ドラえもん工学その2:(祝)過去の誕生日

9/3はドラえもんの”過去”の誕生日でした(まだ生まれていないので)。Googleのトップでもドラえもんバージョンになっていました。私が小さい頃にドラえもんが大好きだったこともあり、このブログでもドラえもんはよく取り出しています。今回は、過去の記事”ドラえもん工学”の続編を述べたいと思います。

ドラえもん工学”では、ドラえもんを具現化する為に必要な技術を洗い出し、何点かの”道具”を実現するための応用例を示しています。
また”どこでもドア”があるのに、なぜ”どこでも窓”があるかについても述べています。その理由は”メーカーが違うから”という仮定を導き出しているのですが、そのような内容に興味がありましたら過去の記事を参照頂ければと思います。

今回の記事では、過去の記事と多くの部分で同じ内容になるのですが、ドラえもん実現に向けて、必要な技術に対してもう少し考えて見ることにします。

ドラえもん具現化に向けた必要要素技術は
1)3次元原子レベルスキャナー(またはもっとミクロレベル)
2)原子レベル物質構成・生成機
3)原子レベルデータ送受信機
4)脳波(意志)読み取り技術およびデジタル化
5)脳(脳波)へ書き込み技術
6)タイムトラベル技術(未来行き)
7)タイムトラベル技術(過去行き)
*)および以上を超小型で実現する必要がある。

この技術があればドラえもんの道具のほとんどは実現化が可能です。

そういえば、先日ドラえもんを将来作りたいと言っていたベンチャー企業の社長に会いましたが、その方に”ドラえもんを実現するのに一番難しい点はどこですか?”という質問に、”ドラえもんを動かす人工知能”と言っていました。ドラえもんはロボットですので、歩行はもちろん、会話を行うなどの人工知能が必要です。しかしこの辺りの進歩は日進月歩でまもなく完成するでしょう。人工知能は、ドラえもんの具現化の上で、モーターなどのメカ部分の次に簡単な(見通しの立つ)技術と言えます。このブログでは、そういった現代のロボット工学の延長ではない、ドラえもんに必要な技術について扱ってゆきます。

1)3次元原子レベルスキャナー(またはもっとミクロレベル)
 ドラえもんの道具の実現に向けて大変重要な位置を占めている技術です。あらゆる物質の原子構造を3次元的にスキャンし、デジタルデータ化する技術です。原子よりちいさいものはどんどん見つかっていて解明が進んでいますが、とりあえず”物質”という意味では原子レベルとしておきます。電子顕微鏡などで原子レベルまで見えてきていますので、3次元スキャン方法(透過スキャン技術など)に課題がありそうですが、何となく実現できそうな技術だと思います。後述しますがこれを”超小型”で行う必要があります。超小型化が難しそうです。

2)原子レベル物質構成・生成機
 1)でスキャンされた物質の3次元原子レベルデジタルデータに従って原子レベルで組み上げ、物質を生成する技術です。とにかく任意の原子をどこから持ってくるのか、その原子をどうやって組み上げるのかにかなり技術的な難しさがあります。もちろん専門ではないので最先端レベルでは近いことが行われているのかもしれませんが、エンジニア一般感覚でかなり難しそうな技術です。ドラえもん実現に向けた大きな障害になっている技術ですね。

3)原子レベルデータ送受信機
 1)で取得された原子レベルの膨大なデジタルデータを遠隔地に転送・送受信する機能です。今のネットワーク技術、Internetの延長ですのでこれは簡単です。ただ原子レベルをデジタル化したときにどの位の膨大なデータになるのか?(意外と小さいのか)その辺りの懸念はありますが、まず大丈夫でしょう。

