Windows 7 (製品版)を使ってみた。特にXPモードが素敵。

* 2009年10月21日追記: 一番下に補足を追記。

2009年8月6日から開発者向けにWindows 7の製品版の配布(ダウンロード)が開始されました。
一般販売は、2009年10月22日(日本語版)との事です。

Win7は、Beta版は過去に1時間ほど試して、Vistaと同様の印象しか持たず速攻で消しておりましたが、製品版ということで再度インストールして一通り試してみることにしました。

329,000件。この数字は何の数字を表しているか想像つきますでしょうか?
答えは、Googleで、”Vista + 糞”で検索した場合の検索結果数です(笑)
この数からも表しているように、Vistaは大失敗のOSでした。
使いやすくもなかったですが、とりあえず皆さんが使い慣れていたXP以前のインターフェイスを、
全てリセットするように一新(笑)し、遅い、重いで突っ込まれまくりのOSでした。
ついには、誤解があったもののマイクロソフト社(副社長)が、Vistaを飛ばしてWin7に移行するようになどの報道もありました
(実際には現在Vistaに移行して検査をするならWin7に移行すべきという内容だったようです)

とりあえず、家に余っていた古い2台のPCにインストールしました。
現在、メモリ価格が暴落しております。メモリ4Gを搭載することは、ハードウェアの制限が無ければ容易な事です。
私もCADなり重いソフトを多用するため、4G以上しっかり使うためにも今回は64bit版を採用しました。
マイクロソフトもWin7でしっかりと64bit化をソフトウェアベンダーに促すべきだと思います。MacOS XもLinuxもとっくに64bit化していますし。

インストールしたOS : Windows Vista 7 Ultimate (English + Japanese Language Pack) X64 (64bit版)

テスト環境1) 自作PC (Asus P5B-E, Intel E8400, Mem 2G Bytes, NVIDIA Geforce 9600GS, SATA 320GB x2 (RAID0 via ICH8R)

オンボードのRAID( ICH8R )でRAID0を構成しました。Win7のDVD-BOOTインストールでドライバーなども必要なく普通にインストール完了。

見た目はVistaライクですので、私的には使いにくいです。一方でXPは良かったといつまでも言い続けていても仕方ありません。女子高生はあらゆるウェブを携帯で見るそうです。PCに慣れた私から見れば、携帯の画面でウェブを見る感覚と、携帯のボタンで文字を打つ感覚が遅すぎて理解できませんが、その理解ができないと”おっさん”らしいです(笑)。古い物は良かった・・・というのも分かりますが、新しいものにも慣れないといけません。

さて、Vistaにもあったパフォーマンステストです。
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Win7から最高7.9点になったようです。Dual CoreのE8400 (3GHz, 2コア)で6.5を出した他には、あまり大したスコアが出ませんでした。(部屋の型落ちPCを使ったからなんですけど)
RAID0を組んでハードディスクが5.9なので、もうSSDのRAID0などは必須になってくるかもしれませんね。パフォーマンスに関してですが、CPUもメモリも安いこの時代、ストレージが明らかなボトルネックとなっております。
それにしても、Vistaが最高5.9点、Win7が最高7.9点と、最高点の決め方がマイクロソフト的で素敵です。

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Win7 64bit OSに関して色々ソフトをインストールしてみました。
この図でも出ていますように、
・Google Chrome
・Firefox
・Google Earth
・iTunes
・iSafari4
NOD32 V4 (宮下が使っている軽いアンチ・ウイルスソフト)
などは全く問題ありませんでした。ほとんどがWOWで動いている様ですが、問題ないでしょう。

私が注目していたのは以下に示しますXPモードと呼ばれるものです。
開発をしていると、Visual Studio 6系(Visual C++ 6.0)を使わなければいけないケースが多々あります。
Visual C++ 6.0はVistaではインストールできず、Microsoft的にも公式で非サポートを表明し、困っておりました。
マイクロソフトは、このようなXPソフトがVISTAで動かなかった事を懸念し、Windows 7の上位EditionにXPモードというものを搭載しています。
感覚的には、Win7上に仮想PCを構築し、WinXPを起動するというものですが、Intel Virtualization Technology (以下Intel VT)を通すことで、
仮想PC上からも直接CPUの命令セットを実行できるため、大変高速です。
今までもマイクロソフトは無償でVirtual PC 2007という仮想PC環境を提供していましたが、XPのOS自体は自分で用意しなければならなかったなど、いろいろ不便でした。

今回Win7に搭載されたXPモードは、” http://www.microsoft.com/windows/virtual-pc“よりダウンロードできます。
2008.08.12現在、XPモードおよびVirtual PC環境は、RC(製品候補リリース)であるため、10/22頃の一般販売までにXPモードも製品化になるのかと思われます。
さて、XPモードは、XPのOSのライセンス(仮想ハードディスクファイルみたいなものを配布している)も含まれているため簡単にインストールできます。

