閉鎖系での地球環境(温暖化)の考え方

東京はまもなく桜が散り終わりそうである。いよいよ春を迎えるわけだが、皆様は今年の冬をどう感じられているだろうか?おそらくほとんどの方が”暖冬”と感じておられるのではないだろうか。小さい頃から地球の温暖化は話題としてあった。地球の温暖化は例年各地で観測されてきていたが、この2,3年の急激な暖冬により、地球温暖化を実感として意識するようになってきたのではないだろうか。ゴア元副大統領の「不都合な真実」やマスコミなど地球環境の報道を見かけないことはほとんどなく、地球全体で地球環境についての”まずさ”が浸透してきたといえる。私はこの地球環境についての考え方が少し誤解されて認識されている気がしている。今回のエントリーでは、”閉鎖系”と”エントロピー”というキーワードを用いて、地球環境の考え方について述べたいと思う。エントロピーを数式で表すことはとても難しい。しかしこの宇宙で生きていく上で、エントロピーは極めて重要で、数式を使わないで理解して貰えるように心がけるつもりである。

エントロピーは、感覚的には”イライラ(いらだち)”みたいなものである。散らかっている部屋と整理整頓されている部屋では、散らかっている部屋の方が(あくまで感覚的な表現)エントロピーが高い状態と言える。エントロピーは、地球環境を語る上で良く使われる”温度”や”熱(カロリーなど)”と深く関係するものであるが、このエントロピーの視点に立って環境に関する理解を促す報道があまりなされていない。人の場合を考えてみる。仕事か何かでストレスがたまり、イライラしているときに”お茶汲んできて、この仕事やっておいて、コピーとってきて”と頼まれると、すぐに頭に来る。一方、とてもリラックスしており自分の仕事も一段落ついている時に同じ頼みをされたら、特に嫌と思わず受けることができる。つまりエントロピーが上がりすぎるとすぐキレてしまい色々八つ当たりをし始める。今地球はエントロピーが上がり過ぎていて、その”イライラ”から温暖化(気温が上がってくる)、一度台風が起こるとモーレツな台風になる(カトリーナなど)、季節外れの雪、地震も起こりやすくなる(これは予想なのであるが・・)。つまりエントロピーは、今の地球環境を考える”元”、”種”みたいなものであり、”最高気温が観測史上最大”などという”温度に着目した”報道よりも一つ次元が下がったものである。このエントロピーという感覚を身につけないと人類の地球環境への活動が空振りに終わる可能性がある。つまり、地球全体のイライラ度である”エントロピー”を下げないと、今後地球環境が更に悪化していくと思われる。

では、その地球環境の種になっている”イライラ”ともいえるエントロピーをどうやって下げれば良いのか?結論から言うと地球のエントロピーを下げることができない。

熱、温度、エントロピーなどを扱う学問として熱力学があるが、その熱力学第2法則から導かれる”エントロピー増大の法則”という法則がある。この法則は”ある閉鎖系内において、何かアクションを起こしたら必ずエントロピーは増大する”という法則である。ここで”閉鎖系”という概念を取り入れる。閉鎖系とは、その名の通り熱的に閉じこめられた空間であり、地球環境を考えるときには地球全体の環境および、太陽からの入熱、宇宙へ逃げていく放熱を含め閉鎖系と考える必要がある。この法則を単純に考えれば、エントロピーを下げなければならないのに、人類が皆で行おうとしている環境活動(アクション)は、エントロピーを増大させるだけであり、むしろ何もしない方が良いと言っているようなものである。実際問題として、この地球環境をこれ以上悪化させないための究極の方法は、”人類全員が寝て過ごし、寿命が来たら死んでいくこと”である。しかし寝るという行動もエントロピーを増大させており、もうどうしようもない。しかし、起きて何か激しく行動するよりもおとなしく寝て過ごす方がエントロピー増大は少なくすることはできる。つまり、我々人類ができることは、何をしてもエントロピーは増大してしまうので、如何にエントロピーを少しずつ増大させるように行動するかに掛かっている。

この状況を感覚的に理解するための例として、地震か何かでエレベータに閉じこめられたという状況を考えてみる。エレベータは完全に密閉空間であり、自分の他に2人の人間も同じく閉じこめられていると仮定する。もちろん3人は、最初の内、しばらくすれば誰かが助けてくれるだろうと考える。しかし、それもいつになるか分からない。近々の問題として3人がする呼吸によってエレベータ内の酸素が不足してしまうことである。ここであなたがこの状態だったらどういう行動をとるだろうか?

