(久しぶりに)レインボーブリッジの夜景写真

 久しぶりにレインボーブリッジ界隈に写真を撮りに行ってきました。私の周りでディジタル一眼レフを購入された方が多く、その方たちの写真をブログで見ていると最初から上手だなぁと思います。要するにセンスなんでしょうね。カメラは数年前まで高価なもので、おっちゃんたちが高額投資をしてやる趣味の一つでした。つまりツール(カメラ機材)が高価であったため、芸術的センスがある一般の人を寄せ付けない文化がありました。近年、ディジタル一眼レフの高性能化、低価格化により多くの方が気軽に使えるようになってきました。ツールが一般化されると、センスの良い方の写真が溢れ出しました。2、3年前に東京芸大の西洋画の専攻の学生が一眼レフを使って写真を撮った作品を見る機会がありました。カメラを買ったばかりということでしたが、そのセンスの良い視点と構図は、アサヒカメラなどの老舗カメラ雑誌に掲載されているようなおっちゃん写真とは一線を画している素晴らしい写真達でした。 私もそのおっちゃん側の写真しか撮れませんが、そういうときは写真ではなく、”カメラ”が趣味であると答えるようにしています(笑)

 さて、今日はレインボーブリッジの夜景写真ということで既に何度も撮っていますし、橋自体変化もないので、撮影方法/画像処理方法を少し変えました。夜景写真は当然ながら夜間の撮影になるので、高感度性能があがっている最近のディジタル一眼レフであっても、シャッター速度は長くなってしまいます。風景写真に手ぶれは禁物なので、三脚は必須です。また、シャッターボタンを指で押すとその指圧でカメラがブレるのリモートシャッター(いわゆるレリーズ)は必須です。レリーズがない場合は、三脚にのせた状態でセルフタイマーが有効ですね。一眼レフは、シャッターを押したときに内部でクイックリターンミラーが上がって、下がる動作をします。このミラーが上がる時にカメラに微小な振動が発生するために、ミラーを上げて振動がおさまった後に撮影するミラーアップ撮影という方法があります。おそらくほとんどの一眼レフのカスタムファンクションにあるはずですので試してみてください。(エントリークラスのカメラには搭載されていないかもしれません)。ここまで振動対策をしても、風でブレることがあります。その場合は三脚に重りを載せ、でかい傘で風を防ぎます。雨も降っていない時に極太の三脚と傘で夜景を撮っていると、まず目立ちますが、ブレは写真を台無しにしますのでこの辺りの努力は必要不可欠です。その姿は絡み難いので怪しくても声を掛けられないので安心です。高感度特性が飛躍的に進歩している最近のディジタル一眼レフカメラですが、やはり高感度モードにするとノイズが目立ちます。夜景の場合黒部分が多いので暗部ノイズは極めて不愉快なので、ISOはできるだけ下げます(今回は基本ISO100で撮影しています)。夜景は様々な色の街灯/光が入り込むのと、自動露出は高く出る傾向があるので、RAWで撮っておくのが無難です。また基礎的な話ですが、レンズは解放値(F値が一番小さい値)の絞りは画像が安定しません。解放から、2〜3段絞ったF値で撮るとMTFも上がり高解像度な写真が撮れます。逆に絞り過ぎると回折限界が来ますので、注意が必要です。キヤノンは全レンズのMTF曲線をレンズのページで公開しているので、お持ちのレンズがどのF値で一番MTFが上がっているかを確認すると良いかと思います。分からない場合は解放から2段〜F8まで位にすれば大やけどはしないと思います。

