国宝茶室`如庵`、徳川美術館他、そして加藤亮太郎陶芸展へ。

少し前の事ですが、松坂屋名古屋店で、美濃焼窯元”幸兵衛窯”の加藤亮太郎さんが個展を催されるということで日帰りで行ってきました。日帰りとはいえ、せっかく名古屋に出るのですから、国宝茶室の如庵、犬山城、徳川美術館、古川美術館、爲三郎記念館、桑山美術館を回ってきました。

美術館は閉館時間が早いので、デパートで行われる加藤亮太郎さんの個展は夕方に行けるだろうと考え、まず犬山市にある如庵に向かいました。

◆国宝茶室`如庵`(じょあん):有楽苑、犬山市

名鉄犬山線にて名古屋から犬山遊園駅へ。ちなみに如庵(有楽苑)は現在名鉄の所有物です。

`如庵`は、織田信長の弟で、大茶人でもあった織田有楽斎が作った茶室で国宝です。東京の有楽町の名前の元になった方ですね(一時、今の有楽町付近に住んでいた)。有楽斎は、クリスチャンであり、そのクリスチャン名がJoan(ジョアン)であったことからこの名前が付いたという一説が。元々は、臨済宗開祖の栄西さんが建てた京都建仁寺内にあったのですが、その後三井家が引き継ぎ、東京に移築され、現在は更に名鉄が引き継いで、この犬山城の隣の有楽苑内にあります。如庵だけではなく有楽苑全体が名鉄の運営かな。

如庵公式サイト:http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/
参考サイト:如庵 – Wikipedia

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入り口の解説看板。クリックすると拡大。

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酷い写真だなぁ・・。有楽苑の入り口の一つ。有料。
犬山焼きの抹茶茶碗も、写真奥の入場券受付で売っていました。

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有楽苑内は綺麗な日本庭園になっています。
緑が綺麗でした。楓が多かったので紅葉の頃は素敵でしょうね。

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岩栖門(いわすもん)

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含翠門(がんすいもん)に向かう道。中に門がたくさんありました。

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人も少なそうなので、椅子に座ってゆっくりするのもよろし。

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普通のつくばいではなく、石の下が大きな空間になっていて心地よい音がするシステム。

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なんでこんなに写真が酷いのかわかりませんが・・・。
とりあえず庭の素敵な趣が伝われば良いのですが。

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さて、お目当ての国宝茶室`如庵`。外観の写真はOKです。中は撮れません。
二畳半台目の向切りの茶室。躙り口が床に向かって正面ではなく、90度横方向から入ります。また点前座の後ろが斜めに切って、板東さんが歩きやすい工夫や、その斜めの壁に当時の古い暦の紙(新聞のような感じ)がむき出して貼ってあったり(補強の為なのか?)、遊び心たっぷりの茶室でございました。

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写真は酷いですがクリックすると拡大するので、間取り等興味があればご覧くだされ。

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少し引いて撮った如庵。綺麗な庭園に囲まれています。国宝ですので火は使えず、既に茶室としては使われていないとのこと。しかし、三井家から名鉄に譲られこの場所に来たときに表千家の家元が一度だけ如庵で茶会を開いたとのこと。素敵ですね。

さて、この有楽苑には、有楽斎が大阪に住んでいたときに使っていた茶室を復元した`元庵`(げんあん)もあります。ここは一般の人が借りられるらしく、地元の茶人、茶の先生たちが利用しているようです。有楽苑での茶事・茶会も素敵ですね。

如庵の隣接している重要文化財 旧正伝院書院では、抹茶のサービスがあります。如庵解説員の方に如庵の歴史を教えてもらいながら薄茶を頂きました。この旧正伝院書院では、初釜の茶会が行われるとのこと。また襖の絵画は長谷川等伯など蒼々たるメンバーが描いた絵図が残っています。

◆国宝:犬山城

さて、茶の湯には直接関係ありませんが、如庵のある有楽苑の隣だったので犬山城に寄ることにしました。

犬山城公式サイト:http://inuyama-castle.jp/
歴史などは公式サイトなどで確認くだされ。茶の湯でいえば、秀吉も一時城主だったことがあるようです。

