ロールプレイングゲームに対する新提案(Public Experiential Point)

職場から駅まで歩く間に小さな公園があります。その公園には鉄棒、滑り台、砂場という典型的な遊具が揃っているわけですが、そこに来ている子供達は、鉄棒でも砂場でも遊んでいません。公園に集まって、NINTENDO DSをやっています。おそらくアドホックモードの無線LANを使った対戦ケームなどをしているものと思われます。この現状は今の日本の時代を表しているとは思いますが、日本以外の先進国でも見られる現象かもしれません。私もPlayStation3、NINTENDO DS Liteを持っているため、ゲームを全て否定しているわけではありませんが、今回のエントリーでは、このゲームに関して、とくにロールプレイングゲームに対する新しい提案をしてみたいと考えています。

ドラクエ(ドラゴンクエスト)シリーズに代表される、ロールプレイングゲーム(Role Playing Game)は、その名の通り勇者、魔法使いなどのRole(役)を演じて(Playing)旅をするなどのゲームですが、多くのゲームの場合、途中で”レヴェルアップ” (Level upping)という過程を伴います。何らかの悪役を倒すゲームの場合、その悪役や悪役の住む城にたどり着くまでに自身を鍛えていかないと太刀打ちできないという構図です。このレヴェルアップは、多くの敵と戦うことにより経験値という値を上げ、一定の経験値が貯まるとレヴェルが上がるという仕組みが多いようです。現実に照らし合わせて考えても多くの経験により鍛えられていくというのはある程度理解はできますが、問題はそのレヴェルアップという過程に時間が掛かりすぎるという点です。非常に単純な作業を繰り返し最後の敵を倒すために、世界中の子供達(大人も含め)が人生の大切な時間を削って仮想的な経験値上昇に邁進しています。もちろんそれはゲームをクリアするためというモチベーションの元にその単純な作業を行っているわけですが、この時間を何とかその人の人生向上へ、また人類全体として前進するものにしたいと考えています。

同じような経験を私もしたことがあります。某レースゲームがありまして、そのレースゲームは、基本的には32回のレースを勝ち進めば良いのですが、車の選択やコースの逆周などを組み合わせると全部で320回のレースがあり、その320回のレースに全て勝つと特別な車が貰えるというものでした。もちろん挑戦しませんでしたが、このようなゲームのシナリオにある種の怒りを覚えたわけです。ゲームを作る側は、少し条件を変えただけで320通りのレースゲームを実現することは容易ですが、ユーザー側はそれに踊らされて320回も走らないと特別車を得ることができないというシナリオがユーザーを馬鹿にし過ぎていると思ったわけです。レースをクリアしたか、まだしていないかというデータはメモリのどこかに保存されているわけですが、その勝敗を記録するたった1ビットを上げるために人類の貴重な時間を費やすわけです。ロールプレイングゲームも一緒です、経験値やレヴェルといった値を保持するメモリの1ビットの為に一番頭の柔らかい時期の大切な時間を膨大に費やさなければならないのです。

そこで、”一般公的な経験値”(Public Experimential Point)の提案です。ロールプレイングゲームで様々な謎解きや最後の敵を倒すという過程は否定しませんが、あのレヴェルアップという過程は時間の浪費・頭を使わないという点で肯定できません。そこで、レヴェルアップの過程はゲームではなく、実生活での作業・勉強・行動などを経験値として換算し、それをゲームに反映させるというものです。たとえば学校の宿題、外でのサッカー、読書、砂場での立体構造物想像、夕飯作りの手伝いなど何でも良いので個人の向上および、人類が1ミリでも前進する行動を何とか汎用な経験値として算出しゲーム内の経験値として反映させるのです。

子供は親が言わなくてもゲームはやります。このモチベーションは、はやくゲームをクリアしたいというモチベーションかもしれません。つまりロールプレイングゲームでは最後の敵を早く倒したいというモチベーションかもしれません。その最終ゴールのモチベーションを実現するために必要なレヴェルアップという過程を実生活で”経験”してもらいたいのです。1時間宿題をしたらレベルアップ、そんなものでも良いかもしれません。とにかく、世界規模で発生している頭を使わず単純作業で時間ばかり掛かるレヴェルアップの時間を何とか削減し、宇宙開闢の謎や環境問題など最高のインテリジェンスが求められる分野につながるように使ってほしいのです。

宿題などに限定せず、ボランティアでも、ジョギングでも何でも良いという意味と、そのポイントを、一つのゲームではなく、同じように単純無駄で長時間を伴うゲームなどに使えるという意味で、”一般公的な経験値”と名付けましたが、やはりそのあらゆる作業・行動を1)どのように数値化するかと、それを2)誰が認定するかという点に課題があります。私は、1)に関しては単純に時間で良いのかなと思っています。ゲームの中で1時間レヴェルアップの時間が伴うなら1時間宿題なり、ジョギングをするのがまず基準の評価で良いのかなと思っています。2)誰が認定するかは、まず親を中心にすべきだと考えています。モンスターペアレントに代表されるように明らかに教育を他力本願で考えている親が多いようですが、先生の前にまず親が教えることは多いはずです。少なくとも子供の教科書を年度初期に一回でも読んでどんなことを学校で学んでいるか把握している親がどのくらいいるでしょうか?おそらく何もせずに経験ポイントだけ与えるような甘い親も出てくるでしょうが、それは現状の放置親教育と変わらないので、前進はしませんが後進もしません。ただ親としては、”この宿題をやったら経験値あげる”ではなく、子供の方から”この宿題をするから、この手伝いをするから、この遊びをしてくるから経験値を認定して”と、どのような経験をするのか、またそれによって何を得るのかを子供たちに考えさせるようにしたいものです。日本の教育は受動的なものが多く、自ら考えるのは夏休み研究くらいしかありません。最近は、夏休み研究代行ビジネスまである末期状態なので、能動的に考えさせる仕組みを与えないと本当に将来は真っ暗です。