さて、1)~3)を使えば、ドラえもんの道具の多くのものは実現できます。

■どこでもドア:ドアをくぐる瞬間に人間のデータを3元スキャン+デジタル化、そのデジタルデータを遠隔地に転送、遠隔地でそのデータを元に物質を生成すれば、実現可能
■どこでも窓:同様
■ガリバートンネル、スモールライト、ビックライト:物質生成時にデータを相似縮小・拡大加工し生成すれば、実現可能
■タケコプター:スキャンし、少し先の地点で生成を繰り返す事で、竹とんぼというレトロなデザインで飛んでいるように実現できる。
■通り抜けフープ:技術的にはどこでもドアと同様ですが、大長編ドラえもん(映画)では、敵の城などに入る際に使っています。敵の城内部に物質生成機を置いておく必要がありますので、未来の世界では物質生成機はあらゆる場所、家庭、敵の城に置かれネットワーク化されている必要があります。敵の城内に置いてある物質生成をクラッキング(ハッキング)してその場で生成する必要があります。そういう意味で、通り抜けフープはどこでもドアよりも高額になります(想像)。現代では、情報流出などのITハザードが頻発していますが、未来では物質生成機がクラッキングされてそこら中に泥棒が入られる可能性があるので大変です。
■グルメテーブル掛け:言わずもがなですが簡単な製品です。未来の世界では安い道具の一つだと思います(笑)。一方でそうなればいくらでもレシピ(3次元原子スキャンデータ)があれば、食料を作れてしまうので、2)の生成機の課題の一つである、”原子をどこから持ってくるのか?”がやはり難しそうな話ですね。ゴミみたいなところから原子を引っ張ってきて再生成するみたいな技術になれば究極のエコになるのかもしれませんね(ただ熱は出そうですね)

4)脳波(意志)読み取り技術およびデジタル化
 今人間が考えている事を確実に読み取り、それをデジタルデータ化する技術です。昨年発表されて、ほとんど使えないことが分かった(笑) OCZ社のNIAですが、こういった民生用デバイスでも発売されつつあるようですし、今後もっと研究が進めば割と目処が立ちそうな分野ですね。

5)脳(脳波)へ書き込み技術
 脳波(意志・思考など)を脳へ直接書き込む(感じさせる)技術です。脳波はちょっと調べた限りuV程度の電圧ということで、それを脳に流し込む技術ですね。脳波解析と供に進みそうな技術ですね。ただ、大変危険な分野なのでこれは生命倫理にかなり抵触しそうですね。麻薬や性的な快楽などを与えるなどが始まるとかなり危険です(少子化が進みそうですし(笑))

さて、4)、5)を使えばいろいろドラえもんの道具に応用できます。

■四次元ポケットの”読み取り部”:手を突っ込んだ時に任意の道具を引っ張れるわけですが、この部分はこの脳波読み取り機能を使って実現しています。ドラえもんが焦って変な道具を出してしまうのも脳波の乱れなどと考えられ説明がつきますね。
■もしもボックス:何度も登場するもしもボックスですが、のび太のあり得ない要求を本当に実現していたらドラゴンボールより地球は危険です。ドラえもんはのび太には内緒にしていますが、もしもボックスは本当に世界を変えているわけではなく、脳波にその世界になったことを書き込んで仮想的に行っています。
■どこでもドアの行き先”読み取り部”:どこでもドアも、どこに行くかを入力するインターフェイスが外観には見受けられないため、ノブを触ったときに行き先を脳波から読み取っていると考えられます。のび太が静香ちゃん風呂への到達回数が異常に多いのも、確信犯であることがわかりますね。

さて、ここで1)~5)に関して少し考えるべき内容があります。1)の原子レベルでのスキャンによって、人間の人格、記憶、意志、経験などはちゃんとデジタル化できるか?という内容です。1)、2)を使えばチョコレートは問題なく作れる見通しは立ちます。一方で、人間の情報を正確に原子レベルでスキャンしたときに、人格・記録というのは”原子”で表現されているのか?原子間力みたいな力で保存されているのか難しいところですね。脳の専門家はこのあたり見通しが立っているのかもしれませんが、この辺が私の知識では少し疑問なところです。1)~3)の応用である物質転送は、スタートレックの転送装置としても提案されており、スタートレックではちゃんと記憶も人格も記憶も含めて完全に転送できています。仮に記憶・人格まで1)の技術でスキャンできれば、4)の脳波だけ特化した読み取り技術は必要なく、同じ技術で脳の状態をスキャンしてしまえば、意志も読み取れるわけですから、結局1)~3)の技術だけで事が済んでしまいます。この辺り現代の研究がどこまで進んでいるか、今度論文でも読んでみたいと思います。

