CEATEC 2006に行って来た

幕張メッセで3日間行われているCEATEC 2006に行って来た.ファッション系なら東京ガールズコレクション,カメラならフォトキナ(日本じゃないけど・・),車なら東京モーターショー,漫画(アニメ?)ならコミケと同じ感じで,家電,IT,情報通信に関する日本最大の展示会と言えばCEATECである.CEATEC初日の10/02に早速情報収集を兼ねて幕張まで行って来た.今回のエントリーでは見てきた新規技術の一部の紹介と個人的見解を述べる.興味のない方には極めて退屈な内容である.

内容に入る前に,CEATECに行った感想として,コンパクトディジタルカメラは必須であることを再認識した(持っていない).今やCEATECはメーカーのクリスマス商戦を控えたモーレツな宣伝場所であり,新製品のプレゼンには綺麗な女性達がついている.もちろん私は興味がないのだが,その人たちの写真を撮りに来ているカメラ小僧が多い.つまり調査,情報収集の為にディジタル一眼レフを持っていったのだが,外見明らかに連中と同じに見えてしまう(笑)内心一緒にしないでと思っていたが,昨日ほどコンパクトディジカメで目立たない努力が必要と思ったことはない.

さて,今回の収集目的はいろいろあるが,とりあえず思いつくものだけ列挙する.

Full HD TV(Full High Definition TV: いわゆるフルスペックハイヴィジョンテレビ)の新製品情報と画質の比較

・HDビデオカメラ(いわゆるハイヴィジョンカメラ)の各社方向性
 ハイヴィジョンビデオカメラを購入しようかなと思っていて(もちろん風景撮り),今規格で揺れているカメラをしっかりと見極めエンジニアに質問する.

Blu-ray, HD DVDの動向

・新規デバイス,素材,素子などの調査

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CEATEC 2006 入り口

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まず,このCEATECにあわせて参考出品されたPanasonicのAVCHDのハイヴィジョンビデオカメラ.正直言うとこの製品を見るためにCEATECに来たようなものだったりする.AVCHDは,5月にSony, Panasonicで提唱されたハイヴィジョン撮影を可能にするビデオカメラ規格である.(AVCHDの例:普通のDVDディスクなどにMPEG2ではなくMPEG4 AVC/H.264で書き込み,8cmのDVDなどでもハイヴィジョン映像を30分程度撮影可能:参考:Sony Handycam – HDR-UX1 ).このAVCHDのカメラがソニーからHDR-UX1, HDR-SR1と発売されているが,PanasonicがSD(SDHC)カードにAVCHDで書き込むビデオカメラを発表した.先のPanasonicの発表では,ビットレートが9Mbpsという悲しいスペックだったのでもっと上げられないか質問したところ,13Mbps程度でも撮影可能らしいとのこと.また,11月にでるBlu-ray DIGAでの再生はもちろん問題ないという話だった.とりあえず,ハイヴィジョンカメラ購入を考えている私としては,Panasonicの製品,仕様を確認できたのは大きかった.後述するSony製品,Canon製品と比較して個人的な見解を後に述べたい.

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11月に発売されるPanasonicのBlu-ray DIGAの展示はもちろんおこなっていた.この写真は,Blu-ray Videoを再生させている状態である.言うまでもなくとても綺麗な映像だった.エンジニアさんの顔は晴れ渡っていて,死ぬほど頑張った感じが伝わってきた.確かにテレビがこれだけ発展し,全ての番組がハイヴィジョン放送で始まっている現状を考えると少し遅れた感じもするが,素晴らしい製品を作ったと思う.まだまだ安価とは言えないが,この機種から始まって低価格化も進んでいくと思う.分野は違うが同じエンジニア(端くれ)として死ぬほど苦労したことが目に見えてわかるので賞賛すべき製品だと思う.
ここのエンジニアさんには,先ほどのAVCHD規格のビデオカメラで撮ったSDカードの再生を念のため確認したがもちろん問題ないということだった.しかし気になるのは,AVCHDはMPEG4であり,Blu-rayにコピーする際劣化なくコピーできるのか質問するのを忘れてしまった.Blu-rayは,採用コーデックにMPEG4 H.264 AVCをサポートしているが,今回のDIGAはMPEG2での記録であるため,AVCHD > Blu-rayの過程でMPEG4のデコード,MPEG2のエンコードが行われるのではないかと思っていたが,質問を忘れた.また別途質問してみようと思う.
更に,他社ではあるがSony製のビデオカメラで実現している普通のDVDディスクにAVCHDで書き込んだメディアを再生できるか?という質問に,ソニーが素直なAVCHDで書き込んでいれば再生できるとのこと.ここは会社がまたがるので難しい問題であるが,何とか再生を実現してほしい.SDカードが対応しているのでAVCHDのデコードエンジンは搭載されているため,要するに再生できるように作り込むかだけの問題である.