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図は、Win 7 64bit UltimateにXPモードで、WinXPを起動している状態です。
さらにWinXPには目的のVisual C++ 6.0 SP6をインストールしてMFCダイアログベースのソフトウェアをビルドし、実行した状態です。
全く問題ありませんでした。動作も機敏で、かなり良い感じです。この時点でWin 7のXPモードは使える!と思いました。
何よりもWin 7 64bit上でうまく動くか心配でしたので安心しました。ちなみにXPモードの内部は、32bit版のXPが入っているようです。
ちなみにXPモード内部のメモリに関しては、XPモードを起動する時に設定できます。割り当ては大きくすることはできますが、メインメモリから割り当てられるので、メインメモリを超えることはできません。今は4Gくらい積んでいるでしょうから、XPモード側に1Gくらい割り当てても余裕かもしれないですね。

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CPU-Zとタスクマネージャーを起動しているところです。
E8400ですので2コアのCPUですが、XPモード側では、1CPUとして認識しています。
クロック周波数は、Intel VTの恩恵(?)でしょうか?、E8400の標準動作クロック(3GHz)を常に示しています。
E8400は、Intel Speedstep Technology(でしたっけ?)でCPUが暇な時は、FSBが落ちて2GHz程度に抑えます。
今回の図で面白いのは、Win7側は、2GHzで休んでいるのに対して、XPモード側は3GHzで常にテンパっています。
後のQ6600のQuadCoreの時にも述べますが、どうやら、XPモードではCPUの1コのコアをそのまま渡して、しかも最高クロック周波数で動作するようです。

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オーバークロッカーではないので、現在の素敵なベンチマークソフトを知りません(笑)
よって、昔からあったHD Benchというのを思い出してWin7とXPモードのそれぞれで比較してみました。
CPU, Memoryなどはほぼ1/2で、DualCoreの1つのコアをそのまま渡して動作しているような感じですね。よって、XPモードはとても快適です。
HDDもあまり速度も落ちず良い感じでした。

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今回のXPモードの面白いのは、単に仮想OSを立ち上げる機能だけではありません。
図のスタートメニューにも分かるように、XPモード内でインストールしたVisual C++ 6.0をスタートメニューから直接呼び出せます。
プロセスは、仮想OS上で起動するので、タスクマネージャーの”vmal.exe” (Windows Virtual PC Application Laucher)と vpc.exe (Virtual PC ホストプロセス)という形で立ち上がっていることが分かります。
普通でしたらmsdev.exe (microsoft visual c++のプロセス名)になりますので、仮想的に上がっているのがわかりますね。
これだと、全く普通のアプリとして旧XP環境アプリを起動できるので非常に便利です。ちょっと感動しました(笑)

テスト環境2) HP ML110 G4 (Intel Q6600 E0, Mem 4G Bytes, NVIDIA NVS295, SATA AHCI 80GB x1)
+ BIOSにてIntel Virtualization TechnologyをEnableにした。

HPの格安サーバーHP Proliant ML110 G4にQ6600 (2.4GHz : Quad Core)のCPUを載せたPCにインストールしてみました。
ML110 G4はオンボードでRAIDを搭載しているのでRAID0インストールを目指しましたがRAIDドライバーがWin7標準では搭載されていないため、インストールできませんでした。
そこで、SATA AHCIで普通にインストールしました。Intel VTはBiosデフォルトですとDisableになっていたので、これを機にEnableに変更しました。(インストール後の変更でも構いません)

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ビデオカードがPCI-E x1の貧弱バス+カードなので遅いです。
CPUは、Q6600がQuad Core(2.4GHz)の恩恵でしょうか?、E8400(Dual Core 3.0GHz)よりクロックが遅いにも関わらず7.1がでました。

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同じくHD Benchでの比較です。CPU/Memに関しては、Win7のちょうど1/4程度がXPモードとなっていますので、4コアの内、1コアをそのままXPモードに渡している様な動作ですね。

総括

・Win XPの軽さは、今となってはとても魅力ですし、シンプルで素敵なOSだと思います。一方で現実問題として、XPのメインストリームサポートは終了しましたし、新しいOSに移行せざるを得ません。Google Chrome OSは魅力ではありますが、私の様に開発系、CAD系、学術系のソフトを多用する環境ですとしばらくはマイクロソフトOSに頼らざるをえません。そういった現状を考えるとWin7はXPモードもあり割と良いのではないか?と思っています(思うようにしています)

・XPモードの完成度は高く、最新のCPUの1コア分のパワーをそのまま投入できるので、動作も軽く良くできていると思います。実際に私のニーズであったVisual C++ 6.0も快適に使えましたのでこの辺は素晴らしいと思います。ただマイクロソフトはVistaの移行が進まなかったのはソフトウェア互換が問題だったという風に思っている様なのでそこは考え直してもらいたいです。駄目なのは無駄に派手で重いインターフェイスです。

