(祝)東京オリンピック・パラリンピック2020。そして東京および日本がこの7年間でやるべきことを考える。

2020年のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定しました。この決定までに相当な労力があったと思いますし、プレゼンに登壇された方、後ろで支えた方達含め、本当にお疲れ様でしたと申し上げたいです。本当に選ばれて良かったです。

さて、7年後の開催に向けてまさにこれからというわけですが、ある意味インフラが充実している東京ですと、無難な開催であれば、普通にやっていれば実現可能だとは思います。しかし、2020年のオリンピック・パラリンピックその時だけ良ければOKみたいな方針にするのはあまりにももったいないと思います。やはり、この機会をきっかけにこれからの東京、日本、そして世界へ発信する都市デザイン・日本技術・文化のモデルケースになり得る開催にすべきかなと思っています。

これからの7年間、時間にしては短すぎず、長すぎずの良い期間だと思うので、こんなのが実現できたら面白いかなというのを考えてみようと思います。面白いかなではなく、”やる”と思わないと何も実現しないですね。

●`omotenashi`ではなく、`おもてなし`の再考。

今回のプレゼンでも使われた`おもてなし`という言葉。同じく世界でも(国連などでも)使われているらしい`mottainai`(もったいない)などの言葉。日本の言葉を横文字で表現するのは良いのですが、その`おもてなし`というのを日本人は知った気になっているのではないかなと。かく言う私も例外ではなく、茶の湯の世界に触れ、何となく日本の文化を知った気になっていた自分に気が付きました。横文字になったイマイチよく分からない`omotenashi`ではなく、本質的に日本的に美しいおもてなしができるように。それはきっとド派手な演出ではないはずです。

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●日本の伝統文化のまず我々の認知と事業維持

(これは言われなくてもやるかとおもうのですが、)おそらく開会式は着物でしょうし、和太鼓なり祭のテイストで行われるでしょう。そういう演出プロデューサーが、一部の有名な日本の文化を採用して外国に見せるのではなく、この機に我々日本人がちゃんと日本の多くの文化を勉強し認知し、良い物を見極める目(+五感)を育て、その文化(事業)を維持するにはどうすれば良いか考えたいものです。ユニクロのような安価大量消費・捨て文化の一部をちゃんと見直せるように。もちろん、それは日本食文化も含めて。
茶の湯を初めてから国内様々なところに訪ねていますが、そこで感じるのはとても良い文化があっても、それをうまく表現することに苦心しており、結果後継者も育たず困っている場面に出会します。東京にはピンからキリまでコンサルと呼ばれる職業の方が実に沢山いるようです。その一部の方達には自分の事業を3年間休んで地方に飛んでその能力を活かしてこの問題に取り組んで欲しいと思います。都内の狭いところで、例えば一つのITシステムを導入させるのに優秀な連中が切磋琢磨して凌ぎ合っているより、ごっそりその頭の使い先をシフトさせてもらいたいです。国の支援・法律などで、彼らにそういう時間を作らせることができないでしょうか。とはいえ、東京で使っているような何でもロジカルに考えすぎると、また掴みにくいのが日本文化なのですが(笑)。いろいろな物を手に持って見てみないと分からない(写真では伝わらない)世界があることを知って欲しいですね。漆・塗の文化なんて角度があるので写真ではその素晴らしさが伝わりません。

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●電力システムの見直し

今回の招致運動でも毎度質問されていましたが、3.11の福島第一原発の処理は難しい問題です。少なくとも3.11から2020年までの約10年で原発を収拾させるのは絶対目標に掲げたいですね。まだまだ第一原発の建屋はテントが掛けられたままで中は手つかずです。あまりの高線量に人が近づけませんから、作業は困難を極めますが、山側からどんどん水が流入していて、最近の漏れも含め、ゆっくりやっているわけにはいきません。2020年をリミットと位置づけて何とか収拾させ、もし事故が起こった場合にどのような構造になっていると収拾させやすいのかなど、設計にまでフィードバックできるようにしてもらいたいですね。世界にある既設・新設原発に向けて少しの修正で改善できるかもしれません。

また、この会場・施設・運営には、直流ネットワークに挑戦してもらいたいです。電力の地産地消とでもいうのでしょうか、電力を遠くから送電するのは無駄が多すぎてもったいないです。風力、太陽電池などのローカルで発電でき、それを一度交流に変換してまた熱にする様な無駄な熱・電気変換を最小にする電力マイクロネットワークを一地域でも実現させて世界に発信してほしいです。すくなくとも晴海・有明・お台場地域はそういう特区にしても良いと思うんですけどね。

