自分の2003年のテーマとして,”管理者について”にも書いてあるけど
”アナログの優しさをディジタルの世の中でいかに残すか”
なぜこのテーマか?っていうのをココで説明はしないけど(長いので),とにかくそういうテーマ.
”アナログの優しさ”には,本当に強い力があって,今日はピアノの話(←実はこれを話したかっただけ)
今回取り上げるマエストロは,
Alfred Cortot (アルフレッド・コルトー) 1877-1962
尊敬するマエストロは一杯いるけど,特に好きなピアニスト.
スイス生まれのフランスのピアニスト.
ここでも昔かいたページがあります・・・アルフレッドコルトー
コルトーの評価は
・強烈な魅力ある個性と,美しいタッチ,絶妙にして詩的な解釈は当代無比
とある(「大ピアニストは語る」より)
ピアノ関係の書の好きなところは,日本語を使ってココまで人を表現できるか?ってところ(笑
上の評価からも分かるように,もう表しきれない美しい音色と,特筆すべき解釈.
miyashitaの中で,これほど魂を打つ演奏は比類を見ず,全身の細胞を奮わせる.
一つCDを紹介
Toshiba-EMI & 新星堂 SGR-8103 MONO (限定・日本未発表)
The Legendary of Alfred Cortot Vol.3
Chopin Etudes, Op.10, Op.25
Recorded: Nov 1942
このCDは,日本では手に入りにくいかもしれません.
コルトーのショパンのEtude集1936年録音のモノが有名ですが,
今回は,あえて1942年版を紹介.
理由は,第二次世界大戦中の録音であること.
戦時中の厳しい時代に,あえてこの作品集を録音したこと.
更に,36年版よりも,”より”音が悪いこと.
このCDを聞くと,最初に耳に付くのは,音の悪さ.ものすごく音が悪く,雑音がすごい.
それが,戦時中のふとすれば,ミサイルが飛んでくるような,レコーディングスタジオの
緊張感とあいまって,聞こえてしまう.
そんなノイズと緊張感の中から,何とも言えない,優しくて,そして強く,美しいショパンが聞こえてきた瞬間,そんなノイズは頭の中から一切消え,コルトーワールドに否応なく吸い込まれる.
この感覚,この感覚こそ,残すべきアナログ感覚(音楽版)だと思ってる.
10-3つまり”別れの曲”.練習曲でココまで美しい曲を作ってしまうショパンには,ただただ頭が下がるが,その楽譜っていう”意味づけられた記号”に対して,無限に美しい解釈を与え,60年以上経ったいまも,人に衝撃を与える力はすごい.
一度ショパンの頭の中にある音楽が,ルールに沿った楽譜っていう意味づけに固定されたにもかかわらず,またコルトーの解釈で無限大まで広がった.
これは,混沌としたウェブに,Semantic(意味)を与える事の一つに近く,やっぱり,素敵なものは,Semanticではなく,その向こうっていう感じがある.
コルトーの事を書き出したら止まらないが,止める(笑 ホント終わらないので.