最新のロールプレイングゲームは、良く出来ていてレベルアップの過程でも極めて高度な頭を使うようなものかもしれません。ゲーム内で経験値をためることによって、ブラックホールの謎が解け、100mを8秒で走れ、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番が弾けるようになるなら全く否定しませんが、現状はなかなか難しいと思いますので、何か個人が向上する、そして人類として前進することをやってゲーム内に反映してほしいものです。漢字検定や英単語を覚えるゲームがあるようですが、それでも良いかと思います。レベルアップの過程になったらゲームを切り替えて単語を100個覚え、そのポイントをレベルアップに反映させても良いかもしれません。それも同じゲーム会社の製品じゃないと無効とかではなく、汎用で一般的な概念を提案したいのです。ドラクエシリーズとFF(ファイナル・ファンタジー)シリーズは累計で1億2000万本位売れているそうです。1本あたり約48時間のレベルアップ過程があるとすると、寿命が80年の人が約10000人になります。100%無駄とは言いませんが、10000人の人生がレベルアップではなく何か素敵な”経験”を積んだら少し世の中が変わったかもしれません。ドラクエのような社会的に影響のあるソフトウェアのオプション機能として試験導入などしてくれれば嬉しいものです。夏休み明けに、こんないろいろな経験をしてドラクエをクリアしたみたいな話題が溢れてくると面白いですね。いろいろな経験を積むことにより、その経験を医者・弁護士・アスリート・宇宙飛行士など本当の人生のロールに繋げていってほしいものです。

ロールプレイングゲームに対する新提案(Public Experiential Point)」への10件のフィードバック

  1. これは面白いビジネスになりそうですね。
    成長の過程で、バーチャル⇒リアルへの移行を促進する仕掛けが必要になりそうですが、世の中には現実のイベントも多々あるので、結構簡単に出来そうな気がします。

    ・ホノルルマラソン完走
    ・漢字検定2級獲得
    ・山手線スタンプラリー制覇

  2. -SHUMA-くん

    おおー、マーケのSHUMAくんがそう言ってくれると勇気がでます。何かできないですかね??ドメインとってウェブページや経験値互換システムなどは簡単に作れますが、世の中への展開をどうすればいいかわかりません。

  3. >miyashitaくん
    取りあえずNintendoに企画を持っていって、旅行会社や学習塾なんかとコンソーシアムを作ると良さそうです。

    最高レベルの認定は、SpaceGliderCompetition優勝にしましょう。笑

  4. -SHUMA-くん>

    一社のゲーム会社だけに偏らないコンソーシアムなどが良いかもしれないですね!
    宇宙系のイベントはモーレツに点を上げたいですね(笑

  5. 確かにドラクエやFFのレヴェルアップの為に、今まで人生で何百時間費やしたことか…。
    もし、その時間に英単語を勉強していたら今頃は英語ペラペラだったと思います(笑)
    既にリメイクが決定しているドラクエ5や6に、英語漬けみたいなソフト
    を無理やり押し込めば、多少は理に適ったものができますね。

  6. nakayo さん>

    nakayoさんは、結構時間を費やしたようですね!(笑
    ほんと単純作業で時間が無駄ですよね。技術的には簡単なのでなんかやってほしいですね。ちょっと動いてみようかな。

  7. まさに今うちの子も友達と毎日の様にDS対戦です。
    ゲームの事は、何でもすぐ覚えちゃうんですよね。
    もっと他の事に活かせればといつも思います。私の周りでも子供を持つ親はみんな感じてる事なんですよね。
    とは言え、私も無駄な時間を過ごした一人なんですが(苦笑)

  8. ゆっきさん>

    やはりゆっきさんのお子様達もそうですか・・。英単語や漢検などのゲームは否定できませんが、いかんせん多くの時間をゲームに取られていますよね・・。何とかしたいものです。

  9. ただ落ち葉のある空き地でも、色んな遊びが生み出されて、楽しかった事を思い出しました。
    折り紙やあや取りは とても頭にもいいそうですし。
    大人の作り出した新しいおもちゃ戦線に、子供は簡単に巻き込まれていますよね・・・
    自然の中、日常の生活の中で、学ぶことの大切さにまず、親がきずくことが大事なのかも。

  10. cafebookさん>

    大人の作り出した新しいおもちゃに巻き込まれる:本当にそう思います。そのおもちゃをとても頭を使って遊べればよいですが、単純作業で時間ばかり費やすものが多いですよね。その作り手を超えるクリエイティブ性があれば良いですが、大方その人の考えた世界の中で踊らされている感じです。
    先生の問題もあるようですが、やはりまず親の姿勢が大切な気がしています。

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