2009年の古い記事ですけど、昔このブログでも書いています。
参考:人類として最も進化した”住み方”を考える。完全自家発電自給自足ハウスモデルの提案。

また電力に関わりますが、ボストンの町並みが綺麗なのは一時あった電線を全て地下に埋めたからだと思っています。電線が飛び交って、窓から白シャツとパンツが干してあるのもアジアっぽいですが、そのあたりは脱却して、ちゃんと電線を地下に埋めて欲しいです。毎年2~3月の予算使い切りで綺麗な道路を無駄に掘り起こすのであれば、予算使い切りは全て電線の地中埋めに使うみたいな流れになれば良いのですが。

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●首都圏交通ネットワーク+スマート避難システムの構築

東京の交通網は正に網の目です。網ですから、どこにでも行き渡っている様に見えて、それが各種利権の縦割りでそれが有機的に結合できていません。機械的に編み目になっているだけです。東京メトロと都営地下鉄の`馬鹿の壁`がやっと撤廃される様ですが、JRも含め東京の駅を三次元的に見てもっと最適な接続を再検討していただきたいです。パラリンピックも開かれるのでバリアフリーはもちろん、日本語が分からない外国人がきても100%絶対に迷わず最適(+ちょっと遊びで観光ができる)交通ネットワークシステムを作って欲しいですね。
東京に限らず日本のバスの路線図って最悪だと思っています。例えば”何系統の何とか神社行き”とかって地元の人しかわからないですよね。全部のバス停がバス停の看板には書いていなかったり、バス停の自体が見つからなかったり。正直バス会社は路線図作成に努力が足りないと思っています。日本人でも分からないのですから、外国人がわかるはずがありません。地下鉄・鉄道・そしてタクシーとの垣根を越えて実にスマートな交通システムを確立してほしいです。たぶんそれができるようになると、まもなく発生する首都圏直下地震のスマートな人輸送にも使えると思うんですよね。網を貼っていれば魚がひっかかるわけではなく、戦略をもって交通網を見直したいものです。スマホ利用前提でも良いと思いますし。
それに関連して、首都高整備など道路見直しも出てくるとおもいますが、真っ先に日本橋の上の首都高を撤廃してほしいです。高度経済成長時代の第一回東京オリンピックで突貫工事でつくり、今回成熟した第二回の東京オリンピックで撤廃したみたいなストーリーがよろしいかと思います。日本橋在住としては、日本の道路基準に空が無いのは悲しすぎます。

●首都圏のビル風・アスファルト照り返しの異常な暑さへの対策

上述の電力システムの見直しに近いのですが、熱い熱いとエアコンを入れて、室外機の熱風をまた別の部屋でエアコンで冷やして・・・という繰り返しでは熱くなるばかりです。今まで原発を好き勝手に建設できた時代は、都心が要求した電力をまかなうように原発を増発すれば良い話でした。3.11以降もう一度節電意識を高め、とにかく首都圏から電力を要求しない体制を作らなければなりません。
首都圏からの電力は地方から相当な電送ロスをもって運ばれ、何かの電化製品を通して熱に変わるわけです。この暑さは(一時的な)異常気象もあるわけですが、まず東京で電力→熱変換をさせない意識を高め発熱を激減したいものです。細かい話でいえば、DC/DCコンバーターなんてこの最近は変換効率で90%近いです。PCに代表されるようにちょっと使わなければスリープに入る技術も成熟しました。この最新の電力変換デバイスとこまめなスリープ機能を電力食い虫の工場の各施設に(国の支援も使って)導入をはかり、たとえば旋盤などの工場機械も直ぐにスリープに入って電力が落ちるなど、徹底的に省電力化をはかりたいですね。全ての工場機械にスリープ機能は必須みたいな法整備が必要かと思います。たぶん旋盤などの機械まで導入すれば世界でも売れるはず。
あと、アスファルト・コンクリート・ビルの壁の素材など、もう少し光学的(α・ε)を考えた材料を導入してもらいたいですね。面積に効いてきますから、今後建設するビル・道路などは、最先端の素材で作り替えていけばいずれ大きく違いが出てくると思います。自転車は走りにくくなりますが、自動車道では、アスファルトと草をゼブラ的な道を作ってみるとか・・・。

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ダラダラ書いてしまいましたが、2020年の期間中だけ乗り切る開発ではなく、7年後以降のスマート東京(次世代東京)になるように意識を変え、そしてそのモデルが世界に発信し、そのモデルに関わる産業が儲かるようになればと願うばかりです。たとえば、今の日本の緊急地震速報なり水道システムなんて世界で十分に売れると思います。私もエンジニアの端くれとして技術面では努力と、茶の湯を嗜む面から本当の日本の美・文化に向けて情報を発進して行きたいと思います。

 

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