1)助けて貰えるまでの時間を最大にするため、3人とも非常に静かな呼吸状態で話しもせず待つ
2)助けが来ないかもしれないので、3人で脱出策を考え、何らかの行動(扉を破壊など)をする

1)は現在の日本である限り、誰かが助け出してくれる可能性は0ではなく、それを期待した場合の最も妥当な選択だと言える。ここでのポイントは、いくら静な呼吸を心がけても少しずつ酸素は減っているという点である。

2)は、1)に比べ議論したり行動をするため、明らかに呼吸が荒くなり酸素の消費量が激しい。つまり1)に比べ生きられる時間が短いため、もし脱出できなかったらリスクのある行動といえる。

このエレベータの例は現在の地球環境に非常に良く似ている。1)の例は、人類が何も行動せず寝て過ごすという方法である。一方で、寝て過ごしていても呼吸はしており、エントロピーは増大してしまう。また、現実問題として、今更人類全体で寝て過ごすことは(厳密に言えば自然淘汰の原理に従った動物的な生活)不可能であり、また、地球を1つの閉鎖系と考えたときに助け出される、つまりエントロピーを劇的に下げる方法はないため、将来助けて貰えるという期待は持てない。一方、2)の例は、今の人類の状態と言える。激しく行動すればエントロピーは多く増大してしまうが、何とか地球環境を改善しようと努力しているアプローチである。しかし、どんなにすごい技術を開発しようとしても、エントロピーを下げることはできない。我々はエントロピーを如何に”上げないように”行動するが必要なのである。

では、エントロピーを上げないような行動とはどういうものであろうか?とても難しいのではあるが、何か地球環境に対する行動をする場合、本当にその行動が地球のエントロピーを最小限に増大させる行動であるかを上の”閉鎖系”という感覚を持ちながら判断してほしいと思っている。先ほどのエレベータの閉鎖空間を閉鎖系Aと考えてみる。ここで、すぐ隣に同じようにエレベーターBが止まっていると仮定して、それを閉鎖系Bとする。閉鎖系Aのエントロピーを下げる方法は閉鎖系A,Bの間の扉を破壊し同じ空間とすることである。これによりBにあった酸素が流れ込みAのエントロピーは”さがる”。同じくBもAと結合したことによりBのエントロピーは”さがる”。つまりある閉鎖系に限って見た場合、他の閉鎖系と結合などをすればAのエントロピーは下げることができる。ここで、A,Bのエレベータが所属するエレベータホール全体の閉鎖系を考えてみる。エレベータホールを1つの閉鎖系とした場合、A,Bの合計のエントロピーは変わっておらず、しかもAの扉を破壊するという行動分のエントロピーが増大してしまう。つまり地球で生活する人類にとって所属する一番大きな閉鎖系、つまり地球全体の閉鎖系でのエントロピーを考えなければならない。

いろいろな”エコ”活動と呼ばれる事例をいくつか考えてみる。

■再生紙を使うという行動

最近、名刺を頂くと”再生紙使用”と書いてあることが多い。書類をもらっても少し黄色みが掛かった再生用紙であることも多くなってきた。私はこの再生紙は懐疑的である。

行動1:木材から新しく紙を作る行動
行動2:使い古しの紙やゴミから再度溶かして再生紙を作る行動

再生紙と聞くと”エコ”のイメージがあるが、(おそらく)一度使った資源を再度加熱処理して紙を作る行動2の方がエントロピーは増大してしまう。永久的に回り続けるエンジン(永久機関)が存在しないように、リサイクルはそこにかかる手間が余計に掛かり地球全体としてはエントロピーが増大している。つまり、再生紙ではなく、植樹をして新しい紙を使う、ペーパーレスにするなどの対策を考えた方が良いが、ここでも本来地球は環境に合わせて勝手に植物は繁栄するのに対し、人間が植樹するというのはエントロピーが増大してしまう。またペーパーレスの為にパソコンを多く使えば、パソコンを作るエントロピー、電気を作るエントロピーがそれぞれ増大する。そうやって、自分が再生紙を使うという行動をもっと広い閉鎖系に拡大して考えていくと、局所的な”エコ”と呼ばれる活動は格好付けているだけで、地球全体で見れば余計にエントロピーが増大してしまうことが多い。つまり”せこい”環境活動は危険なのである。このエントリーで最も述べたい事がこの視点であり、世の中に環境意識が高まってくるのは大変喜ばしいことであるが、”せこい”環境活動が多く、またそれをあたかも地球に優しいように報道しているマスコミに違和感を覚え、この内容を書くことにした。

