さて、前回の記事でSpaceXのドラゴンと国際宇宙ステーションの現在位置を表示するシステムを公開しました。
参考:SpaceXのDRAGONとISS(国際宇宙ステーション)のドッキングをリアルタイムでGoogle Earthで見るシステム。
まずは上記の参考記事を読んで頂きたいのですが、同じGoogle Earth上にリアルタイムで軌道計算をするシステムを用いて、A-Trarinコンステレーションという複数の衛星(現在は5機)が同じ軌道面を連続して回る様子を表示するシステムを公開します。
*1)Windows, Mac OS XのGoogle Earthでは、現在位置と軌道線を表示でき、更にその位置が動いていく表示ができます。
*2)iOS, AndroidのGoogle Earthでは、以下のKMLのURLのリンクをクリックすることで、現在位置と軌道線を表示できます(事前にGoogle Earthアプリをインストールしておいてください)
気象衛星(ひまわりなど)は静止衛星と呼ばれ、地球の自転と同期して回る(=1日に地球を1周している)ことで、常に日本上空(36000km)に居て、おなじみの気象画像を地上に送り届けてくれています。一方で地表から近傍を飛ぶ(回る)衛星を低軌道衛星と呼び、例えば低軌道衛星のひとつである国際宇宙ステーションは、1日に地球を約15周しています。どんどん地球を回っていくので、世界中のいろいろな上空を通過するわけですが、最近の宇宙利用の中で、複数の”低軌道衛星”を用いて、協調的なミッションを行う”コンステレーション”(群衛星)という考え方があります。利点としては、同じ地域の撮影を数分おきに撮影して、その短い時間での変化を調べたり、また3Dの立体撮影に応用したりと利点が多いのです。GPS衛星も30機以上の群衛星なので(低軌道ではないですが)コンステレーションと言えますね。
さて、各国(主にアメリカ)が協力してA-Trainコンステレーションというプログラム(プロジェクト)があります。
参考:A-Train(衛星コンステレーション) – Wikipedia
既に、Aqua, Aura, Cloudsat, CALIPSOという4機の衛星が群になって隊列飛行をしています。そこに先日JAXAなどが打ち上げたGCOM-W1 (しずく)が加わることになっています。そのA-Trainの一番前を飛ぶことになっており、現在そのトレインに乗ろうと軌道変更をしている最中です。今回のシステムは、既にトレインになっている4機の衛星に、”しずく”を加えた5つの衛星の現在の位置をリアルタイムでGoogle Earthに表示するシステムを開発しました。
ぶっちゃけ、民間の人工衛星ベンチャーをやっている者としては、JAXAなどの衛星を紹介してもしょうがないのですが、ラボの先輩・後輩はJAXAおよび大型衛星メーカーに勤めていますし、そもそも”コンステレーション”という考え方を知って欲しいので開発・公開することに致しました。コンステレーションはメリットが多く、いろいろなミッションが考えられるため将来性があります。しかし多くの衛星を開発しないといけないので、衛星の開発費が圧倒的に安い民間の衛星ベンチャーの出番ってわけですね(それを言いたかった)
さて、Google Earthに表示させている状態が下図です。(4機が並んで飛んでいるのが分かりますでしょうか?クリックすると拡大)
◆表示の仕方(基本的には前回のSpaceX Dragonの表示の仕方を理解できているものとします)
ネットワークリンクのURLをA-Train用に変更する:https://www.spacewalker.jp/mrorbit/CurrentATrain.kml
以上です。
本日の時点では、”しずく”はかなりA-Trainからは外れていることがわかります。