自分の仕事と人の命までの距離

このブログでも何度か紹介しているshumaくんのブログで衝撃的なエントリーがアップされた.

c0026186_21582629.jpg
怒りを抑え、目を逸らすな @ Shuma’s Blog “Salon des Cent”

写真はそのブログで紹介されていたものを引用させていただいた.
レバノンに侵攻しているイスラエル軍によって亡くなった生後10日の子供である.
是非,Shumaくんの記事を読んで頂きたい(上の写真をクリックすると飛ぶ)

この戦争に関しては知識の豊かなshumaくんのブログに譲るとして,今回は命繋がりで”自分の仕事と人々の命までの距離”について扱いたい.

先日プールの吸い込み穴のフタがはずれ小学生が吸い込まれ命を落とす事故が起きた.大変悲しい事故でありプール経営者,管理(運営)者,国(法の整備)など誰が悪いのか?という責任のなすりつけあいを行っている.ここで誰が悪かったのかを糾弾するつもりもないし権利もない.しかし失われた女の子の大切な命を本当に大切にするためにも,我々はこの事故に関してしっかり考えなければならないと思う.

プールの監視員(バイト?)は,外されたフタが何のフタか分からなかったらしい.仮に吸引口のフタだと分かったとしてもどのような行動をするかを教わっていなかったということである.この問題が発生した後,経済産業省の調査で全国約2000カ所を越えるプールで不備が見つかり対策を施すとのこと.これでプールの事故はしばらくなくなるだろう,そしてそれでめでたしで良いのだろうか?

私も含め自分のしている仕事がどのように人の生活,そして命に繋がるか,どのくらいの距離があるかをこの事故を通して考えてみなければならないと思う.プールの監視員は,ただのバイト感覚もしれないが,自分の判断の誤りで平気で人が死ぬという”人命に最も近い仕事”の1つだ.そういえばエレベータの整備士も,ガス機具のサービスマンも,飛行機の整備士も,普段事件なんて起こらない片田舎の少女の水没死事故を捜査する警察もみんな命にとても近いところで仕事をしている.ここまでは他人を批判じみて書いているが,私の宇宙開発の仕事もそうだ,設計が悪ければ人命を奪うこともあるし,技術転用されれば殺戮兵器になるかもしれない.

少なくともこういう悲しいニュースがあらゆる媒体で届くようになった時代に,”へぇ~”で終わらせてしまうのは理性や言語もって現象を記憶できる人類としては進歩がない.次は,ワンマン電車の自動扉の整備不良で人が挟まって亡くなる事件が起こるかもしれない.アルバイトに任せていた消毒の仕方が悪く集団食中毒が起こるかもしれない.トラブルが起こるとそれを防ぐ法律を作ることしか国なんてできない.その法律に従って作業マニュアルを作ることしか経営者にはできない.一個人が,最大限の想像力を働かせて人々の命までの距離を再認識し,アルバイト・社員なんて関係ないその仕事をするプロとして法律,マニュアルを越えた行動をしなければならないと思う.全業種において一人ずつ死人が出ないと対策講じられないのであれば,そんなものはシステム(コンピュータ)に任せれば実現可能であり,人類である価値がない.

同じように仕事だけではなく,地震が起きたときに何をするか,火事が起こったときに何をするか,起こってから行動しないようにあらゆる事に想像力を働かせて生きたいと思っている.

少し前におきた某議員が予算委員会で告発した偽メール問題のことをShuma君と話したことがある.某議員は「何で辞任する必要があるか分からない」という辞任を非常に躊躇していたことに対して,「辞任じゃなく,自殺だよな」というちょっと過激な話をしたことがある(決して脅迫の意味を込めているわけではない).彼は明らかに議員という地位を失わないように必死に辞任を拒んでいた.しかし,国会議員は国の舵取りである.彼の行動によって,国民を幸せにできるし,何万人という規模で飢え死にすることだって起こりうる.1億2000万人の舵取りをしている国会議員が,しかも予算委員会というとても大切な場で,与党議員を糾弾するために予算に関する追求という本来の野党の仕事をしなかったことは,命に値する愚かな行動であると過激にも思うわけである.彼は明らかに議員という仕事と人々の命までの距離を考えたことがないと思っている.少し過激な表現を用いてしまったが,今回の自民党総裁選挙の動きを見ても,次回首相も全く期待が持てないのは言うまでもない.国の動きは常に冷静に見続けるとして,我々一個人は,人類として知恵と想像力を持って行動したいものである.

最後に,最近はジャングルジムがない小学校が多いらしい.これは,ジャングルジムで落ちた小学生が亡くなったため,PTAが危ない遊具を撤廃すべきだという抗議を受け入れ使用停止になったり撤去されているらしい.この動きは良くないと思う.過保護は良くない.普段から地震なり,車が後ろから衝突してきたり,崖崩れなり,命を一瞬で奪ってしまうものはたくさんある.プールの吸引口は大人でも吸い込まれたら助かるかわからない.しかし,ジャングルジムなど運動能力・神経である程度解決できる問題は,ジャングルジムを撤廃するべきではなく,外でたくさん遊んで能力を向上させる方向に促すべきだと思う.

自分の仕事と人の命までの距離」への2件のフィードバック

  1. trackbackありがとうです。^^

    > 一個人が,最大限の想像力を働かせて人々の命までの距離を再認識し,アルバイト・社員なんて関係ないその仕事をするプロとして法律,マニュアルを越えた行動をしなければならないと思う.

    その通りですよね。仕事の意義・意味をしっかり捉えたいものです。ただ雇用形態の変化とか成果主義人事制度とか所得格差とか・・、いろんな要因がそれを難しくしているのも事実ですね。

    人々の命までの距離、という根源的な問いが通用する社会であってほしいと思っています。

  2. いろいろな状況により不透明になっているのはわかりますし,政治が遅いのもわかっているので,一個人として意識するしかないですね.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です