・今回のXPモードの搭載も含め64bit化は行けるのではないでしょうか?むしろ32bit版を廃止するくらいの政策で良い気がします。メモリがこれだけ安いですし、Win7 Ultimate 64bit新規インストール完了時に既に800MBytes程度メモリを使うことから考えても、4Gの壁なんぞ(むしろ3.xGBytes程度しか認識できない問題)早く取っ払わなければなりません。

・CPUのクロックアップが、Intelも厳しくなりマルチコア化に向かっています。今回のXPモード(使う人はマイナーだとは思いますが)なども考えてQuad Coreはいろいろ有用かもしれませんね。クロック周波数が高いDureCore E8XXX系を好んで使っていましたが、これからはQuad Coreを使っていこうかなと思うようになりました。

・一般発売まで2ヶ月ありますので、これから問題点なども出てくるかとおもいますが、XPで止まっている方は、そろそろ腰を上げないといけないかもしれませんね。

2009年10月21日追記:

検索からくる方が多い内容について少し補足します。

・Windows 7 64bitをインストールしても、XPモード(Virtual PC自体)は32bitです。決して64bitのXPが入っているわけではありません。
・XPモードは全Windows 7に搭載されている訳ではありません。Professional Edition以上です。Ultimateとか、Enterpriseとか。一般のPCにバンドルされているWin7では対応していない可能性があるのでお間違えなきよう。
・XPモードのメモリは、メインメモリから任意のサイズを割り当て可能です。(もちろんメインメモリ以内)
・個人的には64bitがオススメだと思いますし、私も64bitを使っていますが、とにかくプリンタドライバまわりやや心配です。普通のアプリであれば、ほとんどがWOWで動くのですが、デバイスドライバは64bit用専用で作らなければならず、たとえば大手のCanonのプリンターでもwin7 64bitドライバーは”現時点”で公開されていません。2009年2月現在では、大手プリンターのドライバーはほとんどWin7, 64bit対応になっています(もちろん非対応もあるので事前にご確認を)。この問題はマイクロソフトが積極的に64bitドライバを用意するように何らかのキャンペーンを張らないと進まない気がします。win7では32bit版を使わずに何とか乗り越えたいものです。

Windows 7 (製品版)を使ってみた。特にXPモードが素敵。」への4件のフィードバック

  1. はじめまして。

    最新のマシンはほとんど64ビットで発表していて、わたしも購入しました。 i5 4GB マシンです。
    ところが使ってみてXP(32ビット)で動いていたソフトがいろいろ引っかかって動きません。

    出来ればわたしもWin7=>WinXPにもどしたいのですが、新規マシンなのでWinXP old などは入っていません。 このWin7のままでXPを追加インストールできるのでしょうか?(XP DVDソフトは所有している)
    もしできるのでしたらその方法を知りたいのですが、どこかにガイドまたは資料はありますでしょうか?

    教えて頂ければ助かります。 

  2. Win7の後にXPを入れるとブートローダを見失ってしまいWin7が起動できなくなります。

    詳しくは
    http://windows7.wiki.fc2.com/wiki/XP%E3%81%A8%E3%81%AE%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%88

    あたりをご覧ください。Win7 -> WinXPの順番に入れる場合はデュアルブートとかMBRとかそのあたりを理解している必要があります。Win7に貴重なデータがある場合失敗しますとアクセスできるなくなるので、リスクを承知の上、バックアップをとってから行うのが良いかと思います。

  3. 大変興味深く見させて頂きました.現在,新しいマシンの購入を検討しているが,OSをどうしようか考えているものです.
    当方も,解析用ソフトをXPで動作させているのですが,はたしてWndows7のXP Modeではどうなることやらと危惧していた状態です.
    ところで,1つ気になることがあります.それはCPUの割り当てです.報告によると4コアの場合でもXP Modeに割り当てられるのは,1コアのようです.試したことはないのですが,例えば4コアマシンでダウングレードしたXPを用いれば,XP上のソフトは4CPUに振り分けられるのではないでしょうか.例えば,上述なら,VCの実行ファイルを名前を変えて4個用意すれば,4つの実行ファイルが同時に稼動して,完全な並列実行ができると思われます.しかし,XP Modeでは,1CPUしか割り当てがないので,同じことを行うとパフォーマンスが1/4に落ちてしまうのでしょうか?少し例えが悪かったかもしれませんが,同じソフトあるいは異種のソフトを4つ稼動して,このCPU負荷がどうなるかを問題として申し上げています.もちろん,1CPUは表示上だけの話で,XP Modeでも4CPUに並列に負荷が分散されるなら非常にありがたいのですが.

  4. 青山さん

    (ちょっと古い記事ではありますが)コメントありがとうございます。もう1年以上経ったのですね。私は完全にwin7に移行完了済みですが、まだまだ多くの場所で移行を検討されている方が多いと聞きます。

    さて、懸案の件ですが、また今度時間があるときにやってみます。私はxpモードも既に使っていないので内部にvc6環境がないので、懸案の環境が直ぐに実現できません。また仮に実行した場合にご報告申し上げます。

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