エイベックス・マーケティングが、”ケータイ音楽”向けとして、フラッシュメモリーカード(microSD)による楽曲(映像+音楽)の提供(販売)を開始するようです。
参考:第一弾として、THE REBOOTというアーチストが出すようです。
上記ウェブから引用させていただきます。
携帯電話ですぐに視聴できる音楽コンテンツ入り「microSDメモリーカード」を発売!
~アーティスト作品としては、日本初~
エイベックス・マーケティング株式会社は、音楽・映像・歌詞・画像などの携帯電話向けの音楽コンテンツなどを「microSDメモリーカード」に収録して、発売することを決定しましたので、下記のとおりお知らせいたします。本商品は、3キャリア(NTT DoCoMo ・au ・SoftBank)の携帯電話(ワンセグ録画機能を搭載した対応機種)に挿入するだけで、携帯電話をプレイヤーとして音楽や映像を楽しむことができ、歌詞データもPDF対応機種で閲覧が可能になる新しいメディアとして注目されております。当初は携帯電話取扱店にて販売を行い、それ以降順次販路拡大を行っていく予定です。
引用おわり。
つまり、今やiPhone以外の携帯ではあたりまえの外部メモリストレージであるmicroSDに、携帯で見られる・聞ける音楽コンテンツを詰め込んで販売するってことですね。浜崎あゆみが、確かUSBメモリーでアルバムを発表していましたから、エイベックスとしては、フラッシュメモリでの楽曲提供の第2弾といったところでしょうか。
この販売形態は、ある意味ナウく、ある意味ちょっと時代遅れかなと思っています。私は、SDカードの1Gbytesが1000円以下で購入できるようになった数年前の時点で、音楽提供・販売は、SDカードなどのフラッシュメモリーで音楽を提供すれば良いのにと考えていました。というのは、CDは革命的に音楽供給を進歩させたデジタル技術ではありますが、モーターで回転させてレーザーで読むという方式が、今となっては超アナクロです。このアナログレコードと同じのような、”アナログ”要素を含んでいた挙げ句、
・84万円もする残念なCDプレーヤー(DENON DCD-SX)などの高級CDプレーヤーが開発され、流されやすいマニアが翻弄される結果となってしまいました。
さらに、
・高音質CD(SHM-CD, HQCD, Blu-spec CD, ガラス製のK2HD MASTERING + CRYSTALなど)の登場で、その”アナログ”要素から発生しうると言われる読み込みエラーを少しでも軽減するために素材の良いCDの開発という、無駄な難しい課題に対して努力に時間と技術を注いでいる訳です。
確かに前者のCDプレーヤーは、D/Aコンバーターおよび、電源回路周りなどで究極のS/N比、低ひずみなどを実現しているわけで、単純にモーターや防振などの機械的要素だけで高価格になっているわけではありません。D/Aコンバーターとして見れば、人間がそこまで検知できるかはおいといて、数値の上で究極とも言えるクオリティまで追求されています。
しかし、後者の高品質CD化は進む方向が完全に間違っています。読み込みエラーの可能性があるというのが問題であるなら、解決策はこの方向じゃないだろうと思うわけです。
1)50倍速などの読み込みができるわけですから、リアルタイム再生(1倍再生)をやめてエラー率を考慮した上で先読みしてバッファリング
2)回転方式のエラーなのだから、安価になったフラッシュメモリ、ROMなどで読み込みエラーがより少ないメディア・方式に方向転換
などの方向に進めば良いと思うわけです。今回、このブログを取り上げたのは、エイベックスの商品が2)のアプローチと”なりうる”からです。
1)の技術なんてとても簡単です。今やPCについているCDドライブ(DVDなども兼用)なんぞ、50倍速再生は当たり前で、こんな時代になにもリアルタイムの1倍速再生をする必要はありません。実際には、1000円で売っているCD-ROMドライブでも懸念されるほど、エラーは起きていないでしょう。その前にその数ビットのエラーを拾えるほど、後段のD/A, アンプ、スピーカー+優秀な耳を揃えている人がメジャーだとは思えません(そのCDプレーヤーおよび高音質CDを買う人は十分マイナーですが)。上記の84万円のCDプレーヤーになぜこの機能が付かないか意味がわかりません。再生ボタンを押して、数秒間音が出ないくらい大したストレスではないと思うのですが・・・。採用しないのは、そもそも読み込みエラーなんぞほとんど起きていないってことでしょうね。高音質CDの存在理由がほとんどなくなってしまいます。