■ハイブリッドカーに乗るという行動

今大人気で、世界を日本が牽引している分野であるが、これも盲目的に環境に良いかはちゃんと考えてみる必要がある。ハイブリッドカーなどは、一般にガソリン自動車などよりも割高である。材料費・作業代などに比例して車の値段が決まると仮定すると(普通はブランディングが働くのでこれは成立しないだろうが)、つまりガソリン自動車よりも”手間”が掛かっているといえる。つまり自動車製造に関しては、ガソリン車よりハイブリッドカーの方がエントロピーは増大している。その製造過程におけるエントロピーの差を、実際の走行で逆転しなくてはならない。つまりあまり短い間で車を買い換えるのは全く環境によろしくない。また、ガソリン車でもハイブリッドカーでも車の廃車にはまたエントロピーが掛かる。その為、1度作ってしまった車はできるだけ長く乗った方が良いと思われる。ここで電気自動車との比較であるが、電気自動車は電気を発電するのにエントロピーが増大する。その電気を搭載バッテリーに充電するという点でまた増大する。こう考えると電気自動車よりは、ブレーキなどの制動力で発電するハイブリッドカーの方が良いのではないかと思う(実際にはわからないが)。もっとも、車を買わないのが最良であることは言うまでもない。しかし買わなくても売れ残ってそのまま廃棄は最も無駄である。こんな感じでトレースして考えていく癖をつけ、地球全体としてエントロピーが増大しているかを考えながら行動しなければならない。

■部屋を出るときに待機電流を抑えるために電化製品のコンセントを抜くという行動

もうお分かりだと思うが、この行動は完璧に”良い”行動である。待機電流が流れる状態と流れない状態では明らかにエントロピーの増大は流れない方が少ない。こういうエコ行動は、人類が率先して行う行動である。しかし問題もある。そのコンセントを抜くという作業が抜かないで行くよりもエントロピーが増大してしまう。つまりダイナミックに、エレガントに、オーバーアクションでコンセントを抜くのは避けていただきたい。

ここでは3例のエコ行動を取り上げた。これらの例で分かるように、エコ行動と呼ばれる行動が地球全体で見たら、実はやらない方がエントロピーの増大は抑えられる可能性がある。先に述べたように、何もしないで寝ていることが最もエントロピーを増大しない究極の方法である。ハイブリッドカーや再生紙が悪いと言っているわけではない。エコ行動を皆さんが行うときに、その場の狭い閉鎖系だけで考えずに、これを作るためには、後ろで何が動いていると想像力を働かせ、地球スケールで素敵なエコ行動をして欲しいと言っているのである。

地球全体という閉鎖系は、人類が努力してエントロピーの増大量を抑えられるとしても、増大しているという状況は変わらない。地球のエントロピーを下げるには地球よりももっと大きな閉鎖系、つまり宇宙に視点を広げなければならない。しかし、近くに熱などを交換できる星はない。つまり太陽が超新星またはその前の巨大化により地球が吸い込まれるその瞬間まで地球の閉鎖系におけるエントロピーは増大を続ける。増大を続けるこの地球において、人類がどこまで生き延びられるかの我慢比べである。今後エントロピーの増大によって、温暖化、洪水、地震、台風など環境は益々悪化する。それを我々子孫にはがんばって耐えてもらわなければならない。いつか人類が死滅するその日を少しでも延ばせるように、”地球スケールでエントロピーが少しづつ増大するスマートな行動”をして、次の世代に地球を託していきたいとおもう。地球が飲み込まれるのは約50億年後(?)と言われている。1億年後には人類は生きていないであろう。その時は次の知的生物が、その時のエントロピーの環境でも生きられる仕組みで生活をしているかもしれない。ある生物が生まれた時の環境から、増え続けるエントロピーにより環境が変わり、環境に適応できなくなったらその生物は死滅する。それだけの極めて宇宙からみたら些細なことなのであるが、その些細な中に誕生があり、飲み会があり、結婚式があり、葬式がある。体感として最近の地球環境はおかしいという気持ちが蔓延した今、人類全体でスマートな行動ができることを祈ってやまない。

一方で、スペースコロニーや他の惑星への移動という地球の閉鎖系から外れた行動をするのは1つの手段として残されている。スプートニクとそのロケットの成功は、初めて地球の閉鎖系から人類(人工物)が閉鎖系を飛び出した瞬間である。奇跡の環境である地球から生まれた生物が宇宙で生きられるかはわからない。エントロピー増大による環境悪化で人類は滅びてしまうのか、それともその何人かでも、まさにノアの箱船とも言える宇宙線で他の星に移住できるのか、その結論までは、とにかくエントロピーを増大させないような我慢の行動である。

