夜景写真を撮ることはとても難しい.私はそのほとんどが失敗に終わるのだが,やはりある程度撮り方はあるようだ.全くもって基本的なことではあるが,夜景と撮るアプローチを少し紹介したい.
夜景写真のポイントはいろいろあるが,一番写真に影響するのは2点である.その2点を中心に紹介する.
[1]手ぶれを起こさない
[2]ガラスの反射を写さない
[1]手ぶれを起こささない:全く当たり前の事だが,写真(露出)は,フィルムまたはイメージセンサー(CCD/CMOS)の感度(ISO)と,レンズの絞り,シャッター速度の3つの要素できまる.夜景は昼間に比べて多くの光を集めるのに時間がかかるので,シャッター速度はどうしても長くなる.そのため,[1.a]より短いシャッター時間で光を集めるか,[1.b]長いシャッター時間の間カメラを絶対に動かさない努力をしなければならない.
[1.a] 短いシャッターで写真を撮るためには,[1.a.1]明るいレンズを使う,[1.a.2]感度の高いカメラ(ディジタルカメラ) or フィルム(フィルムカメラ)を利用する.
[1.a.1] 明るいレンズであるがこれはいろいろな事情で難しい.コンパクトのディジタルカメラなどはレンズを選べないし,最近のカメラ事情でレンズを気にして買っている人はあまりいないのではないだろうか?また仮にレンズ交換式カメラであっても,実際には深い被写界深度を得るために絞り込むので,この明るいレンズ条件というのは,シャッター速度改善にはあまり寄与しない.
[1.a.2] 感度の高いカメラ or フィルムを利用する:これはかなり有効である.ディジタルカメラでいうISOという感度を上げればそれだけシャッター速度を短くすることができ,短い時間で写真を撮れる.しかしここには問題がある.感度の高いディジタルカメラも,フィルムも共通でノイズが多い.特に暗闇(暗部)の高感度ノイズは極めて汚いので,むしろ夜景には低感度モードで撮影したい.ちなみに宮下は,ISO100で撮っている.
[1.b] 撮影中に絶対にカメラを動かさない努力.[1.a]でも述べたように明るいレンズでも絞って使うし,ノイズを減らすために低感度で撮るので,やはり夜景にはカメラを動かさない努力がとても重要である.[1.b.1] 三脚を使わない場合と[1.b.2]三脚を使う場合がある.
[1.b.1] 撮影中に手ぶれを起こさせないためには三脚を使うのが良いに決まっている.しかし,三脚をいつも持ち歩いているわけにもいかない.
[コンパクトディジタルカメラの場合]
カメラを持たずに適当な台にでも置いてセルフタイマーで撮る.ど基礎ではあるが,もし手持ちで気合いで撮っている人がいたら是非試してほしい.セルフタイマーを使うのも重要で,シャッターボタンを押した瞬間のブレを防ぐためである.ここでマニュアルモードがあるカメラなら,ノーフラッシュで,低感度(ISOを一番下げる)状態で撮ると最も高画質が狙える.
[1.b.2] 三脚を使う場合:できるだけ大きくて重い方がよりブレないが,展望台で三脚を広げるのは,”最初”恥ずかしい.
[2]ガラスの反射を写さない
夜景を撮る機会は,高いビルなどの展望台が多いのではないだろうか.東京にある数ある展望台でガラスを通さず夜景を撮れるところは極めて少ない(少なくとも私は知らない).そうなると,照明のある展望台からガラスを通して夜景を撮らなければならない.照明はガラスに展望台室内を映りこませるので,それが写真に写ってしまう.これは夜景撮影にとっての天敵である.
[2.1] 偏向フィルター(PLフィルター)を使う
偏向フィルターによりある方向の映りこみを防ぐことができるが,様々な照明が多い展望台において,偏向フィルターでは完全に反射を防ぐことができない.
[2.2] 反射防止布を使う
積極的な反射の解決として,レンズとガラスの間を布でふさぎ,外光を防いでしまえば良い.そこで自作で反射防止布を作る.
