フィルムカメラの魅力

素敵な本を見つけた.

カメラマガジン―いいカメラは人生を楽しくする エイムック (1085)
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このディジタル全盛時代に,あえてフィルムカメラの解説と,そのカメラで撮った素敵な写真が満載の素敵な本.ライカハッセルブラッドニコンローライなど,おしゃれで古くてかっこいいカメラが満載です.さらに最新のフィルムのリストもあるので,フィルムはどれがいいんだろう・・っていう人にはとてもお勧めです.(それほどフィルム1本1本に詳しい解説があるわけではないけれど・・・)

先日行って来たドイツには,3台のカメラを持っていった.
・Canon EOS-1D Mark II : ディジタル一眼レフ
・Hasselblad 501C/M : 中判フィルム一眼レフ
・Leica M6 : 35mmフィルムレンジファインダー
そこにレンズ何本を持っていったから,重さでは20キロを超えている.
自己満足といわれればそれまでだが,どうしてもこの3台を持っていきたかった.

フィルムカメラの楽しみは,写真を介した”間”の楽しみだと思っている.”ある時,そこに居た”という情報だけを簡単に残すという目的だけの写真であれば,たぶんディジタルカメラ,さらにコンパクトディジタルカメラで十分だと思う.しかし私にとっての写真の楽しみはそれだけではなく,写真を撮ることの楽しみと写真を撮るという過程から生まれてくる”間”が何とも言えない快感なのだ.

たくさんあるフィルムを選んでいる”間”
フィルムをカメラに詰めている”間”
撮りたい場面を探している”間”:ディジタルと共通
構図を考えている”間”:レンズの特性を知れば,いかにボカすかなど楽しい
レンズを取り替えている”間”:レンズ交換式であれば共通
露出計を使って測光している”間”
レンズの絞り値とシャッタースピードを決めている”間”
フィルムは多くは取れないので,シャッターチャンスを集中して待つ”間”
撮り終わったフィルムを現像に出して,できあがってくるまでの”間”
現像したフィルムからプリントするまでの”間”

こう考えると,ただ場面を残すだけの写真から比べると随分時間は掛かる.
しかし,上の多くの”間”のうち特に露出計を使って絞りやシャッター速度をいじりながら集中して写真を撮る”間”と,フィルム現像ができあがってくる”間”が何とも表現できないほどの楽しみで快感なのだ.
時間が掛かる”間”を快感や楽しみと感じるには,その”間”の行為をするときに心の余裕が無ければ感じることができないと思っている.私にとって,この何でも駆け足の時代に”間”を楽しく感じるという行為はとても必要なのだ.人間的な柔らかさ,余裕,曖昧さなど,何とも言えない充実した時”間”なのである.

では,なぜディジタル一眼レフを使っているのか?私見であるが,私が使っているEOS-1Dシリーズは,現在ディジタル一眼レフの世界を牽引しているカメラである.このサイトに掲載されているほとんどの写真は事実,EOSで撮った写真が多い.はっきりいってほぼ完璧な優等生のカメラである.
・ディジタルである.
・雨に濡れても大丈夫(防水・防塵)
・東京海上の保険が掛かってる(笑
・1秒間に8.5枚写真が撮れる
・ISO1600という超高感度でも写真が撮れるため,暗闇でもフラッシュ無しで写真が撮れる
・ピントがミリ秒レベルで正確に合う

”ある時,そこに居た”という情報を残すことは私も大切に思っている.その写真の撮り方は正しいし私も例外ではない.だからEOSを使う.情報を残す事を手間なく完璧にこなせるカメラだ.私にとって携帯電話カメラや,コンパクトディジタルカメラでは中途半端なのだ.合理性を追求して”情報を残す”ことに注力するなら,中途半端な画質ではだめだ.完璧にその空間を残すことに集中するためには,コンパクトディジカメではどうも納得がいかない.そういう意味で,私にとってのディジタル一眼レフは,”間”を徹底的に追及しない写真の楽しみである.

私にとってフィルムカメラは”間”を楽しみにするものであるから,フィルムカメラにニコン,キヤノン,ミノルタで代表される日本メーカーは使いたくない.それらの最新機種は,ディジタルに置き換えられる前,フィルムを使ったカメラとして”間”を徹底的にそぎ落とすことを目的としたカメラだからである.ニコンのF6とニッコールレンズは,たぶんフィルムカメラの最高峰だと思う.フィルム入れも一瞬,撮るのも一瞬.しかし,そのスピード追求なら先述のディジタル一眼レフの方が追求しているのだ.だから私は,電池が要らない機械式で動くハッセルブラッド,ライカを使う.古いニコン,キヤノンを使っても良いのだけれど,外国車が載りたいというのと同じミーハーな気持ちからハッセルとライカを選んだ.

ハッセルとライカの個々の魅力は別の機会に書きたいと思うが,この2つのカメラに共通する点がある.

・外観がかなりかっこいい
・シャッター音が最高に気持ちがいい
・電池が要らず機械式
・かなり頑丈でほとんど壊れない
・50年前のカメラであっても,修理可能.オーバーホールすればずっと使える

つまり一生モノのカメラなのだ.今こんな物作りが存在するだろうか?
どの会社も同じモノを作る時代になっちゃったから,エンジニアは最新機能を他社に遅れずに追加することに頭が一杯になっている.また市場サイクルがどんどん短くなって,長く使える物は作ろうとしないし,消費者も求めていない.そんな時代だから一生使える物って本当に少ないと思う.

一生モノのフィルムカメラを買って,”間”を楽しむのはいかがですか?紹介した本などを立ち読みなどする機会があれば,是非ご覧になってくださいな.かっこいいフィルムカメラがたくさん載っています.

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Hasselblad 501C/M + Carl Zeiss Planar C T* 80mm f/2.8 + T-MAX400

*ハッセルブラッドは正方形写真が撮れることで有名です.

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Leica M6 + Carl Zeiss Biogon T* ZM 35mm f/2 + T-MAX400

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Leica M6 + Carl Zeiss Biogon T* ZM 35mm f/2 + T-MAX400

なんつーか・・もうちょっとここの写真が上手ければ上の文章に説得力があるのですが,要するに写真の出来じゃなくて,写真を撮る”間”を楽しんでいるってことです.

フィルムカメラの魅力」への2件のフィードバック

  1. 見る人にいろんな想像(妄想?)をさせてくれるなおきくんの写真、私はいつも絵本を読んでいるような感覚で見せてもらっています。なおきくんの、写真を通して伝えたい何かがちゃんと伝わってくるような気がします・・・

  2. shokoさん>

    どうもこんにちは^^)v
    光栄です.本当に上手い写真を撮りたいと願っていてまだまだなのですが,そういってもらえるとがんばる気になれますね.ビデオカメラと違って一瞬だけですから,その一瞬で場面を想像させるってとても素敵なことだと思っています.そんな写真が撮れるようにがんばりますー.

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