中国衛星破壊実験(ASAT)のデブリをGoogle Earthにマッピング

世界中で報道されているが、中国がASAT(Anti-SATellite Weapon)と呼ばれる対衛星破壊ミサイルの実験を告知なしに突然行い、中国が持つ古い衛星FENGYUN 1C (風雲1号C)を破壊した。この行為は宇宙に関わっている者として、極めて遺憾である。

FENGYUN 1Cの破壊により千を超える宇宙デブリ(宇宙空間のごみ)が発生した。地上からのレーダで確認できるだけでも700個を超え、レーダーに映らない小さなネジなどを含めると1000を超えるデブリをこの身勝手な実験でばら撒いてしまった。中国は、他国の軍事衛星などを打ち落とせるという政治的なカードとしてその技術力を誇示したかったのだろうか。このデブリは100年は地上に落ちてこない。つまり同じ軌道を飛んでいる他の人工衛星はもちろん、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の人命にまで危害を及ぼす可能性がある。これだけのデブリを回収することはほぼ技術的に不可能である。

どの程度散らばっているかを視覚的に示すために、Google Earth上にマッピングするシステムを開発した。Google Earthには、KMLというファイルを利用しさまざまな位置情報をマッピングできる。このシステムは、アクセスしたタイミングで現在のデブリと宇宙ステーション(ISS)、JAXAだいち(ALOS)の位置を計算しKML形式でリアルタイムで生成するシステムである。

googleearth_asat.jpg
FENGYUN 1C Debris of Chinese ASAT Test on Google Earth (Realtime KML) @ spacewalker.jp [Version 1.0]

Google Earthをインストール後、是非ご覧いただきたい。

また、このデブリに関しては、ごんざぶろうさんの風雲1号Cのデブリと「だいち」の軌道関係などに詳しく解説されているため、是非ご覧になっていただきたい。

中国衛星破壊実験(ASAT)のデブリをGoogle Earthにマッピング」への7件のフィードバック

  1. ごんざぶろうさん>

    トラックバックを送りっぱなしで失礼いたしました。
    KMLでは何秒間隔で自動リロード機能というのがありますので、Ver2.0でそのバージョンを公開する予定です。

    それにしてもデブリ数どんどんふえていますね・・。ISSよりもだいちのほうが軌道的にあぶないですね。

  2. こんな風にしていただけると素人にもわかりやすいです。
    こんなに~、100年!!!ってビックリでした。

  3. これは素晴らしい!
    イメージがとてもつかみやすいです。
    ありがとうございます。

  4. ふーさん>

    コメントありがとうございます。
    何せ急いで作った物ですのでいろいろ雑な点はありますが、全体的な分布傾向はつかめるのではないかと思います。

    金木犀さん>

    コメントありがとうございます。
    また定期的にヴァージョンアップすると思いますので、よろしくお願いします。

  5. このニュースには愕然とさせられた…。
    人命に関わるというのに、この身勝手はどうするつもりでしょう!!

  6. *miho*さん>

    そうなんですよ。宇宙関係の技術者ならどれだけ回収が難しいかわかるのですけどね・・。それを分かっていながらこの行動をもったことが政治の前に理解できません。

コメントは停止中です。