閉鎖系での地球環境(温暖化)の考え方」への12件のフィードバック

  1. この間この話をした後に、ふと気になったことがあるんですが、
    光合成や動植物が化石燃料になっていく過程は、現在地球温暖化の
    要因の1つと言われている二酸化炭素(炭素)の固定化させる、
    すなわち炭素のエントロピー(ここではばらつきのこと)を
    下げる過程なんですよね(もちろん熱的には結合エネルギーの
    解放によりエントロピー増大側なのですが)。
    現代に生きる僕らは、何をしても地球の力によって固定化された
    炭素を地球上にばらまいてしまい、それらが地球の熱エネルギーを
    長期間に渡って蓄積していきます。人が解放したエネルギーが
    地球温暖化の主要因であれば本当にどうにもならないです。
    ただ、主要因が二酸化炭素であるとするなら、
    「炭素を固定化する活動によって固定化された炭素量が、活動の
    結果炭素をばらまく炭素量より少ない」という条件を満たす
    ような活動をすることで、改善の可能性はあると思います。
    まだ全然検討は足りませんが(笑)。

  2. kentaroくん>

    コメントありがとうございます。二酸化炭素を閉じこめることが、人類の活動の増加以下でできれば、産業革命以後の化石燃料の掘り起こし前の状態まで回復できる可能性がありますが、やはり大気全体に広まっている二酸化炭素を最小限の行動でも固めることは難しい気がします。同じく検討しているわけではありませんが・・。また、化石燃料と二酸化炭素の変換サイクルを考えたときに、放出した二酸化炭素が高いエネルギーである化石燃料に戻してロスがでないというのは難しいですよね。

  3. 日々、テレビで耳にする温暖化現象についての伝達の仕方には随分根本的ズレが多いことや、伝える側の知識不足から視聴者に伝わりづらい点があったことは、常々あなたと語る機会がありました。

    でもこうしてまとめてもらえることで、少しでも「事実に近い」情報が発信されて嬉しい。

    私が今お腹の中で育んでいる命が、以上の事実をどう担っていくかと思うと胸の潰される想いだけど、それを乗越えられる生物の普遍のルーティンを思えば、そう不安に思うことではないのかもしれない、と前向きに今は考えています。
    まずは、出来ることから、少しずつ…(^^)

  4. *miho*さん

    いよいよ生まれるかな?
    生まれてくるお子様は、本当に大変な環境になるけど、今の環境で生まれた子供だから我々よりも強いかもしれないね。綺麗な地球を少しでも綺麗のまま渡せるようにしたいですな。

  5. 以前に環境問題に熱いときがあって、でも、何をしても、どうにもならん・・と思って諦めて、今に至っています。私たちが死んだ後の地球環境はいまより確実に悪くなっていますよね。今どんなに頑張っても。無駄。画期的な定理とか、理論を思いついてくれる人、つまり、救世主がでてくるのを祈るのみです。 それまでは、オーバーアクションじゃなくてコンセントを抜いてみます。やっぱり。

  6. 少なくとも世界レベルでの協力が不可欠と思いますが、こんなにピンチな状態にもかかわらずドンパチやっていますので、なかなか厳しい状態です。とはいっても、野放しにはできません。努力して我慢しなければ、子孫達が本当に水も飲めず、外も歩けない星になってしまうので、がんばらないといけないですね。

  7. 日記楽しく見させていただいています。
    Naokiさんの様な聡明な人ばかりであれば、地球への負担は軽くなるのに・・・と思っています。

    二酸化炭素の固定化が地球温暖化を防ぐという前提が正しいとすればで、如何に早いタイミングで、効率良く固定化するかという事が重要になってきてますね。(大気中の二酸化炭素が更に二酸化炭素を増やすというデーターが最近集積されつつありますから、スピードが本当に重要ですね。)

    何れにせよ常に地球に投入されつづけている太陽エネルギーを、LCAをしっかりやって、炭素固定化に利用するのは一つの方法かもしれません。

    京都議定書の遵守も、①もともとの目標値が低くほとんど何もやっていない国々から排出権を購入する、②ルールを変更する、③Give Upするの3種類しか日本にはなくなりつつあります。 このどれも炭素固定化には全く貢献しないものですよね・・・・・・

    今後も応援しています。

  8. てつさん>

    コメントありがとうございます!
    私の知人の中では、てつさんご夫婦がもっとも環境に対して真摯に考え行動されております。未来の子供達に渡していく地球ですから、マジメに考えていきたいですね。
    専門家のてつさんに質問なのですが、二酸化炭素の固定化という技術は、本当に可能なのでしょうか?固定化という活動で多くの熱エネルギーが必要になると考えていますので、熱を発生(化石燃料を使う)して二酸化炭素の固定化が本当にできるのかとても注目しているところです。人類の命題はまさにココでですよね。