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酷い写真だなぁと。上に登れるのことで登ってきました。

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登ったところ。一個前の写真を逆から見ている構図。

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西側を望む。この木曽川を挟んで向こう側は各務原市。

さて、犬山城の城下町的な通りを通って犬山駅へ向かいます。そこから徳川美術館へ。

◆徳川美術館

さて、徳川美術館にやってきました。徳川園という日本庭園内にある美術館で、徳川家(特に尾張徳川家)に伝わる遺品・名品の数々が所蔵されて、中身を定期的に入れ替えて展示されています(あまりに量が多いらしく)。

徳川美術館 公式サイト:http://www.tokugawa-art-museum.jp/
徳川園 公式サイト:http://www.tokugawaen.city.nagoya.jp/

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徳川園入り口。美術館だけではなく、日本庭園、結婚式などもおこなえるレストラン、お土産ショップなどかなり大きな施設でした。もともと尾張藩二代藩主光友の屋敷があったみたいですね。

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失礼ですがここの日本庭園は趣き、自然のコントロール、見せ方含めイマイチで良い庭園だなとは思えませんでした。恐らく同じ事を感じる人は多いのではないかと。さて、写真にあるように庭園内には、瑞龍亭という有楽好みの茶室がありました。ここは借りられるのかな?

さて、庭園を一周してきてから美術館に。

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徳川美術館

お目当の利休自作の茶杓`泪`を見られるかな?と思いましたが、今回は展示されていませんでした。

参考:竹茶杓 銘 泪(なみだ)千利休作@文化遺産オンライン

利休が秀吉に切腹を命じられた際に、最後に自ら削って茶会に用い、そして古田織部に渡したと言われる茶杓。これは何とも見てみたかったのですが。たまに展示されるみたいですね。

徳川家の美術館ですから茶道具だけではなく、刀・兜等沢山ありました。着物とか素晴らしかったですね。茶道具に関しても第二展示室は`大名の数寄:茶の湯`となっていて、徳川由来の茶道具を毎回とりあわせを替えて展示しているそうです。これは名古屋に来る度に足を運ばないといけませんね。

さて、徳川美術館を後にして、古川美術館に向かいます。犬山に行ってきたので時間が結構経過しており、大急ぎで移動。

◆古川美術館、爲三郎記念館

ヘラルドグループの創始者であり、美術品のコレクター(もちろん茶道具も含め)として名高い古川爲三郎の古川美術館、そしてすぐ近くにある爲三郎記念館に行ってきました。

公式サイト 古川美術館:http://www.furukawa-museum.or.jp
公式サイト 爲三郎記念館:http://www.furukawa-museum.or.jp/memorial/index.html

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古川美術館入り口。

今回は、日本絵画が中心で茶道具・軸などの展示はなし。何度も来るのも大変なので見方がわからない日本絵画も一生懸命みてきました(笑)

さて、ここから徒歩で2~3分の所に爲三郎記念館があります。これがなんとも素晴らしい。

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住宅街の中に突如現れる日本庭園があります。爲三郎記念館の入り口。

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入り口には、

`初代館長古川爲三郎の遺志をうけ、その居宅を平成七年十一月三日より、古川美術館分館として開館いたしました。数寄屋造りの「爲春亭(ゐしゅんてい)」を中心に、爲三郎が愛した六本の椎の木など樹々が繁る庭には茶室「知足庵(ちそくあん)」や仮説の舞台が備えられています。財団法人古川会`

とのこと。その名の通り、邸宅を開放したわけですな。素晴らしい日本庭園でした。

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数寄屋造りの母屋 「爲春亭(いしゅんてい)」内は、カフェになっていて、お抹茶やコーヒーなどを庭園を見ながら頂けます。実に素晴らしい。

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先ほどの薄茶を頂いている席からの眺め(硝子越し)。正面には茶室`知足庵`が見えています。

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母屋 「爲春亭(いしゅんてい)」内には、多くの部屋があるわけですが、その一室には点前畳があり、そこに古川さんの茶道具による道具あわせが展示されていました。この前にはこの組合せの解説なども添えて。車軸釜って形に変化があって良いですね。

さて、庭に出ます。

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母屋 「爲春亭」。硝子が見えると思いますがこの中がカフェ席になっていて庭園を見渡せます。個人邸宅だったわけですから素敵ですね。

