政府(文部科学省)の特別機関である地震調査研究推進本部は,南関東直下でM6.7-7.2の地震が30年以内に発生する確率70%,10年以内に発生する確率30%と発表している.
参考1:「全国を概観した地震動予測地図」報告書 平成17年3月23日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会
参考2:各地の分布は,独立行政法人防災科学技術研究所地震ハザードステーションがオススメ.
極めて不安定な地殻の上で生活している我々にとって地震は今まで何度も経験しており,その度に多くの人命が失われてきた.上の調査にもあるように,大地震が今日起こる可能性も十分にあり得る.そんな大きな地震を迎えたとき,我々はどうすれば良いのだろうか?
今,東京都世田谷区で1ルームのアパートに一人暮らしをしている.部屋にはテレビもないようなとてもシンプルな生活をしているが,変な物が置いてある.それは大量の水.実は地震対策のために,近くのドンキホーテで2リットル入りの水6本が入っている段ボール単位の水を3箱買って置いてあるのだ.Googleで,阪神・淡路大震災の被害に遭われた方の貴重な意見を調べてみると”とにかく水の確保”ということである.水はもちろん水分補給もそうであるが,トイレ,体を洗うにもとにかく水が必要とのこと.都市部において,トイレの水が流せないのは本当に大変ということ.その他にも,懐中電灯などの避難道具は一応購入してある.私がこのエントリーで述べたいことは,実はこのような細かい地震対策に関することではない.
たとえば阪神・淡路大震災の場合,死者・行方不明者あわせて6436名,負傷者43792名(Wikipedia)という大変厳しい震災となった.最近でも,新潟,パキスタンなど本当に大変な地震が続いている.上の統計や,このような厳しい震災を経て,”対策をしなかったから亡くなった”ということは今後極力なくさなければならない.それは,不幸にも地震において命を落とされた方に対して申し訳ないと思うからである.ある野生の鳥たちは地震を予見して逃げる行動をとったとかいう話を聞いたことがある.人類は,知性を持ったおかげてそのような野生の勘はほとんど使うことができない.そんな人類が野生の勘の代わりに得たものの1つが記憶であると思っている.野生の勘がないのなら,過去に人類が被った苦い記憶に対して,その記憶を頼りに同じ事を起こさないように少しでももがくのが人類としての行動である.大地震で被災に遭われた方たちは,現在,多くの情報をインターネットや書籍などに残している.それは人類としてみたときの人類共通の記憶であり,それを参考にしないのは生物として愚かすぎると考えている.対策をしたのにやはり亡くなってしまうことは当然あり得る.こんなエントリーを書いている私も,東京のあの深い地下鉄の中とかで地震が起きたらまず助からないだろう.この星の歴史から考えたら,対策をしないで地震で死んでも,対策をして地震で死んでも,対策をしないで長生きしても,対策をして長生きしても,正直誤差であって大して変わらない.しかしその大したことない1つの命に,家族があり,友達がいて幸せな生活があるのだ.宇宙から見たら本当に短くて小さな命のくせに,こんなに毎日イベントがあって楽しい.こんな宇宙くらい大きな生活に私は最高の価値を感じている.だから,人類として,過去の記憶・知識をフル稼働してスマートに生き抜くのだ.
このエントリーをご覧になった方.宮下よりもよっぽど対策を取られている方も多いかと思いますが,もしあんまり考えたことがなかった方がいましたら,地震に対して”考えて”ください.私は,研究室の一部の後輩にこの話をして,たとえば研究室で地震が起こったときにまず何をするかなどを想定し,ディスカッションを行いました.はっきりいって面白いと思います.上のような水を買うだけでは不十分です.そのような場合にどう行動するのかまで考えてください.
みなさん:とりあえず家と職場でおこった際に起こす行動を想定してみてください.阪神・淡路大震災では火災による二次災害で多くの人命が失われています.
ご家族の方:大切なご家族の生活を明日も楽しく生活するために,家,仕事先,学校など想定される場所で地震が起こったときに家族が再会できる方法(移動・場所・通信手段)などを調べ,家族でのルールについて今日決めてください.特に旦那様は,今の家庭生活を今後も続けていくために最高の想像力を働かせてください.
例)
・食料・水はコンビニで買えばいい→POSシステム(レジ)全盛のこの時代,停電があればレジが動きません.相当最悪環境にならない限り人間も理性が優先されますから,盗みを行うことは難しいかと思います.