高音質CDを販売する際には、おそらく音源(マスターアナログレコードや、DATかなぁ?)あたりから、再マスタリングして販売されることが多いかと思います。そうなれば、そもそもソースからCDの規格(44.1kHz, 16bit)に変換する方法や録音レベルなども変更される可能性があり、同じアルバムタイトルでも、普通のCDと高音質CDの音楽データ自体が同じ保証はありません。ぶっちゃけ言えば、高音質CD作成時に音量をちょっと上げておけば、”音が良くなった”と感じる方は大多数だと思います(笑)
最新のBlu-rayですら、この回転円盤非接触読み込み方式を採用しているので、集積度が高いのは証明されているのですが、CDの集積度(12cmで700Mbytes)レベルであれば、もうこの怪しい製品が多発するのを押さえるためにも、確実にリードできるメディアに置き換えるべきだと思っています。
そういう意味で、今回のエイベックスのメモリーカードによる楽曲提供は面白いはずでした。(もともとそんなには起こりませんが)CDの読み込みエラーという見えない敵との戦いは皆無となりますし、モーターが必要ないのでそのアナログ的なノイズが、D/A回りに波及するなどの面でも優位でしょう。上の84万円のCDプレーヤーはD/Aなどの部分は最高でしょうから、同じ筐体でメモリーカード差し込み口がある製品を出して貰えれば、素敵かもしれません。しかし、今回のエイベックスの企画は少し趣旨が違うのかもしれません。今回はケータイがターゲットであるため、1)音源の記録フォーマットが圧縮フォーマット(MP3 ? AAC?)でありケータイの再生能力からビットレートも低い可能性がある、2)そもそも携帯のD/Aおよび本体スピーカー or ヘッドフォンに再生能力を期待できない などの点で、高音質ピュアオーディオ用の配信・販売ターゲットではありません。CDの読み込みにおけるビットエラーを解決するべく販売されたものでは無いようです。しかし、今回の企画がある程度浸透すれば、ピュアオーディオ用のメモリーカードの規格が決まり、販売が始まるかもしれません。仮に始まった場合、普通のSDカードに対して、高音質SDカードという怪しい商品などが出てくるのが、ピュアオーディオの怪しいマーケットです(笑)
またナウさからいっても、これだけブロードバンド全盛の時代で、1曲切り売りが当たり前の時代に、物理的なメディアで配信するというのは、少し時代おくれかもしれません。ネットで非圧縮音源または、Apple Losslessなり、Dolby HDなり可逆の圧縮方式で送れば、ネット配信は簡単だと思います。そういう意味で、今回のエイベックスの企画がもう5年くらい早ければ面白かったかもしれません。
私としては、CDやアナログレコードのジャケットに魅力を感じています。ジャケットにもちゃんとアーチストがついているでしょうし、歌詞カードなど綺麗なものが多くて、素敵な物は部屋のインテリアにもなりますよね。そういう意味でエコではないですが、ジャケット+非圧縮音源のメモリーカード楽曲配信というのは、あっても良いのかなと思っています。実際にネット配信は、パソコンなりで受信するケースが多く、せっかく非圧縮音源データであっても、十分にクオリティが高くアンプまで持って行くのが大変です。PCのD/Aなんぞ全く酷いもので使い物にならないですし、デジタル転送でAVアンプあたりに渡したとしても、PCのファンの音がうるさかったりと悩ましい問題は多いです。流れとしては、ネット配信側にシフトするかと思いますが、この辺、何か良い方法で解決していきたいものです。現状最も現実的なのは、iPhone + iTunes Storeによる非圧縮音源配信をして、iPhone -> 高音質D/Aにデジタル転送というのが一番良いラインだと思います。DenonのSACD / CDプレーヤー+外部ディジタル入力(iPodなどのUSB経由を含む)搭載DCD-1650SEなどは、ピュアオーディオ屋たちが進むべき道なのでしょうね。
話は変わりますが、アメトークが最近やり過ぎ感たっぷりであまり面白くなくなってきました。一方でシルシルミシルはめちゃめちゃ面白いですね。