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PlayStation3

PS3も数多く展示してあった.60GBytesの上位モデルの値段はやはり不明で気になるところだが今回もわからなかった.PS3の周りにエンジニアがおらず質問できなかった.私としては,SACD(Super Audio CD)の対応を表明しているPS3だが,どうやってSACDのデータをAVアンプなどに転送するのかを聞きたかった.光ディジタルで転送されても,AVアンプ側がほぼ対応できないし,HDMIにでも載せるのだろうか.このあたりを質問したかったのだがエンジニアが見つからなかった.

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PlayStation3でSonyのハイヴィジョンビデオカメラUX1, SR1より作成されたAVCHD on DVDの再生デモ.かなり綺麗でした.一般家庭でこのクオリティで映像が残せるのはすごい時代になったと思う.お子さまなどが生まれる,生まれたなどの人は是非このクオリティでお子さまの成長を残してあげて欲しい.その頃は,結婚式で定番の成長スライドショーに使うプロジェクターもハイヴィジョン対応になっているから,あと20年もすれば極めて美しいの成長過程映像が結婚式で流れることになるだろう.

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Sharpのブース.もちろん主力製品のAquosをメインに押し出していた.Panasonic VIERA, Sony Braviaなど,各社素敵なハイヴィジョンテレビを出しているが,やはり”個人的に”Aquosより綺麗なテレビは現時点ではないと思った(再認識).第2亀山工場の説明など全く玄人好みのコーナーもあったがその品質管理の徹底さがすばらしかった.さすが99.999%を越えるノードット抜け精度を保っていることだけはある.ほとんど芸術的な技術だと思った.ちなみに下の写真は,Sharp製のBlu-rayドライブの試作品である.まだ発売には時間がかかるようだ.

10/1に発売した最新のAquosでも搭載されなかった以下の項目を再度エンジニアにお願いしてきた.やはり以前お願いメールを送ったが実現しなかったようだ.

・HDMI経由で入った5.1chをAquosからの光ディジタルにスルーさせる
・HDMI x3以上ほしい
・DVI端子でのフル解像度サポート(現在は最大1280×1024)

特に3番目は重要である.なんでDVI端子をもっているのにフル解像度に対応していないのかは少し理解できない.私のMac MiniはHDTV対応のVideo Chipを積んでいるのでフルスペックの解像度でMac OS, Windowsが動作する.今はDVI -> HDMI変換ケーブルを使っているが,DVIで繋げればHDMIを消費しなくて良い.私のAQUOSは旧モデルのためHDMIが1つしか付いていないため,現在DVDプレーヤのHDMIとMac miniからのHDMIを抜き差ししているという悲しい状況である.そういうのもあってHDMI端子はたくさん欲しいのが2番目の要求であった.

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HD DVDのブースでは,Xbox360に増設できるHD DVDプレーヤーが展示されていた.2万円程度で11月下旬発売とのこと.Xbox360を持っている私としては購入するか悩ましいところだが・・・

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Apollo 13(HD DVD)を見た瞬間,HD DVDプレーヤは必要だと認識した(笑)

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うちの研究所も研究成果を発表していた.