このような光を通さない布を買ってくる.
布の真ん中に穴を開け,ひもをその周りの通す.このひもを縛ることで穴径を調整し,レンズの胴体に縛りつける.また,布のサイドに吸盤(100円ショップで購入)を縫いつける.これで,レンズから窓まで外光を防ぐことがことができる.
反射防止布をつける前.
反射防止布をつけた状態.この布をつけて夜景と撮るのは,”最初”勇気がいるが,もうここまで来たら完全装備でやってしまったほうが中途半端よりもよっぽど良い(?).
こんな感じで,レンズ周りもしっかりと縛って外光が入り込まないようにする.
では,夜景の撮り方をまとめる.
1. 撮影場所を選ぶ:オススメは浜松町の世界貿易センタービルディング (平日).人が居ないので3時間は余裕で居座れる.東京タワーと六本木ヒルズが同じ方向に見える数少ないスポット.
2. 三脚をしっかりとたてる
3. フィルム・イメージセンサーの感度を下げる:ノイズ対策のため三脚がある場合は,シャッター時間が長くなくても低感度で挑む
4. 絞りを最高画が得られるように適度に絞り込む.大判カメラは,アオリを使って被写界面をコントロールする
5. 反射防止布を使って,外光を防ぐ.
6. レリーズまたは,セルフタイマーを使ってシャッター押し時のブレを防ぐ
7. 撮影
これで夜景はある程度撮れる.これ以上の高画質を得るためには,まずその日の気候を考えなければならない.晴れすぎていても微妙で,足繁く通うしかない.世界貿易センタービルディングなら,電話をすれば展望台のおじさんがその日の空のヌケを教えてくれる.行く前にチェックするのも良いと思う.
当たり前だが,この撮影方法はデート中には使えないと思うので注意が必要だ.断然一人の撮影をオススメする.私が撮影していると,後ろを通るカップルにコソコソなにか言われているが,そんなもの”最初”しか気にならない(笑) とにかく中途半端にやらないことがポイント(?)である.
それと,”2人が写っていながら後ろの夜景が写るように撮ってください”とかいう,無理な注文を,一人で上記の方法を実践して撮っている人間に頼まないように.
っていうか、ちらっと写ってる直己サンちがステキですね~。
こんなコメントでほんとすみません。(>_<)
前にお話聞いてただけにますます...☆
himesama★さま>
コメントありがとうございます!
部屋の片隅しか写っていませんが,ありがとうございます(笑)
とりあえず部屋が白なので,埃が目立ちやすく,つい掃除をしたくなってしまう点は,良い点だと思っています.
おひさです~
私もカメラをいじってますが、撮る写真の系統が違うせいか、
私とは全然違う目線でカメラを見ているんですね。面白かったです。
Naokiさんは、被写界深度浅めの写真撮らないんですか?
私はF値 1.8を愛用してます。
soniaさん>
コメントありがとうございます.
風景写真が多いため,最高画質が得られるF5.6 – F8程度まで絞る事が多いですが,それは風景の時でしてポートレート,マクロなどでは開放付近で撮ることもありますね.
ただ,昔ほどは開放付近を使わなくなりました.というのは,レンズ仕様上開放側は画質が安定しにくいのと,ボケ味というのは大口径レンズが使えるレンズ交換式カメラの特徴ともいえるわけですが,本来写真という意味を考えたときに,その人の記憶,記録,思い出という観点で写真を再考しますと,背景もちゃんと写っていた方が良いのではないかというのが,この2,3年の感覚です.顔だけはっきり写っていて,背景がどこだかわからない写真ばかりで良いのかなという感覚です.
レンズ交換式カメラを始めた頃はいつも開放ばかりでボケを楽しんでいましたが,ariaちゃんのサイト(http://aria-paris.com/blog/)などをみると,お子さまの成長と,フランスで過ごした町並みも含めて,素敵な思い出の写真であると思っています.そういう意味で,大口径レンズであっても,絞り込んで使うことが多くなりました.