補足ですが、物質転送する際に転送先で3次元スキャンデータを元に物質生成するわけですから、言ってみればコピーを生成しているわけです。そうなるとコピー元(元居た場所)を転送後、ちゃんと消さないといけません。クローン人間ができるとそれこそ映画”アイランド”みたいな状態になってしまい、どちらか本物かクリーンかで揉めそうです。この技術ができたらこの辺りの国際的な法の取り扱いは超大変になりそうですね。アイドルヲタクがアイドルのクローンを自宅で生成みたいな事件が起こったら大変です。とはいえこの技術で少子化対策にとなるのも恐ろしい話です。三次元スキャンはともかく、2)の原子レベル物質生成機がかなり難しそうですから、しばらくは大丈夫だと思いますが・・・。

6)タイムトラベル技術(未来行き)
 これは簡単ですね。2)と3)の技術の応用です。今スキャニングして例えば100年後に物質生成すれば未来に行けます。ただし100年後に生成ボタンを押してくれる人がいないとダメなのですが・・。ただ、実際には地球時間において100年待たないと行けないので、オリジナルは死んでいますね。この考え方は、既に地球に多く存在しています。デジカメで撮った過去の写真を今見ているのも、”昔のある時間・空間の映像情報”を”デジタル化”し、パソコンで”見る”(復元・再生する)訳ですから、その写真を撮った時から考えれば未来にその風景・空間がジャンプしています。今のデジタルカメラの例は、可視波長域の話ですが、たとえばフルトヴェングラーのベルリンフィルの演奏を今聴けるのも、可聴域において同じ未来へのジャンプといえます。また、最近話題になっている遠隔地へ香りを送る(香りネットワーク:香り発生器を置いておいて、例えば恋人の部屋に好きな香りを届ける)MIRAPRO アロマジュールなどは、”臭い”の分野の応用ですよね。料理のレシピも考えようによってはそうです。過去に考えたレシピを、未来で作るのは未来へのジャンプとも広義には考えられます。そういう意味でかなり分野でデジタルデータ化し、遠隔地、または未来で発生することによる、未来へのタイムトラベルは頻繁に行われています。あとは、1)~5)の物質レベル・記憶・人格レベルのデジタル化を待つのみですね。

7)タイムトラベル技術(過去行き)
 さて、この技術だけは見通しが立ちません。おそらく無理なのではないか?と思うわけですが、誰も宇宙遊泳をするなんて思っていなかった時代もあるわけですし、この技術が実現できるかは楽しみですね。ただ、相対論を考えれば、”過去には戻れなくとも”、”浦島太郎”的タイムトラベルは不可能ではありません。つまり、”他の人よりも時間を経たせない”方法はあります。これはロケット技術がもっと発展してもっともっと加速し続けられれば理論的には他の人よりは時間が経つのを遅くできるわけですが、数秒はともかく数十年レベルとなるとしばらくはなさそうですね。ただ仮に実現できたとして、自分だけ時間が進んでいないというのが幸せなのかは疑問なところです。
 ちなみに私は中学生の時に未来の自分に向けて過去へタイムトラベルをするように指示を出した(勉強机に彫り込んだ)のですが、結果は来ませんでした。時間と場所を彫り込み終わった瞬間に後ろに現れる予定でしたが(笑)、現れませんでしたので、
A)その机のメッセージが未来に伝わらなかった
B)過去へのタイムトラベル技術が実現できなかった
C)過去へのタイムトラベルは法律で禁止されている
D)我々の宇宙は常に膨張を続けているため、地球のその時の位置は宇宙の絶対位置から見ればどんどんずれています。未来の自分が過去に戻ろうとしてもその時の地球の位置が絶対的にずれすぎていて断念せざるを得なかった・・。
 などいろいろな理由が考えられますが、少なくともその実験は失敗に終わりました(笑