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新規デバイスなどはいろいろ面白いものがあったのだが写真はあまり撮ってこなかった.これは,ニオブコンデンサというものらしい.タンタルコンデンサに特性が近い新しいコンデンサとのこと.宇宙では一般的にアルミ電解は利用できず,タンタルか振動耐性のあるセラミックを利用することが多いのであるがこういう新素材はいつでもアンテナを張って調べていきたいと思っている.

 さて,後述するといっていたハイヴィジョンカメラの見解として,私としてはSonyのHDR-SR1が現状としては良いのかなと思っている.まず,HDV規格のSony HC3, Canon HV10は,テープの値段も安く,録画時間も長く,随分規格としてこなれてきてはいるが,いかんせん横が1440pxというのが何とも腑に落ちない(実際に見ると分かるほど画質は酷くないが・・).Canon好きとしてはHV10は魅力的な製品だが,縦型のカメラが苦手であること,HDMIが付いていないことなど次の製品に期待といった感じである.これによりAVCHD規格ということになるが,Panasonicの今回見てきた製品を冷静に考えてみると4GBytesで2万円以上するSDカードを何枚も買うことになるのは相当痛手ではないかと思う.旅行に行ったときに1日1~2時間程度撮影するとしてSDカードを4,5枚用意する必要があり,毎日ホテルに帰ったときにノートパソコンにコピーするわけだが,ノートパソコンのHDDにも限界がありちょっと現実的ではない気がする.20枚程度買えば,それだけで40万円程度になので,やはりSDカードのビデオカメラは現実的ではない気がする.
 そうなるとSonyのUX1かSR1になるのであるが,UX1は高価なDVD+DL(8cm)でやっと30分程度の撮影では同様に旅行に行ったときにコストが掛かり過ぎ,更にメディアの交換を何度も行わなければならず大変な気がする.そこでSR1という結論に達したのだが,SR1は40GbytesのHDD搭載であるので,ハイヴィジョンクオリティで4時間程度撮影できる.旅行の際,1日で4時間は撮らないだろうから十分な気がする.ホテルに帰ったら超安価な12cmDVDにムーブすればパソコンのHDDは圧縮されずに済むし,HDVテープのようにかさばらない.更に12cmDVDなら現地でもかなりの確率で購入できる.Sonyエンジニアの話だと編集なしでカメラからパソコンは10倍速程度でムーブでき,パソコンからAVCHD(DVD)のムーブも等倍程度(より少し早い程度)で行えるらしい.これなら仮に4時間たっぷり撮影したとしても,夜寝ている間にムーブしておけば次の日に備えることができる.いろいろな口コミから,AVCHDベースの編集はとても時間が掛かるということだが,それはとりあえずおいておいて,無編集の場合のムーブが等倍程度におこなえるのであれば十分に現実的な気がする.こんな理由から現状ハイビジョンビデオカメラといえばSR1であるという見解にいたった.しかし,決して安いカメラではないのでとてもすんなり購入はできない・・.

 以上まではCEATECの新製品群の話であり言ってみればミーハーな内容であるが,ある研究所の研究成果を見たときに度肝を抜かれた.敢えて公開しないが,とてもすばらしい内容でほとんど人は素通りしていたが極めてすばらしい技術を持っていた.きっと近年中に誰もが知る技術になると思う.こういう素晴らしい想像力を備えた新しい研究はやはり重要だと思う.ハイヴィジョンビデオなりBlu-rayなり,あと1,2年もすればどこのメーカーでも作ることができるようになり,売り上げの共食いが始まる.同じ分野で体力勝負するより,ここで見た全く新しい分野に目を向ける視点はやはり重要だ.日本の情けない経営戦略で技術がどんどん流出する現状を考えれば,体力勝負をこれ以上続けるのですか?と再度問いたい.やはり研究所をメーカーは再度復活させ自由に新しい発想をさせる場,機会を設けるべきではないだろうか.リソース(資源)のない国で体力勝負の物作り,また金融資本主義経済では絶対にやばい.

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