに近づく素晴らしいツールなのでしょう。実際アメリカでは、この冬休みはゲームが売れて車の移動量が減った、と言われています。3年ほど前に半導体の技術者の方に、「せっかく一生懸命設計しても、それがゲームに使われて子供を害してしまうと思うと、悲しくなる」と言われて、同感していましたが、ゲームに需要があるのは人間が生き永らえるための必然なのかもしれない、と思い直す今日この頃です。

  2. 面白いですね。
    前、東京国分寺のある小さな公園で、子供達が砂場の前の鉄棒の上の乗り、DSでアドホック対戦していました。公園まで来て、服は綺麗なままでDSというのがとても滑稽でした。

    エコ的に考えるとほんとゲームで時間を費やせるならエコですよね(笑)

    マトリックスという映画では人間の体はベッドに固定されて意志だけで世界(ヴァーチャル)を旅していましたが、そうなってしまうかもしれないですね。結局流行っているのか分かりませんが、セカンドライフやミートミー、PS3のHomeなど、ヴァーチャル世界がどんどんできていますよね。PS3のHOMEをはじめてやってみたんですが、ちょっと不思議な気分になりました。ゲームの中に映画館があって、その映画館で実際の映画が予告がみれるんですよ。しかもハイヴィジョンで絵が綺麗。さらにゲームセンターに行くとビリヤードゲームなどができまして、これは一つのゲームなんですが実際にオンラインの誰かとやっているわけですよ。もうすごく不思議な感じでした。仮にこれが超おもしろかったら、現実世界はなんなんだと(笑)

    自分たちの子供達世代は、ほんと体を動かさなくなりそうですね。

  3. はじめまして。
    最近エコロジーについて勉強しているので、とても共感して記事を読みました。

    日本の企業はリサイクルが好きですよね。
    環境への配慮を声高にアピールすることが
    トレンドのようになってしまっているように感じます。

    中身も伴ってくるといいですね。

    「ほんとうのこと」を遂行してちゃんと利益につながる世の中にしていかないと。
    そのためにはまず私のような一消費者が意識をかえていかないとと思う近頃です。

  4. はじめまして。

    リサイクルの考え方、気持ちは大切にしたいのですが、リサイクルに回るという窓口だけが注目されていて、実際に回収し、再生し、再配布されているのかをちゃんとトレースする必要があると思います。また実際にそのリサイクルはエネルギー的には地球温暖化に貢献してしまうことが多いと思います。
    エコバッグも注文生産しないと、あらゆるブランドで作りまくって在庫に抱えているので全くエコではありません。
    消費者が賢くしなければならないですね。

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