さて、ほとんど過去の記事と同じ内容の塗り替えしとなっていますが、1)~7)の技術が仮に実現できればドラえもんの実現は可能です。7)はおそらく無理だと思うので、タイムマシンが無いドラえもんになるかもしれませんね。

さて、敢えて説明する必要もありませんが、四次元ポケットへの応用です。

■四次元ポケット:
・デザインはポケット型であるが、形は何でも良い。
・手を入れた瞬間に脳波を読み取り欲しいものを読み取る。
・読み込まれた内容に従って、未来のamazon.comの様な通販センターへ情報が伝わる。
・amazonみたいな通販センターは、それに該当する商品(道具)をポケット内に転送(ポケット内に原子レベル生成機がが内在)
・道具を取り出せる
補足:iPodとSonyウォークマンがあるように、どこでもドアとどこでも窓があるのは、メーカーが違う。

いつかドラえもんが実現できれば良いですね。エンジニアとしてはドラえもんの道具にはとても参考になるものが多いです。特にその恐ろしいまでのシンプルなインターフェイス(宇宙究明ボード:他の星に移住するボートがボタン1つしかない)など多くの点で勉強になることが多いです。

ドラえもん工学その2:(祝)過去の誕生日」への7件のフィードバック

  1. ウケるくらいまじめに語ってますね(笑)私の頭では、理解できない内容も盛りだくさんでしたwドラえもんの話なのに~~~ww
    700年後の未来には、4次元が操れるようになってるのでしょうか?
    鉄腕アトムが生まれて、もう3年が過ぎてますが、アトムはまだ未発表のままの遅れをとっている21世紀。空飛ぶ車が飛び交う近未来は、いつ来るんだろうね(・∀・)

  2. ゆうさん

    ご無沙汰です~
    そーなんですよ。割とまともに扱っています(しかも続編ですし)

    そういえば、もうアトムは生まれたことになっているのですよね。既に遅れていますね。本当にロボットが町中をあるく日がくるのですかね。多くのアニメなどで、ロボットが氾濫して人間との戦争という話がありますが、そうはならないようにしたいものですね。

  3. はじめまして。
    本文と関係ないコメントですが、ブログを読んでいて、
    私、miyashitaさんと同じ高校出身かも!
    と思いコメントしました。
    2歳上の兄が、大学時代寮にいて、私と同じ学年の人が結構いると
    話を聞いていました。その話とこのブログがよく重なるんです。

    そもそも私の勘違いで人違いしていたら、すみません。
    あと、ダイエットの話、おもしろかったです。

  4. トコさん

    はじめまして。上田高校の方でしょうか?
    世代が私と近いのかな?とも思いますが、とにかくコメントありがとうございます。

    ダイエット・・・。そろそろまた再開しようかと・・。

  5. 最近さらにうちの息子たちに超人気です。なにがって、このブログが。
    本日小6の息子の担任と面談したら、このブログの内容を詳細に説明して、
    このおもしろさを担任の先生とわかちあおうと試みているそう。
    ドラえもん工学には最も興奮してました。わかちあえないママより。

  6. ご無沙汰です!

    お子様、およびご担任様まで話しが広がっているようで、恐縮です。果たして良い影響なのか悪い影響なのか・・(笑)とにかく自由な発想でアイデアフルな素敵な人に成長して頂きたいです!!
    みけさんのお子様ですから、その辺は期待できますね!楽しみです~

  7. 何度も読ませて頂きました!
    とても興味深い内容で、あっという間に読み終わってしまいました泣
    読み終わりに消失感を抱いてしまったほど…
    ご丁寧にも最後に四次元ポケット制作方法まで書かれて頂き、読みやすく且つ分かりやすい文章となっておりました。
    これは単なる好奇心なのですが、ドラえもんを将来作りたいと言っていたベンチャー企業の社長の名前や企業名などはわざと伏せているのでしょうか❓❓
    もしそうでなく且つご迷惑でなければ企業名、そして名前を教えていただくことは出来ませんでしょうか❓

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