  9. お久しぶりです。たま~にのぞきます。7号館の前の部屋に出入りしてますので、お会いすることもあろうかと存じます。
    指摘の事項はまさしくその通りだとは思うのですが、
    ここでいう地球系の状態を示す量は本当にエントロピーなのでしょうか?
    統計力学のイメージで言えば、エントロピーの増大はエネルギーの空間的均一化ですから、ひどい嵐や寒波のようなダイナミックな気候現象は、それとは逆にエネルギーの局在化を表徴しているように思えます。
    また、炭素固定についても、二酸化炭素が多いとされる原始地球の大気より数十億年かけてさまざまな形態により炭素が固着されてきたということを考えれば、地球誕生以来、熱力学の法則に逆らって地球のエントロピーは減少し続けたことになるのではないのでしょうか?
    私の印象では、エントロピーとは系の時間発展を示す量に過ぎず、それ自身に何らかの価値的意義を見るのはいささかの飛躍があるように思います。
    とはいえ、人間にとっての環境のパラメータ的なものを考えることは無意味ではないと思います。ただ、それは従来の自然科学の言葉で記述することは不可能であると考えます。なぜなら、人類の存亡は自然科学にとって本質的に無関係であり、そういう点こそが、未曾有の発展と災厄をもたらした20世紀の限界だったのではないかと思います。科学もようやくポストモダンという問題に取り組む必要があるのではないでしょうか。私は、最初に必要なのは当為の学としての倫理学だと思います。

  10. ODAくん>

    おお、ひさしぶり!今年D3だよね?がんばってくださいな。

    エントロピーはおっしゃるとおり地球系の状態量として表現するのに適切かどうかは一考するひつようがあります。熱量や温度などに比べ人間の体感として認識することも困難であることと、所詮は熱力学第2からくるものであるし。
    しかし、このところの温暖化というよりも、カトリーナや地震などいろいろな現象が”極端”な気がするんですよね。その極端さの根底がエントロピーではないかと考えています。
    確かに化石化前の状態から考えた場合を考えると全CO2量というのは、今がピークではないのかもしれません。一方で考える必要があるのは、地球の時間スケールに対して人類の時間が短すぎることですね。時間が掛かって化石化したというタイムスケールと産業革命以降の放出のタイムスケールは差がありすぎ、この状態のままでは明らかに人類にとって生活ができない環境になるかと思います。
    おっしゃる倫理観に関してはかなり共感しています。その倫理観の波及と経済原理の欲求がどちらが速いかの勝負ですね。

  11.  返信遅くなりごめんなさい。
    二酸化炭素の固定化について、いろいろな方法が研究されていますが、今すぐ広範囲で実施できるのは、ローテク且つありふれた方法ですが、(やはり)植物による光合成だと思います。
     光合成の簡易式は、3CO2 + 3H2O → 3CH2O + 3O2で代表され、固定化量の計算は、植物の乾物量に炭素比率をかけて概算するのが一般的です。(仕事でここら辺の計算をやっているので、あまり詳細・定量的に書けなくてごめんなさい。)
     例としては、海表面での藻の栽培や、サバンナ/セラード地帯(高温・少雨の低草や潅木地)での植林・サトウキビ栽培等があります。植物は時間が経てば、一旦は固定化された炭素が土壌などで分解され、その大部分が大気にもどるのですが、速度差(炭素吸収と炭素放出)があるので固定化できると考えるのが通常です。
     固定化を進める一方で、排出を減らす行動も急務となっています。特に米国・中国、その次にロシア・インドあたりが今まで以上の真剣さで取り組まないと・・・と言われていますよね。
     取り組む項目はいろいろあると思いますが、個人的には、環境省・経済産業省・新日本製鐵のホームページの関連部分が勉強になると思っています。
     さて、それではわたし個人が何をやっているのかと聞かれるとつらいのですが・・・・・・・・・微力ですが、身の回りのエコライフを考え、車の所有を止め、Public Transportationを使う事に決めました!車はWorst Invesmentとも言われますし、経済的にも助かっています。(そっちが理由が大きかったりして。)
    また、いろいろ教えてくださいね。

  12. てつさん>

    コメントに気がつきませんでした!失礼しました。
    やはり植物の光合成は自然の力ですから最後の砦ですね!(笑)
    ところで、地球環境のために車を所有しないのは素敵なことだと思います。私は機械工学出身なので車というシステムには興味がありますが、同じ理由で車は買えない(お金もないが)気がします。

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