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竹もあり。

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さて、茶室の`知足庵`。これは借りられるのかな?(不明)。利休の「足ることを知る」という教えから取った名前とのこと。

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(禁止されていなかったので内部写真を撮らせて頂きました)

二畳半台目向切。そう`如庵`と同じです。斜めの壁を含め、如庵の趣向を踏襲しているようです。しかし、外観でも分かるように、知足庵は、床に向かって正面に躙口があります。如庵が床に対して90度横から入るのは有楽斎の遊び心なのですかね。

爲三郎記念館はお勧めです。カフェでまったりするのも(長居して良いかわかりませんが)。さて、桑山美術館に向かいます。もう夕方に近づいており大急ぎで移動。

◆桑山美術館

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汗だくになりながら、大急ぎで桑山美術館に到着。

公式サイト 桑山美術館:http://www.kuwayama-museum.jp/

コレクターの桑山清一さんという方が集めた美術品を展示している私立美術館とのこと。茶道具も多く。中国・朝鮮のものや利休の竹花入れなど。中に茶室もあって一般人でも利用可能とのことです。

という情報を得ていたので向かったのですが、閉館直後に到着で入れず・・・。戸締まりをしていた受付の方も遠くから来たのに申し訳無いなんて言われてしまい(こちらが遅いのが悪い)。やはり一日で回るのには無理があったかと・・・。

これ以上は時間的にも美術館巡りは不可能と判断し、一番のお目当ての松坂屋名古屋店に向かいました。

◆加藤亮太郎 陶芸展 @ 松坂屋名古屋店

数多くある美濃焼の窯元でも著名な窯元の一つ`幸兵衛窯`の陶芸家”加藤亮太郎”さんの個展に行ってきました。亮太郎さんの作品は、しぶや黒田陶苑で拝見して以来、興味を持っており、今回新作の陶芸展ということで是非見てみたいと思いました。今回で第三回目とのこと。

もちろんデパートの陶芸展なので写真はありませんが、多くの新作を拝見できました。なんと、ご本人がいらっしゃったのでお話することができまして感激でした。作品の説明等もしてもらい、陶芸(作っている側)とはどういう世界なのか、またその苦労などお話を聞くことができました。

どんな仕事でも想像力をフル稼働させて世の中に無いものを作り出していかないといけないわけですが、私と同世代の加藤さんのお話は、分野が違うとはいえとても私の仕事に関しても刺激を受けました。お金を貯めて(手が届かなくなる前に)まず志野茶碗目標に一つ購入したいなと思っています。同世代の陶芸家が作った茶碗を大切にずっと使っていけば、茶事で拝見に回ったときにも、今回の初めてお会いした話などを語れますので、よく分からない箱書きの内容を棒読みで答えるよりも、客との会話が弾みそうです。

充実した名古屋への茶の湯日帰りの旅でした。

国宝茶室`如庵`、徳川美術館他、そして加藤亮太郎陶芸展へ。」への3件のフィードバック

  1. 初めまして!唐突にメ-ルを送るご無礼お許し下さい。
    名古屋生れ名古屋在住の無知蒙昧なフツ-の主婦の伊藤雅恵と申します。
    お名前もわかりませんが、たまたまネットで八事にある光玄というギャラリーのスケジュールを知りたくスマホで検索しておりました。そしてその途中で如庵のお写真みつけ、私の目にはとても素敵に撮れていて楽しませて頂けたのでお礼を申し上げたくなったのです。有難うございました。
    そして新しくなった徳川園が本当に残念な姿になってしまったことをご指摘下さりこちらも残念でもあり嬉しくも感じました。
    こんな風に全くお目にかかったことの無い方にいきなりメッセージを送るのは初めてのことで本当にもし不愉快に思われたらごめんなさい!

  2. 伊藤様

    名古屋在住の方にこのような内容というのも当たり前すぎてという感じですが、コメントいただけて有り難いです。
    徳川園はやはり以前から変わったのですね。ちょいと趣があれれ?と思った次第です。外国人さんはよろこんで写真を撮っていたのでウケは良さそうですが、ちょいとおもうものはありました。
    先日、徳川茶会で再訪しましたが、やはり定期的に徳川美術館には足を運びたいなと思いました。

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