 さて、前段落は夜景の基礎と言えるものですが、今回はこの基礎を踏まえた上で、3つの違う撮影方法(画像加工方法)を使って撮ってきました。1)クロスフィルター:道路脇の電灯など強い光が入り込むとクロス(十字架)型の光がでる特殊なフィルターです。レンズの先端にねじ込んでつけます。2)ゼラチンフィルター:大判カメラや中判カメラで良く使うフィルターなのですが、レンズの前にゼラチンフィルムを通して、色をシフトします。今回はマゼンダ側にシフトするフィルターを使いました。色のシフト(補正)は、ご存知の通りPhotoshopを代表とする画像処理ソフトを使えば如何様にも後処理でできるわけですが、後処理とレンズの前に入れるフィルターではやはり色身が違うと思っており、夜景撮影時には好んで使っています。とはいっても、数ある色補正フィルターからマゼンダを選んだのも、おっちゃんたちのカメラ雑誌を昔見ていたときに、”ゼラチンフィルターでマゼンダ側にシフトするのがナウい”という記事を見たからなんですけどね。3)HDR撮影/処理:HDRとは、High Dynamic Rangeから頭文字をとった写真/写真手法です。高感度特性も素晴らしく、益々進歩を遂げているディジタル一眼レフですが、まだフィルムに追いついていない部分が、ダイナミックレンジです。フィルムでいうとラチテュード(Latitude)ですね。いわゆる一枚の写真の中で一眼明るい点と一番暗い点にどれだけ幅(階調)があるかということです。フィルム(特にネガ)の方が圧倒的に幅が広く、たとえば結婚式での白く溶けて行くようなきれいなウェデリングドレスの白(明るい点)から、深い新郎の真っ黒なスーツ(暗い点)までガッつりと階調を残して撮影できます。一方でディジタル一眼レフでは上手くとらないと、ドレスは白く飽和してしまい(階調がなく真っ白)、スーツは黒く潰れて(階調がなく真っ黒)になってしまうことが多々あります。同じように夜景でもライトが照らされた明るい部分が真っ白で階調がなかったり、暗い部分をちゃんと階調を持たせようとすると全体的に暗かったり、ダイナミックレンジの狭さで苦労します。携帯電話のカメラで東京タワーを撮るとタワー本体が真っ白で輪郭しか見えなかったという経験がないでしょうか?そこでHDRという手法があります。同じ場面を時間をあけずに連続して、露出を変えて撮影します。露出を変えるというのは、暗い露出(暗部に階調を持たせる)、普通露出(中間部に階調を持たせる)、明るい露出(明るい部分に露出を持たせる)というような複数の露出で撮影し、後で3枚を合成してダイナミックレンジを広げようという手法です。Photoshopにも搭載されている機能ですが、あまり使い勝手が良くなく、Photomatixなどのソフトを使って合成します。これにより、暗部から明部まで黒潰れ/白トビのないインチキ写真が生成できます。今回HDRで何枚か撮っていますので、その差をご覧ください。こういうのを、”写真が趣味”ではなく、”カメラが趣味”であると言います(笑)

以下の写真の共通情報:
・レンズ:EF17-40mm F4L USM
・クロスフィルター:Kenko PRO1 Digital R-CROSS SCREEN(W) 77mm
・ゼラチンフィルタ:Fijifilm 色補正フィルター(CCフィルター)  CC-30M 10x10cm + Canon ゼラチンフィルターホルダーシステム IV
・撮影条件:三脚利用,  絞り優先AE, ISO100, RAW撮影, ミラーアップ撮影, リモートシャッター(いわゆるレリーズ)利用
・画像処理:Canon DPP(Digital Photo Professional), Photomatix(HDR)

今回の写真はすべて縮小していない画像も掲載しています。画像をクリックすると表示されます。

 夜景写真比較:レインボーブリッジ(首都高速道路11号台場線・東京港連絡橋(臨港道路))の回転部
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標準撮影(色温度3400度)

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3枚HDR画像一つ前の写真に比べて、水に反射している光に階調が残っているのが確認できますでしょうか?

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標準撮影+クロスフィルター装着  (3400度)

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標準撮影+ゼラチンフィルター(マゼンダシフト), AWB*恥ずかしながら広角レンズで撮っているのにゼラチンホルダーのフードを外し忘れ4つ角がケラれています。

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標準撮影+ゼラチンフィルター(マゼンダシフト), 2500度

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どうでも良い写真(宇部三菱セメント)

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レインボーブリッジゼラチンフィルター, 2500度*HDRではないので、中央の縦の支柱が真っ白に飛んでいますね(白トビです)

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3枚HDR:レインボーブリッジ

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3枚HDR : レインボーブリッジ

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3枚HDR : レインボーブリッジ

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3枚HDR :レインボーブリッジ*HDRの欠点は3枚合成なので少しブレます。ブレると眠たい画像になりますね。

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3枚HDR芝公園から東京タワーを望む* 木の葉っぱの階調と東京タワーの階調があるので、不思議な写真になりますね。

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札の辻交差点(第一京浜の新橋方向)*これは標準撮影で20秒くらい開きっぱなしで撮った写真です。

(久しぶりに)レインボーブリッジの夜景写真」への2件のフィードバック

  1. 「どうでも良い写真」にめっちゃ興味を惹かれました(’_’)

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