・連絡は携帯電話を使えばいい→隅田川の花火で通じなくなるくらいのシステムです.停電であれば同じですが,171伝言ダイヤルなども一つの手段です.むしろ全く取れないときも想定しないといけないですね.距離が離れた親戚などと連携を取っておくのは非常に有効です.
研究室の後輩たちとの議論で面白かったのは,”仮に地震の揺れを回避できて怪我がなかったときに何をするか?”です.
地方出身者は,確かに実家に歩いてでも帰ってしまうという考えも出ました.しかし,”東京は復活させなければなりません”.そう考えたときに,東京に残って,動けるなら何か復興支援を行うなどの意見が出ていました.まず自分たちも含めた人命の確保は最優先として,その次に若い自分たちが動けることは何かを考えたときに,”道の確保”というのが出ました.これが正しい行動かわかりません.しかし,救急車,消防車をスマートに通すためには,近くの道が破壊されていないかなどをチェックしてみてはどうか?などが出ていました.この行動は防災に対しては不適切かもしれませんが,仮に問題ないとして,東京全域でとりあえず怪我がなかった人間が早急に道のチェックを行えれば素敵かなと.
とにかく個人,ご家族,友達,恋人,それぞれの単位で人類としてスマートに行動するために,一度考える時間を取ってみてはいかがでしょうか?厚かましいですが,良い行動など思いついたらみなさんのブログに書いて,TBでもコメントでも送ってください.そういう知識の繋がりも発展した人類の知恵でありスマートな行動です.
今回,ずっと昔から自分が持っている考え方を,1カテゴリーとして追加してあります.
”最低限,星レベルで考え,人類として行動する”
この詳細は後にちゃんと書きたいと思っていますが,このエントリーをこのカテゴリーの最初にしたいと思っています.
P.S. このエントリーに付随して一つ面白いエピソードがあります.
先日,家に帰るとなんと水が出ませんでした.水道代を払っていないのかな?と思っていたら,ポストに夜1時~6時まで断水とのこと.こまった.手も洗えないし,歯も磨けないし,もちろんシャワーも入れない.そこで,大量にかってある水を使ってみることにした.それが結構使うのが難しい.2リットルのペットボトルのフタをあけ,片手で傾けて(もちろんシンクの上で),もう片方の手をぬらす.石けんを使って両手をこすり,また片手でペットボトルを傾け手の石けんを洗い流す.石けんの付いた手でペットボトルを傾けるのでペットボトルに石けんが付く.石けんが付いたペットボトルを洗うためにまた水を使う.こんなことをやっていたら,笑い話だけど1リットル近く使ってしまった.ペットボトルは先につける蛇口とか,両手を放して傾けられる方法がないと,かなり水を無駄にしてしまう.そこで,シンクの上に上がって両膝でペットボトルを挟んでとか怪しい行動を考えたりしてみた(笑 怪しいが結構この問題は深刻だと思った.
2005/10/20追記:
dairaさんのDaira’s Blogで,有益な情報を見つけました.
内閣府の「表層地盤のゆれやすさ」マップと,その東京のマップ 東京・・・・ゆれまくりですね・・(苦笑
洗面器を使うという発想はなかったのでしょうか?
すすぎが完璧でないとイヤ?
おかやすさん>
お久しぶりです.洗面器はもちろん試しました.洗面器などのオケは必須ですね.
シリアスかつコミカルな内容で大変興味深く読みました。
我が家でも対策をしようしようと思いながら遅々として進んでいないのですが、これを読んで改めて用意しようという気になりました。
dairaさん>
TB,コメントありがとうございました.
自分が一番対策してねーんじゃねぇか?と自問自答しながら,自分自身再度考えるという意味で書こうと思いました.心配しすぎて無駄になることはありませんので,ご家族の確保を優先して,そしてその時,もう少し大きなコミュニティとしてどう早急に対応するのかなど,発展して考えていきたいですね!
最近も結構おおきめの地震が立て続けにありましたよね。
茨城県沖の震源地のものが。
ここまで読んでみてふと我に返ると
はっきりいって何の対策もしていないことに
ちょっと不安を感じ始めました。。
懐中電灯の所在を把握してるくらい・・。
でもまわりもそんな程度なんで
やっぱりどこか大地震てのは人ごとのように
思ってるのでしょうね。気分がひきしまりました。
ナマヲさん>
私も細かいところで目が行き届いていないことが多いです.定期的に気を引き締めて,普段の生活を楽しんでいきたいですね~